第122夜☆「過去を捨てられない男」と「明日にすがりつく女」
第122夜
男の未練は「後悔」に引き戻され、女の未練は「希望」に引き伸ばされる――前回の話に引き続き、今回も未練の話。なぜ、男女の「過去恋」に対するスタンスがこんなにも違うのかを、男と女の生殖機能の違いから解説します。結論! 男は牧場主、女はDNAハンター。その意味は?――
【今回のキーワード】 未練 DNA 結婚詐欺
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哲雄 女は「未完成の恋」にいつまでも引きずられるけど、男は「失った恋」をいつまでも引きずる――という話をしたんだよね、前回。
AKI 女の未練は「希望」に引き伸ばされるけど、男の未練は「後悔」に引き戻される――という結論でした。なぜ、そうなるのか? 今回は、哲ジイの「後悔」の中身を、事業仕分けしてみたいと思います。えーと、哲ジイの「未練帳簿」を見ると、「未練残高」がいちばん多いのは、「霧子」ってことになっておりますが、これは?
哲雄 ハイ、実は、その方とは、あのとき、お酒を飲みすぎて、結局、あれができなくて……って、なんで、私が仕分けられなきゃいけないの? そうじゃなくて、どうして男と女で未練の形が違うのか? 今回は、その話をするんでしょ?
AKI 過去を捨てられない男と、明日にすがりつく女――の違いですね。
哲雄 オッ、いいね。そのコピー、もらった。でね、その違いなんだけど、ひとつには、これは、男と女の生殖における機能の違いと関係があるのではないか――と、私は思っているんですよ。
AKI 精子と卵子の違いですか?
哲雄 前にも言ったと思うけど(第4夜『オスはバラ撒き、ツルは売春する』参照)、オスは精子をバラ撒くしか、自分のDNAを後世に残す方法がないんだよね。その精子が無事、卵子と合体できる確率なんて、天文学的な数字になってしまう。だから、オスは本能的に、精子を撒く農場は、できるだけ広範に確保しておこうとする。
AKI だから、昔の女もとっておく? いつか、種まきできるかもしれないから?
哲雄 ああ、あの畑には、まだ種まいてなかったなぁ……とか、ちょっとしか撒いてなかったなぁ、ほったらかしにして荒れちゃってたらかわいそうだなぁ……とか思いながらね。
AKI なんか、勝手な理屈のような気もしますけど……。
哲雄 勝手ですよ。こと恋愛に関しては、男も、女も、それぞれ勝手な理屈で動いてます。そのおたがいの「勝手」を理解しないことには、恋愛は始まりません。
AKI ま、そう言えばそうですわね。男の「勝手」は、その「精子バラ撒き」本能。だから、過去が捨てられない? 理由は、それだけですか?
哲雄 もうひとつ。これも、私の推論ですが、「食料備蓄本能」みたいなものもあるんじゃないか、と思います。
AKI 備蓄? まさか、女も「備蓄」するなんて言うんじゃないでしょうね?
哲雄 その、まさかです。
AKI ウソーッ!!
