第148夜☆「自由」を望みながら、「束縛」を期待する愛
第148夜
前回に続いて、人を支配しようとする《支配型》の研究。今回は、大きな包容力と面倒見のよさで、人を自分のナワバリの中に囲い込もうとする《親分型》について、その愛し方の特徴を分析してみます。もし、あなたのパートナーが、このタイプだったら――。
【今回のキーワード】 束縛 自由放任 牧場主
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AKI ねェ、哲ジイって、もしかして《親分型》?
哲雄 いいえ。私は、《自立型》です。
AKI でも、昔の彼女とか、いまでも牧場に放し飼いにしてある――なんて、豪語してましたよね。
哲雄 いや、《自立型》です。
AKI 寂しそうな女性とか、カレ氏とうまく行ってない女性には、ことさらやさしく接してますわよね、ね、ね!?
哲雄 だからね、《自立型》だって。《自立型》にも、それくらい面倒見のいい人間はいるんです。あくまで、人類として、苦しむ仲間は放っておけないでしょ?
AKI ホウ、人類としてですか。じゃ、その違いを教えていただきましょうか。人類として彼女たちにやさしく接するのと、《親分型》として面倒を見ることの違いを。
哲雄 簡単ですよ。烙印を押すかどうかですね。
AKI 烙印? あの、牛とか馬に押すやつですか?
哲雄 そう、「この牛、うちの牧場のものだよ」と示すために押すやつね。《親分型》というのは、包容力もあって、面倒見もいい。基本的にはいいヤツなんだけど、面倒見た相手は、全部、自分の「一家」に入ったものと思っちゃうんだね。
AKI それって、女だったら自分の「女」にしちゃうってことですか? ハーレムの王様みたいに?
哲雄 それ、エッチしちまうかって質問ですか? いや、必ずしもそうとは言えない。なにしろ、このタイプは、心が広いからね。それが困ったところでもあるんだけど、ただ、よくメシをおごってやった、何かと言えば相談に乗ってやった……程度の相手でも、このタイプにかかると、「ああ、あの子ね。昔、よく面倒見てやったんだ」と、周囲が聞いたら誤解するような言い方をする。
AKI ヘタにお世話になれないじゃないですか。
哲雄 ま、いいじゃありませんか。別に、悪気はないんだから。
AKI それで、いったん自分の「一家」に囲い込んだ相手は、烙印を押して、束縛しちゃうわけですか?
哲雄 あんまり、束縛はしないと思うよ。
AKI エッ!? 束縛しないの? 囲い込んだくせに……?
哲雄 囲い込む……か。いいこと言うねェ。そう、《親分型》の得意ワザは、その囲い込みなんだよね。《親分》を《牧場主》と思えば、わかりやすいかな。ただ、その牧場の広さには、かなり個人差がある。
AKI ネコの額ほどの牧場もあれば、北海道ぐらいの牧場もあるってことね。
哲雄 ネコの額じゃ、牧場持ってることにならないから、そういう方は、《親分型》のリストから外させていただきます。
AKI 牧場が広ければ、飼う女の数も多くなる……と。そういうことですか?
哲雄 いやいや、そういうことじゃない。牧場が広いから、女をたくさん囲えるとか、男をいっぱいキープできるってことじゃないんだよね。「牧場の広さ」というのは、相手に与える「自由」の広さと考えてほしい。
AKI なるほど。狭い柵の中で育てるか、広い牧場で放牧するか、の違いですか? その男の牧場が広ければ、彼女も、自由に遊べるわけですね。ちょっと男と遊んで来ました程度じゃ、目クジラ立てないとか……。そういうダンナだと、奥さんもラクかなぁ。
哲雄 ま、《よい子型》のキミには、ふさわしいタイプと言えるでしょうね。願わくば、できるだけ広い牧場の持ち主を選ばれることを望みますが、といって、キミの場合、広すぎてもダメなような気もします。
AKI エッ、広すぎてはダメなんですか?
