男の浮気を止める!? 「一夫一妻制のホルモン」とは…
不純愛トーク 第162夜
たくさんさわられるほど分泌量が増えるホルモン、「オキシトシン」によって、ふたりはその絆を深めていく。前回は、そんな話をしました。しかし、このオキシトシンの支配を受けるのは、主に女性の脳。そのままだと、男性は、好き勝手に、あちこちの女性のオキシトシンを増やしてしまいます。そこで活躍するのが、今回の主役。「一夫一妻制」のホルモン、バゾプレシンです――。
【今回のキーワード】 一夫一妻制 オキシトシン バゾプレシン
【リンク・キーワード】 オーガズム 恋愛小説 エロ コミュニケーション 不倫
哲雄 さて、本日は、AKIクンにささやかなクリスマス・プレゼントがあります。
AKI な、何ですか、これ? なんか……スプレーみたいですが……。
哲雄 ハイ。鼻孔用のスプレーでございます。友人が、ヨーロッパで買い求めてまいりました。日本で、その種のものがあるかどうかは、ちょっと存じませんので。
AKI まさか……あやしげなクスリじゃないでしょうね。
哲雄 ゼンゼン。通常、このスプレーはですね、子どもに乳を吸わせるときに、母乳の出がよくなるように――と使われたりするんでございますよ、お嬢様。ですから、決して、あやしいものでばございません。ラスベガスのショーガールのみなさんにも、ご愛用いただいてるんですよ。
AKI な、なんで、ラスベガスのショーガールが使うのよ!
哲雄 なんでも、このスプレーを使うと、乳首が立つんだそうで……。
AKI ホラ、やっぱり……あやしいッ! いったい、その成分は何? ジイ、正直におっしゃい!
哲雄 ハ、ハイ。実は、オキシトシンが配合されておりまして……。
AKI ンもぉーッ! オキシトシンって、人をふれ合いたいという気持ちにさせ、さわられると、ますます気持ちよくさせる――っていうホルモンじゃないですか(オキシトシンの働きについては、前回のトーク『たくさんさわる相手を「好き」になる、ホルモンの仕組み』参照)。そんなものを私にスプレーさせて、何をしようっていうんです?
哲雄 ハイ。あなたさまと深い絆を結ばせていただきたい、と思いまして……。
AKI そうか。オキシトシンは、「絆を作るホルモン」でしたよね。
哲雄 そうです。オキシトシンは、「ふれ合いたい」という気持ちを起こさせると同時に、ふれられればふれられるほど、分泌量を増やして、人をますます気持ちよくさせます。そうすることによって、しょっちゅうふれ合う相手ほど好きになる、という心の仕組みを作るわけですね。そこでね……。
AKI ストップ! そこまで。あいにくと、わたくし、ふれ合う相手には不自由しておりませんの。でもさ、哲ジイ、そんなふうに「さわられれば好きになる」っていう仕組みだと、困ることになりませんか? いつも、同じ車両でおシリにさわってくるチカンがいたりしたら、そのチカンまで「好き」になっちゃったりしません?
哲雄 あり得ない話じゃありませんね。でもね、人間の脳にとって、触覚は、もっとも気持ちのいい感覚であると同時に、もっとも危険な感覚でもあるわけですよね。あらゆる感覚のうちで、もっとも早く、「これは危険!」と察知しなければならない感覚ですから、まず、脳は、その触覚が「安全かどうか」を第一義的に、判断しようとします。だれかわからないような人間からさわられて、「アッハーン」なんてやってたら、命、いくつあっても足りないでしょう。
AKI そうか……。だから、私は、哲ジイが手を伸ばしてくると、反射的に身構えてしまうんだ。
哲雄 それは、別の理由だと思います。ともかくです。オキシトシンは、だれかれかまわず、分泌されるわけではない。少なくとも「避けたい」と思う相手から接触されても、その分泌量は決して増えない。ホルモンっていうのはさ、それ単独で人間を操作しているわけじゃないんだよね。他のいろんなホルモンと対抗したり、助け合ったりして、働いてる。でね、オキシトシンの場合には、どうしても必要な「相棒」がいる。
AKI 杉下右京に対する亀山薫、みたいな……。
哲雄 その相棒、変わったんじゃありませんでしたっけ? ま、どうでもいいですけど。オキシトシンの相棒は「エストロゲン」、つまり、女性ホルモンですね。
AKI エッ!? てことは、男には、オキシトシンはあまり影響を及ぼさないの?
