第90夜☆だれでも少しはM、少しはS
第90夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。今回からは、恋愛における「S的傾向」「M的傾向」に切り込んでいきます。本日は、その1回目。だれでも、「ちょいS」「ちょいM」ということについて、話を進めます――。
【今回のキーワード】 サド マゾ エゴグラム フロイト学派
AKI ねェ、哲ジイ。私、この前から思ってるんだけど、このAC値が高い人って、人の評価を気にするんですよね?
哲雄 復習しておくと、ACっていうのは、エゴグラムで、「順応または適応しようとする子ども」という自我の状態を表す言葉でしたね。ハイ、周りからホメられたい、認められたいと思っていますから、人の評価は、常に気にしています。
AKI そして、期待したような評価が得られないと、自分を責めちゃうんですよね?
哲雄 おっしゃるとおりです。
AKI それって、もしかしたらM(マゾ)の傾向と似てますよね?
哲雄 よく気がつきましたね。エライッ!
AKI ワーイ!
哲雄 喜んでるし……。やっぱ、相当高いわ、AC値。でもね、エゴグラムの世界では、あんまりそういう言葉は使わない。
AKI エーッ、どうして?
哲雄 流儀が違うからです。
AKI りゅ、りゅうぎ? 学問の世界にそんなものがあるんですか?
哲雄 ありますとも。学問の世界ほど、これが強い世界もない。S(サド)とかM(マゾ)とかいうのは、どっちかと言うと、フロイト派に属する概念だけど、エゴグラムとか交流分析は、まったく違う流派だからね。わかりやすく言うと、大相撲の世界で「ウエスタン・ラリアート」とか「バック・ドロップ」とか言わないのと同じで、自分たちの流派に属さない概念は、けっして持ち出さないんだ。
AKI フーン、タイ式に性感がないのと同じかぁ……。
哲雄 そのたとえ、私にはよくわかりませ~ん。ただね、こういう学問の世界には、それぞれ学会というものがある。「フロイト学派」なんてのは、世界中に非常に大きな組織を持ってて、その学会に属する学者やそれを信奉する人たちは「フロイディアン」と呼ばれたりしてる。でも、もしそこで、だれかが「Mの形成にはAC要素が……」てなことを言い出すと、その学者は、フロイト学派から除名されてしまうんだよね。
AKI まぁ、なんてこと。郵政民営化に反対したら除名するゾ――ってやった、どこかの国の政治家と同じですね。
哲雄 ま、似たようなもんでしょ。で、話を元に戻すと、
そもそもSとかMとかは、いかにして誕生するか?
AKI それ、それ、それーッ! それが聞きたかったんですゥ。
哲雄 大丈夫か、この女……。
AKI ハ、何か?
哲雄 キミが相当、その世界にキョーミを持っている、ということがわかりました。いいでしょう。簡単に尋問してみましょう。キミは、新宿駅南口の「ルミネ」の階段の下で、カレと待ち合わせしているとします。
AKI あの、待ち合わせ、その場所じゃないとダメですか?
哲雄 ウルサイ! 場所はどこでもいいんです。ただ、イメージを浮かべやすいように、場所を設定しただけです。ところが、約束の時間を10分も過ぎているのに、カレが現れない。ケータイにメールを入れてみるけど、レスがない。だんだん、キミはイライラし始めます。
AKI それくらいじゃ、イライラなんてしませんけど……。
哲雄 いちいちウルサイなぁ。じゃ、20分でも30分でもいいです。で、ちょっとイライラし始めたところへ、やっと、階段の上にカレが姿を現した。「ああ、よかった」と、胸をなでおろすキミ。ところが、よく見ると――。
AKI カレとよく似た双子の弟だった!
哲雄 頼むから、混ぜっ返さないでくれる。大事なところなんだから。よく見ると、カレのそばに、かわいい女の子がいて、なにやら親しげに話をしている。そして、その女の子は、「いい? じゃ、忘れないでネ」と言って、手を振って去って行った。その姿を見送ったカレは、思い直したように階段を急ぎ足で駆け下りて、「やあ、待たせてごめん」とキミのもとへ。さて、このとき、キミはカレに何と言うか? あるいは何も言わないか?
