第15夜☆みんな幸せになれる?人生結婚2回説
AKI 何ですか? 前回、お話に出た「人生結婚2回説」ってのは? もしかして、また、いい加減な説をでっち上げようっていうんじゃないでしょうね。
哲雄 「また」とは何ですか?「また」とは。私は、これまで一度たりとも、「いい加減な説」なんて、唱えてませんよ。
AKI ハイ、ハイ、わかりました。で、何です、それ?
哲雄 もう40年ほど前にお亡くなりになった、林髞(はやし たかし)という、偉大な大脳生理学者にして推理作家、『頭のよくなる本』というベスト・セラーをお書きになった先生がいらっしゃるのですが、この先生が唱えられた説で……。
AKI ウワッ、古ッ!
哲雄 古いけれど、いまにして思えば、きわめて斬新。ホラ、いま、「年の差結婚」って、流行っておるではありませんか?
AKI あらかじめお断りしておきますが、私にはその気はございませんので……。
哲雄 それはもう、十分に承知しておりますですよ。でもさ、AKIちゃんが45歳ぐらいになって、20歳とか25歳とかの青年と結婚することを想像したみたら、どう?
AKI それは、わるくない考えかもしれませんねェ。
哲雄 でしょ? 林先生の説は、男女ともにそれをやったら、みんな、
人生で2回ずつ結婚できるじゃないか
――っていう説なんだ。
AKI そういう計算になる?
哲雄 なりますとも。林先生は、人生50~60年っていう時代の人だから、年齢差を20年ぐらいとして計算してるんだけど、いまだったら、25~30年ぐらいで考えたほうがいいと思うけどね。
AKI それって、若い女は、25~30歳くらい上の男と結婚しなさいってこと?
哲雄 そう。男もね。
AKI てことは、みんな、自分の親ぐらいの年齢の相手と結婚するわけ?
哲雄 いいじゃないですか。ケツの青いうちは、そういう人生経験の豊富な相手と結ばれて、その庇護のもとで包み込むような愛にはぐくまれ、人生の何たるかを学ぶ。しかも、そういう年齢の相手なら経済力もあるから、食べることに汲々としないでもすむ。
AKI 男は年くっててもそうでしょうけど、女はそうもいかないんじゃない。そりゃ、亭主の資産が転がり込んで……なんていうのなら、話は別だけど、金もないただのババアじゃ、若い男だって近づいてこないでしょ?
哲雄 いや、あくまでこれは、一般的モデルの話だから。だってさ、その女だって、25~30歳年上の男と結婚していれば、その頃には、亭主はくたばってるか、くたばりかけてるかだよね。とっくに退職金は手にしてるだろうし、もしかしたら莫大な生命保険金だって手にしてるかもしれない。
AKI ま、そううまく話が運んでればいいけど、いまはもっと長生きするからね、男だって。
哲雄 そこでです。このシステムが機能するためには、ひとつだけ条件がある。
AKI 何でしょう?
哲雄 男も、女も、自分が65歳とか70歳とかになって、もうあっちのほうも元気がなくなったっていう状態になったら、相手を解放してあげる。今度は、そうしてひとり身に戻ったジジ・ババ同士で仲よくなって、第3の人生をスタートさせる。
AKI じゃ、結婚2回説じゃなくて、3回説じゃないですか?
哲雄 ま、元気なら3回もありだろうけど、それくらいの年齢になると、いまさら結婚でもないだろうって気もする。ま、あるとしたらオプションで…かな。それよりも、私が思うに、そういう人たちには、できるだけコミュニティを作ってもらいたい。国や各自治体が、積極的にそれをやる。高齢単身者のコミュニティだね。実際、そういう取り組みを始めてる自治体もあるみたいだし。
AKI そうなんですか?
