第112夜☆男の浮気は「保険」、女の浮気は「投資」
第112夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。前回の「贈与としての愛」「交換としての愛」という話から発展して、今回は、男女の「浮気」の話。DNA的に言うと、男の浮気は「保険」であり、女の浮気は「投資」である、という話をご紹介します――。
【今回のキーワード】 浮気 DNA 嫉妬
【リンク・キーワード】 オーガズム 恋愛小説 エロ コミュニケーション 不倫
AKI 愛は、ただ「贈与」しなさい。見返りを求めないで――と、前回の話は、そんな趣旨でしたね。
哲雄 ハイ。人はみな、本来の「愛」がそのようなものであるだろう――ということを、薄々は知っているのだと申し上げました。
AKI でも、なかなかそうはできないんですよね。理由は?
哲雄 ひとつは、遺伝子のせいです。
AKI わるいのは、遺伝子ですか?
哲雄 遺伝子というのはね、DNAという特殊なアミノ酸によって記される塩基の一連の配列のことを言うんだけど、このDNAとは何かと言うと、地上で唯一、「自分を複製できるたんぱく質」なんだよね。
AKI 自分のコピーを作るたんぱく質ですか? なんで、そんなものが登場したんだろ?
哲雄 ただの偶然じゃないですか。でもね、この自己複製ができるたんぱく質(アミノ酸)が、何かの偶然でできたがために、初めて、この地上に「生物」が誕生したんだよね。生物とは何か?――と問われたら、「自己複製ができるたんぱく質の集合体」という言い方ができるんじゃないかと思うんだ。
AKI フーン。で、その遺伝子が、「愛」のあり方にも関係してるんですか?
哲雄 ウン、この遺伝子の唯一の使命は、「自分の複製を残す」ということなんだけど、生物の長い進化の歴史をたどると、現在まで生き残っている種というのは、優秀なコピーのシステムを持っているものばかりなんだよね。
AKI 言ってみれば、子だくさんの種ほど生き残る率が高かったってことですか?
哲雄 必ずしも、数ばかりじゃないけどね。哺乳類や鳥類のように「育児機能」を発達させた種は、複製する数は少なくても、その数少ないコピーをかなり高い率で成育させることができるからね。そのシステムも含めて「コピーのシステム」と考えてくれればいいと思う。
AKI それも、DNAの策略?
哲雄 いや、DNAは、ただ「コピーせよ」と命じるだけなんだけど、結果的には、たくさんコピーを残せた個体のDNAのほうが、生き残る確率が高いでしょ? これも、偶然の産物だと思うけど、たまたま、その種の中に、DNAを効率よく複製させるシステムができてしまうと、その種は、コピー戦争に勝ち残ることになるわけだよね。そういう偶然が、何度も何度も、気が遠くなるほど繰り返されて、現在の生物体系が出来上がったわけですよ。
AKI そのコピー・システムの中に、「愛」も含まれているわけですか?
哲雄 「愛」というより、「求愛」のシステムとか、カップリングのシステムとか、浮気と嫉妬のシステムとか……要するに、「生殖」に関わるほとんどのシステムが、DNAの「コピーせよ」指令により適合するもののほうが生き残る、という形で発達したんだと思います。
AKI じゃ、何? 人が浮気したり、嫉妬したり、見返りを求めたりするのは、そのほうが、DNAにとって都合がよかったから……ってこと?
哲雄 ま、そういうことも言えるね。特に、伴侶の選別とか、浮気とか、嫉妬とかについてはね。
AKI 伴侶の選別というのはわかります。要するに、少しでも優秀な遺伝子を残したいってことでしょう? でも、浮気は……?
哲雄 浮気は、オスとメスでは、動機が違うんじゃないかと思う。
AKI 動機……? 浮気は浮気でしょ?
哲雄 オスの浮気は、保険だけど、メスの浮気は投資なんだ。
AKI 保険と投資? よくわかんない。
哲雄 つまりね、こういうこと。オスは、自分の遺伝子が確実に残るように、少しでも広範囲に精子をバラ撒こうとする。つまり、保険だよね。一方のメスは、少しでも優秀なオスの精子を確保したいから、目移りするわけです。私、あのときは、この人の求愛に負けておチンチンを受け入れたけど、あら、あっちの精子のほうがおいしそうだわ――てなわけだ。
AKI つまり、投資ってことですか? でも、哲ジイ、てことは、メスの浮気のほうが根が深い……ってことじゃないですか。
哲雄 しかも、キケン!
