友だちと2人で妻をレイプ~日本で初めて強姦罪に問われた夫
不純愛トーク 第170夜
今回は、前回、取り上げた「夫婦の間でも、レイプは罪になるか?」という問題の続編。日本で初めて、夫婦の間で「強姦罪」が適用された鳥取地裁の判例をご紹介しながら、男女の間で「レイプ」が認定されるのは、どんなケースかを検討します。夫婦の間でも「強姦」が認められるのなら、恋人同士の場合はどうなのか? よく問題になる「デート・レイプ」の問題にも、踏み込んでみます――。
【今回のキーワード】 デート・レイプ 強姦罪
【SEOリンク・キーワード】 エロ 恋愛 恋愛小説 オーガズム コミュニケーション 不倫
AKI ちょっと、間が空いちゃいましたが、前回の話に出てきた、夫婦の間で「強姦罪」が成立してしまった――って話、すごく気になってるんですよね。
哲雄 これ、1986年に鳥取地裁が下した判決なんだよね。まだ、「DV=ドメスティック・バイオレンス」なんて言葉が、社会に登場してなかった時代で、それを取り締まる法律も整備されてなかった時代だから、この判決は、かなりセンセーショナルに取り上げられました。
AKI 簡単に言っちゃうと、夫が無理やり妻をやっちゃった――って話なんですか?
哲雄 それじゃ、簡単すぎでしょ。




ハイ、これも強姦です――なんてことになったら、ニッポンの夫婦生活は成り立ちませんでしょ。
AKI 夫であり、妻である以上は、相手の性的求めには応じる義務がある――と、定められてるんでしたよね。
哲雄 ハイ。もし、一定期間以上、一方がもう一方の求めを拒み続けたら、夫婦生活は破綻しているとみなされ、離婚の要件になる、と言いました。では、なぜ、鳥取の場合は、「強姦」が認定されてしまったのか?
AKI 暴力……ですか?
哲雄 さすが、AKIクン。だてに修羅場はくぐっていませんね。
AKI だから、くぐってませんって! 修羅場なんて。で、それって、いま風に言うとDVだったんですか?
哲雄 仮に、この妻をA子さんとしましょうか。年齢は、事件当時、22歳。A子さんは、この夫から、木刀で殴る、ビールびんで殴るなどの暴力を、度々ふるわれてたんだね。耐えきれなくなったA子さんが実家に逃げ帰ると、それをこの夫が連れ戻しに来た。それも、友だちを連れて。
AKI 友だちを連れて? まさか……。
哲雄 そのまさか。夫は、クルマでA子さんの帰りを待ち伏せて、A子さんを無理やりクルマに引きずり込み、山中でA子さんに殴る、蹴るの暴行を加えた上、2人がかりでレイプに及んだ。
AKI なんてやつ。これって、2人がかりっていう時点で、暴行罪が成立するんじゃありません?
哲雄 そうなんだよね。通常、レイプは「親告罪」と言って、被害者が告訴しないと立件できないんだけど、集団でってなると、被害者の告訴がなくても、傷害罪とか暴行罪で罪に問うことができるんだよね。
AKI それで、A子さんは訴えたんですか?
哲雄 そのあと、A子さんは自宅に連れ戻されて、クサリでつながれて監禁状態にされたらしいんだ。スキを見て逃げ出したA子さんは、近くの交番に駆け込んだんだけど、交番の警官は、「夫婦のことは民事なので介入できない」と、門前払いしてしまった。
AKI ひどい。それって、いまだと問題ですよね?
哲雄 ええ、いまなら「DV防止法」っていう法律ができてるので、たとえ夫婦間であれ、妻が「暴力をふるわれた」と訴え出れば、警察は介入に動きますが、その当時は、「民事不介入」という原則があったからね。
AKI 結局、どうしたんですか、A子さんは?
哲雄 弁護士に相談して、離婚訴訟を起こし、同時に、夫を「婦女暴行」と「傷害」で告訴した。一審の鳥取地裁は、暴行の事実を認定して、この夫に懲役2年10ヶ月、その友人に懲役2年の有罪判決を言い渡しました。
AKI パチパチ。これにて、一件落着!
哲雄 とはならなかったんだね。
AKI エーッ!? なんで?