哲雄 たとえば、まったくの自由放任だと、キミは「愛されてない」と思ってしまうでしょ? 実は、そこが、《自立型》と《支配型‐親分タイプ》の大きな違いなんだけどね。
ちょっと復習。初めて読む方のために、前回までに登場した「対人スタンス」によるタイプ分類をまとめておきましょう。
対人スタンスによるタイプ分類
支配型……人を支配することに喜びを見出すタイプ。以下の4タイプがいる。
暴君型……力にモノを言わせて、相手を肉体的・精神的に支配しようとする独裁者タイプ。
親分型……面倒を見ることで、相手を自分の支配下にとどめようとする太っ腹タイプ。
裁判官型……ルールや道徳を前面に押し立てて、人の行動や心を支配しようとするタイプ。
博愛・溺愛型……愛情をふり撒くことによって、人の心を支配しようとするタイプ。
従属型……人に支配されたり評価されることで心の充足を得るタイプ。以下の4種がいる。
召使型……強権を発動する相手に隷属し、身も心も支配されることに快感を覚えるタイプ
子分型……力のある相手に庇護されることを望み、忠節を尽くすことに生きがいを感じるタイプ。
よい子型……目上の人間の評価を気にし、たえずいい点を取ろうとするタイプ。
ブリッコ型……「かわいい子ども」でいることによって、庇護者の愛情を得ようとするタイプ。
自立型……だれにも従属せず、人を支配しようともせず、自立した人間でいることを望むタイプ。
AKI もう少し、詳しくお聞かせくださいまし。《自立型》は、完全に「自由放任」なんですか?
哲雄 というより、そもそも、相手を「束縛」するという発想がない。おたがい自立した人間同士、と思ってつき合っているから、相手を束縛するなんてことは、「自立の精神に反する」と思ってしまう。ところがね、人間って、不思議なもので、「おまえは完全に自由だ」と言われると、今度は、不安になってしまう。特に、《従属型》の人は、その傾向が強い。
AKI どこかに従属してないと、不安なんですね。それ、何となくわかる。
哲雄 特に、日本人は、《従属型》が多いから、たとえば、どこか会社に所属するとか、口うるさい女房に縛られるとかしてないと、アイデンティティが維持できない。エーリッヒ・フロムという社会心理学者が言ってるんだけど、人間は、「完全な自由からは逃げ出したくなる」んだそうです。
AKI 哲ジイは自称《自立型》だから、相手がどこかの男と恋愛しようが、それを責めたりはしないわけですね。責めないというより、干渉しない?
哲雄 ああ、それがために、これまで何人の麗しき女性たちを、この手の中から逃がしてしまったことか……。
AKI それが、《自立型》のつれェところよ……てか。
哲雄 クーッ、バ、バカにしてる……。
AKI いや、そんなことはありませんよ。哲ジイの、その「自立」を重んじる精神には、常々、敬意を表しているではありませんか。ただね、哲ジイ。日本に多いという《従属型》の女を代表して言わせてもらうならば、女はどこかで、「オレのそばにいろ。ここがおまえのいる場所だ」と言ってほしいんですよ。でないと、「愛されてる」という確信が持てないんです。
哲雄 そう言って、去っていきました、過去の女たちも。たぶん、行き先は、広い牧場をお持ちの《親分型》。クソーッ、私も、牧場主になっておけばよかった。
AKI あの……お取り込み中のところ、まことに申し訳ありませんが、その牧場主は、《自立型》のように、相手の「自立」を認めたりはしないんですか?
哲雄 だから、烙印を押す、と言ったじゃありませんか。たいていの牧場主は、自分の牧場の柵の内であれば、相手が何をしようと、ニッコリ笑って放っておきます。しかし、相手が一歩、その柵の外に出てしまったら、「もう、あんなやつは、うちの子じゃない」と、閉め出してしまいます。場合によっちゃ、罰を与えようとするかもしれない。
AKI その「柵」の範囲が知りたいんです。どこまでが「柵の内」で、どこからが「柵の外」なのか?
哲雄 それは、牧場の広さによるでしょう。ただ、ひとつだけ言えることがある。それは、
「牧場主の優先保有権」を侵したら、アウト!
ってことです。
AKI 優先保有権……? 何ですか、それ?
哲雄 たとえば、キミが、どこか他の男に心を許して、一夜なり二夜なり三夜なりのアバンチュールに身を焦がしたとしましょう。それだけであれば、たいていの牧場主は、目をつぶります。「あの貧弱なボディに食いつく物好きな虫もいるんだなぁ」ぐらいの気持ちでね。
AKI し、失礼な! いくらBカップでも、私は、蓼(タデ)じゃありませんからねッ!
哲雄 もののたとえですよッ。しかし、そこでキミが、「あ~あ、私、最初からこっちにしとけばよかったわ。うちのデブなんて、あなたに比べたら……」的なことを、チラとでも頭の片隅に思念し、それを牧場主に悟られてしまった、あるいは、はからずも口にして、それが牧場主の耳に入ってしまった。こうなると、牧場主の優先保有権は侵害されてしまうわけです。
AKI 要するに、「自分がいちばん」ではなくなるってことですね?
