ボクが「ディズニー」を嫌いな理由
不純愛トーク 第196夜
貧富の差が拡大する一方の日本の社会は、「結婚難民」を生み出す社会でもある――ここ何回か連続して取り上げてきたテーマです。その格差社会を生み出したのは、規制緩和と市場原理主義。ここからの数回は、その背後で動くもうひとつの価値観=グローバリズムについて、検証してみます。実は、みなさんの好きな「ディズニー」も、この「グローバリズム」と深く関わっている。今回は、そんな話をご紹介します――。
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AKI 規制緩和によって、日本の社会は、「富」と「貧」とに分解しつつある。これじゃいかん、やっぱり「大きな政府」が市場や雇用に介入すべきだ――前回の哲ジイの主張は、そういうことでよろしかったでしょうか?
哲雄 嫌いなんだよね。
AKI ハ……?
哲雄 その「よろしかったでしょうか?」という日本語。「××してございます」というのと並んで、《2大・嫌いな日本語》。あちこちの飲食店や量販店、最近は、TVに登場する東京電力や安全・保安院の広報担当までが、平気で使ってるようだけど……。
AKI どうしてまた?
哲雄 日本語としてデタラメだからです。しかし、それを説明していると、たぶん、私の寿命が尽きてしまいますので、先、行きましょう、先へ。
AKI 前回、哲ジイは、もうひとつ、選択すべき価値観が存在する――的なことをおっしゃってましたけど……。
哲雄 ハイ。申し上げました。このシリーズが社会思想に関するテーマに突入してから、私は、おおむね3つの対立する価値観が存在することを指摘してきました。まとめると、
〈1〉原理主義か、リベラリズムか……教典=原理に縛られるか、教典=原理を自由に解釈するか、の違い。
〈2〉共産主義か、資本主義か……利益の分配に重きを置くか、利益の占有を重視するか、の違い。
〈3〉大きな政府か、小さな政府か……社会の経済活動を政府がコントロールすべきか、自由にまかせて放任すべきか、の違い。
〈2〉共産主義か、資本主義か……利益の分配に重きを置くか、利益の占有を重視するか、の違い。
〈3〉大きな政府か、小さな政府か……社会の経済活動を政府がコントロールすべきか、自由にまかせて放任すべきか、の違い。
この3つの対立軸があることを、縷々、ご説明してきたわけです。
AKI その選択は、老・哲ジイによると、経済・社会活動のみならず、深くは、私たちの恋愛や結婚にまで影響を及ぼすはすだ――と、確か、そういうお話でしたね。そこに、もうひとつ、対立軸があるゾ、ということですか?
哲雄 です。ところで、AKIクンは、ディズニー・ランドはお好きですか?
AKI いきなり、話が飛びますね。ハァ……まぁ、なにげに好きではありますが、それが何か?
哲雄 別に、飛んではいませんよ。私は、ディズニー・ランドというのは、いや、別に「ランド」に限らず、アニメも含めた「ディズニー的世界」は――と言ったほうがいいと思うのですが、これは、「アメリカ的価値観」によって世界を統一しようという、策略のように思えてならないのです。
AKI エッ!? エーッ!? そこまで考えちゃいますかぁ?
哲雄 ヘソ曲がりな不肖・長住は、考えてしまいます。ディズニーが、そのアニメなどで訴えているもっとも重要なコンセプトって、何だと思います?
AKI もしかして……ドリームですか?
哲雄 発音、わるいなぁ。「ドゥリーム」ですね。そして、「ランド」でも、「アニメ」でも、耳にイカ……じゃなかった、タコができるくらい聞かされるメッセージが、これ。
ドゥリームズ・カム・トゥルー(夢は実現できる)
AKI べ、べつに、いいじゃないですか?
哲雄 いいですよ。その「ドゥリーム」が、「戦争のない平和な世界を」とか、「世界の貧困と飢えを解消したい」とかいうのであれば……。でも、違う。たいていは、シンデレラは王子様と結婚して、幸せに暮らしましたとさ――的な、サクセス・ストーリーだよね。ディズニーが描くところの「夢」とは、おおむね「リッチ(物質的にも精神的にも)」になることであり、そのためには、「夢を信じて突き進む」ことが大事であり、そうすれば、必ず、そのチャレンジは報われる――と。だいたい、そのような思想を訴えているわけです。これ、何かに似てませんか?
AKI エッ!? もしかして……株?
哲雄 おお、いい線いってますねェ。私は、株も含めた「投資」だと思ってます。つまり、ディズニー的世界が訴えていることは、これじゃないかと思っているわけです。
投資せよ。さすれば、必ず、報われるであろう。
そして、こうした思想を生み出したのは、宗教改革以降のプロテスタンティズムだろうと思っているのですが、話がややこしくなるので、そこは割愛します。現に、アメリカでは、「ドゥリームズ・カム・トゥルー」を合言葉に、小学生に株の取引を勉強をさせたりもしている。
AKI エッ、小学生が「株の勉強」ですか?