哲雄 狩猟・採集時代の人類の生活では、食料を確保してくるのは、男の役割でしたよね。そりゃ、いつでもコンスタントに狩りができればいいけど、雨だって降るだろうし、日照りが続くことだってあるかもしれない。いったん手にした獲物は、なんとしてもキープしておかなくちゃならない。一度に食いきれないと思ったら、生きたまま柵の中に囲い込んで、いつかビーフシチューにする日まで生かしておこう――と思ったかもしれないでしょ。
AKI 冷凍技術もない時代ですからね。ま、それもわからないじゃない。
哲雄 つまり、
男は、農場主であり、牧場主でもある
――という性質を持っているわけで、その性質は、恋愛の世界でもいかんなく発揮されるわけですねェ。
AKI べ、別に、「いかんなく」でなくてもいいような気がしますが……。
哲雄 じゃ、ま、「いい感じに」とでもしておきましょうか。それでね、特に問題なのは、この牧場主気質なんだけど……。
AKI わかった。つき合った女に烙印を押しまくるんだ。「この女、オレのもの。ごらくい~ん」なんちって……。
哲雄 それは「ご落胤」。「烙印」はみんなに見せるために押すけど、「落胤」はひっそりと隠す。ああ、もう……なんか、話それちゃったじゃないか。問題はね、そういうことじゃなくて、牧場主ってのは、ヘンな性質を持ってる。柵の中で草を食んでる多くのメスよりも、柵の外に逃げ出したメスが1頭でもいると、そっちのほうに気を取られてしまうんですねェ、これが。
AKI 釣り逃した魚は大きいっていいますものね。
哲雄 そのたとえは、不適切だと思います。大きかろうが、小さかろうが、気にします。なぜなら、牧場主は、自分のテリトリー(なわばり)を守ることを最大の使命と感じているので、そのテリトリーを破って逃げ出したメスが1頭でもいると、必死になってその1頭を連れ戻そうとするんだよね。
AKI その「逃げ出した1頭」が「失った恋」ってわけっすか? 男はみんな、そんな牧場を持ってるのかなぁ。
哲雄 心の中にね。たとえ、自分の元を離れた女であっても、その「心の牧場」の中にはちゃんと囲い込んであって、いつまでも手綱を握っている気分でいたいんだと思うよ。
AKI 新しい男ができても?
哲雄 その新しい男との恋模様も、自分の牧場の中で演じられてるホームドラマぐらいにしか思ってないんだよね。ヘタすると、その「新しい男」に、「あいつ、ああ見えても××なところがあるから、気をつけてやれよ」と、先輩風吹かせたがったりする。
AKI ウワッ、それはカンベンしてほしいですよね。新しい男、キレちゃいますよ。
哲雄 分別のある牧場主は、そこまではしません。心の中では、多かれ少なかれ、思っているにしてもね。一方、女のほうはと言うと……。
AKI ハイハイ、そこが聞きたかったんです。女は、「未完成の恋」「叶わぬ恋」に引きずられるとおっしゃいましたよね。
哲雄 ハイ、そこにほんのちょっぴりの希望でも残っていれば、女はその「明日」に賭ける、と言いました。それはね、
実は、女が「DNAハンター」だからではないか
――と、私は思うのです。
AKI エーッ!? DNAハンター? 何すか、それ?
哲雄 女は、一度にたったひとつの卵子しか製造しない生きものです。その希少な卵子の受精チャンスを、つまらない精子のためにムダにしたくはない。だから、常に相手を選別する。この話は、前にもしたと思います。
AKI ハイ、確か、第112夜ですね。『男の浮気は「保険」、女の浮気は「投資」』の中で、そんな話をした記憶が……。女は、常に、もっと優秀な遺伝子が欲しいという潜在的欲求を持っている、とうかがった気がします。
哲雄 そこで、いったん「この人のDNAが欲しい」となったら、女は、男みたいに「ここにもちょっと種撒いとくか」ってわけにはいかないので、その可能性に賭けるわけですね。たとえ、その可能性がわずか数パーセントであったとしても……。
AKI つまり、明日にすがりつくわけですね。その可能性がきわめて低いにもかかわらず、すがりついている状態が、女の未練の正体だって話でしたよね。
哲雄 しかも、女性はしばしば、可能性と単なる幻想との境界を見誤ります。見誤るので、「ヨンさまツアー」まで決行したりする。ああいう行動、決して男はとりません。
AKI そう言えば、男が「チェ・ジウ・ツアー」に出かけたなんて話、聞きませんものね。
哲雄 結婚詐欺にかかるのも、どちらかというと、女のほうが多いでしょ? 悪党たちは、女性の目の前に、「私は、こんな優秀なDNAを持ってますよ」をチラつかせて、それを、「将来の夢」という形で見せたりして、ハンター本能をくすぐるわけです。
AKI ウーン、女の未練のほうがキケンかもしれませんね。
哲雄 そのキケン性を薄々知っているので、女性は「こりゃダメだ」となったら、きれいさっぱり、未練の元を断ち切ってしまうわけです。いったん「初期設定」に戻してしまったら、男みたいに、中途半端な「焼けぼっくい」を残したりしません。
AKI ハイ、私も残しません。昔の恋人と会ってエッチするかどうかは、そこで分かれるわけだ。男はしたがるけど、女はあまりしませんよね。「ダメ。私たちはもう終わったのよ」って、心を鬼にして言いますもの。
哲雄 ホント? ほんとにしてない?
