たくさんさわる相手を「好き」になる、ホルモンの仕組み
不純愛トーク 第161夜
あなたの中に欲望を生み出し、人の欲望を感じ取り、ひと目ボレ状態を作り上げるホルモン。今回は、そのホルモンが、「特定の相手との強い絆」を作り出すのに効果あり、という話をご紹介します――。
【今回のキーワード】 オキシトシン ふれあい
【リンク・キーワード】 オーガズム 恋愛小説 エロ コミュニケーション 不倫
哲雄 さて、AKIクン、いよいよ、クリスマスも迫ってきましたが……。
AKI あ、私、忙しいッすよ。とても、哲ジイとお食事したり、ヘタなカラオケにつき合ったりするヒマ、ございませんの。
哲雄 あ~あ、そうやってキミは、私の老化に拍車をかけ、やがて死の淵へと追いやろう……というのですね。
AKI 死、死の淵……って、私がクリスマスに哲ジイとおつき合いしないことと、哲ジイの孤独死と、いったいどんな関係があるって言うんです?
哲雄 だ、だれが《孤独死》だなんて言いました? 失敬な……。
AKI そうならないように……と、心から願ってはいるんですよ、私も。で、さっきの質問なんですけど、クリスマスに私がおつき合いしないことと、哲ジイの老化が、いったいどういう関係があるのか……。
哲雄 ハイハイ、それが本日のテーマなんですねェ。ま、クリスマスに……というのはジョーダンですけど、そういうふれあいの機会がなくなると、人間は老化の速度を速めてしまう。老化だけじゃありませんよ。赤ん坊だって、十分なふれあいが得られないと、丈夫に成長できなかったり、社会的能力や他人に対する愛情表現などに、重大なダメージを残してしまう場合がある。
AKI そ、それも、ホルモンの問題なんですか?
哲雄 そうです。聞いたこと、ありませんか? 「オキシトシン」という名前のホルモンなんだけど……。
AKI ウーン……オキシフルなら知ってるけど……。
哲雄 それは、消毒薬でしょ? 実はね、このオキシトシンっていうのは、「ふれあいのホルモン」であると同時に、「絆を作るホルモン」でもあるんだ。もっと言うなら、私たちが特定の人間と親密になったり、ならなかったりするのは、このオキシトシンのおかげ――と言ってもいい。
AKI それ、ものすごく重要じゃないですか。オキシトシンがないと、夫婦関係も恋人関係も維持できないってことですか?
哲雄 それどころか、そもそも、親子関係が成立しなくなります。
AKI エーッ!? そりゃ、たいへん。
哲雄 親子つっても、オキシトシンが重要な役割を果たすのは、主に母子関係なんだけどね。AKIクン、キミって、乳首は感じますか? つまり……その……カレ氏に乳首をいじられたりすると、うっとりして、子宮がキューンってなったりします?
AKI どうせ、そのちっちゃな胸でも……とか言うんでしょ? ええ、ええ。おかげさまで、いっぱい感じさせてもらってますけど、それが何か……?
哲雄 もしですよ、乳首を触られることが苦痛だったりしたら、どうなる? お母さん、子どもにおっぱいあげるのが、イヤになっちゃうよね。赤ちゃんに乳首を吸われても、それを「苦痛」ではなくて、「快感」と感じるように仕向けてるやつ、それが、この「オキシトシン」なんだよね。
AKI ハイ、質問!
哲雄 どうでもいいけど、その、手を挙げるときに腋を隠すクセ、止めてくれる? 嫌いなんだよね、そのしぐさ。
AKI だって、剃ってないんだもん……。でね、訊きたいのは、人は、オキシトシンがあるから乳首が気持ちよくなるのか、それとも、乳首をさわられることによってオキシトシンが出てきて、気持ちよくなるのか――ってことなんですけど。
哲雄 いい質問ですねェ……と、池上さんなら言うでしょうね。実は、そこにこそ、このオキシトシンの偉大な秘密が隠されているのです。オキシトシンは、人に「ふれあいたい」という気持ちを起こさせ、ふれあいの感度を高め、その結果、脳の中に「気持ちい~い」という感情を生み出します。これは、人間だけじゃなくて、動物全般に共通してる特徴。ネコが体をすりつけてくるのも、タコがタコつぼに入りたがるのも、すべては、「接触が気持ちいい」という回路が出来上がっているからなんだよね。
AKI それもみんな、オキシトシンのせい?
