第127夜☆「感謝」を期待する愛は、心に「負債」を貯める
第127夜
愛する人との関係の中で、どうすれば、「負債」を貯めずに、「心の資産」を増やしていけるか? 今回は、管理人が提唱する《心の資産を作る7か条》のうち、第1条と第2条をご紹介します。「愛」ゆえにあなたがする「いいこと」は、感謝も評価も期待せず、ただ黙って行ってこそ価値がある、という話です――。
【今回のキーワード】 感謝 負債 幸せ
【リンク・キーワード】 オーガズム 恋愛小説 エロ コミュニケーション 不倫
AKI エーと、本日は、あれですよね? どうすれば、自分の「資産」となるような恋愛ができるか――ということについて、お話してくださるんですよね、恋愛ファイナンシャル・プランナーの長住哲雄さん?

第123夜『「失恋」は人生最大の「財産」である』
第124夜『一日で消える「幸福感」より保存できる「幸福感」』
を参照してください。
哲雄 いいね、それ。恋愛ファィナンシャル・プランナーですか? 開業しようかな?
AKI 止めといたほうがいいと思います。どうせまた、倒産するだけだから。
哲雄 シーッ! それは、口が裂けたら(!)言っちゃダメ、って言ったでしょ。
AKI ハハ……裂けてないから言っちゃいました。それでね、哲ジイ。人を好きになって、恋をして、つき合って、うまくいったら、そのまま結婚へ――と進む人だっているわけでしょ。そういう関係って、それだけで人生の「資産」ってことにはならないんですか?
哲雄 「早く死んでくれないかなぁ」と思っててもですか?
AKI あ、そうか。いるでしょうね、そういう夫婦だって。綾小路きみまろのギャグじゃないけど……。
哲雄 「死んでくれ」とまでは思ってなくても、「こいつ(この人)さえいなければ」と思ったことが一度もない、なんて夫婦、けっこう少ないかもしれません。それでも、この関係は「心の資産」であると言えるか?
AKI 言えないでしょうねぇ。
哲雄 「心の資産」は、見た目の関係性ではなく、心の中の状態や、心の中で起こっていることを評価する口座です。「資産」として評価されるのは、「心から、相手に幸せであってほしい、と願う気持ち」を持っていること。ただ、それだけだと考えてください。いいですか? 大事なのは、その気持ちを「持っている」ということです。「見せる」ということでもないし、「誇示する」ことでもない。まして、何かのために「持っているように振る舞う」ことでもありません。
AKI でも、人は、ただ「持っている」だけでは満足できなくなりますよね。
哲雄 ハイ。きわめてしばしば、満足できなくなります。
AKI ホラホラ、私、こんなにあなたの幸せを願ってるのよ――なんて、言いたくなっちゃったりして……。
哲雄 キミは、そのタイプだよね。
AKI ど、どうして、それを?
哲雄 だって、キミは言うではありませんか? ミーティング用のテーブルがちらかってたから、きれいに片づけときましたからね――とか、トイレの便器が汚れてたから、トイレクイックルで拭いときましたからね――とか、さも自慢げにさ。
AKI エーッ、私、自慢げになんてしてませんけどォ……。
哲雄 でも、言っちゃうでしょ? 何も言わなくても、テーブルがきれいになってれば、「ああ、AKIクンがやってくれたんだな。気の利くいい子だな」って思うのに、「やっときましたからね」なんて言われると、「なんだ、その恩着せがましい態度は……」と思ってしまう。せっかく、「心の資産」になりそうだったものが、「やってあげたわよ」と口にしたとたんに、「資産」勘定から、「快楽」勘定に振り替えられてしまうんだ。キミの心の中で、こんなふうにね。
AKI クーッ、惜しいことしたなぁ。
哲雄 これが、「心の資産」を作るための第1のポイント。まとめると、こうなります。
「心の資産」を作る7か条
《第1条》
あなたの右手がしている「いいこと」を
左手に知らせてはいけません。
AKI つまり、「いいこと」をしていると思わずに「いいこと」をしなさい、ということですか?
哲雄 ほんとの「いいこと」はさ、自分でも「いいことしている」なんて意識しないまま、自然ににじみ出てくるものだと思うんだよ、ごく自然にね。夏の暑い日、寝ている子どもを団扇であおぐお母さんの手、みたいに。
AKI 確かに、お母さんの手は、無意識のうちに動いてるでしょうね。でもね、哲ジイ。そんなふうに「いいこと」が、心の奥から、それと意識もしないで、自然にあふれ出てくるって人、そんなにはいませんよ。
哲雄 ハイ、私もそう思います。この私だって、できません。まれに、右手で原稿を書きながら、無意識のうちに左手がオッパイに――なんてことが、昔はありましたけどね。
AKI それ、違うでしょ! それは「いいこと」じゃなくて、「エッチいこと」。でも、哲ジイもできないってなると、この《第1条》を実行するのは、なかなかむずかしいですねェ。