哲雄 実は、そうなんです。オキシトシンが、さわられて「気持ちいい」という感情を生み出すためには、エストロゲンとコラボする必要があるんだよね。男性にも、エストロゲンはあるけど、微量だからね。
AKI じゃ、男は、さわられればさわられるほど気持ちよくなって、相手を「好き」になる――っていうふうにはならないわけ?
哲雄 うるさいなぁ、おまえは……ってなる人もいるだろうね。男は、エストロゲンとかオキシトシンとかよりも、はるかに強力なテストステロンの影響を受けてるからね。
AKI テストステロンって、男性ホルモンでしたっけ?
哲雄 ハイ。で、このテストステロンはね、実は、ひとりになりたがるホルモンでもあるんだよね。
AKI エーッ、だれかれかまわず襲いかかりたくなるんじゃなかったっけ?
哲雄 ま、だれかれかまわず……かどうかはわかりませんけど、攻撃的ですからね。女と見れば襲いかかりたくなるホルモンではありますわなぁ。で、事を成し遂げると、あとは、ひとりになりたがる。勝手でしょ?
AKI 勝手ですよぉ……。ああ、それで男は、終わるとすぐに背を向けて寝ちゃったりするんだぁ。
哲雄 どっちかというと、オナニーのほうが好き、というホルモンですからね。そのままだと、ほんと、男なんて、どうしようもない生きものってことになる。でもね、このホルモンにも「相棒」がいます。その名は、「バゾプレシン」。
AKI なんか……覚えにくい名前。で、そのバゾ……なんとかさんは、何をしてくれるんですか?
哲雄 実は、まだよくわかってないところが多いんだけど、このバゾくんは、どうも、分別や注意力を高め、テストステロンに導かれたオスの脳をおだやかにする性質を持っているらしい。オイオイ、そう興奮しないで、冷静になれよ――と、呼びかける役目を果たしているみたいなんだよね。
AKI お願いしますよ、バゾさん。でも、あんまり冷静になって「燃えない」ってのも困りますわね、哲ジイ。
哲雄 燃えないってわけじゃないらしいよ。このバゾプレシンも、他のホルモンと連動して動く性質を持っていて、たとえばテストステロンの値が上がるとバゾプレシンも上がる、下がると下がる――というふうに、その分泌量が変動して、たえずバランスをとろうとするんだよね。
AKI オキシトシンがエストロゲンと連動するように、バゾプレシンはテストステロンと連動して動く、ってことなんですね。
哲雄 ウン。それでね、ここから先が、女性にとってはとても大事なところなんだけど、こうしてバゾプレシンが、絶えずテストステロンとバランスをとって行動してくれるおかげで、人は、「一夫一妻制」を維持できる。
AKI エーッ、ホント? 一夫一妻制は、ホルモンに守られてるってこと?
哲雄 実は、このバゾプレシンは、「単婚のホルモン」とも言われてるんだ。アメリカの中西部に、プレーリー・ボールという、リスやネズミに似た小動物がいるんだけど、こいつは生涯、つがいを貫く。で、このオスのホルモンを調べると、バゾプレシンの量がかなり多いんだよね。ところが、西海岸に棲息するその亜種は、ひどく浮気者で、多婚である。こっちのホルモンを調べると、バゾプレシンの量がものすごく少ない。
AKI ヘーッ、バゾくん、大歓迎!
哲雄 ね、女性にとってはありがたいホルモンでしょ? テストステロンのなすがままにほうっておくと、男なんて、一発やっちまうと、「オレはひとりになりたい」とか言って家を出て、他の女を漁りだす。そうでなければ、死ぬまでオナニーをやり続けるかもしれない。そこへ出ていって、「落ち着けよ、冷静になれよ」と声をかけ、クールダウンさせるのが、バゾプレシンの役目らしいんだね。
AKI オーバーヒートを防いでくれるわけですね。バゾって、ホント、いいやつ。
タンスにゴン!
哲雄にバゾ!
今月の標語は、これでいきましょ!
哲雄 よく、意味がわからないで~す!

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- あなたの愛を支配する11のホルモン《総集編》 (2010/12/30)
- 男の浮気を止める!? 「一夫一妻制のホルモン」とは… (2010/12/20)
- たくさんさわる相手を「好き」になる、ホルモンの仕組み (2010/12/14)