第111夜☆「愛」は「交換」してはいけない、「贈与」せよ!
第111夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。ホワイトデー論争に端を発して、「交換」と「贈与」の違いに言及した一連のトーク。今回は、いよいよその核心に迫ります。「交換」としての「愛」と「贈与」としての「愛」はどう違うのか、をめぐって、トークは白熱――。
【今回のキーワード】 ホワイトデー 等価交換 贈与
【リンク・キーワード】 オーガズム 恋愛小説 エロ コミュニケーション 不倫
AKI 前回は、「贈り物の交換」から、「経済」が生まれた――という、ぼう大な話になっちゃいましたね。
哲雄 そして、「経済」になることによって、「贈り物」に込められた愛とか感謝とかいう「人の気持ち」はロンダリング(浄化)されて、人は自分の生産物から疎外されてしまう――という話をしました。
AKI だから、「贈り物の交換」はすべきでない。ホワイトデーなんかぶっつぶせ! それが、哲ジイの結論でしたわね。
哲雄 誤解のないように申し上げておきますが、ここで言う「交換」とは「等価交換」のことです。「等価」というのは、何も「贈り物の値段」のことを言っているのではありませんよ。「価値」が「等価」であるような、「等価」と感じて行うような「交換」をしてはいけない、ということです。
AKI 「価値」が「等価」? よく、わかんない……。
哲雄 たとえば、キミが、どこかのおじさんから、5万円の指輪をプレゼントされたとしよう。「じゃ、私も……」てんで、キミが5万円相当の時計をお返しに贈ったとする。これも「等価交換」だけど、キミの場合は、もっと他の「等価交換」を考えるかもしれない。
AKI 他の……? 話が見えないんですけど……。
哲雄 5万円もする指輪をもらっちゃったんだから、いいか、1回ぐらい、やらせてあげても――と、体を許しちゃったり……とか。
AKI それが「等価」? わたし、そんなに安くありませんけど……。
哲雄 もののたとえとして話してるんです。100万円だと心が揺らぐくせに……(ブツブツ
)。
AKI 何か、おっしゃいました?
哲雄 いいえ。それでね、きょうは、とても大事な話をするんだけど、「交換」してはいけない、というのは「贈り物」だけではないゾ、ということを申し上げたいわけですよ。
AKI わかった。「愛も」と言いたいわけですね、哲ジイは?
哲雄 「愛こそ」と言うべきでしょうね。ところが、私たちは、ともするとこの「愛」を交換の対象としてしまいます。
AKI 愛してあげるから金くれ……とか?
哲雄 それは、「売春」という交換だけど、もっと日常的に口にしてることがあるでしょう?
AKI 口に……。そうか、私がお口でしてあげたのに、あなたはなめてもくれない――とか?
哲雄 どうも、キミの話は、下世話に流れてしまうなぁ。もっと、精神的なことですよ。ホラ、キミだってよく言うでしょ。
AKI 愛してあげるから、あなたも愛して……とかですか?
哲雄 そうそう、その手の言葉。たとえば、よく女性が口にする不満に、「私がこんなに愛してるのに、あの人ときたら……」なんてのがあるよね。男だって言うでしょ? 「おまえのために○○も、××もしてやったのに」なんてさ。
AKI それ、親も言いますよね。「ここまで育ててやったのに……」とか。
哲雄 こういう言葉を言わせてしまうのは、「愛」を「交換」の対象としてるからなんだよね。自分が愛した分だけ、相手からも愛してもらわないと満足できない――と考えてしまう心のありよう。私は、それこそ問題だと思っているわけです。
AKI 「愛」はそのようなものではない、と哲ジイは言いたいわけですね。
哲雄 そうです。
「愛」は、純粋に「贈与」であるべきだ
と考えています。「交換」ではなくて。
AKI 「純粋に」ってことは、「お返し」も期待しないってことですか?
哲雄 「愛した分だけ愛してよ」というのは、「等価」を期待してるわけだから、「贈与」ではなくて「交換」。「この愛は、いつか報われるだろう」と期待するのも、純粋な「贈与」とは言いがたい。見返りを期待してるわけだから。
AKI ただ、与えなさい――というわけですか?
