2月14日が「愛の日」になった、ほんとうの理由
不純愛トーク 第103夜☆アンコール
今回は、バレンタインデー特別版。第103夜でお届けした「バレンタインデー誕生の秘密」についての記事を、アンコール掲載いたします。Vデーにチョコ――なんていう風習は、実は日本生まれ。それも、わりと最近になって始まったばかりの習慣なんですよ――。
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AKI 哲ジイは、2月が苦手なんですよね。
哲雄 なんか血のニオイのする季節なんだよね、2月って。日本では二二六事件。アメリカでは聖バレンタインデーの虐殺。
AKI 聖バレンタインデーの……? それ、知らない。
哲雄 アル・カポネというギャングのボスが、対立する組織のメンバー7人をマシンガンで撃ち殺しちゃった日。それに、イヤな記念日もある。最たるものが、建国記念日。
AKI エーッ!? 建国記念日がイヤなんですか?
哲雄 根拠がないからですよ。この日を建国の日としたのは、戦前の「紀元節」をそのまま継承したからなんだけど、それって、日本を軍国主義に導いた「皇国史観」によるものだからね。リベラリストである長住としては、とても受け入れがたいわけですよ。
AKI 長住哲雄、国家に反旗を翻しております。
哲雄 反旗ってほど大げさなものじゃない。この建国記念日制定にあたっては、当時、相当な反対運動があったんだけどね、圧倒的多数を占めた自民党政権が押し切ってしまった。
AKI 長住哲雄の2月嫌いは、政治的理由からであると、本人は主張しています。しかし、私は、そのほかにも大きな理由があるとニラんでるんですよ、哲ジイ。
哲雄 な、何ですか? 忌憚のない意見を述べよ。
AKI チョコレートをもらえないから! あ、怒った。図星なんだ。
哲雄 キミは、この長住が、菓子メーカーがねつ造したイベントの、吐き気をもよおすようなおこぼれに預かれないからと、すねている……とでもおっしゃるんですか?
AKI エッ、あれってねつ造なんですか? 菓子メーカーの?
哲雄 バレンタインデーそのものは、西欧社会には昔からありましたよ。でもね、その日にチョコレートを贈る、それも女性から男性に――なんてのは、まったくのねつ造。韓国の「ブラック・デー」と同じくらい、世界から見たらおかしな風習だと思う。
AKI でも、バレンタインデーそのものは、世界中で祝うわけでしょ?
哲雄 とんでもない。元々は、キリスト教世界、それも西方教会で発達した風習だから、たとえばイスラム教国家であるサウジアラビアなどでは禁止。2009年には、禁を破った者には最高刑で死刑もある、という警告が発表された。
AKI エーッ、チョコレートを贈ったら死刑?
哲雄 ま、それくらい、文化というものに対してピュアであるとも言えるわけですよ。インドでも、ヒンドゥー系の過激派が、バレンタインデーを祝い合うカップルを襲撃する、なんて事件を起こしてるしね。じゃ、日本でも、比叡山や高野山の坊さんたちがモロゾフを焼き討ちにするかというと、そんなことはまず起こらない。
AKI 寛容だからね、日本人は。
哲雄 というか、コピー文化だからですよ、日本人の元々の体質が。でもね、いくらコピーOKの文化だとしても、愛してもいない人間に義理チョコを配り歩くなんて光景は、どう考えてもおぞましい。チョコレート売り場に群がる女の子たちなんか見てると、爆弾放り込みたくなるんだよね、このナイーブなおじさんは。
AKI またまた、ほんとは、もらうとうれしいくせに……。
哲雄 ドキッ!
AKI そりゃね、私だって、「オレは20個もらった」だの「オレは30個だ」なんてウキウキしてる男たちを見ると、バッカじゃね……って思ったりしますよ。でも、ほんとに好きな人、大事な人たちに、日頃の感謝と愛情を込めて渡すチョコレートって、そんなにわるいものじゃないと思いますけどね。だって、元々はそんなものだったんでしょう?
