第123夜☆「失恋」は人生最大の「財産」である?
第123夜
「過去恋愛」を、思い出すさえ苦痛な「負債」としてしまうか、貴重な教訓や思い出を残してくれた「資産」とするか――人生の「幸福感」はそれで決まる、というのが今回の話。長住考案の「人生帳簿」も登場する今回のトークは、ちょっと見逃せません――。
【今回のキーワード】 失恋 幸福感 複式帳簿
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AKI もはや、思い出だけで生きている哲ジイは、恋愛に関しては「生ける屍(しかばね)」ですよね。あ、もしかして……もう、化石になっちゃってる?
哲雄 キミ、それは失敬でしょ。いまでも、恋はし続けていますよ、ライブで。
AKI わかった。こないだ、レジでエコポイントをサービスしてくれた……。
哲雄 ダイエーの正能さん? あれは、ただ、ご親切に感動しただけで。
AKI あ、そうか。こないだ、ネクタイを「ステキ」とほめてくれた……。
哲雄 ドトールの金子さん? あれは、ちょっと、巨乳のくせにかわいい――と言っただけで、他意はございません。
AKI ハハァ……例のライブハウスでピアノを弾いている、えーと……。
哲雄 ストップ。その名前を言ってはダメ。
AKI フーン、フラれたんだ。
哲雄 違いますッ! 何も始まってないから、終わってもいない、そういう関係です。
AKI 世間では、そういうのを「フラれた」と言うんです。それで? 哲ジイは、そういう実らなかった恋をどう処理してるんですか? 「失った恋」も財産にしてしまうんでしょ、哲ジイは?
哲雄 失恋こそ、人生最大の財産である!
AKI またまた、ミエ張っちゃって……。どうすれば、失恋を「財産」にできるのか、ぜひ、そのレシピを伺いたいものですわ。
哲雄 レシピ不要。ただ、いい思い出だけを残す。そして、「She made me learned very well」と、こう思えばよろしいわけです。
AKI すみません、ジャパニーズ、プリーズ。
哲雄 彼女を通して、ボクは貴重なことを学ばせてもらった――そう思えばいい、ということです。
AKI それは、よほどハイブローな女性に恋をした場合のお話ですよね。
哲雄 いいえ、どんな女性からも学べないものはありません。
AKI ほんと?
哲雄 たとえば、「ヘーッ、ケータイの絵文字って、そうやって打ち込むんだぁ」とか、「フーン、KYって、空気読めないってことなんだぁ」とかね。そういうことは、別にハイブローでなくても、学ばせていただけます。
AKI あの……もしもし。私、哲ジイの交遊関係がわからなくなりました。それって、どういう方から学ばせていただいてるんですか? まさか、哲ジイ、エンコーとかしてないでしょうね?
哲雄 ほんの一例です。どんな女性からも学べないことはない――という一例として、お話しただけです。ほんとは、もっと心に響くようなことを学んでるんですよ。
AKI さわりだけでいいから、ちょっと聞かせてくださいよぉ~。
哲雄 ウーン。じゃ、わかりやすいやつを一席。一時期、私は16ほど歳の離れた女性とおつき合いしていたことがありました。
AKI ハイ、存じてますよ。8年つき合った挙句に、他の男にかっさらわれたという、例の彼女でしょ?
哲雄 何度も言うけど、かっさらわれたわけじゃない。そういう言い方をする人は、けっして「失った恋」を「財産」にすることなんてできないでしょうね。で、その彼女は、ディズニーランドが大好きだったんだけど、私は、ああいう商魂まる出しの施設は、醜悪きわまりないと思っていて、彼女が「行きた~い」と言うたびに、マユを曇らせておりました。ま、最終的には、おつき合いするんだけどね。その彼女が言うわけです。
AKI ホォ、なんと?
哲雄 「正しいかどうか」を判断するあなたの思慮の深さは、いつも尊敬してる。「でもね……」とおっしゃるわけですよ。バカな女の子が、たまの休みにバカなことして楽しみたいと思ってる、そんなときぐらいは、「しょうがないなぁ」と苦笑いしながらでも、そのバカさにつき合ってやろうってくらいの懐の深さを見せてほしかった――って。
AKI それを16下の女の子に言われちゃったんですか?
哲雄 言われちゃったんだねェ。いい年こいて。あちャーてなもんですよ。
AKI それが、哲ジイの財産になった?
哲雄 あのね、誤解しないでほしいんだけど、私が「財産」と言っているのは、「何か役に立つこと」とか「教訓になること」を学んだ――って意味じゃないんだよ。
AKI そ、そうなの? じゃ、すごくつまらないことでもいいの? たとえば、私が哲ジイに、「目玉焼きを白身だけ先に食べるのは止めて」と言ったとしても、そういうことも「財産」のひとつになるわけ?
