第114夜☆相思相愛なんて「恋」じゃない
第114夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。今回は、前回に続いて「片思い」の話。究極の片思いは、ストーカー。相思相愛なんて「恋」ではない、という極論を展開します――。
【今回のキーワード】 片思い ストーカー 寅さん
【リンク・キーワード】 オーガズム 恋愛小説 エロ コミュニケーション 不倫
AKI 今回は、「片思い歴」長い哲ジイに、ぜひ、お伺いしたいのです。片思いって、楽しいですか?
哲雄 楽しいわけがないじゃありませんか。胸を焦がすんだよ。だいいち、熱いでしょ。
AKI それでも、片思いするわけですか? 胸を焦がしながら……? そんなに焦がし続けてたら、そのうち、お骨になっちゃいますよ。
哲雄 もうすぐなります――って、ほっとけ!
AKI 確か、前回、片思いこそ恋である、とかなんとかおっしゃいましたよね。
哲雄 基本的に私は、ドキドキ感のない恋は、恋ではないと思ってますから。この想いは相手に届くのか、届かないのか? きのう、彼女が言った「哲雄さんっていい人ね」っていうのは、どういうことなんだろう? あ、きょうは彼女、口紅の色変えてきた。それって、キスしてもいいってこと?……とかね、いろいろ考えて悩み、ドキドキしてる間こそが「恋」である――と、私は考えてます。
AKI あ、念のために言っときますけど、女が「○○さんていい人ね」って言うときは、「ただ、それだけよ」ってことですからね。それに、口紅の色とパンツの色を変えるなんてのは、しょっちゅうやってることで、別に、哲ジイとどうにかなろうとか思ってるわけじゃありませんから。
哲雄 そ、そうなの?
AKI ジョーシキです! でもね、哲ジイ、ドキドキしてる間が恋だって言うのなら、両思いになったら、恋じゃなくなるってことじゃん。
哲雄 そうですよ。私は
両思い、つまり、相思相愛なんてものは「恋」ではない、
と思ってます。
AKI 「恋」でなかったら何なんですか?
哲雄 「恋愛」でしょう。
AKI エッ、「恋」と「恋愛」は違うの?
哲雄 そりゃそうだよ。キミだって言うでしょ? 私、恋しちゃった……って。そのとき、相手が自分を好きになってくれるかどうか――ってことを考えますか?
AKI ま、その段階では考えないでしょうね。あまりにも手が届きそうもない相手には、最初から恋なんてしないかもしれないけど……。
哲雄 計算高い女だからね、キミは。ムリそうな恋なんて、最初からしないんだ?
AKI てか、苦しい思いするの、いやだもん。
哲雄 その苦しさも、切なさも、悩ましさも、すべて「恋」の合併症。恋すれば必ずついてくるものじゃありませんか。
AKI 哲ジイは、その苦しさが好きなんでしょ?
哲雄 別に、好きってわけじゃありませんよ。苦しいのは、私だっていやです。しかしね、その苦しさあろうとも、お慕いせずにはいられない女人に出会ってしまったら、「恋」のスイッチは「ON」になってしまいます。
AKI そうして、報われぬ恋にのめり込み、月日を費やし、気がついたら、頭は薄くなり、ジジイになっていましたとさ。めでたし、めでたし。
哲雄 どこが、めでたいんじゃ。だいいち、私は、そんなにしつこくありません。あきらめは早いほうですから。
AKI あ、そうか。熱しやすくあきらめやすいんでしたよね。
哲雄 恋するエネルギーの正体は、フロイト流に言うと「リビドー」っていうんだけど、リビドーが壁にぶち当たり、出口を失うと、私の場合は、それを「ものを書く」とか「歌を歌う」という情熱に転化させてしまいます。偉大な芸術家とか、思想家とか、革命家なんてのは、けっこう、片思いが多いんだよね。そのエネルギーを芸術や思想や革命に振り向けることで、彼らは、偉大な足跡を残してきたとも言える。
「リビドー」については、本講座の第58夜『拒否された欲望は、どこへ消えるのか?』他を参照
AKI そのエネルギー転化がうまくいかないと……?
哲雄 いつまでも、ひとりの女性に固着することになるだろうね。
AKI それって、ストーカーになるってこと?
哲雄 思い続ける=ストーカーってわけじゃないよ。ストーカーっていうのは、その「思い」を「つきまとい」という迷惑行動で表してしまうから問題なんだけど、ある意味では、「片思い」を貫く純粋な人、という見方もできると思うんだ。
AKI 哲ジイが、この片思いは止めた――って判断する基準は、何?
哲雄 止めるわけじゃないよ。一度、片思いした相手は、何年経とうが、「好きな人」ではあり続けますから。ただ、その「思い」を相手にぶつけることを停止するだけです。
AKI その停止の基準は?
哲雄 きょうの質問はしつこいね。キミ、どこの社だ?
