そのほんの小さな「崇拝」が、恋の着火剤
第116夜
「恋」と「恋愛」は違う――という前回の話に続いて、今回も「恋」の話。「恋」には相手への「崇拝」が必需品であるとする管理人が、その「崇拝」の中身を、事例を挙げて解説。パートナーAKI嬢をあきれさせてしまいます――。
【今回のキーワード】 マッチング ユーミン 中島みゆき
【リンク・キーワード】 エロ 恋愛小説 コミュニケーション オーガズム 不倫
AKI こないだから思ってるんですけど、哲ジイって、ムリな恋ばかりしてるんじゃございませんこと?
哲雄 「ムリ」というのは、成功の確率が低いか高いか……とか、そういうことを言ってるわけですか?
AKI ま、ハッキリ言うと、そういうことですかね。つまり、その……レベルの問題というか……。
哲雄 キミの言ってることは、あれですか? ホレるのどうのと言う前に、鏡で自分の顔を見てみろ――と。そういうことをおっしゃってるわけですか?
AKI いや……ま、そういうことも含めて、その……自分の身の丈に合った恋ってものがあるんじゃないか――と。
哲雄 ああ、つまんない。恋を語るにあたって、キミは、「身の丈」なんてことを考えるわけですか? たとえば、私レベルの女だと、このあたりが適当か……みたいなことを考えるわけ?
それ、「恋」じゃなくて、「マッチング」だよね。
AKI だれだって、多少の「マッチング」は意識するでしょ? 確かにいい男だけど、私には「高嶺の花」ね。ちょっと落ちるけど、2番目のこっちの男にしとこうか――ぐらいのことは、考えると思いますよ。
哲雄 その2番目の男を、キミは崇拝できますか?
AKI す、崇拝……? そんなもの、必要ですか、恋に?
哲雄 必要も必要。必需品です、私の恋には。
AKI ヘッ、必需品? てことは、哲ジイは、恋をした相手には、「女王様、醜いジイめをこらしめてください」とか言っちゃうわけ?
哲雄 それでは、Mじゃありませんか。ではなくて、相手をこれ以上ない崇高な存在として、敬愛するということです。敬い、愛するということです。そういうインパクトを与えてくれる相手でないと、私の恋は始まりません。
AKI てことは、よほどのレベルの方でないと、哲ジイの恋の相手にはならないわけですね?
哲雄 ホラ、崇拝とか言うと、すぐにキミは、レベルの問題を持ち出すでしょう。それが間違い。崇拝なんていうのは、そんな特別の感情じゃない。そもそも私は、
女性は、女性であるというだけで、崇拝すべき存在だ
と思っているんですから。
AKI エッ、そうなの? それって、女ならだれでもいいってこと?
哲雄 どうして、そう、極端から極端へ走るかなぁ。私は男だから、男にはないものをたくさん持っている女性という生きものを、本来、崇拝せずにはいられない性質を持っている、と申し上げてるわけです。で、たまたま私の目の前に現れただれかが、その崇拝すべき「女性性」を偶然にも垣間見せてくれて、それが、私の心の琴線に触れてしまうと、その瞬間に、「恋」は「崇拝」を伴って、私の中で着火してしまいます。
AKI 「女性性」ですか? なんか、むずかしいなぁ。簡単に言うと、「こいつ、色っぽいなぁ」とか……そういうこと?
哲雄 どうしても、キミは私をただのスケベオヤジにしたいみたいだね。
AKI 違うとでも……?
哲雄 いいえ、ご指摘のとおりです……って、なんで、私が懺悔しなくちゃならないの。ようがす。具体的にお話しましょう。たとえば、キミと私が、どこかの遊歩道を歩いているとしましょう。すると、キミが、「あっ、あんなところに水色の花が……」と、不意に水辺に駆け寄ります。手を伸ばしてその花を摘んだキミは、それを私に差し出しながら、「かわいいから摘んじゃった」と舌をペロリ。「これ、あとでお部屋に飾ろうね」と微笑むその顔に、私は、キミの女性性を感じて、恋の炎が燃え上がってしまう。
AKI あり得ない! 私が哲ジイのために花を摘む? ブルル……あり得ませんッ!
哲雄 だから、「たとえば」と言ってるでしょ。あるいは、どこかのピアノ・バーに立ち寄った私は、演奏しているピアノの繊細な響きに、思わず引き込まれてしまう。ふと見ると、演奏しているのは、背中の開いたドレスを着たスラリとした美女。
AKI ホラ、やっぱりスケベだ。
哲雄 それだけだったら、ただのスケベかもしれないけど、まだ、続きがあるの! マスターに勧められて、彼女の伴奏で歌を歌うことになったんだけど、彼女が弾くイントロが、なんとも繊細で、やさしくて、無駄な音が少しもない。私の歌に絡みついてくるような演奏に、彼女の女性としての感性の豊かさを感じた私は、その音とともに彼女を尊敬し、なんとか彼女のピアノにふさわしい歌が歌える男になろう――と、思うようになる。
AKI それ、もしかして、実話じゃないの?