哲雄 私、そんな食べ方してますか?
AKI してます。前からすごく気になってたんです。
哲雄 だとしたら、ま、そういうことを指摘された――ってことも、ひとつの「財産」になるでしょうね。でもね、「財産」になるのは、言葉そのものじゃないんだよ。
AKI エッ、どういうこと?
哲雄 言われたことの内容を「財産」にするんだったら、別に、恋愛なんかしないで、相田みつをの名言集とかを集めてればいいわけで、大事なのはそれじゃない。そんな、心に響く言葉も交わし合ったなぁ――という、その歴史。ふたりの関係が残した文化。それこそが、私の「財産」になるわけです。
AKI さっき、彼女を通して学ばせたもらった――と言いましたよね。
大事なのは、「学ばせてもらった内容」ではなくて、
「学ばせてもらった」っていうこと、それ自体なんですね。
哲雄 そのとおり。そういう関係を結べた、ということが、何物にも代えがたい「財産」になる、ということなんです。ところがね、人生でそういう「財産」を築けない人は、その「何を」のほうにとらわれてしまう。
AKI カレからは何も学べなかったわ――とかですか? もっとひどい人もいるかもしれない。「あいつ、口を開けばバカなことしか言わなかった。ほんと、別れてよかったわ、あんなバカ男!」なんて言ってる子、いますもの。
哲雄 そういう人は、別に恋愛に限らず、人生で「財産」を残すってことができないでしょうね。あのね、これから大事な話をするんだけど、人生って、複式帳簿みたいなもんだと思うんだよ。
AKI また、むずかしい話になりそうですよ。
哲雄 いや、理屈は簡単。複式帳簿は、「資産」と「負債」、「損失」と「収益」、それに「資本」という5つの要素からできていて、常に、「資産+損失」と「負債+収益+資本」がイコールになるように作られてるんだよね。でね、人生の帳簿も似たようなもので、ただし、こっちの場合は、「損失」の代わりに「快楽」、「収益」の代わりに「苦痛」、「資本」の代わりに「幸福感」という概念を置きます。
AKI ウッ、なんだかむずかしそう。
哲雄 と思ったので、図にしてみました。ジャーン! これが、長住哲雄考案「人生帳簿の貸借対照表」です。
AKI ホウホウ。なんとなくわかる気がします。これによると、「資産」と「快楽」が大きくて、「負債」と「苦痛」が小さいほど、「幸福感」は大きくなるってことになりますよね。
哲雄 さすが、AKIクン。小学校を出ただけのことはある。
AKI 失礼な! ちゃんと高校までは出てます!
哲雄 いま、キミが言ったとおり、「幸福感」は、「資産+快楽」が大きく、「負債+苦痛」が小さいほど、大きくなります。ところがね、人はしばしば、「負債」や「苦痛」を大きくして、「資産」や「快楽」を小さくしてしまうような行動を取ってしまう。下手すると、「幸福感」がマイナスになってしまう。マイナスの「幸福感」は図の左下に移って、「不幸感」という勘定になってしまいます。
AKI それ、具体的な例で言わないと、わからないかも。
哲雄 そうだね。次回から何回かにわたって、どうすれば「幸福感」を高めることができるかを、具体的な例に沿って、解説することにしましょう。
AKI それ、すごく知りたいですゥ。
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AKI すみません、ジャパニーズ、プリーズ。
哲雄 彼女を通して、ボクは貴重なことを学ばせてもらった――そう思えばいい、ということです。
AKI それは、よほどハイブローな女性に恋をした場合のお話ですよね。
哲雄 いいえ、どんな女性からも学べないものはありません。
AKI ほんと?
哲雄 たとえば、「ヘーッ、ケータイの絵文字って、そうやって打ち込むんだぁ」とか、「フーン、KYって、空気読めないってことなんだぁ」とかね。そういうことは、別にハイブローでなくても、学ばせていただけます。
AKI あの……もしもし。私、哲ジイの交遊関係がわからなくなりました。それって、どういう方から学ばせていただいてるんですか? まさか、哲ジイ、エンコーとかしてないでしょうね?
哲雄 ほんの一例です。どんな女性からも学べないことはない――という一例として、お話しただけです。ほんとは、もっと心に響くようなことを学んでるんですよ。
AKI さわりだけでいいから、ちょっと聞かせてくださいよぉ~。
哲雄 ウーン。じゃ、わかりやすいやつを一席。一時期、私は16ほど歳の離れた女性とおつき合いしていたことがありました。
AKI ハイ、存じてますよ。8年つき合った挙句に、他の男にかっさらわれたという、例の彼女でしょ?