AKI キケン……?
哲雄 キケンです。万が一、メスが他のオスの精子を受け入れたとわかると、オスは、そのメスが生んだ子どもを殺してしまうからね。
AKI ワッ、殺してしまうんだ。それ、絶対、バレるとまずいですよね。
哲雄 そう。メスの浮気は命がけです。だから、
浮気の隠し方についても、メスは巧みです。
前にも、何度か触れたけど、霊長類のメスが排卵期を隠すのも、チンパンジーのように乱婚に走るのも、生まれてくる子どもの父親がだれだかわからなくするための策略だと言われてます。
AKI そうか。サルの世界じゃ、DNA鑑定まではしませんものね。でもさ、哲ジイ、その話からすると、嫉妬深いのは、オスのほうってことになりませんか?
哲雄 なりますよ。動物の世界で言えば、「嫉妬」は男の専売特許です。
AKI ヘエ、そうなんだ。でも、人間の世界では、女のほうが嫉妬深くないですか?
哲雄 ウン、一般的には、そう言われてるね。でもね、人間のメスが嫉妬深いのは、DNAとは関係のない話。こっちは、主として「経済問題」だと思うんだよね、私は。
AKI 経済問題? あっ、そうか。遺産の分配とかが絡んでくるから……?
哲雄 そう。そもそも、「結婚」というシステムができたのも、財産が「家族」単位で考えられるようになったからなんだけど、そうなると、「分配」の範囲は狭いほうが有利なわけでしょ?
AKI なんだ、分配の問題かぁ。
哲雄 でも、大きいよ、これ。特に、私の大嫌いな儒教的価値観の中では、「家」は、財産の単位としてものすごく重視される。そうなるとさ、経済単位としての「家」を脅かす「浮気相手」の存在は、何としても排除しなければならなくなるでしょ?
AKI 「妾の子になんて、一銭も渡しません」なんて、よく、TVドラマにも出てきますものね。
哲雄 つまり、女の嫉妬は、元々は、金がらみだったってことです。
AKI 男を嫉妬させるのは、DNA問題で、女を嫉妬に駆り立てるのは、経済問題ってわけですか?
哲雄 大きいですよ、金の恨みは。
AKI そりゃ、私だってわかります。そうか、だから、女のほうが慰謝料とかにこだわったりするんだ。
哲雄 ま、浮気問題に関しては、女のほうがドライってわけだね。男のほうは、そうはいかない。「この子、ほんとにオレの子か?」なんて、一生、悩み続けることになる。
AKI なんだ、男も、嫉妬深いんだ。
哲雄 少なくとも、文学的には、嫉妬は、男の専売特許だ――と、私は思ってます。もっと言うなら、恋をするのも、嫉妬するのも、本来は、男の領分。
AKI エーッ、恋も……?
哲雄 その話については、次回、詳しく話すことにしましょう。
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AKI 言ってみれば、子だくさんの種ほど生き残る率が高かったってことですか?
哲雄 必ずしも、数ばかりじゃないけどね。哺乳類や鳥類のように「育児機能」を発達させた種は、複製する数は少なくても、その数少ないコピーをかなり高い率で成育させることができるからね。そのシステムも含めて「コピーのシステム」と考えてくれればいいと思う。
AKI それも、DNAの策略?
哲雄 いや、DNAは、ただ「コピーせよ」と命じるだけなんだけど、結果的には、たくさんコピーを残せた個体のDNAのほうが、生き残る確率が高いでしょ? これも、偶然の産物だと思うけど、たまたま、その種の中に、DNAを効率よく複製させるシステムができてしまうと、その種は、コピー戦争に勝ち残ることになるわけだよね。そういう偶然が、何度も何度も、気が遠くなるほど繰り返されて、現在の生物体系が出来上がったわけですよ。
AKI そのコピー・システムの中に、「愛」も含まれているわけですか?
