第153夜☆あなたの愛し方を決める「脳内着メロ!?」
第153夜
支配・従属・自立――対人関係の3つのスタンスを決めるのは、半分は、生まれてからの親のしつけや周囲の環境。そして、もう半分は、実は「脳内ホルモン」。今回は、人間関係を形成するのに、大いに関係すると思われる3つの「神経伝達物質」を取り上げて、それがどういう働きをするかについて話を進めます――。
【今回のキーワード】 神経伝達物質 アドレナリン ドーパミン セロトニン
【リンク・キーワード】 オーガズム 恋愛小説 エロ コミュニケーション 不倫
AKI さて、きょうは、対人スタンスを決定するのに、脳内ホルモンがどう影響するか、という話をするんでしたよね。
哲雄 ええ。前回は、「脳内ホルモン」という話をしましたが、正確に言うと、「神経伝達物質」。AKIクン、シナプスってわかります?
AKI シナモンならわかるけど……。
哲雄 ウーン……。じゃ、人間の脳が神経細胞の集まりだってのは、わかる?
AKI ハイ、なにげに……。
哲雄 その神経細胞が、どれくらいあるか、想像がつく?
AKI 1万個とか、2万個とか……ですか?

AKI ワッ、ヒトデみたい。何すか、これ?
哲雄 これが、1個の神経細胞の姿を簡略化して表したものなんだけど、いっぱい突起が出てるでしょ。中で、いちばん太くて長いやつ(下向きに伸びている一本です)が「軸索(じくさく)」と呼ばれてる突起で、これは、情報を他の神経細胞へ送り出す「出力」用の突起。その他のトゲトゲみたいに見えるやつが「樹状突起」と呼ばれてる突起で、こっちは、他の神経細胞から信号を受け取る「入力」用なんだ。
AKI この突起同士がつながるわけですね。出力系が入力系にピタッとくつついて?
哲雄 実は、くっつかないんですねェ。くっつくほどに接近するけど、その間には、わずかな隙間が空いてる。この部分を「シナプス」っていうんだ。神経細胞の中を情報が流れていくのは、電気的な仕組みによってなんだけど、神経細胞と神経細胞とはくっついちゃいないから、電気的信号は、このシナプスまで来ると、ストップしちゃうよね。
AKI そうかぁ。てことは、無線で飛ばすしかないじゃありませんか?

AKI すごーいッ! エッ、じゃ、そのとき放出される物質が「神経伝達物質」?
哲雄 ピンポン! では、その神経伝達物質には、どんなものがあるか?
AKI ホイ、来た! ここからがきょうのテーマですね。ね、哲ジイ、いま、哲ジイは「どんなものが?」とおっしゃいましたよね。そんなにいろんな種類があるんですか、この神経伝達物質には?
哲雄 全部で100種類ぐらいあると言われてます。でもね、ひとつの神経細胞が放出する神経伝達物質は1種類だけと決まってる。すると、どうなるか? どんな神経伝達物質を受け取ったかで、その信号が、どの神経細胞から来たかが、受け取る側にもわかるでしょ?
AKI わかった! あれだ! 着メロで、だれからの電話かわかる――っていうのとおんなじだ! で、脳の着メロには、どんなのがあるわけですか?
哲雄 キミって、話をわかりやすくする達人ですね。その質問の答えだけど、ほとんどの神経細胞は、「グルタミン酸」と「GABA」という2種類の神経伝達物質でネットワークされてます。「グルタミン酸」は、神経細胞に電気信号を発生させる働き、「GABA」はそれを抑制する働きを持っています。クルマにたとえると、アクセルとブレーキ。たいていの神経ネットワークは、この2種の情報だけで「ON」と「OFF」を切り替えてるんだけど、ネットワークの中には、もっと別の、特殊な神経伝達物質しか感知しないものがあって、実はこれが、人間の精神状態を左右してるんだよね。
AKI 恋愛に関係するのも、そっちのほうなんですね?
哲雄 AKIクンは、ドーパミンとかアドレナリンって、聞いたことありますか?
AKI アドレナリンは、興奮したり、緊張したときに出る脳内物質ですよね。エーッと、ドーパミンは、確か、楽しいとき……とか?
哲雄 興奮したからアドレナリンが出るというより、アドレナリンが出るから興奮するといったほうが、正確かな。で、人間関係に影響する神経伝達物質として、今回は、そのアドレナリンとドーパミンとセロトニンの3つを取り上げるんだけど、それぞれ、アドレナリン・コネクション、ドーパミン・コネクション、セロトニン・コネクションと呼ばれるネットワークを形成しているわけです。
AKI 怒りっぽい人は、アドレナリン・コネクションが人よりも発達している……とか?
哲雄 その通り。どのネットワークが優勢かには、個人差があって、それが、性格や対人スタンスにも影響してるのではないか、と言われているわけです。アドレナリンには、その前駆体であるノルアドレナリンというのもあって、脳内で活動するのは、主にノルアドレナリンのほうなのですが、どちらも、ほぼ似た働きをするので、ここでは「アドレナリン」としてまとめて表記します。で、この3つの神経伝達物質が、脳内でどんな働きをするか、簡単にまとめると、こうなります。