AKI すみません、亀頭大臣、じゃなかった亀井大臣……って、あれ、どうかと思いますよ。あんな強圧的で横柄な人が、少なくとも連立内閣の中にいていいんでしょうか?
哲雄 私も、あの方は嫌いです。で、何だっけ、質問は?
AKI だから、哲ジイが、そのキモい「片思い」を相手にぶつけるのを止めようと判断する、その基準は何か、とお伺いしたわけです。
哲雄 キ、キモい……だと?
AKI 50を過ぎたオヤジの片思いは、相当、キモいです。それはいいから、停止の基準です。早く教えてくださいよ。
哲雄 そんなのは単純。自分の「思い」をぶつけることが、相手の負担になるな――と判断したら、即、停止します。さっさと荷物をまとめて旅に出ます。
AKI それじゃ、寅さんじゃないですか。
哲雄 ウン、寅さんの片思いは、私の理想とするところです。でもね、その寅さんが、あやうく両思いになりかけたことがあった。
AKI それ、知ってる。リリーさん(←浅丘ルリ子演じるドサ回りの歌手です)との恋でしょ? 「オレと所帯でも持つか?」って寅さんが冗談めかして言ったときに、リリーさんがそれをマジ受けしちゃうんだよね。「いいよ」って……。
哲雄 そう。で、しばらくの沈黙。でも、その後で寅は、「バカ言ってんじゃねェよ」って、それを混ぜ返してしまうんだよね。悲しかったなぁ、あのシーン。これがね、実は、片思い賛美者の辛いところなんだ。
AKI どういう辛さ?
哲雄 片思いが両思いになっちまうと、「恋」じゃなくて「恋愛」になるんだけど、「恋愛」てのは「恋」と違って「フォルム=形、形式」を必要とする。でないと、「実体」にならないからね。
AKI なんだか、話がむずかしくなってきましたよ。
哲雄 つまりさ、こういうこと。
「恋」は「空想」でいいけど、「恋愛」となると「現実」になる。
「現実」になると、いろんな形が必要になるでしょ。デートもしなきゃいけないし、デートしたら、メシも食うだろうし、となると何を食うかも考えなくちゃならない。どんな服を着るかとか、どんなホテルに入るかとか、ホテルに入ったら、後ろから抱きつくか、前から押し倒すか――とか、いろんなことを考えなくちゃならなくなる。
AKI なんか、考えることがせこい気もしますけど……。
哲雄 そう、せこいんです。「恋」の思念の中では、相手を理想化して考えるけれど、「恋愛」となると、そこに、実に瑣末で現実的な、さまざまな思念が入り込む。私のようなロマンチストには、それがジャマになるんですね。
AKI でも、それが楽しかったりもするんですよ、哲ジイ。
哲雄 でしょうね。この人といると、そのつまらない瑣末なことさえもが楽しい、幸せだ――と感じられるようになる。それが「恋愛」というものだと思います。
AKI じゃ、問題ないではありませんか。何のためらいもなく、両思いに進めるではありませんか?
哲雄 問題はですね、純粋な思念ですんだ「恋」から、現実的な交際を伴う「恋愛」へと進む段階で、ギャップということが出てくる。
AKI ギャップ? どんなギャップです?
哲雄 エッ、この人、そんなウンコの仕方するの……とか。
AKI いきなり、そんなギャップは出てこないでしょ?
哲雄 もののたとえです。でも、それに似たようなことがいろいろ出てきます。私のあまたの「恋」の大半は、そうして「恋愛」にステップインしたとたんに、そんなギャップにつまずいて、消滅してしまいました。
AKI その話、次回、じっくり聞かせていただきましょうか。
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哲雄 「恋愛」でしょう。
AKI エッ、「恋」と「恋愛」は違うの?
哲雄 そりゃそうだよ。キミだって言うでしょ? 私、恋しちゃった……って。そのとき、相手が自分を好きになってくれるかどうか――ってことを考えますか?
AKI ま、その段階では考えないでしょうね。あまりにも手が届きそうもない相手には、最初から恋なんてしないかもしれないけど……。
哲雄 計算高い女だからね、キミは。ムリそうな恋なんて、最初からしないんだ?
AKI てか、苦しい思いするの、いやだもん。
哲雄 その苦しさも、切なさも、悩ましさも、すべて「恋」の合併症。恋すれば必ずついてくるものじゃありませんか。
AKI 哲ジイは、その苦しさが好きなんでしょ?
哲雄 別に、好きってわけじゃありませんよ。苦しいのは、私だっていやです。しかしね、その苦しさあろうとも、お慕いせずにはいられない女人に出会ってしまったら、「恋」のスイッチは「ON」になってしまいます。
AKI そうして、報われぬ恋にのめり込み、月日を費やし、気がついたら、頭は薄くなり、ジジイになっていましたとさ。めでたし、めでたし。
哲雄 どこが、めでたいんじゃ。だいいち、私は、そんなにしつこくありません。あきらめは早いほうですから。
AKI あ、そうか。熱しやすくあきらめやすいんでしたよね。
哲雄 恋するエネルギーの正体は、フロイト流に言うと「リビドー」っていうんだけど、リビドーが壁にぶち当たり、出口を失うと、私の場合は、それを「ものを書く」とか「歌を歌う」という情熱に転化させてしまいます。偉大な芸術家とか、思想家とか、革命家なんてのは、けっこう、片思いが多いんだよね。そのエネルギーを芸術や思想や革命に振り向けることで、彼らは、偉大な足跡を残してきたとも言える。

AKI そのエネルギー転化がうまくいかないと……?