哲雄 そうです。だから、あなたがいつまでも牧場主と良好な関係を保ちたかったら、キミは言い続けなくてはならないのです。
AKI 「あなたがいちばんよ」……って?
哲雄 そう。どんな男に会っても、私、思うの。あなた以上の人はいないわ。私が帰って来る場所は、あなたの胸の中しかないの――ってね。
AKI たとえ、ウソでも?
哲雄 ハイ。牧場主に「あいつが帰って来る場所は、ここしかないんだ」と思わせ続ける。これが、《親分型》とつき合う最大のポイントだね。これしかない、と言ってもいい。
AKI フーン。今度、試してみようっと……。
哲雄 ハイ? 何かおっしゃいました?
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哲雄 そう、「この牛、うちの牧場のものだよ」と示すために押すやつね。《親分型》というのは、包容力もあって、面倒見もいい。基本的にはいいヤツなんだけど、面倒見た相手は、全部、自分の「一家」に入ったものと思っちゃうんだね。
AKI それって、女だったら自分の「女」にしちゃうってことですか? ハーレムの王様みたいに?
哲雄 それ、エッチしちまうかって質問ですか? いや、必ずしもそうとは言えない。なにしろ、このタイプは、心が広いからね。それが困ったところでもあるんだけど、ただ、よくメシをおごってやった、何かと言えば相談に乗ってやった……程度の相手でも、このタイプにかかると、「ああ、あの子ね。昔、よく面倒見てやったんだ」と、周囲が聞いたら誤解するような言い方をする。
AKI ヘタにお世話になれないじゃないですか。
哲雄 ま、いいじゃありませんか。別に、悪気はないんだから。
AKI それで、いったん自分の「一家」に囲い込んだ相手は、烙印を押して、束縛しちゃうわけですか?
哲雄 あんまり、束縛はしないと思うよ。
AKI エッ!? 束縛しないの? 囲い込んだくせに……?
哲雄 囲い込む……か。いいこと言うねェ。そう、《親分型》の得意ワザは、その囲い込みなんだよね。《親分》を《牧場主》と思えば、わかりやすいかな。ただ、その牧場の広さには、かなり個人差がある。
AKI ネコの額ほどの牧場もあれば、北海道ぐらいの牧場もあるってことね。
哲雄 ネコの額じゃ、牧場持ってることにならないから、そういう方は、《親分型》のリストから外させていただきます。
AKI 牧場が広ければ、飼う女の数も多くなる……と。そういうことですか?
哲雄 いやいや、そういうことじゃない。牧場が広いから、女をたくさん囲えるとか、男をいっぱいキープできるってことじゃないんだよね。「牧場の広さ」というのは、相手に与える「自由」の広さと考えてほしい。
AKI なるほど。狭い柵の中で育てるか、広い牧場で放牧するか、の違いですか? その男の牧場が広ければ、彼女も、自由に遊べるわけですね。ちょっと男と遊んで来ました程度じゃ、目クジラ立てないとか……。そういうダンナだと、奥さんもラクかなぁ。
哲雄 ま、《よい子型》のキミには、ふさわしいタイプと言えるでしょうね。願わくば、できるだけ広い牧場の持ち主を選ばれることを望みますが、といって、キミの場合、広すぎてもダメなような気もします。
AKI エッ、広すぎてはダメなんですか?
哲雄 たとえば、まったくの自由放任だと、キミは「愛されてない」と思ってしまうでしょ? 実は、そこが、《自立型》と《支配型‐親分タイプ》の大きな違いなんだけどね。



暴君型……力にモノを言わせて、相手を肉体的・精神的に支配しようとする独裁者タイプ。
親分型……面倒を見ることで、相手を自分の支配下にとどめようとする太っ腹タイプ。
裁判官型……ルールや道徳を前面に押し立てて、人の行動や心を支配しようとするタイプ。
博愛・溺愛型……愛情をふり撒くことによって、人の心を支配しようとするタイプ。

召使型……強権を発動する相手に隷属し、身も心も支配されることに快感を覚えるタイプ
子分型……力のある相手に庇護されることを望み、忠節を尽くすことに生きがいを感じるタイプ。
よい子型……目上の人間の評価を気にし、たえずいい点を取ろうとするタイプ。
ブリッコ型……「かわいい子ども」でいることによって、庇護者の愛情を得ようとするタイプ。

AKI もう少し、詳しくお聞かせくださいまし。《自立型》は、完全に「自由放任」なんですか?