哲雄 これは、「実行しよう」なんて力んじゃダメなんだ。力んでしまうと、やっぱり、「いいこと」を意識することになるからね。どうしても、「私、いいことしてる」と意識してしまうって人は、次のことを心がければいいと思います。
AKI 「いいこと」したと思うと、どうしても「よくやったね」とホメられたくなったり、「ありがとう」と感謝されたくなったりしてしまいますものね。でも、それはダメなんですね?
哲雄 人間だからねェ。どうしても、そういうものが欲しくなっちゃうんだよね。でもね、「よくやった」という賞賛(これも「評価」の一種です)も、「ありがとう」という感謝も、受け取った瞬間に、それは「快楽」となってしまいます。そっとやった「いいこと」の資産価値は、「ありがとう」という「報酬」を受け取ったとたんに、「快楽」と相殺されて「0」になってしまうわけです(下図参照)。私は、これが嫌い。
AKI エッ、嫌いって?
哲雄 何かやったときに、大げさにお礼をもらったり、感謝されたりするのが、嫌いなんです。わかりませんか? 友だちなんだから「当たり前」と思ってやったことに、「いやぁ、こないだはありがとう」と頭を下げられたり、お礼をもらっちゃったりすると、やったことが台無しになるような気がするし、もう、そいつとは友だちじゃなくなったような気がして、悲しくなるんだよね。
AKI あ、それ、何となくわかります。でも、哲ジイ、世の中には、「何よ、あの子。私がせっかくしてあげたのに、ありがとうのひとつもないのよ」なんて言い出す人、多いですよ。
哲雄 多いですねェ。でも、これは、「心の資産」を作るという観点から見ると最悪。「ありがとうのひとつもない」と心に思った時点で、この人は「負債」を心に貯め込んでしまうことになります。仕訳するとこうなりますね。
AKI 「資産」どころか「負債」を残すことになるわけですね。
哲雄 この「負債」というのは、「人への非難の気持ち」という「負債」です。これは、あとあとまで残ってしまうんですよね。よく、ドラマなんかに出てきますよね。毎日、亭主のためにごはんを作っている妻が、「こうして毎日、ごはんを作っても、あなたはおいしいのひと言も言ってくれない」とキレてしまうシーン。言わないほうにも問題ありだけど、それを不満として口にする妻にも問題あり。
AKI なんか、私も言っちゃいそうな気がする。
哲雄 世の中が、そういう方向に動いてきたからね、ずっと。
AKI そういう方向って?
哲雄 人間の行動を「評価」によって縛ろうとする方向です。教育や職場が「評価」重視の方向に進んで、だんだん、「評価」を与えられないと自分の存在価値がないように感じる人間が増えてしまった。ほんとはさ、亭主のためにメシを作るなんて行動は、愛があれば自然ににじみ出てくるものであって、「評価」の対象とすべきものではないと思うんだけどね、私は。
AKI でも、「おいしい」ぐらい、言ってくれてもいいような気がするけど。
哲雄 ああ、情けない。食べてる人の顔や様子を見てたら、「うまい」と思ってるかどうかぐらい、わかるでしょ。それを察する能力を失っちゃあ、もう、霊長類とは言えないね。話がちょっとそれちまったけど、こうして、「評価」や「感謝」を期待する、あるいはそれを気にするという精神構造からは、「心の資産」は生まれない。他人に対しても、自分に対してもね。
AKI エッ!? 自分に対してもなの?
哲雄 実は、そっちのほうが大きいかもしれない。その話は、また次回。自分で自分を評価してはいけない、という話をします。
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哲雄 ハイ。きわめてしばしば、満足できなくなります。
AKI ホラホラ、私、こんなにあなたの幸せを願ってるのよ――なんて、言いたくなっちゃったりして……。
哲雄 キミは、そのタイプだよね。
AKI ど、どうして、それを?
哲雄 だって、キミは言うではありませんか? ミーティング用のテーブルがちらかってたから、きれいに片づけときましたからね――とか、トイレの便器が汚れてたから、トイレクイックルで拭いときましたからね――とか、さも自慢げにさ。
AKI エーッ、私、自慢げになんてしてませんけどォ……。
哲雄 でも、言っちゃうでしょ? 何も言わなくても、テーブルがきれいになってれば、「ああ、AKIクンがやってくれたんだな。気の利くいい子だな」って思うのに、「やっときましたからね」なんて言われると、「なんだ、その恩着せがましい態度は……」と思ってしまう。せっかく、「心の資産」になりそうだったものが、「やってあげたわよ」と口にしたとたんに、「資産」勘定から、「快楽」勘定に振り替えられてしまうんだ。キミの心の中で、こんなふうにね。

