第89夜☆「夜這い」の目的は、嫁候補のテイスティング
第89夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。今回は、日本古来の風習「夜這い」の話なども取り上げながら、日本人に多い「順応型」の愛のあり方について話を進めます――。
【今回のキーワード】 夜這い クーリング・オフ うつ エゴグラム
哲雄 さて、話を元に戻しましょうか? 日本人には、エゴグラムで言うところのAC(順応する子ども)の要素が高い、という話をしていて、それはひとつには、日本人の精神的基盤が村落共同体にあるからではないか、という話をしたんでしたね。
AKI ハイ。「盆かか」なんていう制度まであった、という話をお聞きしましたし、村の若者たちの性の手ほどきを、年配の「かか」たちがやっていたという話も聞きました。
哲雄 あくまで、一部の地域では……という話ですよ。「夜這い」は、もっと広範囲で行われていた風習だけれど……。
AKI エッ!? 夜這い?
哲雄 ホラ、また目がギラついてきた。余計なこと、言っちまったなぁ。
AKI ちょっとだけ、その話、聞きたいかも。
哲雄 じゃ、ちょっとだけよン。これはね、たいていは、年頃の娘の婿選びのために行われていた風習で、わかりやすく言うと、「うちの娘を、どうぞ味見してください」っていうことなんだ。
AKI エーッ! 娘を「味見」させるんですか?
哲雄 娘側から言うと、婿を「味見」することにもなるよね。
AKI 要するに、親公認で、両方がテイスティングするってことですね。
哲雄 テイスティングとは、キミもうまいこと言いますね。ナルホド、テイスティングねェ。
AKI 哲ジイ、目がテイスティングしてますけど、私のバディを。
哲雄 コホン。これは、鑑定してるだけです、中古品を。でね、どうやったかと言うと、娘がそろそろ婿を……って歳になると、離れた部屋にひとりで寝かせて、わざと雨戸をちょっとだけ開けておいたりしたらしい。どうぞ、忍んできて、味わってみてくださいな――ってところじゃないの。
AKI なるほどねぇ。ま、そうしておけば、あとでクーリング・オフされる心配もないってわけか。
哲雄 「足入れ」したあとで突っ返されるよりはましでしょ?
AKI 足入れ……? またも、好物な言葉のニオイがしますけど、それは?
哲雄 ああ、またも余計なことを言っちまった。「足入れ」とは、嫁が一定期間、嫁ぎ先の実家で暮らして、その期間内であれば、いつでも返品していい、というシステムなんだけど、これも一部の地域では、かなり近代まで残っていた制度です。
AKI それこそ、「クーリング・オフ」じゃないですか? 返品された嫁は、「ワケあり商品」になっちゃいますよね。
哲雄 だね。あそこん家の娘は、だれそれん家でクーリング・オフ食らっちまったらしい……てなことになったら、値は下がりますわな。
AKI ま、成田離婚よりはましかもしれないけど……。
哲雄 ということで、話、元に戻しますよ。日本人は、なぜ「AC」要素が高いかという話。
AKI あ、そうでした。ここまでは、社会の精神的基盤がその一因だという話でしたね。そうか、あと、家庭環境とか、教育とかも関係あるんじゃないですか?