哲雄 ノーコメント。こういうのもあったなぁ。繁華街の街角で、飲み屋のチラシを配ってる女の子がいた。たいていの通行人は、無視して通り過ぎるんだけど、たまたま、私が手を伸ばして受け取ると、彼女、うれしそうに言うんだよね、「ありがとうございます」って。その声が明るくて、「エッ!?」と振り返ると、「受け取っていただいてありがとうございます」って、頭を下げる。
AKI まさか、それだけで、恋が始まったりはしないでしょうね。エッ、エッ!? 始まっちゃったんですか?
哲雄 さすがにそれはないけど……。
AKI けど……? けど、何です? ノコノコついて行っちゃったとか……?
哲雄 まぁ、「これってどんな店?」とか、一応、お尋ねして……。「炭火焼のおいしい店です」とか言うんで、ちょうど、小腹も空いてたし……。
AKI 行っちゃったんだ? やっぱり、スケベだ。
哲雄 ていうかね、チラシ配りなんて、飲食店でバイトしてたら、だれでもやらされることだと思うんだけど、「受け取ってくださってありがとうございます」は、なかなか言える言葉じゃない。そこにね、ちょっと……。
AKI まさか、それまで「女性性」なんて言うんじゃないでしょうね?
哲雄 でも、男じゃ、なかなかそんな言い方はできない。そういう意味じゃ、やっぱり女性ならではの気遣いかなぁ……とね。
AKI なんか、だんだん怪しくなってきたなぁ。そんな調子で「女性性」を感じてたんじゃ、年中、恋することになっちゃいますわね、哲ジイ。
哲雄 だから、私は、熱しやすいんだと、申し上げてるでしょ。
AKI そうやって、簡単に崇拝してしまうから、冷めるのも早いんですよ。偶像化しすぎですよ、哲ジイの場合は。
哲雄 反省してます。
AKI あら、素直……!?
哲雄 というかね、
恋の楽しさって、「偶像化」する楽しさだと言ってもいいんだと思うんだ。
偶像が壊れてしまったら、それはそれでいい。でも、懲りずに、また、別の偶像を作ってしまう。それも、恋。
AKI ね、哲ジイ。哲ジイは、苦しい恋ってしたことないの?
哲雄 ありますよ。崇拝してもしても、その想いが届かない。というか、ますます相手が崇高な存在になっていって、自分がみすぼらしく感じられてしまう――そういう恋は、やっぱり苦しいですよ。
AKI どうするんですか、そういう恋は?
哲雄 崇拝し続けるしかありません。よく、自分には手が届かない――ってなると、今度は、相手を貶めにかかるタイプがいるんだけど、そういうことをやる人間は、男であろうと女であろうと、恋する資格がないと思う。
AKI あ、いますね、そういう人。「なんだ、お高くとまりやがって」とか「ヤリマンのくせに」とか言い出す人でしょ。手が届かないってなったら、手のひら返したみたいに、人格攻撃とかを始めるタイプ。
哲雄 ま、一種の逆ギレ。よく言えば、攻撃的防御。自分を敗北者にしないために、相手の価値を下げようともくろむわけですね。そういう人間は、私は嫌いです。
AKI 私もです。でもさ、苦しいまま、思い続けるのって、大変ですよね。
哲雄 さて、その大変さをどうするか? キミは、ユーミンの恋歌と、中島みゆきの恋歌、どっちが好き?
AKI エッ、何ですか、いきなり?
哲雄 実はね、恋の仕方には、「ユーミン的」っていうのと、「みゆき的」っていうのがあると思うんだ。
AKI それ、すごく気になります。私は、どっちかと言うとユーミンですけど。
哲雄 私は、みゆき派。この話、長くなるから、次回にしようか。
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哲雄 ホラ、崇拝とか言うと、すぐにキミは、レベルの問題を持ち出すでしょう。それが間違い。崇拝なんていうのは、そんな特別の感情じゃない。そもそも私は、
女性は、女性であるというだけで、崇拝すべき存在だ
と思っているんですから。
AKI エッ、そうなの? それって、女ならだれでもいいってこと?
哲雄 どうして、そう、極端から極端へ走るかなぁ。私は男だから、男にはないものをたくさん持っている女性という生きものを、本来、崇拝せずにはいられない性質を持っている、と申し上げてるわけです。で、たまたま私の目の前に現れただれかが、その崇拝すべき「女性性」を偶然にも垣間見せてくれて、それが、私の心の琴線に触れてしまうと、その瞬間に、「恋」は「崇拝」を伴って、私の中で着火してしまいます。
AKI 「女性性」ですか? なんか、むずかしいなぁ。簡単に言うと、「こいつ、色っぽいなぁ」とか……そういうこと?
哲雄 どうしても、キミは私をただのスケベオヤジにしたいみたいだね。
AKI 違うとでも……?
