第20夜☆サルの売春にも「値引き」あり!?
哲雄 今回は、売春について話すんだったね?
AKI 哲ジイは前に、ツルだって売春するって言ったよね(第4夜☆オスはバラ撒き、ツルは売春する 参照)。
哲雄 別にツルに限らず、サルだって、ライオンだって、売春ぐらいしますよ。
AKI それ、ほんとに売春なの?
哲雄 ま、本人に聞いてみないと、意識的にどうかはわからないけど、食糧つまりエサと引き換えに交尾を許す、と言う行動を「売春」と言うなら、それは、動物全般に見られる行為みたいですよ。
AKI 交換するのは、エサだけ?
哲雄 いや。たとえば敵の攻撃から守ってもらうため、なんてのもあるらしい。そう言えばね、こないだ、AFPが面白いニュースを配信してた。
AKI 売春について?
哲雄 ウン。シンガポールの南洋理工大学の研究者が、カニクイザル50匹を20カ月間にわたって観察した結果、判明したっていうんだけど、このおサルさんのメスは、オスに毛づくろいしてもらう代償として交尾させるらしいんだね。
AKI 安ッ!
哲雄 問題はそれかい?
AKI たかが毛づくろいのためでしょ?
哲雄 というか、このサルは、異常にそれが好きなんじゃないかな。なにしろ、通常でも、1時間に1・5回、交尾するっていうんだから。
AKI フェーッ、それ、多淫症ですよ。
哲雄 ところが、毛づくろいしたもらったあとは、それが3・5回に増える。
AKI もう、死ぬゥ…(笑)。
哲雄 ところがね、面白いんだ。ふつうだと、1回やらせるために、最長16分間の毛づくろいが必要なのに、周りにメスがたくさんいると、8分でOKになる。
AKI つまり、何ですか? 値下げするってこと?
哲雄 そう、自分を安売りする。ここにも市場原理が働くわけですね。
AKI カニクイザルさん、プライド持ちなさいよ。
哲雄 AKIクンは、値下げしないもんなぁ。
AKI ていうか、売ってませんから、私。
哲雄 そんなわけだから、動物の売春は、もうそこらじゅうで見られる現象。人間も、おそらく、その誕生のときから、似たようなことをやってただろうと想像されるわけです。
AKI 売春婦は、世界最古の職業って言いますよね。
哲雄 よく知ってるね。ちなみに2番目は、傭兵なんだけどさ。
AKI 傭兵って、お金で雇われた兵隊? なんか、似てますね。
哲雄 そう。女は色気を売り、男は腕力を売った。どっちも、売ってるものは肉体。
AKI それしかなかったんじゃないの? 大昔は……。
哲雄 いまでも、半分はそうでしょ。
AKI でもさ、そういう職業が成り立つためには、都市が必要だよね。
哲雄 ホウ、するどくなってきたねェ、AKIちゃん。
AKI ええ、哲ジイの薫陶よろしきを得ましたもので。
哲雄 確かに、職業としての売春、つまり「娼婦」だよね。娼婦として食べていこうってなったら、人やお金が集まる都市が必要。でもね、もっと原始的な売春の形もある。
AKI 動物の売春みたいな…?
哲雄 そう。ほとんど物々交換みたいなやつ。たとえば、南米のアマゾン奥地に住むインディオとかの世界だと、魚とか肉とか装身具などと引き換えに、女が体を与えるなんてことが、ふつうに行われてる。
AKI いまの女の子が、ブランドのバッグをもらう代わりに寝てあげる……っていうのと、変わりないわけね。
哲雄 もっと健全なんじゃないの。たとえばさ、森に住んでて、果物の実とかイモばかり採ってる種族がいるとするよね。たまに、魚とか食べたくなるじゃない。そういう種族の中には、女が交易に携わる種族もいて、あちこちに出かけて、森の果物と魚を交換したり、森のイモと装飾品を交換したり……なんてことをやったりする。で、交換すべき物がなくなると……。
AKI わかった。「私の体でどう?」ってやっちゃうわけね。
哲雄 ダンナも、半分はそういうことを黙認してる。自分たちの暮らしが充実するなら、ま、いいか……てなもんでしょう。女のほうも、「自分の身を犠牲にして」なんて意識はほとんどなくて、むしろ、そういう交換を楽しんでたりする。
AKI フーン。おおらかですねェ。
哲雄 何度も引用してる『愛はなぜ終わるのか』(ヘレン・E・フィッシャー 草思社刊)に、南部アフリカ、クン族のニサという女性の話が出てくるんだけど……。
AKI 今度はアフリカですか?
哲雄 彼女には5番目の夫がいるんだけど、そのほかにも恋人がいっぱいいるって言うんだよね。仕事で行く先々に、肉をくれる恋人とか、ビーズをくれる恋人とか、果物をくれる恋人とか。そして、村に帰ったら帰ったで、大事にしてもらえる。物にも恵まれ、気持ちも豊かになって、病気もしないですむ……ってね。
AKI それはもう、売春っていうより、単なる不倫じゃない?
