第95夜☆別れるためにだれかと出会い、失うために何かを得る。それが人生
第95夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。今回は、浮気されて悲しむ心とその本質を、「寅さんの失恋」を例に語ろうと思います――。
【今回のキーワード】 寅さん 失恋 アウトサイダー 無常観
AKI 今年、最後のトークになりましたね。
哲雄 思い起こせば、今年2月、キミとこうして語り合うようになって、なんときょうで95夜。長かったなぁ……。
AKI 終わりみたいな言い方しないでくださいよ。1001夜までやるんでしょ?
哲雄 そこまで私が生きてるかどうか……。
AKI ダイジョーブ! 骨は拾ってあげますから。
哲雄 どうも、この季節になると、ケツの座りがわるくてねェ。
AKI 何か、持病でもあるんですか、おシリに?
哲雄 ウム、実は、尖形コンジロームが……って、そんなわけないでしょ。ただ、旅に出たくなるんですよ、カバンひとつ持って。
AKI わかった、寅さんだ!
哲雄 そう、その寅さん。きょうは寅さんの話をしようと思うんだ。
AKI あら、きょうは浮気されて悲しむタイプの話じゃなかったんですか?
哲雄 その悲しむタイプの典型が、寅さんだって話なんだけどね。
AKI そう言えば、寅さんって、フラれても怒りませんよね。寂しく身を引いて、悲しそうな顔で、旅に出ちゃいますよね。
哲雄 彼は自覚してるからね、自分がアウトサイダーだってことを。
AKI 三津屋サイダーじゃなくて……?
哲雄 ウン、今度、サントリーから発売……なわけないでしょ! 「アウトサイダー」っていうのは、ある集団の性質を規定する属性から外れるメンバーを指す言葉なんだ。たとえば、定職に就いて、家庭を持って、子どもを育てて――というのが、社会の構成員であるための基本的な要件だとすると、定住せずに全国を流れ歩いてショーバイしてる寅さんは、リッパに「アウトサイダー」なわけですよ。
AKI 結局、結婚もしなかったしね。
哲雄 結婚するってことは、ある一面では「インサイダー」になりなさいってことだよね。寅さんにも何度か、そうなりそうな機会があったんだけど、そういう場面になると、寅さんは、「からかっちゃいけねェよ」とか言って、自分から身を引いてしまう。
AKI 悲しきアウトサイダー……。
哲雄 しかし、心やさしいアウトサイダーでもあった。寅さんの失恋は、実は、ホレた女性には愛している男がいて、そいつは、社会の枠組みの中で必死でガンバってる健気な男だったり……ってパターンが多いんだけど、すると、寅さんは……。
AKI その男を励ましたりしちゃうんだよね。そして、自分は静かに消えていくんでしょ?
哲雄 そう、相手の幸せを願いながらね。肝心なのは、ここです。
AKI 相手の幸せを願うってこと?
哲雄 自分の幸せじゃなくてね。自分の幸せだけを願っていると、相手が浮気したり、心移りしたりしてしまうと、「裏切られた」と感じて怒り出すけど、相手の幸せを願っていれば、「怒る」のじゃなくて「諦める」。キミがそれで幸せになれるのなら、ボクは黙って消えよう――ってね。
AKI で、顔では笑って、心で泣くんだ。
哲雄 でね、寅のやつのエラいところは、「自分は身を引いてやったんだ」などとは、絶対に思わないこと。「そうか、うまくいってんのか。よかった、よかった」ってね、相手の幸せを喜んであげられるところなんだよね。だから、映画は、いつも、真っ青に晴れ上がった空を映し出して終わる。
AKI ね、哲ジイも、別れた彼女の幸せとか、願ってあげられる? あんな男とくっつきやがって、いまに見てろ、痛い目見るゾ――とか思わない?
哲雄 思わない。もしそんなこと思ったら、この地上から消えてしまいたくなるだろうね。ただ、反省はするだろうけど。
AKI どんな反省?
哲雄 ああ、あのとき、彼女の誕生日に2万円のネックレスを贈ったけど、2万3000円のにしとけばよかったなぁ……とか。
AKI そういう問題?