哲雄 夫側が判決を不服として控訴した。しかし、ご安心ください。二審の広島高裁も、一審判決を支持して、こういう解釈を示したんだね。
《夫婦生活が事実上、破綻していると考えられる場合には、
おたがいに性を求める権利・義務はないものと考えるのが妥当である》
以後、この判決がベースとなって、「夫婦の間でも、強姦罪は成立する」とする考え方が、法曹界の主流となったのでありました。
AKI ね、ね、哲ジイ。これって、夫が妻に「いやがるプレーを強要した」とかいう場合にも、適用されるのかなぁ? たとえば、「わたし、後ろからはイヤだって言ってるでしょ」というのを、ムリに後ろからやっちゃった――とかさ。
哲雄 ハァ……? その程度のことでしたら、どうぞ、おふたりで解決してくださいませ。当局としましては、「エッチ不介入」を貫かせていただきます。しかしね、どうしても、夫の行為や妻の要求が、ガマンの限界を超えている、精神的にも肉体的にも苦痛である――という場合には、まず、離婚訴訟でしょう。「性の不一致」でもなんでもいいから、「このままでは結婚生活を継続しがたい」と訴え出て、まず、婚姻関係を解消するのが先決だと思いますがね。
AKI フムフム……。なるほど、その手か……。それって、結婚前の男女でも同じですよね?
哲雄 結婚前であれば、そういう男とは会わなければいいわけでしょ? 何か、問題でも抱えているのですか、AKIクンは?
AKI い、いや、そういうわけじゃ……(ポッ)。
哲雄 なぜ、ポッ……としてるのかわかりませんが、ただ、「デート・レイプ」というのもありますからね。
AKI それ、それ。それが聞きたかったんです、私は。
哲雄 まず、大原則を覚えておいてください。どんな関係の男女であれ、合意なくして相手に性行為を強要し、暴力をもって関係を結んだりすることはできません。もし、相手がそれを「暴行であった」と訴え出れば、これは「事件」になります。ただしね、「婦女暴行」は「親告罪」なので、まず、本人がその被害を訴え出て、法廷に立つ覚悟を決めなければならない。もうひとつの隘路は、「合意か、合意ではないか」の証明が、とてもビミョーであるってこと。
AKI まして、「デート・レイプ」ともなると、デートに応じたという時点で、「合意があったでしょ」と主張されかねないですよね。それを覆すのはたいへんですものねェ。
哲雄 何かあったの、AKIクン?
AKI いや、だから、私じゃありませんって。友だちの話なんだけど、なんかね、就職の相談をしたいって会いに行っただけなのに、事務所の中でいきなり迫られて……っていうことがあったんだって。本人は、訴えてやる――と言ってるんだけど、どうなのかな、こういう場合?
哲雄 私も、法律家ではないので、あまり確定的なことは言えないんだけど、「デート・レイプ」が「レイプ」として認定される典型的なケースには、ほぼ2パターンがあって、ひとつは、デートと言われて出かけて行ったら、男が複数いて、集団で乱暴された――というケース。もうひとつが、仕事の打ち合わせとか、営業活動だとか、接待だとかの理由で呼び出されたのに、そこで関係を強要された――というケース。キミの友だちの場合は、あとのほうのパターンかな。ただねェ……。
AKI 何か……?
哲雄 デート目的ではなく会いに出かけた――ということを、証明しなくちゃならないからね。たとえば、「○月○日にお伺いしますので、就職の件、よろしくお願いいたします」みたいなメールが残ってるとかさ。
AKI 「一度、会ってください」とか「お会いするのが楽しみですゥ」なんてメールじゃ、証明できませんよね。
哲雄 ウン。逆に、「魚心があったんじゃないか」とか思われてしまうかもしれないしね。ほんと、この種の問題って、最後は、密室の中の出来事だから、「証明する」ということが、ほんとうにむずかしいんだ。
AKI 「合意があった」と言われてしまったら、反論する材料が……ですよね。
哲雄 それに、「合意」とは何か? という問題もあるよね。そこらへん、もう少し緻密に分析しないと、一概には言えない気もするんだ。
AKI では、次回、そのあたりを詳しく聞かせていただきましょうか。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 強引すぎるカレの行為。これも「レイプ」と呼ぶべきか? (2011/02/25)
- 友だちと2人で妻をレイプ~日本で初めて強姦罪に問われた夫 (2011/02/18)
- 「義理チョコ」は、ある種のセクハラである (2011/02/13)