哲雄 何度も言うけど、かっさらわれたわけじゃない。そういう言い方をする人は、けっして「失った恋」を「財産」にすることなんてできないでしょうね。で、その彼女は、ディズニーランドが大好きだったんだけど、私は、ああいう商魂まる出しの施設は、醜悪きわまりないと思っていて、彼女が「行きた~い」と言うたびに、マユを曇らせておりました。ま、最終的には、おつき合いするんだけどね。その彼女が言うわけです。
AKI ホォ、なんと?
哲雄 「正しいかどうか」を判断するあなたの思慮の深さは、いつも尊敬してる。「でもね……」とおっしゃるわけですよ。バカな女の子が、たまの休みにバカなことして楽しみたいと思ってる、そんなときぐらいは、「しょうがないなぁ」と苦笑いしながらでも、そのバカさにつき合ってやろうってくらいの懐の深さを見せてほしかった――って。
AKI それを16下の女の子に言われちゃったんですか?
哲雄 言われちゃったんだねェ。いい年こいて。あちャーてなもんですよ。
AKI それが、哲ジイの財産になった?
哲雄 あのね、誤解しないでほしいんだけど、私が「財産」と言っているのは、「何か役に立つこと」とか「教訓になること」を学んだ――って意味じゃないんだよ。
AKI そ、そうなの? じゃ、すごくつまらないことでもいいの? たとえば、私が哲ジイに、「目玉焼きを白身だけ先に食べるのは止めて」と言ったとしても、そういうことも「財産」のひとつになるわけ?
哲雄 私、そんな食べ方してますか?
AKI してます。前からすごく気になってたんです。
哲雄 だとしたら、ま、そういうことを指摘された――ってことも、ひとつの「財産」になるでしょうね。でもね、「財産」になるのは、言葉そのものじゃないんだよ。
AKI エッ、どういうこと?
哲雄 言われたことの内容を「財産」にするんだったら、別に、恋愛なんかしないで、相田みつをの名言集とかを集めてればいいわけで、大事なのはそれじゃない。そんな、心に響く言葉も交わし合ったなぁ――という、その歴史。ふたりの関係が残した文化。それこそが、私の「財産」になるわけです。
AKI さっき、彼女を通して学ばせたもらった――と言いましたよね。
大事なのは、「学ばせてもらった内容」ではなくて、
「学ばせてもらった」っていうこと、それ自体なんですね。
哲雄 そのとおり。そういう関係を結べた、ということが、何物にも代えがたい「財産」になる、ということなんです。ところがね、人生でそういう「財産」を築けない人は、その「何を」のほうにとらわれてしまう。
AKI カレからは何も学べなかったわ――とかですか? もっとひどい人もいるかもしれない。「あいつ、口を開けばバカなことしか言わなかった。ほんと、別れてよかったわ、あんなバカ男!」なんて言ってる子、いますもの。
哲雄 そういう人は、別に恋愛に限らず、人生で「財産」を残すってことができないでしょうね。あのね、これから大事な話をするんだけど、人生って、複式帳簿みたいなもんだと思うんだよ。
AKI また、むずかしい話になりそうですよ。
哲雄 いや、理屈は簡単。複式帳簿は、「資産」と「負債」、「損失」と「収益」、それに「資本」という5つの要素からできていて、常に、「資産+損失」と「負債+収益+資本」がイコールになるように作られてるんだよね。でね、人生の帳簿も似たようなもので、ただし、こっちの場合は、「損失」の代わりに「快楽」、「収益」の代わりに「苦痛」、「資本」の代わりに「幸福感」という概念を置きます。
AKI ウッ、なんだかむずかしそう。
哲雄 と思ったので、図にしてみました。ジャーン! これが、長住哲雄考案「人生帳簿の貸借対照表」です。

AKI ホウホウ。なんとなくわかる気がします。これによると、「資産」と「快楽」が大きくて、「負債」と「苦痛」が小さいほど、「幸福感」は大きくなるってことになりますよね。
哲雄 さすが、AKIクン。小学校を出ただけのことはある。
AKI 失礼な! ちゃんと高校までは出てます!
哲雄 いま、キミが言ったとおり、「幸福感」は、「資産+快楽」が大きく、「負債+苦痛」が小さいほど、大きくなります。ところがね、人はしばしば、「負債」や「苦痛」を大きくして、「資産」や「快楽」を小さくしてしまうような行動を取ってしまう。下手すると、「幸福感」がマイナスになってしまう。マイナスの「幸福感」は図の左下に移って、「不幸感」という勘定になってしまいます。
AKI それ、具体的な例で言わないと、わからないかも。
哲雄 そうだね。次回から何回かにわたって、どうすれば「幸福感」を高めることができるかを、具体的な例に沿って、解説することにしましょう。
AKI それ、すごく知りたいですゥ。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
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