哲雄 ああ、あのとき、飲みすぎないで、ちゃんとエッチしとけばよかったなぁ……とか。いや、一度さ、別れたあとで彼女がうちに泊まりに来たことがあったんだ。
AKI あら、それって、重要ですよ。彼女、もう一度、やり直せるかもしれないって思ったんじゃないですか?
哲雄 わからない。ただ、新しい男のことをいろいろグチってはいたからね。
AKI そうですよ。絶対、そう。別れて新しい男とつき合ったけど、やっぱりこの男とはうまくいかない……とか思い始めてて、それだったら、前の多少難あり男のほうがよかったかも……なんて思い始めてたのかもしれないじゃないですか?
哲雄 だれが「難あり男」やねん!
AKI 「難」だらけですッ。そ、それで……どうなったんですか?
哲雄 彼女、酒が強いんだ。「もう一杯」「もう一杯」って飲むから、それにつき合ってるうちに、こっちは酩酊浮遊。家に着いたら、バタンキューで寝ちまった。
AKI あ~あ! せっかくの敗者復活戦が台無しだわ。彼女、どうしました?
哲雄 「ああ、来て損した」とか言って、翌朝、プンプンして帰っていった。
AKI ハハ……。わかる! それ、すごくわかる。彼女、たぶん、期待してたんですよ。ドラマチックな大逆転劇を。
哲雄 ま、反省するのは、主としてそんなことですかね。でも、私はそれでよかったと思ってる。結局、彼女は迷いも吹っ切れて、いまじゃ、平和な家庭を築いてるからね。
AKI でも、悲しくはあったわけでしょ、哲ジイとしては?
哲雄 その程度の悲しみは、人生にはつきものです。
人は、別れるためにだれかと出会い、失うために何かを得る
――っていうのが、私の人生観だからね。
AKI ウーン、無常観ですね。
哲雄 だって考えてごらんよ。人ってさ、いつか死ぬためにこの世に生を受けるんだよ。その程度の悲しみに耐えられなくて、どうするんですか?
AKI オーッ、そこまでいっちゃいますか?
哲雄 だからね、せめてこの世で出会った人たちには、幸せであってほしいと願わずにはいられない。恋愛なんて、その極致。もし、だれかを好きになって、その人のことを「幸せであってほしい」と願えないのであれば、人を好きになる値打ちがないと思ってるんだ、私は。
AKI 浮気されて悲しむ心とは、そんな心ですか?
哲雄 そのような心のありようです。
AKI つまり、哲ジイとしては、怒るな! ただ悲しめ!――と、そう言いたいわけですね。
哲雄 悲しんだ上で、祈りなさい――と言いたいわけです。ところで、このブログを始めてからも、実に、いろんな人と出会いましたね。
AKI ハイ、もう消えてしまったブログもありますけど……。
哲雄 明日は、その総集編でもやって、1年のまとめとしましょうか?
AKI みなさん、大晦日も「不純愛」ですよ。
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哲雄 彼は自覚してるからね、自分がアウトサイダーだってことを。
AKI 三津屋サイダーじゃなくて……?
哲雄 ウン、今度、サントリーから発売……なわけないでしょ! 「アウトサイダー」っていうのは、ある集団の性質を規定する属性から外れるメンバーを指す言葉なんだ。たとえば、定職に就いて、家庭を持って、子どもを育てて――というのが、社会の構成員であるための基本的な要件だとすると、定住せずに全国を流れ歩いてショーバイしてる寅さんは、リッパに「アウトサイダー」なわけですよ。
AKI 結局、結婚もしなかったしね。
哲雄 結婚するってことは、ある一面では「インサイダー」になりなさいってことだよね。寅さんにも何度か、そうなりそうな機会があったんだけど、そういう場面になると、寅さんは、「からかっちゃいけねェよ」とか言って、自分から身を引いてしまう。
AKI 悲しきアウトサイダー……。
哲雄 しかし、心やさしいアウトサイダーでもあった。寅さんの失恋は、実は、ホレた女性には愛している男がいて、そいつは、社会の枠組みの中で必死でガンバってる健気な男だったり……ってパターンが多いんだけど、すると、寅さんは……。
AKI その男を励ましたりしちゃうんだよね。そして、自分は静かに消えていくんでしょ?
哲雄 そう、相手の幸せを願いながらね。肝心なのは、ここです。
AKI 相手の幸せを願うってこと?