哲雄 いつまでも、ひとりの女性に固着することになるだろうね。
AKI それって、ストーカーになるってこと?
哲雄 思い続ける=ストーカーってわけじゃないよ。ストーカーっていうのは、その「思い」を「つきまとい」という迷惑行動で表してしまうから問題なんだけど、ある意味では、「片思い」を貫く純粋な人、という見方もできると思うんだ。
AKI 哲ジイが、この片思いは止めた――って判断する基準は、何?
哲雄 止めるわけじゃないよ。一度、片思いした相手は、何年経とうが、「好きな人」ではあり続けますから。ただ、その「思い」を相手にぶつけることを停止するだけです。
AKI その停止の基準は?
哲雄 きょうの質問はしつこいね。キミ、どこの社だ?
AKI すみません、亀頭大臣、じゃなかった亀井大臣……って、あれ、どうかと思いますよ。あんな強圧的で横柄な人が、少なくとも連立内閣の中にいていいんでしょうか?
哲雄 私も、あの方は嫌いです。で、何だっけ、質問は?
AKI だから、哲ジイが、そのキモい「片思い」を相手にぶつけるのを止めようと判断する、その基準は何か、とお伺いしたわけです。
哲雄 キ、キモい……だと?
AKI 50を過ぎたオヤジの片思いは、相当、キモいです。それはいいから、停止の基準です。早く教えてくださいよ。
哲雄 そんなのは単純。自分の「思い」をぶつけることが、相手の負担になるな――と判断したら、即、停止します。さっさと荷物をまとめて旅に出ます。
AKI それじゃ、寅さんじゃないですか。
哲雄 ウン、寅さんの片思いは、私の理想とするところです。でもね、その寅さんが、あやうく両思いになりかけたことがあった。
AKI それ、知ってる。リリーさん(←浅丘ルリ子演じるドサ回りの歌手です)との恋でしょ? 「オレと所帯でも持つか?」って寅さんが冗談めかして言ったときに、リリーさんがそれをマジ受けしちゃうんだよね。「いいよ」って……。
哲雄 そう。で、しばらくの沈黙。でも、その後で寅は、「バカ言ってんじゃねェよ」って、それを混ぜ返してしまうんだよね。悲しかったなぁ、あのシーン。これがね、実は、片思い賛美者の辛いところなんだ。
AKI どういう辛さ?
哲雄 片思いが両思いになっちまうと、「恋」じゃなくて「恋愛」になるんだけど、「恋愛」てのは「恋」と違って「フォルム=形、形式」を必要とする。でないと、「実体」にならないからね。
AKI なんだか、話がむずかしくなってきましたよ。
哲雄 つまりさ、こういうこと。
「恋」は「空想」でいいけど、「恋愛」となると「現実」になる。
「現実」になると、いろんな形が必要になるでしょ。デートもしなきゃいけないし、デートしたら、メシも食うだろうし、となると何を食うかも考えなくちゃならない。どんな服を着るかとか、どんなホテルに入るかとか、ホテルに入ったら、後ろから抱きつくか、前から押し倒すか――とか、いろんなことを考えなくちゃならなくなる。
AKI なんか、考えることがせこい気もしますけど……。
哲雄 そう、せこいんです。「恋」の思念の中では、相手を理想化して考えるけれど、「恋愛」となると、そこに、実に瑣末で現実的な、さまざまな思念が入り込む。私のようなロマンチストには、それがジャマになるんですね。
AKI でも、それが楽しかったりもするんですよ、哲ジイ。
哲雄 でしょうね。この人といると、そのつまらない瑣末なことさえもが楽しい、幸せだ――と感じられるようになる。それが「恋愛」というものだと思います。
AKI じゃ、問題ないではありませんか。何のためらいもなく、両思いに進めるではありませんか?
哲雄 問題はですね、純粋な思念ですんだ「恋」から、現実的な交際を伴う「恋愛」へと進む段階で、ギャップということが出てくる。
AKI ギャップ? どんなギャップです?
哲雄 エッ、この人、そんなウンコの仕方するの……とか。
AKI いきなり、そんなギャップは出てこないでしょ?
哲雄 もののたとえです。でも、それに似たようなことがいろいろ出てきます。私のあまたの「恋」の大半は、そうして「恋愛」にステップインしたとたんに、そんなギャップにつまずいて、消滅してしまいました。
AKI その話、次回、じっくり聞かせていただきましょうか。

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