哲雄 どこか忘れたけど、確か雪深い地方の話で、あくまで冬季限定という話だったと思うけど。とにかく、雪の中で高齢者がひとり暮らししてたら、何が起こるかわからないし、何か起こっても対処できない。だったら、みんなで一箇所に集まって暮らしましょう。そんな話だったと思うな。でも、これっていいシステムだよね。介護つき老人ホームなんかを造るより、こういうシステムを作って、まだ働ける人は働きましょう、みんな、自分にできることをやって、おたがいに助け合いましょう――っていうシステム。
AKI なんだか、話が大きくなってきましたねェ。
哲雄 そりゃ、そうだよ。こういう話は、国ぐるみで取り組まないと……。
AKI でもさ、子どもの問題はどうするんですか? これ、重要だよ。
哲雄 じゃ、もう一回、整理するね。たとえば、23歳の女が、52歳の男と最初の結婚をして、1年後に子どもを産むとする。22年後、子どもはひとり立ちして、親の元を離れる。このとき、女は45歳、男は74歳。そこで男は妻を自由の身とし、自分は高齢者のコミュニティに移住する。
AKI 女は?
哲雄 今度は自分が22歳とか23歳とかの若者と結ばれる。子どもを手放した空虚さも、同じ年代の若者をゲットすることで埋め合わせることができる。
AKI しかしなぁ、若い男が自分の母親ぐらいの女と結婚しようと思うかなぁ……。
哲雄 考えてごらんよ。いま、年下男と結婚する女性、増えてるじゃないか。6歳下とか7歳下なんて、もう常識の範囲でしょ。男だってさ、いまはどちらかというと、「母親みたいに甘えられる相手」のほうがいいと思い始めてるんじゃないの?
AKI そりゃ、そういう男もいるだろうけどね。
哲雄 その代わり、自分が45歳とか50歳とかになったときに、今度は、20歳そこそこの若い娘と結ばれる。わるい話じゃないでしょ?
AKI まぁねぇ。そううまくいけばいいけど……。
哲雄 うまくいくようにするんですよ、国家戦略として。
AKI 国家戦略なんですか、これ?
哲雄 そう。これからの高齢化社会と少子化の問題を解決するには、これしかない。そのためにも、国民をできるだけ、マザコンとファザコンにしてしまう。
AKI ま、私にも、かなりファザコンの気はありますけど……。
哲雄 お、そりゃいい。ちょうどいいじゃないですか?
AKI 何が「ちょうど」です? ちょっと……そんな目で私を見つめないでくださいよ。私は、そういう国家戦略には加担しませんからね。
AKI あらかじめお断りしておきますが、私にはその気はございませんので……。
哲雄 それはもう、十分に承知しておりますですよ。でもさ、AKIちゃんが45歳ぐらいになって、20歳とか25歳とかの青年と結婚することを想像したみたら、どう?
AKI それは、わるくない考えかもしれませんねェ。
哲雄 でしょ? 林先生の説は、男女ともにそれをやったら、みんな、
人生で2回ずつ結婚できるじゃないか
――っていう説なんだ。
AKI そういう計算になる?
哲雄 なりますとも。林先生は、人生50~60年っていう時代の人だから、年齢差を20年ぐらいとして計算してるんだけど、いまだったら、25~30年ぐらいで考えたほうがいいと思うけどね。
AKI それって、若い女は、25~30歳くらい上の男と結婚しなさいってこと?
哲雄 そう。男もね。
AKI てことは、みんな、自分の親ぐらいの年齢の相手と結婚するわけ?
哲雄 いいじゃないですか。ケツの青いうちは、そういう人生経験の豊富な相手と結ばれて、その庇護のもとで包み込むような愛にはぐくまれ、人生の何たるかを学ぶ。しかも、そういう年齢の相手なら経済力もあるから、食べることに汲々としないでもすむ。
AKI 男は年くっててもそうでしょうけど、女はそうもいかないんじゃない。そりゃ、亭主の資産が転がり込んで……なんていうのなら、話は別だけど、金もないただのババアじゃ、若い男だって近づいてこないでしょ?