AKI クーッ、惜しいことしたなぁ。
哲雄 これが、「心の資産」を作るための第1のポイント。まとめると、こうなります。

《第1条》
あなたの右手がしている「いいこと」を
左手に知らせてはいけません。
AKI つまり、「いいこと」をしていると思わずに「いいこと」をしなさい、ということですか?
哲雄 ほんとの「いいこと」はさ、自分でも「いいことしている」なんて意識しないまま、自然ににじみ出てくるものだと思うんだよ、ごく自然にね。夏の暑い日、寝ている子どもを団扇であおぐお母さんの手、みたいに。
AKI 確かに、お母さんの手は、無意識のうちに動いてるでしょうね。でもね、哲ジイ。そんなふうに「いいこと」が、心の奥から、それと意識もしないで、自然にあふれ出てくるって人、そんなにはいませんよ。
哲雄 ハイ、私もそう思います。この私だって、できません。まれに、右手で原稿を書きながら、無意識のうちに左手がオッパイに――なんてことが、昔はありましたけどね。
AKI それ、違うでしょ! それは「いいこと」じゃなくて、「エッチいこと」。でも、哲ジイもできないってなると、この《第1条》を実行するのは、なかなかむずかしいですねェ。
哲雄 これは、「実行しよう」なんて力んじゃダメなんだ。力んでしまうと、やっぱり、「いいこと」を意識することになるからね。どうしても、「私、いいことしてる」と意識してしまうって人は、次のことを心がければいいと思います。
AKI 「いいこと」したと思うと、どうしても「よくやったね」とホメられたくなったり、「ありがとう」と感謝されたくなったりしてしまいますものね。でも、それはダメなんですね?
哲雄 人間だからねェ。どうしても、そういうものが欲しくなっちゃうんだよね。でもね、「よくやった」という賞賛(これも「評価」の一種です)も、「ありがとう」という感謝も、受け取った瞬間に、それは「快楽」となってしまいます。そっとやった「いいこと」の資産価値は、「ありがとう」という「報酬」を受け取ったとたんに、「快楽」と相殺されて「0」になってしまうわけです(下図参照)。私は、これが嫌い。

AKI エッ、嫌いって?
哲雄 何かやったときに、大げさにお礼をもらったり、感謝されたりするのが、嫌いなんです。わかりませんか? 友だちなんだから「当たり前」と思ってやったことに、「いやぁ、こないだはありがとう」と頭を下げられたり、お礼をもらっちゃったりすると、やったことが台無しになるような気がするし、もう、そいつとは友だちじゃなくなったような気がして、悲しくなるんだよね。
AKI あ、それ、何となくわかります。でも、哲ジイ、世の中には、「何よ、あの子。私がせっかくしてあげたのに、ありがとうのひとつもないのよ」なんて言い出す人、多いですよ。
哲雄 多いですねェ。でも、これは、「心の資産」を作るという観点から見ると最悪。「ありがとうのひとつもない」と心に思った時点で、この人は「負債」を心に貯め込んでしまうことになります。仕訳するとこうなりますね。

AKI 「資産」どころか「負債」を残すことになるわけですね。
哲雄 この「負債」というのは、「人への非難の気持ち」という「負債」です。これは、あとあとまで残ってしまうんですよね。よく、ドラマなんかに出てきますよね。毎日、亭主のためにごはんを作っている妻が、「こうして毎日、ごはんを作っても、あなたはおいしいのひと言も言ってくれない」とキレてしまうシーン。言わないほうにも問題ありだけど、それを不満として口にする妻にも問題あり。
AKI なんか、私も言っちゃいそうな気がする。
哲雄 世の中が、そういう方向に動いてきたからね、ずっと。
AKI そういう方向って?
哲雄 人間の行動を「評価」によって縛ろうとする方向です。教育や職場が「評価」重視の方向に進んで、だんだん、「評価」を与えられないと自分の存在価値がないように感じる人間が増えてしまった。ほんとはさ、亭主のためにメシを作るなんて行動は、愛があれば自然ににじみ出てくるものであって、「評価」の対象とすべきものではないと思うんだけどね、私は。
AKI でも、「おいしい」ぐらい、言ってくれてもいいような気がするけど。
哲雄 ああ、情けない。食べてる人の顔や様子を見てたら、「うまい」と思ってるかどうかぐらい、わかるでしょ。それを察する能力を失っちゃあ、もう、霊長類とは言えないね。話がちょっとそれちまったけど、こうして、「評価」や「感謝」を期待する、あるいはそれを気にするという精神構造からは、「心の資産」は生まれない。他人に対しても、自分に対してもね。
AKI エッ!? 自分に対してもなの?
哲雄 実は、そっちのほうが大きいかもしれない。その話は、また次回。自分で自分を評価してはいけない、という話をします。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
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