哲雄 というより、そもそも、相手を「束縛」するという発想がない。おたがい自立した人間同士、と思ってつき合っているから、相手を束縛するなんてことは、「自立の精神に反する」と思ってしまう。ところがね、人間って、不思議なもので、「おまえは完全に自由だ」と言われると、今度は、不安になってしまう。特に、《従属型》の人は、その傾向が強い。
AKI どこかに従属してないと、不安なんですね。それ、何となくわかる。
哲雄 特に、日本人は、《従属型》が多いから、たとえば、どこか会社に所属するとか、口うるさい女房に縛られるとかしてないと、アイデンティティが維持できない。エーリッヒ・フロムという社会心理学者が言ってるんだけど、人間は、「完全な自由からは逃げ出したくなる」んだそうです。
AKI 哲ジイは自称《自立型》だから、相手がどこかの男と恋愛しようが、それを責めたりはしないわけですね。責めないというより、干渉しない?
哲雄 ああ、それがために、これまで何人の麗しき女性たちを、この手の中から逃がしてしまったことか……。
AKI それが、《自立型》のつれェところよ……てか。
哲雄 クーッ、バ、バカにしてる……。
AKI いや、そんなことはありませんよ。哲ジイの、その「自立」を重んじる精神には、常々、敬意を表しているではありませんか。ただね、哲ジイ。日本に多いという《従属型》の女を代表して言わせてもらうならば、女はどこかで、「オレのそばにいろ。ここがおまえのいる場所だ」と言ってほしいんですよ。でないと、「愛されてる」という確信が持てないんです。
哲雄 そう言って、去っていきました、過去の女たちも。たぶん、行き先は、広い牧場をお持ちの《親分型》。クソーッ、私も、牧場主になっておけばよかった。
AKI あの……お取り込み中のところ、まことに申し訳ありませんが、その牧場主は、《自立型》のように、相手の「自立」を認めたりはしないんですか?
哲雄 だから、烙印を押す、と言ったじゃありませんか。たいていの牧場主は、自分の牧場の柵の内であれば、相手が何をしようと、ニッコリ笑って放っておきます。しかし、相手が一歩、その柵の外に出てしまったら、「もう、あんなやつは、うちの子じゃない」と、閉め出してしまいます。場合によっちゃ、罰を与えようとするかもしれない。
AKI その「柵」の範囲が知りたいんです。どこまでが「柵の内」で、どこからが「柵の外」なのか?
哲雄 それは、牧場の広さによるでしょう。ただ、ひとつだけ言えることがある。それは、
「牧場主の優先保有権」を侵したら、アウト!
ってことです。
AKI 優先保有権……? 何ですか、それ?
哲雄 たとえば、キミが、どこか他の男に心を許して、一夜なり二夜なり三夜なりのアバンチュールに身を焦がしたとしましょう。それだけであれば、たいていの牧場主は、目をつぶります。「あの貧弱なボディに食いつく物好きな虫もいるんだなぁ」ぐらいの気持ちでね。
AKI し、失礼な! いくらBカップでも、私は、蓼(タデ)じゃありませんからねッ!
哲雄 もののたとえですよッ。しかし、そこでキミが、「あ~あ、私、最初からこっちにしとけばよかったわ。うちのデブなんて、あなたに比べたら……」的なことを、チラとでも頭の片隅に思念し、それを牧場主に悟られてしまった、あるいは、はからずも口にして、それが牧場主の耳に入ってしまった。こうなると、牧場主の優先保有権は侵害されてしまうわけです。
AKI 要するに、「自分がいちばん」ではなくなるってことですね?
哲雄 そうです。だから、あなたがいつまでも牧場主と良好な関係を保ちたかったら、キミは言い続けなくてはならないのです。
AKI 「あなたがいちばんよ」……って?
哲雄 そう。どんな男に会っても、私、思うの。あなた以上の人はいないわ。私が帰って来る場所は、あなたの胸の中しかないの――ってね。
AKI たとえ、ウソでも?
哲雄 ハイ。牧場主に「あいつが帰って来る場所は、ここしかないんだ」と思わせ続ける。これが、《親分型》とつき合う最大のポイントだね。これしかない、と言ってもいい。
AKI フーン。今度、試してみようっと……。
哲雄 ハイ? 何かおっしゃいました?

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