AKI たぶん、何も言わないと思うけど、言うとしたら、「ねェ、何か、用事があったんじゃないの? 大丈夫だったの?」とか、その程度かなぁ。
哲雄 おお、神よ。この乙女を救いたまえ。
AKI ちょ、ちょっと……私、何かヘンなこと言いました?
哲雄 キミはリッパに、「M」です。「度」はつかないけど、「ちょいM」。もしキミが「S」だったら、そんな言い方はしません。
AKI Sだと、どう言うんですか。
哲雄 血相変えて、カレに詰め寄るね。「だれよ、いまの女?」って。
AKI あ、そうか。考えなかったなぁ、そこまでは……。
哲雄 だから、Mなんです。「度S」の女だと、詰め寄り方もハンパじゃないよ。「仕事? 仕事って、どこの会社の子? 名前は?」と、まるで尋問でもしてるかのように、相手を責めます。ま、遅れてきたカレにも落ち度はあるんだけどさ。こういうときに相手を責める性質を「他罰型」と言って、これ、「S」の重要な性質のひとつなんだよね。
AKI でも、けっこういるかもしれない、私の周りにも。
哲雄 ところがキミは、「何か用事があったんじゃないの? 大丈夫だったの?」と、相手を気遣った。でもね、これ、相手を気遣ってると同時に、もうひとつ、重要なことをしてるんだよね。
AKI エッ、何だろう?
哲雄 そんな忙しいときに、私がデートなんか入れちゃって――と、自分を責めてるんだよね、心の中では。
AKI 確かに、それってあるかもしれない。「責める」までいくかどうかはわからないけど、「もし、仕事があったのなら、わるかったなぁ」とか思ってるかも……。
哲雄 そういう性質を「自罰型」と言います。こちらは、「M」に特徴的な性質なんだ。
AKI その程度のMなら、だれでも持ってるかもしれない。
哲雄 でしょ? SとかMと言うと、みんな、ムチとローソクの世界とかを想像すると思うけど、そこまで行くと、「異常性愛」の世界。そうならない手前の、精神的なS傾向とかM傾向なら、たぶん、だれでも、多かれ少なかれ持ってると思っていい。もちろん、ニュートラルもありなんだけどね。
AKI ね、哲ジイ、そのS傾向とかM傾向って、いつ決まるのかなぁ。
哲雄 ウン。この話、前からしたかったんだよね。次回は、まず「Mの誕生」ってところから、話をすることにしましょう。
この記事に関連する記事は、本ブログの『愛の成分テスト』シリーズにも掲載しています。よかったら、ぜひ、参照してみてください。
【参考記事】
解説 『だれでも少しは「隠れS」、少しは「隠れM」』
テスト 『あなたはほんとは「隠れS」? それとも「隠れM」?』
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哲雄 ありますとも。学問の世界ほど、これが強い世界もない。S(サド)とかM(マゾ)とかいうのは、どっちかと言うと、フロイト派に属する概念だけど、エゴグラムとか交流分析は、まったく違う流派だからね。わかりやすく言うと、大相撲の世界で「ウエスタン・ラリアート」とか「バック・ドロップ」とか言わないのと同じで、自分たちの流派に属さない概念は、けっして持ち出さないんだ。
AKI フーン、タイ式に性感がないのと同じかぁ……。
哲雄 そのたとえ、私にはよくわかりませ~ん。ただね、こういう学問の世界には、それぞれ学会というものがある。「フロイト学派」なんてのは、世界中に非常に大きな組織を持ってて、その学会に属する学者やそれを信奉する人たちは「フロイディアン」と呼ばれたりしてる。でも、もしそこで、だれかが「Mの形成にはAC要素が……」てなことを言い出すと、その学者は、フロイト学派から除名されてしまうんだよね。
AKI まぁ、なんてこと。郵政民営化に反対したら除名するゾ――ってやった、どこかの国の政治家と同じですね。
哲雄 ま、似たようなもんでしょ。で、話を元に戻すと、
そもそもSとかMとかは、いかにして誕生するか?
AKI それ、それ、それーッ! それが聞きたかったんですゥ。
哲雄 大丈夫か、この女……。
AKI ハ、何か?