哲雄 自分の幸せじゃなくてね。自分の幸せだけを願っていると、相手が浮気したり、心移りしたりしてしまうと、「裏切られた」と感じて怒り出すけど、相手の幸せを願っていれば、「怒る」のじゃなくて「諦める」。キミがそれで幸せになれるのなら、ボクは黙って消えよう――ってね。
AKI で、顔では笑って、心で泣くんだ。
哲雄 でね、寅のやつのエラいところは、「自分は身を引いてやったんだ」などとは、絶対に思わないこと。「そうか、うまくいってんのか。よかった、よかった」ってね、相手の幸せを喜んであげられるところなんだよね。だから、映画は、いつも、真っ青に晴れ上がった空を映し出して終わる。
AKI ね、哲ジイも、別れた彼女の幸せとか、願ってあげられる? あんな男とくっつきやがって、いまに見てろ、痛い目見るゾ――とか思わない?
哲雄 思わない。もしそんなこと思ったら、この地上から消えてしまいたくなるだろうね。ただ、反省はするだろうけど。
AKI どんな反省?
哲雄 ああ、あのとき、彼女の誕生日に2万円のネックレスを贈ったけど、2万3000円のにしとけばよかったなぁ……とか。
AKI そういう問題?
哲雄 ああ、あのとき、飲みすぎないで、ちゃんとエッチしとけばよかったなぁ……とか。いや、一度さ、別れたあとで彼女がうちに泊まりに来たことがあったんだ。
AKI あら、それって、重要ですよ。彼女、もう一度、やり直せるかもしれないって思ったんじゃないですか?
哲雄 わからない。ただ、新しい男のことをいろいろグチってはいたからね。
AKI そうですよ。絶対、そう。別れて新しい男とつき合ったけど、やっぱりこの男とはうまくいかない……とか思い始めてて、それだったら、前の多少難あり男のほうがよかったかも……なんて思い始めてたのかもしれないじゃないですか?
哲雄 だれが「難あり男」やねん!
AKI 「難」だらけですッ。そ、それで……どうなったんですか?
哲雄 彼女、酒が強いんだ。「もう一杯」「もう一杯」って飲むから、それにつき合ってるうちに、こっちは酩酊浮遊。家に着いたら、バタンキューで寝ちまった。
AKI あ~あ! せっかくの敗者復活戦が台無しだわ。彼女、どうしました?
哲雄 「ああ、来て損した」とか言って、翌朝、プンプンして帰っていった。
AKI ハハ……。わかる! それ、すごくわかる。彼女、たぶん、期待してたんですよ。ドラマチックな大逆転劇を。
哲雄 ま、反省するのは、主としてそんなことですかね。でも、私はそれでよかったと思ってる。結局、彼女は迷いも吹っ切れて、いまじゃ、平和な家庭を築いてるからね。
AKI でも、悲しくはあったわけでしょ、哲ジイとしては?
哲雄 その程度の悲しみは、人生にはつきものです。
人は、別れるためにだれかと出会い、失うために何かを得る
――っていうのが、私の人生観だからね。
AKI ウーン、無常観ですね。
哲雄 だって考えてごらんよ。人ってさ、いつか死ぬためにこの世に生を受けるんだよ。その程度の悲しみに耐えられなくて、どうするんですか?
AKI オーッ、そこまでいっちゃいますか?
哲雄 だからね、せめてこの世で出会った人たちには、幸せであってほしいと願わずにはいられない。恋愛なんて、その極致。もし、だれかを好きになって、その人のことを「幸せであってほしい」と願えないのであれば、人を好きになる値打ちがないと思ってるんだ、私は。
AKI 浮気されて悲しむ心とは、そんな心ですか?
哲雄 そのような心のありようです。
AKI つまり、哲ジイとしては、怒るな! ただ悲しめ!――と、そう言いたいわけですね。
哲雄 悲しんだ上で、祈りなさい――と言いたいわけです。ところで、このブログを始めてからも、実に、いろんな人と出会いましたね。
AKI ハイ、もう消えてしまったブログもありますけど……。
哲雄 明日は、その総集編でもやって、1年のまとめとしましょうか?
AKI みなさん、大晦日も「不純愛」ですよ。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
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