哲雄 日本でも、やってるところありますよ。日本も、相当、毒されてますからね、このアメリカ的価値観に。
AKI 「ドゥリームズ・カム・トゥルー」って、アメリカ的価値観なんですか?
哲雄 ハイ。つまり、「ディズニー的価値観」は「アメリカ的価値観」と言っていいと思います。現に、第二次世界大戦以降、アメリカは国家ぐるみで、ディズニー文化の世界的普及を目論みました。その背後には、CIAの暗躍もあった。
AKI エーッ!? CIA? あの……スパイとかが活躍してるCIAですか?
哲雄 あれ? 知りませんでした? 一時期、マスコミでも取り上げられましたけど、ウオルト・ディズニーがCIAと深い関係にあった――という話。
AKI エーッ!? ゼンゼン、知らなかったですゥ。てことはですよ、ディズニーの世界進出は、アメリカの国家的戦略でもあった――ってことですか?
哲雄 私は、そうニラんでます。というのもね、当時の世界情勢は、共産主義がどんどん世界中に広がっていって、ヨーロッパや日本でも、共産主義・社会主義を支持する勢力が力を伸ばしてましたから。政治的にも、社会的にも、文化的にも、「資本主義を防衛する」は、西側陣営、特にアメリカにとっては、緊急かつ重要なテーマだったわけです。「ドゥリームズ・カム・トゥルー」は、その文化的旗印ともなったわけですよ。個人的には、好きな言葉でもあるんですけどね……。
AKI ハイ、ハイ。よく存じてますよ。哲ジイの「ドゥリームズ・カム・トゥルー」は、もっぱら、恋愛において発揮されたんですよね。夢を信じて猪突猛進した結果、いまだ、成約にいたらず――と。ま、あわれなもんですけど……。
哲雄 ホットケ――キ!
AKI すげェ、オヤジ・ギャグ。
哲雄 でね、ここからが、本日の本題。
AKI エッ、これから本題? もしも~し、もう、時間、ありませんけど……。
哲雄 わかってます。でも、さわりだけ。このようにして、単一の価値観で、世界を一元的に支配・管理しようとする考え方を、「グローバリズム」と言います。
AKI グローバリズム? よく聞く言葉ですね。
哲雄 と思います。最近は、なんでもかんでも、「グローバルな」とか言いますしね。この言葉、「球体」を意味する「グローブ」から来てるんだけど、「グローブ」は、「地球」を天体として捉えたときの言い方でもあります。「グローバル」と言えば、「地球的な」、「グローバライズ」は「地球化する」、「グローバリゼーション」は「地球化」……と、まぁ、そんなふうに使われるわけです。
AKI じゃ、「グローバリズム」は「地球主義」……?
哲雄 というより、地球全体をひとつのものとして考えよう――ということだね。ひとつの価値、ひとつの価値観で世界を統一しよう。地球全体をひとつの市場と考えて、地域間の障壁を取り除こう。お金や資本が世界中で自由に使えるようにしよう――というふうにね、「グローバリズム」はいろんなところで、いろんな形で叫ばれるんだけど、どんな形で言われようと、その本質はひとつ。要するに、世界を「単一の――」でまとめるってことなんだよね。
AKI その口ぶりからすると、哲ジイは、「グローバリズム」が嫌いなんですね?
哲雄 大ッ嫌いです! 細木数子と同じくらい、大ッ嫌いです。
AKI よく、関連性がわかりませんけど、「グローバリズム」が嫌いというその理由は?
哲雄 時間がないので、細かいことは次回に回しますけど、世界を「単一の価値」でまとめることが、「グローバリズム」の基本的考え方だとするなら、その「単一の」は、どこから持ってくるの?――ってこと。私がもっとも、危惧し、なおかつ嫌悪するのは、そこなんだよね。
AKI 哲ジイは、「どこから」だと思うんですか?
哲雄 アメリカ。
AKI エッ!? そんな簡単な答え……?
哲雄 実際、「グローバリゼーション」は「アメリカ化」とほとんど同義で使われていた時期がありました。いまは、ちょっと変わってきてるんだけどね。そこらへんは、話し始めるとキリがないので、次回以降、じっくり、お話したいと思います。
AKI 今回は、ゼンゼン、グローバルでない哲ジイが、「グローバリズム」についてお話しました。次回は、お盆明けになると思います。みなさん、どうぞ、よいお盆休みをお過ごしくださいますよう。
哲雄 改めて、震災で犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

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