哲雄 そのとおり。日本では、親も教師も、「周りからどう思われるか?」を気にするようなしつけ方をするよね。「そんなことしたら、笑われるでしょ」とか、「みっともないでしょ」とか。
AKI 親が教師だった私は、メチャクチャ、それを叩き込まれました。
哲雄 そうすると、子どもの中には、「自分の評価」は、「周囲から与えられるもの」――という意識が根づく。つまり、周囲に気に入られるように行動することが、自分の評価を高める方法だと思うようになるわけですよね。これがAC(順応する子ども)を生み出す大きな要因になってる。
AKI わかりやすく言うと「イイ子ぶりっ子」になるってことですね。
哲雄 もう一度言っておくけど、ACの値が高いってこと自体は、けっしてわるいことではないんだよ。ちょっと、そのプラス面とマイナス面を整理してみると、こうなる。
AKI あーっ、このマイナス面、私、ぜんぶ、持ってるかもしれない。
哲雄 でも、キミは、NP(養護的親)の要素も高いから、人に奉仕するナイチンゲール的キャラを獲得することができた。もう一度、ACが高い人のグラフを見てみようか。
→エゴグラムについては、本ブログの『愛の会話診断13~心理学が見つけた、絶対、ケンカにならない話法』を参照。
以下に、その要点を、まとめておきます。
AKI 私は、この「世話焼き母さん」のパターンだったんですよね。
哲雄 いちばん、問題なのは、この「V字型」のパターン。この前は「お天気や母さん」と名づけちゃったけど、別名「ハムレット型」。このタイプは、CP(批判的親)の要素も高いから、「○○であるべき」という「目標値」を常に高く持ってる。なのに、AC要素が高いから、その評価は、周囲に委ねてしまう。
AKI 目標値が高いだけに、周囲から評価してもらえないと、落ち込みますよね。
哲雄 そうなんだ。高い目標値にもかかわらず、自己評価は低い。周囲から期待した評価が得られないと、このタイプは、自分を責めてしまうんだよね。心療内科の医師によれば、もっとも「うつ」になりやすいパターンなんだそうです。
AKI じゃ、もうひとつの「右上がり型」は?
哲雄 「甘えん坊」と名づけたパターンだね。このタイプは、いつまでたっても、おとなになることができない。すべて相手におまかせで、依存するだけ。もしもキミがこのパターンだったら、いまごろは、「ちょいワル」のオヤジたちのエジキになってるね。
AKI フーッ、危ない、危ない。
哲雄 男から見れば、自分の言いなりになる女だよね、このパターンは。しかし、男のほうにも、AC要素の高いやつは多いわけだから、自分を頼ってくるだけのこのタイプの女性には、心が動かないことが多い。やっぱり、「面倒をみてくれる」NP要素を求めてしまうわけですよ。だから、キミのようなタイプが、もてはやされることになる。
AKI 別に、もてはやされちゃあ、いないですけど……。
哲雄 もてはやしてあげましょうか、局地的に?
AKI いえ、けっこうです。
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哲雄 娘側から言うと、婿を「味見」することにもなるよね。
AKI 要するに、親公認で、両方がテイスティングするってことですね。
哲雄 テイスティングとは、キミもうまいこと言いますね。ナルホド、テイスティングねェ。
AKI 哲ジイ、目がテイスティングしてますけど、私のバディを。
哲雄 コホン。これは、鑑定してるだけです、中古品を。でね、どうやったかと言うと、娘がそろそろ婿を……って歳になると、離れた部屋にひとりで寝かせて、わざと雨戸をちょっとだけ開けておいたりしたらしい。どうぞ、忍んできて、味わってみてくださいな――ってところじゃないの。
AKI なるほどねぇ。ま、そうしておけば、あとでクーリング・オフされる心配もないってわけか。
哲雄 「足入れ」したあとで突っ返されるよりはましでしょ?
AKI 足入れ……? またも、好物な言葉のニオイがしますけど、それは?
哲雄 ああ、またも余計なことを言っちまった。「足入れ」とは、嫁が一定期間、嫁ぎ先の実家で暮らして、その期間内であれば、いつでも返品していい、というシステムなんだけど、これも一部の地域では、かなり近代まで残っていた制度です。
AKI それこそ、「クーリング・オフ」じゃないですか? 返品された嫁は、「ワケあり商品」になっちゃいますよね。
哲雄 だね。あそこん家の娘は、だれそれん家でクーリング・オフ食らっちまったらしい……てなことになったら、値は下がりますわな。
AKI ま、成田離婚よりはましかもしれないけど……。
哲雄 ということで、話、元に戻しますよ。日本人は、なぜ「AC」要素が高いかという話。
AKI あ、そうでした。ここまでは、社会の精神的基盤がその一因だという話でしたね。そうか、あと、家庭環境とか、教育とかも関係あるんじゃないですか?
