第109夜☆チョコにチョコを返すと、「愛」の意味は消滅する
第109夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。今回は、「ホワイトデー」にチョコのお返しをすることは、愛を高めることになるのかどうか……について、熱いトークを繰り広げます――。
【今回のキーワード】 ホワイトデー お返し 贈り物
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AKI 「贈り物」には、心が付着していなければならない。前回は、確か、そんなお話だったかと思いますが、それと「ホワイトデー」不要っていうのが、どう関係するのか? きょうは、そこらへんをじっくり、お聞かせくださいまし、ジイジイ。
哲雄 「ジイ」はひとつでけっこうです。そうです。「贈り物」は、贈った物そのものより、それにくっついて贈られる「贈り主の人格性」が大事なんだ、と申し上げました。そしてね、ここが大事なところなんだけど、その「贈った心」だよね、感謝とか「好き」とか「おめでとう」とかいう心は、贈られた人のもとに、ある期間、とどまって、初めて意味を持つものなんだ。
AKI だからすぐ「質入」したりしちゃいけない……と。
哲雄 質入なんてのは論外。ネット・オークションにかけたりするのも、罰当たり。「ウーン、これ、もらったんだけど、うちじゃ使えないから」と、すぐ人に譲ってしまうってのも、よろしくない。
AKI でも、それって、よくやりません? 田舎から、いっぱいリンゴを送ってきたので、よろしかったらどうぞ……って。
哲雄 それはまた別の話です。汎用品というか、その贈り物の効果が「贈られた人限定」でないものについては、むしろ、積極的におすそ分けしたほうがいいのです。「私はこんな幸せをいただきましたので、これをあなたにも、あなたにも……」と分けてあげる。そうすることによって、贈った人の「いい心」が、周りに広がっていくでしょう。贈り物には、本来、そういう役割があるのです。
AKI そういう役割……って?
哲雄 「善き心」の流通です。人が持っている「いい心」が、贈り物を通して人々の間に伝播していく。これはとてもいいことで、日本でも、南米などの先住民の世界でも、そうした贈り物には「霊力」があるというふうに考えたんだね。日本では、贈り物に「のし」をつけたりするでしょう? あれも、昔の人たちが、「贈り物」には「霊的な力」があると信じた名残なんだよね。というより、日本人のメンタリティでは、「贈り物」は、いったん神様を経由してあげる――というふうに考えたんだと思う。
AKI じゃ、もらいすぎたチョコレートをおすそ分けするのもあり?
哲雄 問題は、そこです。「義理チョコ」ならそれでもいいけれど、キミのように、相手に「本命チョコ」を贈らせておいて、それをバラ撒くってのは、いかがなものか?
AKI 人聞きのわるい。私、「本命チョコ」を贈らせたりなんてしてませんけど……。
哲雄 キミはそう思ってなくても、贈ったほうは、「このチョコに、ボクの一生の思いを込めて」と、贈ってるかもしれないじゃないですか。それを軽々に「これ、要らない。太っちゃうから」と、口にもせずに、恵まれないお友だちにあげたりしたら、贈り主の心は葬られてしまうよね。
AKI ごめんなさい。私、葬っちゃいました、去年は、30個ほど。
哲雄 30人も? もしかして、その中には、この私のも……?
AKI 滅相もございません。私、大事に大事にとっておきましたのよ。賞味期限が切れて、カビが生えてしまうまで……。
哲雄 生殺しですか? 憐れなり、わが心。放置された末に生ゴミ行きとは、トホホ……。
AKI ごめんなさい、今年はちゃんと、期限内にいただかせていただきますから。
哲雄 だから、今年は止めたんだって。
AKI 止めた……って、ホワイトデーを?
哲雄 それが、本日のテーマでしょ。今年は、いっさい、お返しはいたしません。
AKI お返しするほどもらってないくせに……あ、こっちの話です。それで? お返しをしないという理由は?