哲雄 そう。
ただ、与えなさい、惜しみなく。
これが「愛」の本質です。空の太陽を見てごらん。
AKI ウッ、まぶしい!
哲雄 何もほんとに見なくてもよろしい。太陽は、何の見返りも求めず、ただただ、私たちを照らし続けて、その恵みを与え続けているでしょう? あ、これはもののたとえだからね。別に太陽が私たちを照らし続けてるのは、「地球人を温めてあげよう」なんて思ってるわけじゃないけど、ほんとの「愛」とは、その太陽のように、ただただ与え続ける、そのようなものだと言いたかったわけで……。
AKI わかってますよ、それくらい。別に、こっちも頼んでないし……。
哲雄 「神の愛」とか「仏の慈悲」も、そのような「無償の愛」のありようを、私たちに示しているわけです。
AKI 「贈与」としての「愛」は、そのようなものであるべきだ――と、おっしゃりたいわけですね。
哲雄 そして、「愛」と言うなら、その「愛」は、そのような「贈与」であるべだ、と言いたいわけです。
AKI でも、哲ジイ、それは、なかなかむずかしいことですよ。「愛されること」を期待しないで愛するなんて、なかなかできることではありません。
哲雄 でも、キミは、さっき、駅の階段で転びかけたおばあちゃんに、思わず手を差し伸べてたじゃありませんか?
AKI あら、見てたんですか? あれは、とっさにやったことで……。
哲雄 そのとき、キミは、そのおばあちゃんに愛されることを期待しましたか?
AKI 別に、そんなことまで考えませんよ。
哲雄 じゃ、それは「贈与」の「愛」ですね。そういう「愛」は、ちゃんとキミの心の中にも棲んでるじゃありませんか。
AKI なんだか、心の中が、ホッと救われるような気がします。
哲雄 「贈与」としての「愛」はね、みんな、そういう形では心の中に持ってるんです。そして、そういう「愛」に感謝する心もね。先住民たちは、雲間から太陽が顔をのぞかせたただけでも、「ああ、ありがたい」と手を合わせる気持ちを持っていました。大地が、草花に花を咲かせ、種子が実ると、その恵みに感謝する心も持っていました。
AKI ああ、今月も無事に生理が来ました。ありがたいことじゃ……と思ったりもしますわね。
哲雄 ちょっと違うような気がするけど、ま、いいでしょ。ところがね、人は、こと男女の愛になると、そういう純な「贈与」の気持ちをなくしてしまう。
AKI 愛してくれないと嘆いたり、裏切られたと怒ったり、もっと愛して……と欲張ったりしますよね。
哲雄 すべては遺伝子のせいです。
AKI エッ、遺伝子……?
哲雄 その話は、また、今度。ところで、AKIクン、これ、気持ちだけだけど……。
AKI エッ、エッ!? も、もしかして、ホワイトデーの?
哲雄 違いますッ! ほんの「純粋贈与」です。では、また……。
AKI ウルッ……。
あなたの感想をClick Please!(無制限、押し放題!)
管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。
この記事はためになった(FC2 恋愛)
この記事に共感した(にほんぶろぐ村 恋愛)
この記事は面白かった(人気ブログランキング 恋愛)
→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る

AKI 何か、おっしゃいました?
哲雄 いいえ。それでね、きょうは、とても大事な話をするんだけど、「交換」してはいけない、というのは「贈り物」だけではないゾ、ということを申し上げたいわけですよ。
AKI わかった。「愛も」と言いたいわけですね、哲ジイは?
哲雄 「愛こそ」と言うべきでしょうね。ところが、私たちは、ともするとこの「愛」を交換の対象としてしまいます。
AKI 愛してあげるから金くれ……とか?
哲雄 それは、「売春」という交換だけど、もっと日常的に口にしてることがあるでしょう?
AKI 口に……。そうか、私がお口でしてあげたのに、あなたはなめてもくれない――とか?
哲雄 どうも、キミの話は、下世話に流れてしまうなぁ。もっと、精神的なことですよ。ホラ、キミだってよく言うでしょ。
AKI 愛してあげるから、あなたも愛して……とかですか?
