その小さな愛よ、天まで届け!~クリスマスに寄せて

みなさん、
Merry Christmas!
きょう一日が、そしてこれからの人生が、
みなさまにとって、愛に満ちた日々でありますように
ささやかな願いを込めて、
本日は、クリスマス特別の記事を投稿します。
以下は、イブの夜、管理人が近くのスーパーでたまたま目にした、ちょっといい話です。
Merry Christmas!
きょう一日が、そしてこれからの人生が、
みなさまにとって、愛に満ちた日々でありますように
ささやかな願いを込めて、
本日は、クリスマス特別の記事を投稿します。
以下は、イブの夜、管理人が近くのスーパーでたまたま目にした、ちょっといい話です。
私の住んでいる小さな街の駅前にも、クリスマスのイルミネーションは輝いている。
どこかの店先から流れる「ジングル・ベル」のメロディが、行き交う人々の足を、ほんの少しだけ、軽快にはずませていた。
そんな風景が、年々、縁遠いものになっていく。
「メリー・クリスマス」と言葉を交わす相手も、ここ何年か、身近にはいない。
それよりも何よりも、無事、年を越すための算段に追いまくられて、今年はクリスマスどころじゃない――と、乾ききった駅からの道を歩いていると、どこからか、元気な声が耳に飛び込んできた。
「クリスマスの食卓に、ロースト・チキン。1本250円で販売しておりま~す!」
地元のスーパー・マーケットの店頭に、見慣れないワゴンが出ていた。
声の主は、赤い法被を羽織った女の子だった。一応、クリスマス仕様のつもりらしい。
ワゴンの上には、こんがりと焼きあがったチキンのももが、山のように積まれている。
もも1本が250円――は、なかなかリーズナブルな値段だ。
「ね、安いよ。買っていこうよ」
恋人同士らしいカップルの女の子が、相方の腕を引いて足を止める。
「あら、××より安いんじゃない?」
「ほんと、こっちにしようか」
主婦同士らしいふたりが、山と積まれた鶏ももの前で、頭に浮かべたそろばんの数字をはじいている。
「○○ちゃん、チキンだよ」
「いいの、おじいちゃん。チキンはママが買ってくるから。行こう!」
足を止めかけたおじいちゃんが、小学校低学年ぐらいの女の子にたしなめられて、未練がましく立ち去っていく。
250円か……。どうしよう?
1年前までなら、そんなことを気にすることもなかった。
そんな値段のチキンがうまいはずがない――と、振り向きもしなかったかもしれないが、いまは、その250円の支出に、ためらいを感じる自分がいた。
しばらくワゴンの前で足を止めて考えていると、通りをひとりの老人がやってきた。
足を痛めてでもいるのか、歩き方がぎこちない。ズボンはほこりにまみれ、ひざのあたりの生地が擦り切れて、すねの肉をのぞかせている。
老人は、ワゴンの前でしばらく足を止め、チキンの山をまぶしそうに眺めたあと、また、とぼとぼと歩き始めた。
なぜか気になって、その姿を目で追った。
すると、老人は、20メートルほど歩いたところで足を止め、また引き返してきた。
再び、ワゴンの前で立ち止まり、チキンの山をまるで最後の晩餐を眺めるような目で眺めて、それからポケットをまさぐり始めた。
「どうですか、チキン? 1本250円ですよ」
声をかけようかどうしようか、一瞬、ためらった末に、ワゴンの女の子が、遠慮がちにほほえみかけた。
「あのー……これ……このまま食べられますか?」
「このままでも食べられますけど、ちょっと温めてから食べたほうがおいしいですよ。電子レンジとかあります?」
老人は、力なく首を振る。
「いま食べますか、おじいちゃん? もし、いま食べるのだったら、チンしてあげますけど」
老人は、再び首を振る。
「持って帰って……食べさせたいから……」
女の子は、少し「困ったな……」という顔をして、それから「ちょっと待っててくださいね」と、店の奥に消えた。
フーン、何をするんだろ? と見ていると、ほどなく女の子は、ジッパー付きの袋と赤い包み紙を持って戻ってきた。
「あのね、これ、この袋の中に入れておきますから、これをこのまま、口を開けずにお湯の中に入れて、温めてくださいね。冷たいまま食べるより、そのほうがおいしいですよ」
赤い法被が、ちょっとだけ、サンタクロースの赤い服に見えた。
小さなサンタクロースは、チキンを入れたビニール袋を赤い包装紙でくるみ、それをクリスマス用の金色のシールで留めて、「ハイ、じゃ、ローストチキン1本ね。250円になります」と、老人に手渡した。
ふつうは、ワゴンの脇に置いてある透明のパッケージに入れて、輪ゴムで留めたものをレジ袋に入れて渡すだけの250円のチキンを、そのサンタクロースは、特別の配慮で、小さなクリスマス・プレゼントに仕立ててしまった。
老人は、ポケットから、100円玉を1枚、1枚取り出し、10円玉を5枚、ていねいに数えて、女の子に手渡すと、チキンの袋をちょっとうれしそうに持ち上げて、女の子に振って見せ、それから、元来た道を、またトボトボと歩き始めた。
赤い包みのチキンを、大事そうに胸に抱えて、片方の足を引きずるように歩いていく老人の後姿に、女の子が聞こえるか聞こえないかの声でつぶやいた――。
「クリスマスだもんね……」
イブの風が目に染みた。
私の住むこんな小さな街の、こんな片隅にも、小さなクリスマスはあった。
私はワゴンに歩み寄り、老人の姿を見送る女の子に、思い切り明るく声をかけた。
「ボクにも、1本ちょうだい」
「ハイ、ありがとうございます」
赤法被のサンタクロースが、とびきりの笑顔で答えてくれた。
250円のチキンが、きょうは、ひとりで過ごすイブに明るい灯を点してくれそうだ。
小さな赤い法被のサンタ。
そして、待っている人の元へ、おぼつかない足を運ぶ老サンタ。
その小さな愛よ、天まで届け!