哲雄 前々回、「贈り物」と「交換」の違いについて話したよね(←第107夜『「贈り物」にすぐ「お返し」をしてはいけない理由』参照)。その中で、贈り物に即座にお返しをするのは、たいへん失礼な行為だという話をしました。なぜかというと、そうすることによって、「贈った人の心」が、突き返されてしまうから。しかも、贈られた物とほぼ同程度の価値、あるいはそれ以上の価値の物を贈り返すなんてことをやったら、せっかく贈った人の心は、踏みにじられてしまいます。
AKI だけど、Vデーからホワイトデーまでは、1ヵ月、間があるんですよ。
哲雄 1ヵ月しかない、とも言えるよね。最初に、「贈った人の心」は、贈られた人のもとに一定期間、とどまらないと意味がないという話をしたけど、1ヵ月ですぐお返しなんてことをやると、せっかくキミからいただいた「愛」を、私はわすが1ヵ月で、のし付けて送り返してしまうことになる。
AKI そ、そんな「愛」だなんて、私、そんなつもりは……。
哲雄 ま、いいでしょ。尊敬でも、感謝でも、人類愛でも、ただの憐れみでも、おんなじです。しかも、相手からいただいたのと同じ種類のものを、その2倍の額でお返ししなさい――だなんて、いったい、だれが、こんなルールを作ってしまったのか……。
AKI それは、ただ、欲深い女たちが勝手に言ってるだけで、別にルールってわけじゃ……。
哲雄 でも、2月14日にチョコを贈る女性の大半は、3月14日のお返しを期待してる。それがジョーシキだとさえ思っている人もいる。
AKI ま、そういう気持ちもないとは言えません。
哲雄 「愛する人に愛を贈る」という、本来のバレンタインデーの意味が、
交換ルールを付けることによって、
単なる「交換」に変わり果ててしまったわけですよ。
AKI ね、こう考えたらどうですか? これは、お歳暮やお中元とおんなじだって……?
哲雄 だから、イヤなんです。お歳暮やお中元なんて、いまじゃ、まったく「贈り物」の意味をなくしてるじゃありませんか。何ですか、あの「チョイス便」なんてのは?
AKI な、何ですか、それ?
哲雄 リストの中から「お好きな品物をどうぞ」っていうギフト商品なんだけど、最近は、結婚式の引き出物なんかも、このチョイス式の商品引換券を渡すケースが増えてる。これってさ、現金を渡してるのと違わないじゃないか。
AKI それ、いい。今度、うちの店でも作ったらどうだろう?
哲雄 ハイ? 何ですと?
AKI 前立腺コースとか、手こきコースとか……あと、チュー1回コースとか。どれでもお好きなコースをどうぞ……なんて、キャハ。あ、ごめんなさい。話、そらしちゃいましたね。
哲雄 どれかひとつを選びなさいってわけ? するとさ、「前立腺」と「手こき」と「チュー1回」は、「同じ価値」を持つ――ってことになるよね。
AKI なりますね。何か、ご不満でも?
哲雄 AKIクンの「チュー1回」は、そんなに高いのか……という問題じゃなくて、こうして「同じ価値」が発見されると、それを表す単位も発見される。それが「貨幣」なんだけどさ……。
AKI 別によろしいじゃありませんか。
哲雄 物の価値を「貨幣」で表したとたんに、その物に付着していた「人格性」は、完全にブッ飛んでしまいます。どこのだれが、どんな思いを込めて贈ったのか――という意味も、きれいさっぱり洗い流されてしまいます。
AKI 贈り物の価値が、そこに込められた「思い」ではなくて、「お値段」に置き換えられてしまうということですね。
哲雄 だから、プレゼントというものに「交換」のシステムを付けてはいけない、と私は思うわけです。
AKI つまり、「交換」のシステムであるホワイトデーには、自分は乗れない――と、こういうわけですか?
哲雄 もし、相手の気持ちに答えたいというのであれば、物を「お返し」するのではなく、気持ちそのものに答えるべきです。「愛してるよ」というチョコには、熱い抱擁とか、キスとか……でお答えするのが、本来の筋道であろうと……。
AKI なんてことを言いながら、そのナマコみたいな唇を突き出さないでくださいよ。「お返し」は、いっさい、ご無用に願います。
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AKI 人聞きのわるい。私、「本命チョコ」を贈らせたりなんてしてませんけど……。
哲雄 キミはそう思ってなくても、贈ったほうは、「このチョコに、ボクの一生の思いを込めて」と、贈ってるかもしれないじゃないですか。それを軽々に「これ、要らない。太っちゃうから」と、口にもせずに、恵まれないお友だちにあげたりしたら、贈り主の心は葬られてしまうよね。
AKI ごめんなさい。私、葬っちゃいました、去年は、30個ほど。

哲雄 30人も? もしかして、その中には、この私のも……?
AKI 滅相もございません。私、大事に大事にとっておきましたのよ。賞味期限が切れて、カビが生えてしまうまで……。
哲雄 生殺しですか? 憐れなり、わが心。放置された末に生ゴミ行きとは、トホホ……。
AKI ごめんなさい、今年はちゃんと、期限内にいただかせていただきますから。
哲雄 だから、今年は止めたんだって。
AKI 止めた……って、ホワイトデーを?