AKI してませんッ! 美しい思い出だけはとっておきますけど。
哲雄 美しい思い出ねェ。そこがまた、問題なんだよねェ。人は「失った恋」をいかにして、自分の財産にできるか? 次回は、その話をしましょう。
AKI もはや、思い出しか残されてない哲ジイの話、楽しみにしてますわ。
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哲雄 ああ、あの畑には、まだ種まいてなかったなぁ……とか、ちょっとしか撒いてなかったなぁ、ほったらかしにして荒れちゃってたらかわいそうだなぁ……とか思いながらね。
AKI なんか、勝手な理屈のような気もしますけど……。
哲雄 勝手ですよ。こと恋愛に関しては、男も、女も、それぞれ勝手な理屈で動いてます。そのおたがいの「勝手」を理解しないことには、恋愛は始まりません。
AKI ま、そう言えばそうですわね。男の「勝手」は、その「精子バラ撒き」本能。だから、過去が捨てられない? 理由は、それだけですか?
哲雄 もうひとつ。これも、私の推論ですが、「食料備蓄本能」みたいなものもあるんじゃないか、と思います。
AKI 備蓄? まさか、女も「備蓄」するなんて言うんじゃないでしょうね?
哲雄 その、まさかです。
AKI ウソーッ!!
哲雄 狩猟・採集時代の人類の生活では、食料を確保してくるのは、男の役割でしたよね。そりゃ、いつでもコンスタントに狩りができればいいけど、雨だって降るだろうし、日照りが続くことだってあるかもしれない。いったん手にした獲物は、なんとしてもキープしておかなくちゃならない。一度に食いきれないと思ったら、生きたまま柵の中に囲い込んで、いつかビーフシチューにする日まで生かしておこう――と思ったかもしれないでしょ。
AKI 冷凍技術もない時代ですからね。ま、それもわからないじゃない。
哲雄 つまり、
男は、農場主であり、牧場主でもある
――という性質を持っているわけで、その性質は、恋愛の世界でもいかんなく発揮されるわけですねェ。
AKI べ、別に、「いかんなく」でなくてもいいような気がしますが……。
哲雄 じゃ、ま、「いい感じに」とでもしておきましょうか。それでね、特に問題なのは、この牧場主気質なんだけど……。
AKI わかった。つき合った女に烙印を押しまくるんだ。「この女、オレのもの。ごらくい~ん」なんちって……。
哲雄 それは「ご落胤」。「烙印」はみんなに見せるために押すけど、「落胤」はひっそりと隠す。ああ、もう……なんか、話それちゃったじゃないか。問題はね、そういうことじゃなくて、牧場主ってのは、ヘンな性質を持ってる。柵の中で草を食んでる多くのメスよりも、柵の外に逃げ出したメスが1頭でもいると、そっちのほうに気を取られてしまうんですねェ、これが。
AKI 釣り逃した魚は大きいっていいますものね。
哲雄 そのたとえは、不適切だと思います。大きかろうが、小さかろうが、気にします。なぜなら、牧場主は、自分のテリトリー(なわばり)を守ることを最大の使命と感じているので、そのテリトリーを破って逃げ出したメスが1頭でもいると、必死になってその1頭を連れ戻そうとするんだよね。
AKI その「逃げ出した1頭」が「失った恋」ってわけっすか? 男はみんな、そんな牧場を持ってるのかなぁ。
哲雄 心の中にね。たとえ、自分の元を離れた女であっても、その「心の牧場」の中にはちゃんと囲い込んであって、いつまでも手綱を握っている気分でいたいんだと思うよ。
AKI 新しい男ができても?