哲雄 おっしゃるとおり。「元々は」と言われてるその元々も、ちょっと怪しいんだけど、一応、定説として伝えられているのは、ローマ時代の269年に殉教した、
聖ヴァレンティヌスを祝福するための記念日
ってことになってるんだよね。
AKI 何をした人なの、その人?
哲雄 当時のローマ皇帝は、出征する兵士たちが里心を起こして士気が低下することを嫌って、兵士たちがローマで結婚することを禁止したんだよね。ところが、このヴァレンティヌス司教は、それじゃ愛し合う者たちがかあいそう……てぇんで、こっそり、結婚させちゃった。それで、捕えられて死刑になっちゃった。その処刑された日が、2月14日。
AKI フーン、いい人だったんだね、ヴァレンティヌスって人も。それがバレンタインさんなのね?
哲雄 という話なんだけど、後にカトリック教会は、この記念日を廃止してしまった。
AKI エッ、どうして?
哲雄 ホントにそういう人がいたかどうかも、史実として確認できないからって理由らしいよ。そもそも、この2月14日というのは、ローマ神話に登場する女神ユノの祝日だったんだよね。このユノという女神は、家庭と結婚の神だったから、この日が男女を結びつける日として祝われたのは、ヴァレンティヌス以前からの風習だったらしい。
AKI どうしてそれが、バレンタインデーになっちゃったのかなぁ?
哲雄 当時のローマ教会の戦略じゃないですか。というのもね、その頃、キリスト教っていうのは、まだ西欧世界の民衆の間では、メジャーになりきってなかった。ローマにはローマの、ゲルマンの世界にはゲルマンの、それぞれの宗教があったからね。ユノは、ローマ神話の女神でしょ。ローマ教会にとっては異教の神だから、ほんとうなら排斥しなくちゃいけないんだけど、それをやると、民衆の反発を買ってしまう。そこで、教会は、ヴァレンティヌスの殉教をユノの祝日に結び付けて、愛の記念日として定着させようとしたのではないか――と推測されるわけです。
AKI かなり、政策的なニオイがしますね。
哲雄 ま、こういうことは、宗教の世界ではよくあることです。日本でも神仏習合なんてことが行われたでしょ。新しい宗教を浸透させようとするときに、土着の神をその教義の中に取り入れるってことは、よく行われるんだ。キリスト教の世界で言うと、その典型的な例が、マリア信仰だと思うよ。
AKI エッ、マリアさまって、元々のキリスト教では、信仰の対象じゃなかったの?
哲雄 全然。だって、キリスト教は一神教だよ。しかも、偶像崇拝は厳しく戒めてる宗教だよ。どうしたらそこに、マリア像を拝むなんていう要素が入り込めるのか?
AKI 考えてみたら、変ですよね。
哲雄 実はね、当時のゲルマン民族の間でも、それから地中海の諸民族の間でも、それぞれの土着の宗教に根ざした女神信仰が、ものすごく強かった。キリスト教は、この抵抗に苦戦したんだよね。そこでね、それらの女神信仰をうまく誘導できる方法はないか――と、当時の教会は知恵を絞ったんだろうと思うんだ。その結果……。
AKI わかった。それで、マリアを担ぎ出したわけですね。選挙にマドンナ旋風を起こすみたいに……。
哲雄 ほぉ、うまいこと言わはりますなぁ。ま、でも、似たようなもんだよね。ちょっと話がそれちゃったけど、聖バレンタインも、それを祝うバレンタインデーも、そんな経緯で生まれたのではないかというのが、いまのところ、もっとも有力な説になってるという話をですね……。
AKI ま、いいじゃないですか、事の起こりはどうでも……。要は、オレにもチョコ寄越せ――と、結局は、それが言いたいわけでしょ?
哲雄 どうして、そういう結論になるかなぁ。私は、イベントとしてのバレンタインデーなんてものは、本来の……。
AKI ハイ、口開けて。
哲雄 ング……にゃんにゃのにゃ、これは……。
AKI ジジイ黙らせるのに理屈は要らぬ。チョコのひとつもあげりゃいい。ハイ、本日の結論でした。

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