夫婦の間でも、レイプはレイプ?
不純愛トーク 第169夜
あなたの愛のあり方を大きく左右する男性ホルモン=テストステロンと女性ホルモン=エストロゲン。それが、社会のあり方にも影響する、というのが、今回の話。男性ホルモン優勢のテストステロン型社会と、女性ホルモン優勢のエストロゲン型社会では、レイプやセクハラについての考え方も違ってきます――。
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AKI 結局、あれですね、哲ジイ。世の男と女の関係は、テストステロン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)のバランスによって決まる、ってことなんですね。
哲雄 男と女だけじゃないと思いますよ。これはね、社会のあり方にも、大きく関係してる――と、わたくし長住は思うのであります。
AKI オッ、話が大きくなりました。ホルモンは、なんと、社会までも動かしている――と、そういう話ですか?
哲雄 いや、動かしてるんじゃなくて、その性質を形づくっている、と言ったほうがいいだろうと思います。端的に言うと、「競争」を至上の原理として、「奪え」「勝ち抜け」「もうけろ」「拡大しろ」「支配しろ」と叫び続ける社会と、「融和」を根本原理として、「和すべし」「理解せよ」「協調せよ」「平和であれ」と願い続ける社会。
AKI あ、それ、わかります。「競争」のほうがテストステロン的で、「融和」のほうがエストロゲン的なんですよね。
哲雄 そのとおり。たとえば、もともと温帯の照葉樹林帯に住み、小規模な農耕と採集をなりわいとしてきた日本や温帯モンスーン地域の社会は、エストロゲン的共同体や文化を育ててきました。
AKI 「和をもって尊しとせよ」ですものね。
哲雄 他方、広大な平原に住み、狩猟・牧畜・大規模農業をなりわいとしてきた西アジアや北アフリカ、ヨーロッパの社会は、テストステロン的階級社会や文化を育ててきました。
AKI 殺戮や収奪の絶えない、闘いの世界ですね。
哲雄 なんか、最近、ツッコミがさえてきましたね、AKIクン。
AKI いやいや、それほどでも。でもね、哲ジイ、日本の社会って、いま、そんなにエストロゲン的ではなくなってるでしょ?
哲雄 えっと……ね、いまっていうより、歴史的に言うと、3度ほど、日本の社会がテストステロン的要素を高めた時代があるのではないか――と、私は思います。ひとつは、平安までの「貴族社会」が「武家社会」に変わっていったとき。もうひとつは、明治から第二次世界大戦にいたる「富国強兵=帝国主義」の時代。そして、もうひとつは、つい最近。どこかのバカな総理が、「市場原理至上主義」なんてことを打ち出して、規制緩和をおっ始めた時代。
AKI 国民は、大変な痛みを背負わされることになりました。
哲雄 オッ! なんか、少しAKIクンを見直したくなっちゃいましたよ。
AKI 大いに見直していただきたいものです。諸外国の場合は、どうなんですか?
哲雄 それぞれの文化圏で、何度か変遷があるんだけど、欧米諸国の場合だと、19世紀から20世紀前半にかけての「帝国主義」の時代が、おそらくテストステロン値最高だったんじゃないかと思います。
AKI 戦争に次ぐ戦争……の時代でしたものね。
哲雄 第二次世界大戦が終わって、少なくともヨーロッパでは、帝国主義的な植民地支配を見直そうという空気が生まれてきた。ま、それには、各地で活発になった民族解放闘争とか、東西の冷戦構造とか、西欧社会で活発になった女性解放運動とか、いろんなものが関係してるんだけどね。
AKI 女性が社会進出するようになって、
世の中のエストロゲン値が高まったということもあるわけですね?
哲雄 一概にそう言っていいかどうかは、わかりませんけど、多少は影響があったかもしれませんね。女性の社会進出、特にビジネス世界への進出が、一方で、女性のエストロゲン値を下げて、テストステロン値を上げる、という副作用をもたらした――という一面も否定できないしね。
AKI そう言えば、世の中には、「鉄の女」とかも登場しましたものね。
哲雄 前にも言いましたけど、テストステロンに汚染(?)された女は、男より怖かったりしますからね。
AKI 「おとこ女」は男より怖く、「おんな男」は女よりやさしい。あ、これは、私の感想ですけどね。
哲雄 でも、当たってると思いますよ。なぜかと言うと、「おとこ女」は、男の「男らしい」を抽出して身に着けようとするし、「おんな男」は、女の「女らしい」を抽出して身に着けようとするので、それぞれの特徴をより強く身にまとうことになります。
AKI なるほど。宝塚の男役がものすごく男っぽかったり、歌舞伎の女形が女以上に女っぽかったりするのと同じですね。
哲雄 ま、そういう一面もあるけど、世の中の全体的な傾向としては、特に20世紀最後の4半世紀あたりからは、社会のエストロゲン的要素は高まったと言っていいと思います。つまり、「男性型社会」から「女性型社会」へと、世界全体が方向性を変えた、と言ってもいいと思います。一部の例外はありますけどね。
AKI その、一部の例外とは……?
