第117夜☆中島みゆきvsユーミン、歌われる「愛」の違い



 第117夜  
平成を代表する「恋唄」歌い、中島みゆきユーミン。今回は、このふたりの歌姫が歌い上げる「愛の歌」を解釈しながら、そこに込められた愛の性質がどう違うか――を分析していきます。みゆきファンも、ユーミン・ファンも、今回から3回にわたってお届けするトークを、どうぞお見逃しなく。あなたのご意見も、ぜひ、コメントしてくださいね――。

【今回のキーワード】 中島みゆき ユーミン
【リンク・キーワード】 恋愛小説 エロ オーガズム コミュニケーション 不倫

AKI 今回は、ユーミン的恋」「みゆき的恋」ってことで、話をするんでしたね。「ユーミン」と「みゆき」って、わたしたちの世代にとっては、二大「恋唄」歌いなんだけど、哲ジイでも、そう思うんですか?

哲雄 「でも……」とは失礼な。このふたりは、単に「恋唄」歌いなだけではなく、平成を代表する愛の語り部でもある、と思っているのですぞ、私は。あ、「みゆき」っていうのは「中島みゆき」ですからね。もちろん、「ユーミン」は、松任谷由実、昔は荒井由実って言ったけど……。

AKI わかりますよ、それくらい。

哲雄 で、どう思ったわけ? このふたりの恋愛観、どう違うと感じた?

AKI ウーン、簡単に言っちゃうと、ユーミンは明るい、みゆきは暗い……かな。でも、それだけじゃないような気もするの。どっちも「辛い恋」を歌ったりしてるんだけど、ユーミンは、そんな辛さはやり過ごせ、と言ってるような気がするし、みゆきは、辛さと闘え、と言ってるような気がする。

哲雄 ウン。「明るい」「暗い」で片づけられちゃ、ユーミンもみゆきも気の毒だからね。「辛さをやり過ごせ」と「辛さと闘え」は、いい指摘かもしれない。ちょっと、ふたりの詞を比べてみようか。著作権の関係もあるので、ごく一部しか引用できないんだけど、まずは、だれもが知っている、みゆきの代表作『かもめはかもめ』。《あきらめました あなたのことは》と歌い出したあとで、こんな歌詞が出てくるんだ。

 青空を渡るよりも
  見たい夢はあるけれど
  かもめはかもめ
  ひとりで空をゆくのがお似合い
   ――中島みゆき『かもめはかもめ』より


AKI これ、耳の奥に焼きつくくらい、聴いた歌詞ですよね。好きな男に振り向いてもらえない、その辛さを歌った曲……?

哲雄 振り向いてもらえないんじゃなくて、《あなたの望む 素直な女には はじめからなれない》。だから、この愛は破局するしかない、あきらめました――と言ってるんだと思うんだ。でね、そのあきらめたあとで、みゆきは、《かもめはかもめ 孔雀や鳩や ましてや 女にはなれない》と覚悟を決め、そして、決然と言い放つわけです。《ひとりで空をゆくのがお似合い》ってね。

AKI 悲壮と言えば、悲壮。やっぱり、闘うわけですね。

哲雄 闘うのは、何とだと思う?

AKI 「素直になれ」と望む男のわがまま?

哲雄 この歌詞の中では、そうとも取れるけど、私は、もっと大きいもののような気もする。というのも、みゆきの歌の中に出てくる登場人物というのは、必ずしも男に振られた女や、女に去られた男ばかりじゃない。たとえば、これもよく耳にする曲だと思うけど、『世情』という曲の中に出てくるのは、頑固者ゆえに世間と敵対し、悲しい思いをする学者なんだよね。

AKI それ、「シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく」とかいう歌詞が出てくる曲でしょ? なぜだか、そこだけ耳に残ってるんですよね。

哲雄 「シュプレヒコール」っていうのは、デモ隊が「安保粉砕!」とかやるあの叫び声のことなんだけど、みゆきは、《世の中はいつも変わっているから 頑固者だけが悲しい思いをする》と歌ったあとで、こんなことを言ってるんだよね。

 世の中はとても臆病な猫だから
  他愛のない嘘をいつもついている
  包帯のような嘘を見破ることで
  学者は世間を見たような気になる
   ――中島みゆき『世情』より


AKI なんか、すごいっすね、これ。みゆきが批判しようとしているのは、「いつも変わっていく世間」なんですね。

哲雄 両方だと思う。頑固者のほうは、《変わらないものを何かにたとえて その度崩れちゃ そいつのせいにする》と言って批判してるし、この詞の中で「世間」として登場する「シュプレヒコールの波」のほうは、《変わらない夢を流れに求めて 時の流れを止めて 変わらない夢を見たがる者たちと戦うために》と、こっちも批判してるように見える。

AKI つまり、こうですか? 「変わらないもの」を何かにたとえる頑固者も、「変わらない夢」を時代の流れに求める側、たぶん若者たちですよね、それは、どっちも違うんだよ――と?