哲雄 いや、あくまでこれは、一般的モデルの話だから。だってさ、その女だって、25~30歳年上の男と結婚していれば、その頃には、亭主はくたばってるか、くたばりかけてるかだよね。とっくに退職金は手にしてるだろうし、もしかしたら莫大な生命保険金だって手にしてるかもしれない。
AKI ま、そううまく話が運んでればいいけど、いまはもっと長生きするからね、男だって。
哲雄 そこでです。このシステムが機能するためには、ひとつだけ条件がある。
AKI 何でしょう?
哲雄 男も、女も、自分が65歳とか70歳とかになって、もうあっちのほうも元気がなくなったっていう状態になったら、相手を解放してあげる。今度は、そうしてひとり身に戻ったジジ・ババ同士で仲よくなって、第3の人生をスタートさせる。
AKI じゃ、結婚2回説じゃなくて、3回説じゃないですか?
哲雄 ま、元気なら3回もありだろうけど、それくらいの年齢になると、いまさら結婚でもないだろうって気もする。ま、あるとしたらオプションで…かな。それよりも、私が思うに、そういう人たちには、できるだけコミュニティを作ってもらいたい。国や各自治体が、積極的にそれをやる。高齢単身者のコミュニティだね。実際、そういう取り組みを始めてる自治体もあるみたいだし。
AKI そうなんですか?
哲雄 どこか忘れたけど、確か雪深い地方の話で、あくまで冬季限定という話だったと思うけど。とにかく、雪の中で高齢者がひとり暮らししてたら、何が起こるかわからないし、何か起こっても対処できない。だったら、みんなで一箇所に集まって暮らしましょう。そんな話だったと思うな。でも、これっていいシステムだよね。介護つき老人ホームなんかを造るより、こういうシステムを作って、まだ働ける人は働きましょう、みんな、自分にできることをやって、おたがいに助け合いましょう――っていうシステム。
AKI なんだか、話が大きくなってきましたねェ。
哲雄 そりゃ、そうだよ。こういう話は、国ぐるみで取り組まないと……。
AKI でもさ、子どもの問題はどうするんですか? これ、重要だよ。
哲雄 じゃ、もう一回、整理するね。たとえば、23歳の女が、52歳の男と最初の結婚をして、1年後に子どもを産むとする。22年後、子どもはひとり立ちして、親の元を離れる。このとき、女は45歳、男は74歳。そこで男は妻を自由の身とし、自分は高齢者のコミュニティに移住する。
AKI 女は?
哲雄 今度は自分が22歳とか23歳とかの若者と結ばれる。子どもを手放した空虚さも、同じ年代の若者をゲットすることで埋め合わせることができる。
AKI しかしなぁ、若い男が自分の母親ぐらいの女と結婚しようと思うかなぁ……。
哲雄 考えてごらんよ。いま、年下男と結婚する女性、増えてるじゃないか。6歳下とか7歳下なんて、もう常識の範囲でしょ。男だってさ、いまはどちらかというと、「母親みたいに甘えられる相手」のほうがいいと思い始めてるんじゃないの?
AKI そりゃ、そういう男もいるだろうけどね。
哲雄 その代わり、自分が45歳とか50歳とかになったときに、今度は、20歳そこそこの若い娘と結ばれる。わるい話じゃないでしょ?
AKI まぁねぇ。そううまくいけばいいけど……。
哲雄 うまくいくようにするんですよ、国家戦略として。
AKI 国家戦略なんですか、これ?
哲雄 そう。これからの高齢化社会と少子化の問題を解決するには、これしかない。そのためにも、国民をできるだけ、マザコンとファザコンにしてしまう。
AKI ま、私にも、かなりファザコンの気はありますけど……。
哲雄 お、そりゃいい。ちょうどいいじゃないですか?
AKI 何が「ちょうど」です? ちょっと……そんな目で私を見つめないでくださいよ。私は、そういう国家戦略には加担しませんからね。
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