哲雄 ひとつは、遅れてやってきた国々。その代表が、中国。こちらはいま、テストステロン値急上昇中だと思います。もうひとつは、民族自立をいまだ果たし得ていないと思われる国や地域。その多くは、イスラム圏に属しています。
AKI そう言えば、中国なんて、「尖閣なんてぶん取れ」的な勢いですものね。
哲雄 そういう動きに対抗して、今度は、日本やその他周辺国のテストステロン値も上昇せざるを得ない。アジアはいま、ちょっと危険な状況ですね。ま、政治のことはそれくらいにしましょうか。ここからが、本講座の本題。社会のテストステロン値が高いか低いかは、男女の関係に、どう影響するか?
AKI それ、それ。その話をしなくちゃ……ですよ、哲ジイ。
哲雄 やっと、目が輝いてきましたね。さて、社会のテストステロン値がいちばん影響する男女の問題とは、何だと思います、AKIクン?
AKI セクハラ……とか?
哲雄 それもありだね。もっと典型的なのが「レイプ」。
AKI あ、そうか。もしかして、テストステロン値の高い社会では、レイプが承認されたりする……?
哲雄 承認……ってことはないでしょう。少なくとも、見知らぬ女性をナイフや銃で脅してレイプするなんてことを認めてる社会は、この地上には存在しないと思います。しかしね、じゃ、それが夫婦や恋人同士であったらどうか?
AKI エッ!? 夫婦の間でも強姦罪が成立するんですか?
哲雄 AKIクンまでそんなこと言うんだね。それは、時代錯誤もはなはだしい。日本でも、欧米社会でもそうなんだけど、たとえ夫婦の間であれ、合意しない性関係を暴力によって強要されたりしたら、強姦罪の対象となります。ただし、立件はひじょうにむずかしい。なぜなら、「合意」があったかどうか――なんてのは、証明のしようがないでしょう。
AKI 「止めて! きょうは、その気になれないの」なんていうのも、「拒否」と考えられるか――とか、ものすごくビミョーな問題がありますよね。
哲雄 イスラムの世界だと、ハッキリしてます。妻は、夫の求めを拒んではいけない――と決められてますから、「きょうは私、その気になれないの」なんて拒んだら、拒んだ妻のほうが罪に問われてしまう。
AKI ウソーッ! それって、ひどくないですか?
哲雄 妻だけが「拒めない」となってるからひどいんだけど、夫婦となった以上、性的関係を結ぶことは、双方に課せられた義務だよね。日本の法律でもそうなってます。だから、妻が夫の、あるいは夫が妻の「性的要求」に、一定期間以上応じなかったら、それはリッパに「離婚」の要件となってしまいます。
AKI エッチなき夫婦は、夫婦にあらず――ってことですか?
哲雄 あくまで、「求めたのに応じない」という場合の話ですからね。どちらからも求めないっていうのは、夫婦の勝手。「あそこの夫婦、最近、ぜんぜんやってないみたいですよ」「そりゃ、けしからん」というんで、警察が乗り込んできたり――なんて話は、世界のどこを捜しても見当たりません。
AKI 問題は、妻が拒んでいるのに、ムリヤリやっちゃう夫をどうするか――ってことですね。
哲雄 まず、大原則から言いましょうか。テストステロン型の社会では、妻が正当な理由なく夫の求めを拒むと、たいてい、妻のほうが非難されます。夫は妻を征服すべし、というのが、テストステロンの命ずるところですからね。では、エストロゲン値の高くなった社会ではどうか?
AKI 夫婦の間でも、きちんと「合意」しなさい――ですか?
哲雄 ふつうは、その「合意」ができてるから「夫婦」なんでしょ――って話だよね。ところが、夫婦生活を始めてはみたものの、だんだん、その「合意」が薄れてきた。「あ、この人、やだ」と妻は感じ始め、しかし、夫はやりたい。で、「いやだ」と言ってる妻を、夫がムリヤリやっちゃった。これって、どうなの?――っていう問題。さぁ、どうする?
AKI ほんと、どうするんでしょ?
哲雄 これについては、いろんなケースがあって、一概には言えないのですが、いまから27年前に、夫婦の間で初めて強姦罪が成立した画期的な判決が下されました。その話、長くなるので、次回にしましょうか。

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