哲雄 その新しい男との恋模様も、自分の牧場の中で演じられてるホームドラマぐらいにしか思ってないんだよね。ヘタすると、その「新しい男」に、「あいつ、ああ見えても××なところがあるから、気をつけてやれよ」と、先輩風吹かせたがったりする。
AKI ウワッ、それはカンベンしてほしいですよね。新しい男、キレちゃいますよ。
哲雄 分別のある牧場主は、そこまではしません。心の中では、多かれ少なかれ、思っているにしてもね。一方、女のほうはと言うと……。
AKI ハイハイ、そこが聞きたかったんです。女は、「未完成の恋」「叶わぬ恋」に引きずられるとおっしゃいましたよね。
哲雄 ハイ、そこにほんのちょっぴりの希望でも残っていれば、女はその「明日」に賭ける、と言いました。それはね、
実は、女が「DNAハンター」だからではないか
――と、私は思うのです。
AKI エーッ!? DNAハンター? 何すか、それ?
哲雄 女は、一度にたったひとつの卵子しか製造しない生きものです。その希少な卵子の受精チャンスを、つまらない精子のためにムダにしたくはない。だから、常に相手を選別する。この話は、前にもしたと思います。
AKI ハイ、確か、第112夜ですね。『男の浮気は「保険」、女の浮気は「投資」』の中で、そんな話をした記憶が……。女は、常に、もっと優秀な遺伝子が欲しいという潜在的欲求を持っている、とうかがった気がします。
哲雄 そこで、いったん「この人のDNAが欲しい」となったら、女は、男みたいに「ここにもちょっと種撒いとくか」ってわけにはいかないので、その可能性に賭けるわけですね。たとえ、その可能性がわずか数パーセントであったとしても……。
AKI つまり、明日にすがりつくわけですね。その可能性がきわめて低いにもかかわらず、すがりついている状態が、女の未練の正体だって話でしたよね。
哲雄 しかも、女性はしばしば、可能性と単なる幻想との境界を見誤ります。見誤るので、「ヨンさまツアー」まで決行したりする。ああいう行動、決して男はとりません。
AKI そう言えば、男が「チェ・ジウ・ツアー」に出かけたなんて話、聞きませんものね。
哲雄 結婚詐欺にかかるのも、どちらかというと、女のほうが多いでしょ? 悪党たちは、女性の目の前に、「私は、こんな優秀なDNAを持ってますよ」をチラつかせて、それを、「将来の夢」という形で見せたりして、ハンター本能をくすぐるわけです。
AKI ウーン、女の未練のほうがキケンかもしれませんね。
哲雄 そのキケン性を薄々知っているので、女性は「こりゃダメだ」となったら、きれいさっぱり、未練の元を断ち切ってしまうわけです。いったん「初期設定」に戻してしまったら、男みたいに、中途半端な「焼けぼっくい」を残したりしません。
AKI ハイ、私も残しません。昔の恋人と会ってエッチするかどうかは、そこで分かれるわけだ。男はしたがるけど、女はあまりしませんよね。「ダメ。私たちはもう終わったのよ」って、心を鬼にして言いますもの。
哲雄 ホント? ほんとにしてない?
AKI してませんッ! 美しい思い出だけはとっておきますけど。
哲雄 美しい思い出ねェ。そこがまた、問題なんだよねェ。人は「失った恋」をいかにして、自分の財産にできるか? 次回は、その話をしましょう。
AKI もはや、思い出しか残されてない哲ジイの話、楽しみにしてますわ。

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