怒りや覚醒を生み、脳をアグレッシブに
怒りや恐怖を感じたときに分泌され、血管を収縮させ、心拍数を高めます。全身に緊張状態を作り出し、脳を目覚めさせ、集中力を高める……など、人間の活動全般を積極的にする性質を持っています。
【不足すると】自暴自棄になったり、無力感から「うつ状態」を引き起こしたりする。
【過剰になると】不安感が強まり、人に対しては攻撃的になる。

快楽や快感を導き出す、元気の素
精神的・肉体的快感を得たときなどに分泌され、脳内を興奮状態に導き、快感や元気を生み出します。「楽しい―ッ!」「気持ちいいーッ!」などという気分は、この物質が生み出すもので、前向きな気分や創造性も高めてくれます。
【不足すると】精神機能、運動機能が低下。「パーキンソン病」との因果関係も指摘されている。
【過剰になると】幻覚や幻聴に襲われ、「統合失調症」になることも。

興奮を鎮め、気分を落ち着かせる安定剤
セロトニンのいちばん大きな役割は、アドレナリンやドーパミンの過剰を抑制して、気分を安定させること。ストレスにいらだつ神経を鎮めて落ち着かせてもくれます。幸せな気分を創り出すことから、「しあわせの物質」と呼ばれることも。
【不足すると】食欲のコントロールがうまくいかなくなり、摂食障害を起こしたり、感情のブレーキが効かなくなって、攻撃的になることも。
【過剰になると】食欲が減退し、神経質で臆病になることもある。
AKI すぐ人に手を挙げたり、怒鳴りちらしたりする《暴君タイプ》は、これで言うと、アドレナリンが過剰なんですね。
哲雄 遊園地で「ギャーギャー」騒いだり、ラブホでいろんな装置や器具を試したがったりする女は、ドーパミン体質と言えなくもない。
AKI 私のように慎ましやかで、男の腕の中に抱かれているだけで「しあわせ~」と思えるような女は、セロトニン体質。
哲雄 なんか、お聞きしてる話と違うような気がしますが……。
AKI 何をお聞きになったのかは存じませんが、私は、そういう体質ですッ!
哲雄 なるほど。でもね、AKIクン。だれも、セロトニンだけ、アドレナリンだけを神経伝達物質として使ってるわけじゃない。ドーパミンも、セロトニンも、アドレナリンも、そこそこ使ってるわけですよ。だから、その人の精神の傾向を脳内物質から説明しようと思ったら、3つの神経伝達物質それぞれの強さを計測して、その組み合わせから説明するしかない。
AKI それって、簡単に測る方法はないの?
哲雄 ま、そりゃ、テストでその傾向を推測するってことはできますけどね。ま、まさか……。
AKI そのまさか。では、来週中に。お待ちしておりますので、ひとつヨロピク~。
哲雄 というわけで、みなさん。このわがまま女のために、長住はまた、テスト作成の地獄ウイークに突入することになりそうです。

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