哲雄 そう言っていいでしょうね。タコはわからないけど……。ところが、オキシトシンは、ただ、「さわりたい」「ああ、気持ちいい」と言わせてるだけじゃない。もうひとつ、大事なことをしてる。それがね、さわられることによって、さらに分泌量を増やす――ってことなんだ。これが、ものすごく重要。どうしてだかわかる?
AKI たくさんさわられるほど、相手を好きになる……?
哲雄 ほとんど正解! ほんとは、その先まで、答えてほしかったんだけど……。
AKI その先……?
哲雄 たくさんさわられるほど、相手を好きになるってことは、たくさんさわってくれる相手との関係が、どんどん深くなっていく――ってことでもあるよね。
AKI あ、そうかぁ。つまり、そうやってカップルが出来上がっていく……ってことになるんですね。オキシトシンが「絆のホルモン」である――っていうのは、そういう意味?
哲雄 そのとおり。では、質問。この世でいちばん強い絆は、どんな絆でしょうか?
AKI オキシトシン的に言うと、やっぱり、「母と子」ってことになりませんか?
哲雄 そうだね。なにしろ、母と子ってのはさ、分娩のその瞬間から、オキシトシンのお世話になってるんですから。
AKI 分娩のときに……? でも、まさか……分娩を「気持ちいい」と感じさせるわけじゃありませんよね。
哲雄 「気持ちいい」とまでは感じさせませんけど、そのとき、女性の膣からは大量のオキシトシンが放出されて、痛みをやわらげます。そしてね、このとき、オキシトシンはもうひとつ、大事な仕事をするんだけど、それは、子宮の収縮を誘発するってこと。実はね、オーガズムのときに子宮を収縮させるのも、オキシトシンの働きなんだよ。
AKI オキシトシン、すごい! 子宮まで動かしちゃうんだ!
哲雄 乳首を刺激されたときにも、オキシトシンは子宮に働きかけて、収縮を促してるんだよ。なのでね、これは余談だけど、分娩を促す方法として、乳首を刺激したりすることもあるらしい。
AKI じゃ、赤ちゃんに乳首を吸わせてる間も、子宮にビンビン響いてるわけですね。
哲雄 母親の子どもに対する強い愛情は、こうしてオキシトシンの力を借りて形成されていくわけですね。逆に、赤ちゃんのほうにも、乳首を吸ったり、抱きしめられたり、しじゅう体のどこかをなでられたりしているうちに、母親に対する愛情が育っていきます。
AKI もし、赤ん坊のときに、母親とそういうふれあいができないと、母親を愛せない子どもになってしまう?
哲雄 母親を……というより、他者に対して愛情を示すということ自体が、苦手になってしまうかもしれませんね。非常に好戦的で、攻撃的なおとなになってしまう可能性もあります。
AKI それで哲ジイは、いつまで経っても、ヨメの来手がないんだ。
哲雄 つーか、私は、長男でしたからね。下の子ができるまでの2年間しか、母親に甘えられなかったし……。でもネ、男の子と母親との関係について言えば、この密着関係が長く続きすぎるってのも、それはそれで問題なんだよね。
AKI もしかして、甘えん坊になってしまう……?
哲雄 というか、男としての闘争心などが育たず、一見、無気力とも思える子どもになってしまう場合もあるらしい。
AKI 男の子の場合は、オキシトシン漬けになっても問題あり……ってことなのね。
哲雄 ウン。ただ、男には、それを抑制するホルモンがあるので、通常は、バランスがとれるんだけどね。
AKI そのホルモンの名は?
哲雄 バゾプレシン。実は、このホルモンこそ、「一夫一妻制を守るホルモン」だと言われてるんだよね。
AKI あ、それ、ひとつください。
哲雄 残念ながら、お売りできないんですよ。このホルモンについては、次回、じっくりとお話しましょう。

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