哲雄 なんか、最近、AKIクン、さえてるねェ。私もそう思う。ほんとに「変わらないもの」は、他にあるだろう――と、みゆきは叫んでいるような気がする。

AKI 何ですか、それ?

哲雄 「愛」でしょ。それをもろに主張してる曲があるんだよね。『愛だけを残せ』って曲なんだけど、そこに、こんな歌詞が出てくる。

愛だけを残せ 壊れない愛を
  激流のような時の中で
  愛だけを残せ 名さえも残さず
   ――中島みゆき『愛だけを残せ』より


AKI なんだか、激しい口調ですね。

哲雄 というより、メッセージが直接的すぎるような気もするけど、何となく、みゆきの歌の根底にあるものが、見えるような気がするんだよね。そう。みゆきの歌には、すべての歌詞がそこへ帰っていく「原点」のようなものがある。常に変わらない「原点」。

AKI それが、「愛」だというわけですね。

哲雄 偽りのない愛、どんなに時代の波に洗われても変わらない愛――ってやつ。男と女の駆け引きの中では見えてこない「真実の愛」。みゆきは、たえずそれを希求して、目の前に現れてくる「愛のようなもの」を、「これは違う」「これも違う」と否定し、否定しては傷ついているような気がする。キミがもし、みゆきの歌を「暗い」と感じるとしたら、たぶん、そのせいかもしれないね。

AKI ユーミンにも、そんな「原点」があるのかなぁ。

哲雄 「真実の愛」を求めるっていうことでは、ユーミンもみゆきも共通してると思うんだけど、ユーミンの場合は、「原点」に帰ろうという意識よりも、「自分らしくあろう」という意識のほうが強いと思う。ユーミンの名前を一躍、有名にしたのは、バンバンのために作詞・作曲してヒットさせた『いちご白書をもう一度』だと思うけど、最近になって、この曲をセルフ・カヴァーしてるんだよね。で、それを見ると、当初は付いてなかった歌詞が付け加えられてる。

AKI 『いちご白書をもう一度』って、《いつか君といった 映画がまたくる》っていう、あの曲ですよね。

哲雄 そう、『いちご白書』というのは、学園紛争中のキャンパスを舞台にした、アメリカの青春映画なんだけど、ユーミン、当時の荒井由実も、たぶん、自分の学園でその洗礼を受けていると思うんだ。歌詞の内容は、学生時代にその映画を見て共感したふたりが、再びリバイバル上映される映画を、社会人になって見に行く――という設定。たぶん、ふたりは、自分たちがおとなになって社会に取り込まれて、もうあの頃みたいに純粋な気持ちではないのだと知るんだろうね、推測だけど。

AKI それで傷つくわけ?

哲雄 みゆきだと傷ついて、傷ついた自分を抱きかかえて生きていくことになるんだろうけど、ユーミンの場合は、《ふたりだけのメモリー どこかでもう一度》と、「メモリー化」してしまうんだね。でね、カヴァー・アルバムで付け加えられた歌詞ってのがこれ。

 For Myself For Myself
  幸せの形にこだわらずに
  人は自分を生きていくのだから
   ――荒井由実『いちご白書をもう一度』より


AKI 自分を生きていく? もしかしたら、変わったっていいじゃない、自分であれば……ってこと?

哲雄 ニュアンス的には近いね。「アイデンティティ」って言葉、聞いたことある?

AKI それって、前にも出てきましたよね。確か、「自分が自分であること」とかいう意味……?

哲雄 むずかしく言うと、「自己同一性」というんだけど、ユーミンの歌を貫いているのは、この「アイデンティティ」じゃないかと思うんだ。たぶん、ユーミン自身が自分の修行時代を思い起こして書いたのではないか……と思う『ピカデリー・サーカス』という曲があるんだけど、その中に、こんな歌詞が出てくる。

 今も探してる あの頃を
  戻らないけど 失くさない
  憧れの街
   ――松任谷由実『ピカデリー・サーカス』より


AKI ヘーッ、戻らないけど失くさないんだ……。

哲雄 ユーミンは、「戻る」という選択よりも、明日見る夢に賭けるんだろうね。ユーミンの曲の中にも「辛い恋」を歌ったんだろうな――と思う曲はいっぱいあるんだけど、たとえば『人魚姫の夢』って曲の中には、こんな歌詞が出てきます。

 いつか あなたはやって来る 深い涙の底へ
  私を目醒めさせるために
  やがて 薔薇色の朝になり あなたはささやくのよ
  哀しい夢だったと
  ――松任谷由実『人魚姫の夢』より


AKI やっぱり、明るい……。

哲雄 思うんだけど、中島みゆきの歌には泣かされるけど、ユーミンの歌にはチア・アップされる。それは、たぶん、歌を通して見せるふたりの愛し方の違いにもよるんじゃないかと思うんだよね。

AKI あ、それ、知りたいかも……。

哲雄 その話をしてると、朝になっちゃうから、また次回。この話、まだまだ続きますよ。


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