哲雄 そう。一般的に言って、彼女のような狩猟・採集の生活をしている集団のほうが、境界があいまいなんだ。これは、単なる不倫なのか、それとも売春なのかっていう、その境界が……。
AKI 都市での売春はそうはいかないよね。
哲雄 たぶん、売春という意識がハッキリしてくるよね。
AKI それは、お金をもらうからだと思う。
哲雄 オッ、するどいご指摘。
AKI 私だって、イヤな気持ちになるもの。別に売春なんてしてなくてもですよ。サービスの対価としてお金を受け取るっていうこと自体に、なんか、抵抗を感じるのよね。
哲雄 キミのその感覚、健全だと思います。じゃ、その話は、この次に。
哲雄 ウン。シンガポールの南洋理工大学の研究者が、カニクイザル50匹を20カ月間にわたって観察した結果、判明したっていうんだけど、このおサルさんのメスは、オスに毛づくろいしてもらう代償として交尾させるらしいんだね。
AKI 安ッ!
哲雄 問題はそれかい?
AKI たかが毛づくろいのためでしょ?
哲雄 というか、このサルは、異常にそれが好きなんじゃないかな。なにしろ、通常でも、1時間に1・5回、交尾するっていうんだから。
AKI フェーッ、それ、多淫症ですよ。
哲雄 ところが、毛づくろいしたもらったあとは、それが3・5回に増える。
AKI もう、死ぬゥ…(笑)。
哲雄 ところがね、面白いんだ。ふつうだと、1回やらせるために、最長16分間の毛づくろいが必要なのに、周りにメスがたくさんいると、8分でOKになる。
AKI つまり、何ですか? 値下げするってこと?
哲雄 そう、自分を安売りする。ここにも市場原理が働くわけですね。
AKI カニクイザルさん、プライド持ちなさいよ。
哲雄 AKIクンは、値下げしないもんなぁ。
AKI ていうか、売ってませんから、私。
哲雄 そんなわけだから、動物の売春は、もうそこらじゅうで見られる現象。人間も、おそらく、その誕生のときから、似たようなことをやってただろうと想像されるわけです。
AKI 売春婦は、世界最古の職業って言いますよね。
哲雄 よく知ってるね。ちなみに2番目は、傭兵なんだけどさ。
AKI 傭兵って、お金で雇われた兵隊? なんか、似てますね。
哲雄 そう。女は色気を売り、男は腕力を売った。どっちも、売ってるものは肉体。
AKI それしかなかったんじゃないの? 大昔は……。
哲雄 いまでも、半分はそうでしょ。
AKI でもさ、そういう職業が成り立つためには、都市が必要だよね。
哲雄 ホウ、するどくなってきたねェ、AKIちゃん。
AKI ええ、哲ジイの薫陶よろしきを得ましたもので。
哲雄 確かに、職業としての売春、つまり「娼婦」だよね。娼婦として食べていこうってなったら、人やお金が集まる都市が必要。でもね、もっと原始的な売春の形もある。
AKI 動物の売春みたいな…?
哲雄 そう。ほとんど物々交換みたいなやつ。たとえば、南米のアマゾン奥地に住むインディオとかの世界だと、魚とか肉とか装身具などと引き換えに、女が体を与えるなんてことが、ふつうに行われてる。
AKI いまの女の子が、ブランドのバッグをもらう代わりに寝てあげる……っていうのと、変わりないわけね。
哲雄 もっと健全なんじゃないの。たとえばさ、森に住んでて、果物の実とかイモばかり採ってる種族がいるとするよね。たまに、魚とか食べたくなるじゃない。そういう種族の中には、女が交易に携わる種族もいて、あちこちに出かけて、森の果物と魚を交換したり、森のイモと装飾品を交換したり……なんてことをやったりする。で、交換すべき物がなくなると……。
AKI わかった。「私の体でどう?」ってやっちゃうわけね。
哲雄 ダンナも、半分はそういうことを黙認してる。自分たちの暮らしが充実するなら、ま、いいか……てなもんでしょう。女のほうも、「自分の身を犠牲にして」なんて意識はほとんどなくて、むしろ、そういう交換を楽しんでたりする。
AKI フーン。おおらかですねェ。
哲雄 何度も引用してる『愛はなぜ終わるのか』(ヘレン・E・フィッシャー 草思社刊)に、南部アフリカ、クン族のニサという女性の話が出てくるんだけど……。
AKI 今度はアフリカですか?
哲雄 彼女には5番目の夫がいるんだけど、そのほかにも恋人がいっぱいいるって言うんだよね。仕事で行く先々に、肉をくれる恋人とか、ビーズをくれる恋人とか、果物をくれる恋人とか。そして、村に帰ったら帰ったで、大事にしてもらえる。物にも恵まれ、気持ちも豊かになって、病気もしないですむ……ってね。
AKI それはもう、売春っていうより、単なる不倫じゃない?
哲雄 そう。一般的に言って、彼女のような狩猟・採集の生活をしている集団のほうが、境界があいまいなんだ。これは、単なる不倫なのか、それとも売春なのかっていう、その境界が……。
AKI 都市での売春はそうはいかないよね。
哲雄 たぶん、売春という意識がハッキリしてくるよね。
AKI それは、お金をもらうからだと思う。
哲雄 オッ、するどいご指摘。
AKI 私だって、イヤな気持ちになるもの。別に売春なんてしてなくてもですよ。サービスの対価としてお金を受け取るっていうこと自体に、なんか、抵抗を感じるのよね。
哲雄 キミのその感覚、健全だと思います。じゃ、その話は、この次に。
- 関連記事
-
- 第21夜☆「売春婦」が職業になった理由 (2009/03/29)
- 第20夜☆サルの売春にも「値引き」あり!? (2009/03/26)
- 第19夜☆「やりたい」という目で見ただけで「姦淫」? (2009/03/24)