哲雄 それが、本日のテーマでしょ。今年は、いっさい、お返しはいたしません。
AKI お返しするほどもらってないくせに……あ、こっちの話です。それで? お返しをしないという理由は?
哲雄 前々回、「贈り物」と「交換」の違いについて話したよね(←第107夜『「贈り物」にすぐ「お返し」をしてはいけない理由』参照)。その中で、贈り物に即座にお返しをするのは、たいへん失礼な行為だという話をしました。なぜかというと、そうすることによって、「贈った人の心」が、突き返されてしまうから。しかも、贈られた物とほぼ同程度の価値、あるいはそれ以上の価値の物を贈り返すなんてことをやったら、せっかく贈った人の心は、踏みにじられてしまいます。
AKI だけど、Vデーからホワイトデーまでは、1ヵ月、間があるんですよ。
哲雄 1ヵ月しかない、とも言えるよね。最初に、「贈った人の心」は、贈られた人のもとに一定期間、とどまらないと意味がないという話をしたけど、1ヵ月ですぐお返しなんてことをやると、せっかくキミからいただいた「愛」を、私はわすが1ヵ月で、のし付けて送り返してしまうことになる。
AKI そ、そんな「愛」だなんて、私、そんなつもりは……。
哲雄 ま、いいでしょ。尊敬でも、感謝でも、人類愛でも、ただの憐れみでも、おんなじです。しかも、相手からいただいたのと同じ種類のものを、その2倍の額でお返ししなさい――だなんて、いったい、だれが、こんなルールを作ってしまったのか……。
AKI それは、ただ、欲深い女たちが勝手に言ってるだけで、別にルールってわけじゃ……。
哲雄 でも、2月14日にチョコを贈る女性の大半は、3月14日のお返しを期待してる。それがジョーシキだとさえ思っている人もいる。
AKI ま、そういう気持ちもないとは言えません。
哲雄 「愛する人に愛を贈る」という、本来のバレンタインデーの意味が、
交換ルールを付けることによって、
単なる「交換」に変わり果ててしまったわけですよ。
AKI ね、こう考えたらどうですか? これは、お歳暮やお中元とおんなじだって……?
哲雄 だから、イヤなんです。お歳暮やお中元なんて、いまじゃ、まったく「贈り物」の意味をなくしてるじゃありませんか。何ですか、あの「チョイス便」なんてのは?
AKI な、何ですか、それ?
哲雄 リストの中から「お好きな品物をどうぞ」っていうギフト商品なんだけど、最近は、結婚式の引き出物なんかも、このチョイス式の商品引換券を渡すケースが増えてる。これってさ、現金を渡してるのと違わないじゃないか。
AKI それ、いい。今度、うちの店でも作ったらどうだろう?
哲雄 ハイ? 何ですと?
AKI 前立腺コースとか、手こきコースとか……あと、チュー1回コースとか。どれでもお好きなコースをどうぞ……なんて、キャハ。あ、ごめんなさい。話、そらしちゃいましたね。
哲雄 どれかひとつを選びなさいってわけ? するとさ、「前立腺」と「手こき」と「チュー1回」は、「同じ価値」を持つ――ってことになるよね。
AKI なりますね。何か、ご不満でも?
哲雄 AKIクンの「チュー1回」は、そんなに高いのか……という問題じゃなくて、こうして「同じ価値」が発見されると、それを表す単位も発見される。それが「貨幣」なんだけどさ……。
AKI 別によろしいじゃありませんか。
哲雄 物の価値を「貨幣」で表したとたんに、その物に付着していた「人格性」は、完全にブッ飛んでしまいます。どこのだれが、どんな思いを込めて贈ったのか――という意味も、きれいさっぱり洗い流されてしまいます。
AKI 贈り物の価値が、そこに込められた「思い」ではなくて、「お値段」に置き換えられてしまうということですね。
哲雄 だから、プレゼントというものに「交換」のシステムを付けてはいけない、と私は思うわけです。
AKI つまり、「交換」のシステムであるホワイトデーには、自分は乗れない――と、こういうわけですか?
哲雄 もし、相手の気持ちに答えたいというのであれば、物を「お返し」するのではなく、気持ちそのものに答えるべきです。「愛してるよ」というチョコには、熱い抱擁とか、キスとか……でお答えするのが、本来の筋道であろうと……。
AKI なんてことを言いながら、そのナマコみたいな唇を突き出さないでくださいよ。「お返し」は、いっさい、ご無用に願います。

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