哲雄 そうそう、その手の言葉。たとえば、よく女性が口にする不満に、「私がこんなに愛してるのに、あの人ときたら……」なんてのがあるよね。男だって言うでしょ? 「おまえのために○○も、××もしてやったのに」なんてさ。
AKI それ、親も言いますよね。「ここまで育ててやったのに……」とか。
哲雄 こういう言葉を言わせてしまうのは、「愛」を「交換」の対象としてるからなんだよね。自分が愛した分だけ、相手からも愛してもらわないと満足できない――と考えてしまう心のありよう。私は、それこそ問題だと思っているわけです。
AKI 「愛」はそのようなものではない、と哲ジイは言いたいわけですね。
哲雄 そうです。
「愛」は、純粋に「贈与」であるべきだ
と考えています。「交換」ではなくて。
AKI 「純粋に」ってことは、「お返し」も期待しないってことですか?
哲雄 「愛した分だけ愛してよ」というのは、「等価」を期待してるわけだから、「贈与」ではなくて「交換」。「この愛は、いつか報われるだろう」と期待するのも、純粋な「贈与」とは言いがたい。見返りを期待してるわけだから。
AKI ただ、与えなさい――というわけですか?
哲雄 そう。
ただ、与えなさい、惜しみなく。
これが「愛」の本質です。空の太陽を見てごらん。
AKI ウッ、まぶしい!
哲雄 何もほんとに見なくてもよろしい。太陽は、何の見返りも求めず、ただただ、私たちを照らし続けて、その恵みを与え続けているでしょう? あ、これはもののたとえだからね。別に太陽が私たちを照らし続けてるのは、「地球人を温めてあげよう」なんて思ってるわけじゃないけど、ほんとの「愛」とは、その太陽のように、ただただ与え続ける、そのようなものだと言いたかったわけで……。
AKI わかってますよ、それくらい。別に、こっちも頼んでないし……。
哲雄 「神の愛」とか「仏の慈悲」も、そのような「無償の愛」のありようを、私たちに示しているわけです。
AKI 「贈与」としての「愛」は、そのようなものであるべきだ――と、おっしゃりたいわけですね。
哲雄 そして、「愛」と言うなら、その「愛」は、そのような「贈与」であるべだ、と言いたいわけです。
AKI でも、哲ジイ、それは、なかなかむずかしいことですよ。「愛されること」を期待しないで愛するなんて、なかなかできることではありません。
哲雄 でも、キミは、さっき、駅の階段で転びかけたおばあちゃんに、思わず手を差し伸べてたじゃありませんか?
AKI あら、見てたんですか? あれは、とっさにやったことで……。
哲雄 そのとき、キミは、そのおばあちゃんに愛されることを期待しましたか?
AKI 別に、そんなことまで考えませんよ。
哲雄 じゃ、それは「贈与」の「愛」ですね。そういう「愛」は、ちゃんとキミの心の中にも棲んでるじゃありませんか。
AKI なんだか、心の中が、ホッと救われるような気がします。
哲雄 「贈与」としての「愛」はね、みんな、そういう形では心の中に持ってるんです。そして、そういう「愛」に感謝する心もね。先住民たちは、雲間から太陽が顔をのぞかせたただけでも、「ああ、ありがたい」と手を合わせる気持ちを持っていました。大地が、草花に花を咲かせ、種子が実ると、その恵みに感謝する心も持っていました。
AKI ああ、今月も無事に生理が来ました。ありがたいことじゃ……と思ったりもしますわね。
哲雄 ちょっと違うような気がするけど、ま、いいでしょ。ところがね、人は、こと男女の愛になると、そういう純な「贈与」の気持ちをなくしてしまう。
AKI 愛してくれないと嘆いたり、裏切られたと怒ったり、もっと愛して……と欲張ったりしますよね。
哲雄 すべては遺伝子のせいです。
AKI エッ、遺伝子……?
哲雄 その話は、また、今度。ところで、AKIクン、これ、気持ちだけだけど……。

AKI エッ、エッ!? も、もしかして、ホワイトデーの?
哲雄 違いますッ! ほんの「純粋贈与」です。では、また……。
AKI ウルッ……。


管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 第112夜☆男の浮気は「保険」、女の浮気は「投資」 (2010/03/17)
- 第111夜☆「愛」は「交換」してはいけない、「贈与」せよ! (2010/03/12)
- 第110夜☆私がホワイトデーを嫌うほんとの理由 (2010/03/07)