哲雄 「愛」というより、「求愛」のシステムとか、カップリングのシステムとか、浮気と嫉妬のシステムとか……要するに、「生殖」に関わるほとんどのシステムが、DNAの「コピーせよ」指令により適合するもののほうが生き残る、という形で発達したんだと思います。
AKI じゃ、何? 人が浮気したり、嫉妬したり、見返りを求めたりするのは、そのほうが、DNAにとって都合がよかったから……ってこと?
哲雄 ま、そういうことも言えるね。特に、伴侶の選別とか、浮気とか、嫉妬とかについてはね。
AKI 伴侶の選別というのはわかります。要するに、少しでも優秀な遺伝子を残したいってことでしょう? でも、浮気は……?
哲雄 浮気は、オスとメスでは、動機が違うんじゃないかと思う。
AKI 動機……? 浮気は浮気でしょ?
哲雄 オスの浮気は、保険だけど、メスの浮気は投資なんだ。
AKI 保険と投資? よくわかんない。
哲雄 つまりね、こういうこと。オスは、自分の遺伝子が確実に残るように、少しでも広範囲に精子をバラ撒こうとする。つまり、保険だよね。一方のメスは、少しでも優秀なオスの精子を確保したいから、目移りするわけです。私、あのときは、この人の求愛に負けておチンチンを受け入れたけど、あら、あっちの精子のほうがおいしそうだわ――てなわけだ。
AKI つまり、投資ってことですか? でも、哲ジイ、てことは、メスの浮気のほうが根が深い……ってことじゃないですか。
哲雄 しかも、キケン!
AKI キケン……?
哲雄 キケンです。万が一、メスが他のオスの精子を受け入れたとわかると、オスは、そのメスが生んだ子どもを殺してしまうからね。
AKI ワッ、殺してしまうんだ。それ、絶対、バレるとまずいですよね。
哲雄 そう。メスの浮気は命がけです。だから、
浮気の隠し方についても、メスは巧みです。
前にも、何度か触れたけど、霊長類のメスが排卵期を隠すのも、チンパンジーのように乱婚に走るのも、生まれてくる子どもの父親がだれだかわからなくするための策略だと言われてます。
AKI そうか。サルの世界じゃ、DNA鑑定まではしませんものね。でもさ、哲ジイ、その話からすると、嫉妬深いのは、オスのほうってことになりませんか?
哲雄 なりますよ。動物の世界で言えば、「嫉妬」は男の専売特許です。
AKI ヘエ、そうなんだ。でも、人間の世界では、女のほうが嫉妬深くないですか?
哲雄 ウン、一般的には、そう言われてるね。でもね、人間のメスが嫉妬深いのは、DNAとは関係のない話。こっちは、主として「経済問題」だと思うんだよね、私は。
AKI 経済問題? あっ、そうか。遺産の分配とかが絡んでくるから……?
哲雄 そう。そもそも、「結婚」というシステムができたのも、財産が「家族」単位で考えられるようになったからなんだけど、そうなると、「分配」の範囲は狭いほうが有利なわけでしょ?
AKI なんだ、分配の問題かぁ。
哲雄 でも、大きいよ、これ。特に、私の大嫌いな儒教的価値観の中では、「家」は、財産の単位としてものすごく重視される。そうなるとさ、経済単位としての「家」を脅かす「浮気相手」の存在は、何としても排除しなければならなくなるでしょ?
AKI 「妾の子になんて、一銭も渡しません」なんて、よく、TVドラマにも出てきますものね。
哲雄 つまり、女の嫉妬は、元々は、金がらみだったってことです。
AKI 男を嫉妬させるのは、DNA問題で、女を嫉妬に駆り立てるのは、経済問題ってわけですか?
哲雄 大きいですよ、金の恨みは。
AKI そりゃ、私だってわかります。そうか、だから、女のほうが慰謝料とかにこだわったりするんだ。
哲雄 ま、浮気問題に関しては、女のほうがドライってわけだね。男のほうは、そうはいかない。「この子、ほんとにオレの子か?」なんて、一生、悩み続けることになる。
AKI なんだ、男も、嫉妬深いんだ。
哲雄 少なくとも、文学的には、嫉妬は、男の専売特許だ――と、私は思ってます。もっと言うなら、恋をするのも、嫉妬するのも、本来は、男の領分。
AKI エーッ、恋も……?
哲雄 その話については、次回、詳しく話すことにしましょう。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
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