哲雄 いいえ、ご指摘のとおりです……って、なんで、私が懺悔しなくちゃならないの。ようがす。具体的にお話しましょう。たとえば、キミと私が、どこかの遊歩道を歩いているとしましょう。すると、キミが、「あっ、あんなところに水色の花が……」と、不意に水辺に駆け寄ります。手を伸ばしてその花を摘んだキミは、それを私に差し出しながら、「かわいいから摘んじゃった」と舌をペロリ。「これ、あとでお部屋に飾ろうね」と微笑むその顔に、私は、キミの女性性を感じて、恋の炎が燃え上がってしまう。
AKI あり得ない! 私が哲ジイのために花を摘む? ブルル……あり得ませんッ!
哲雄 だから、「たとえば」と言ってるでしょ。あるいは、どこかのピアノ・バーに立ち寄った私は、演奏しているピアノの繊細な響きに、思わず引き込まれてしまう。ふと見ると、演奏しているのは、背中の開いたドレスを着たスラリとした美女。
AKI ホラ、やっぱりスケベだ。
哲雄 それだけだったら、ただのスケベかもしれないけど、まだ、続きがあるの! マスターに勧められて、彼女の伴奏で歌を歌うことになったんだけど、彼女が弾くイントロが、なんとも繊細で、やさしくて、無駄な音が少しもない。私の歌に絡みついてくるような演奏に、彼女の女性としての感性の豊かさを感じた私は、その音とともに彼女を尊敬し、なんとか彼女のピアノにふさわしい歌が歌える男になろう――と、思うようになる。
AKI それ、もしかして、実話じゃないの?
哲雄 ノーコメント。こういうのもあったなぁ。繁華街の街角で、飲み屋のチラシを配ってる女の子がいた。たいていの通行人は、無視して通り過ぎるんだけど、たまたま、私が手を伸ばして受け取ると、彼女、うれしそうに言うんだよね、「ありがとうございます」って。その声が明るくて、「エッ!?」と振り返ると、「受け取っていただいてありがとうございます」って、頭を下げる。
AKI まさか、それだけで、恋が始まったりはしないでしょうね。エッ、エッ!? 始まっちゃったんですか?
哲雄 さすがにそれはないけど……。
AKI けど……? けど、何です? ノコノコついて行っちゃったとか……?
哲雄 まぁ、「これってどんな店?」とか、一応、お尋ねして……。「炭火焼のおいしい店です」とか言うんで、ちょうど、小腹も空いてたし……。
AKI 行っちゃったんだ? やっぱり、スケベだ。
哲雄 ていうかね、チラシ配りなんて、飲食店でバイトしてたら、だれでもやらされることだと思うんだけど、「受け取ってくださってありがとうございます」は、なかなか言える言葉じゃない。そこにね、ちょっと……。
AKI まさか、それまで「女性性」なんて言うんじゃないでしょうね?
哲雄 でも、男じゃ、なかなかそんな言い方はできない。そういう意味じゃ、やっぱり女性ならではの気遣いかなぁ……とね。
AKI なんか、だんだん怪しくなってきたなぁ。そんな調子で「女性性」を感じてたんじゃ、年中、恋することになっちゃいますわね、哲ジイ。
哲雄 だから、私は、熱しやすいんだと、申し上げてるでしょ。
AKI そうやって、簡単に崇拝してしまうから、冷めるのも早いんですよ。偶像化しすぎですよ、哲ジイの場合は。
哲雄 反省してます。
AKI あら、素直……!?
哲雄 というかね、
恋の楽しさって、「偶像化」する楽しさだと言ってもいいんだと思うんだ。
偶像が壊れてしまったら、それはそれでいい。でも、懲りずに、また、別の偶像を作ってしまう。それも、恋。
AKI ね、哲ジイ。哲ジイは、苦しい恋ってしたことないの?
哲雄 ありますよ。崇拝してもしても、その想いが届かない。というか、ますます相手が崇高な存在になっていって、自分がみすぼらしく感じられてしまう――そういう恋は、やっぱり苦しいですよ。
AKI どうするんですか、そういう恋は?
哲雄 崇拝し続けるしかありません。よく、自分には手が届かない――ってなると、今度は、相手を貶めにかかるタイプがいるんだけど、そういうことをやる人間は、男であろうと女であろうと、恋する資格がないと思う。
AKI あ、いますね、そういう人。「なんだ、お高くとまりやがって」とか「ヤリマンのくせに」とか言い出す人でしょ。手が届かないってなったら、手のひら返したみたいに、人格攻撃とかを始めるタイプ。
哲雄 ま、一種の逆ギレ。よく言えば、攻撃的防御。自分を敗北者にしないために、相手の価値を下げようともくろむわけですね。そういう人間は、私は嫌いです。
AKI 私もです。でもさ、苦しいまま、思い続けるのって、大変ですよね。
哲雄 さて、その大変さをどうするか? キミは、ユーミンの恋歌と、中島みゆきの恋歌、どっちが好き?
AKI エッ、何ですか、いきなり?
哲雄 実はね、恋の仕方には、「ユーミン的」っていうのと、「みゆき的」っていうのがあると思うんだ。
AKI それ、すごく気になります。私は、どっちかと言うとユーミンですけど。
哲雄 私は、みゆき派。この話、長くなるから、次回にしようか。

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