哲雄 キミが相当、その世界にキョーミを持っている、ということがわかりました。いいでしょう。簡単に尋問してみましょう。キミは、新宿駅南口の「ルミネ」の階段の下で、カレと待ち合わせしているとします。
AKI あの、待ち合わせ、その場所じゃないとダメですか?
哲雄 ウルサイ! 場所はどこでもいいんです。ただ、イメージを浮かべやすいように、場所を設定しただけです。ところが、約束の時間を10分も過ぎているのに、カレが現れない。ケータイにメールを入れてみるけど、レスがない。だんだん、キミはイライラし始めます。
AKI それくらいじゃ、イライラなんてしませんけど……。
哲雄 いちいちウルサイなぁ。じゃ、20分でも30分でもいいです。で、ちょっとイライラし始めたところへ、やっと、階段の上にカレが姿を現した。「ああ、よかった」と、胸をなでおろすキミ。ところが、よく見ると――。
AKI カレとよく似た双子の弟だった!
哲雄 頼むから、混ぜっ返さないでくれる。大事なところなんだから。よく見ると、カレのそばに、かわいい女の子がいて、なにやら親しげに話をしている。そして、その女の子は、「いい? じゃ、忘れないでネ」と言って、手を振って去って行った。その姿を見送ったカレは、思い直したように階段を急ぎ足で駆け下りて、「やあ、待たせてごめん」とキミのもとへ。さて、このとき、キミはカレに何と言うか? あるいは何も言わないか?
AKI たぶん、何も言わないと思うけど、言うとしたら、「ねェ、何か、用事があったんじゃないの? 大丈夫だったの?」とか、その程度かなぁ。
哲雄 おお、神よ。この乙女を救いたまえ。
AKI ちょ、ちょっと……私、何かヘンなこと言いました?
哲雄 キミはリッパに、「M」です。「度」はつかないけど、「ちょいM」。もしキミが「S」だったら、そんな言い方はしません。
AKI Sだと、どう言うんですか。
哲雄 血相変えて、カレに詰め寄るね。「だれよ、いまの女?」って。
AKI あ、そうか。考えなかったなぁ、そこまでは……。
哲雄 だから、Mなんです。「度S」の女だと、詰め寄り方もハンパじゃないよ。「仕事? 仕事って、どこの会社の子? 名前は?」と、まるで尋問でもしてるかのように、相手を責めます。ま、遅れてきたカレにも落ち度はあるんだけどさ。こういうときに相手を責める性質を「他罰型」と言って、これ、「S」の重要な性質のひとつなんだよね。
AKI でも、けっこういるかもしれない、私の周りにも。
哲雄 ところがキミは、「何か用事があったんじゃないの? 大丈夫だったの?」と、相手を気遣った。でもね、これ、相手を気遣ってると同時に、もうひとつ、重要なことをしてるんだよね。
AKI エッ、何だろう?
哲雄 そんな忙しいときに、私がデートなんか入れちゃって――と、自分を責めてるんだよね、心の中では。
AKI 確かに、それってあるかもしれない。「責める」までいくかどうかはわからないけど、「もし、仕事があったのなら、わるかったなぁ」とか思ってるかも……。
哲雄 そういう性質を「自罰型」と言います。こちらは、「M」に特徴的な性質なんだ。
AKI その程度のMなら、だれでも持ってるかもしれない。
哲雄 でしょ? SとかMと言うと、みんな、ムチとローソクの世界とかを想像すると思うけど、そこまで行くと、「異常性愛」の世界。そうならない手前の、精神的なS傾向とかM傾向なら、たぶん、だれでも、多かれ少なかれ持ってると思っていい。もちろん、ニュートラルもありなんだけどね。
AKI ね、哲ジイ、そのS傾向とかM傾向って、いつ決まるのかなぁ。
哲雄 ウン。この話、前からしたかったんだよね。次回は、まず「Mの誕生」ってところから、話をすることにしましょう。

【参考記事】
解説 『だれでも少しは「隠れS」、少しは「隠れM」』
テスト 『あなたはほんとは「隠れS」? それとも「隠れM」?』

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