※本日は、クリスマス特別記事。イブの夜、たまたま近くのスーパーで目にした光景を、雑感としてお届けしました。
あらためて、みなさまに
メリー・リトル・クリスマス!
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管理人は、常に、下記3つの要素を満たすべく、知恵を絞って記事を書いています。
みなさんのポチ反応を見て、喜んだり、反省したり……の日々です。
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声の主は、赤い法被を羽織った女の子だった。一応、クリスマス仕様のつもりらしい。
ワゴンの上には、こんがりと焼きあがったチキンのももが、山のように積まれている。
もも1本が250円――は、なかなかリーズナブルな値段だ。
「ね、安いよ。買っていこうよ」
恋人同士らしいカップルの女の子が、相方の腕を引いて足を止める。
「あら、××より安いんじゃない?」
「ほんと、こっちにしようか」
主婦同士らしいふたりが、山と積まれた鶏ももの前で、頭に浮かべたそろばんの数字をはじいている。
「○○ちゃん、チキンだよ」
「いいの、おじいちゃん。チキンはママが買ってくるから。行こう!」
足を止めかけたおじいちゃんが、小学校低学年ぐらいの女の子にたしなめられて、未練がましく立ち去っていく。
250円か……。どうしよう?
1年前までなら、そんなことを気にすることもなかった。
そんな値段のチキンがうまいはずがない――と、振り向きもしなかったかもしれないが、いまは、その250円の支出に、ためらいを感じる自分がいた。
しばらくワゴンの前で足を止めて考えていると、通りをひとりの老人がやってきた。
足を痛めてでもいるのか、歩き方がぎこちない。ズボンはほこりにまみれ、ひざのあたりの生地が擦り切れて、すねの肉をのぞかせている。
老人は、ワゴンの前でしばらく足を止め、チキンの山をまぶしそうに眺めたあと、また、とぼとぼと歩き始めた。
なぜか気になって、その姿を目で追った。
すると、老人は、20メートルほど歩いたところで足を止め、また引き返してきた。
再び、ワゴンの前で立ち止まり、チキンの山をまるで最後の晩餐を眺めるような目で眺めて、それからポケットをまさぐり始めた。
「どうですか、チキン? 1本250円ですよ」
声をかけようかどうしようか、一瞬、ためらった末に、ワゴンの女の子が、遠慮がちにほほえみかけた。
「あのー……これ……このまま食べられますか?」
「このままでも食べられますけど、ちょっと温めてから食べたほうがおいしいですよ。電子レンジとかあります?」
老人は、力なく首を振る。
「いま食べますか、おじいちゃん? もし、いま食べるのだったら、チンしてあげますけど」
老人は、再び首を振る。
「持って帰って……食べさせたいから……」
女の子は、少し「困ったな……」という顔をして、それから「ちょっと待っててくださいね」と、店の奥に消えた。
フーン、何をするんだろ? と見ていると、ほどなく女の子は、ジッパー付きの袋と赤い包み紙を持って戻ってきた。
「あのね、これ、この袋の中に入れておきますから、これをこのまま、口を開けずにお湯の中に入れて、温めてくださいね。冷たいまま食べるより、そのほうがおいしいですよ」
赤い法被が、ちょっとだけ、サンタクロースの赤い服に見えた。
小さなサンタクロースは、チキンを入れたビニール袋を赤い包装紙でくるみ、それをクリスマス用の金色のシールで留めて、「ハイ、じゃ、ローストチキン1本ね。250円になります」と、老人に手渡した。
ふつうは、ワゴンの脇に置いてある透明のパッケージに入れて、輪ゴムで留めたものをレジ袋に入れて渡すだけの250円のチキンを、そのサンタクロースは、特別の配慮で、小さなクリスマス・プレゼントに仕立ててしまった。
老人は、ポケットから、100円玉を1枚、1枚取り出し、10円玉を5枚、ていねいに数えて、女の子に手渡すと、チキンの袋をちょっとうれしそうに持ち上げて、女の子に振って見せ、それから、元来た道を、またトボトボと歩き始めた。
赤い包みのチキンを、大事そうに胸に抱えて、片方の足を引きずるように歩いていく老人の後姿に、女の子が聞こえるか聞こえないかの声でつぶやいた――。
「クリスマスだもんね……」
イブの風が目に染みた。
私の住むこんな小さな街の、こんな片隅にも、小さなクリスマスはあった。
私はワゴンに歩み寄り、老人の姿を見送る女の子に、思い切り明るく声をかけた。
「ボクにも、1本ちょうだい」
「ハイ、ありがとうございます」
赤法被のサンタクロースが、とびきりの笑顔で答えてくれた。
250円のチキンが、きょうは、ひとりで過ごすイブに明るい灯を点してくれそうだ。
小さな赤い法被のサンタ。
そして、待っている人の元へ、おぼつかない足を運ぶ老サンタ。
その小さな愛よ、天まで届け!
※本日は、クリスマス特別記事。イブの夜、たまたま近くのスーパーで目にした光景を、雑感としてお届けしました。
あらためて、みなさまに
メリー・リトル・クリスマス!

管理人は、常に、下記3つの要素を満たすべく、知恵を絞って記事を書いています。
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