哲雄 そのとおり。日本では、親も教師も、「周りからどう思われるか?」を気にするようなしつけ方をするよね。「そんなことしたら、笑われるでしょ」とか、「みっともないでしょ」とか。
AKI 親が教師だった私は、メチャクチャ、それを叩き込まれました。
哲雄 そうすると、子どもの中には、「自分の評価」は、「周囲から与えられるもの」――という意識が根づく。つまり、周囲に気に入られるように行動することが、自分の評価を高める方法だと思うようになるわけですよね。これがAC(順応する子ども)を生み出す大きな要因になってる。
AKI わかりやすく言うと「イイ子ぶりっ子」になるってことですね。
哲雄 もう一度言っておくけど、ACの値が高いってこと自体は、けっしてわるいことではないんだよ。ちょっと、そのプラス面とマイナス面を整理してみると、こうなる。
【プラス面】 【マイナス面】
・ 協調性がある ・ 依存性が高い
・ 適応能力が高い ・ ひねくれたり、反抗したりしやすい
・ 人の気持ちを察する ・ 自己評価が低く、自分を責める
・ 協調性がある ・ 依存性が高い
・ 適応能力が高い ・ ひねくれたり、反抗したりしやすい
・ 人の気持ちを察する ・ 自己評価が低く、自分を責める
AKI あーっ、このマイナス面、私、ぜんぶ、持ってるかもしれない。
哲雄 でも、キミは、NP(養護的親)の要素も高いから、人に奉仕するナイチンゲール的キャラを獲得することができた。もう一度、ACが高い人のグラフを見てみようか。




以下に、その要点を、まとめておきます。
【エゴグラムについての復習~心の中に棲む5つの自我の状態】
CP……批判的親。他者を厳しく批判し、指導しようとするが、その姿勢は支配的で、ガンコでもある。
NP……養護的親。やさしく、思いやりをもって他者を養護しようとするが、しばしばおせっかいととられることもある。
A……自立したおとな。合理的、客観的な冷静な心で、他者と接しようとするが、しばしばその態度は、「冷たい」と受け取られることもある。
FC……自由な子ども。自由奔放にふるまう明るい子どものような自我の状態。ただし、周囲には、自己中心的でわがままと映ることも多い。
AC……順応する子ども。「いい子」と思われたくて、周囲に過剰に適応しようとる自我の状態。もっともストレスを溜めやすい自我の状態でもある。
CP……批判的親。他者を厳しく批判し、指導しようとするが、その姿勢は支配的で、ガンコでもある。
NP……養護的親。やさしく、思いやりをもって他者を養護しようとするが、しばしばおせっかいととられることもある。
A……自立したおとな。合理的、客観的な冷静な心で、他者と接しようとするが、しばしばその態度は、「冷たい」と受け取られることもある。
FC……自由な子ども。自由奔放にふるまう明るい子どものような自我の状態。ただし、周囲には、自己中心的でわがままと映ることも多い。
AC……順応する子ども。「いい子」と思われたくて、周囲に過剰に適応しようとる自我の状態。もっともストレスを溜めやすい自我の状態でもある。
AKI 私は、この「世話焼き母さん」のパターンだったんですよね。
哲雄 いちばん、問題なのは、この「V字型」のパターン。この前は「お天気や母さん」と名づけちゃったけど、別名「ハムレット型」。このタイプは、CP(批判的親)の要素も高いから、「○○であるべき」という「目標値」を常に高く持ってる。なのに、AC要素が高いから、その評価は、周囲に委ねてしまう。
AKI 目標値が高いだけに、周囲から評価してもらえないと、落ち込みますよね。
哲雄 そうなんだ。高い目標値にもかかわらず、自己評価は低い。周囲から期待した評価が得られないと、このタイプは、自分を責めてしまうんだよね。心療内科の医師によれば、もっとも「うつ」になりやすいパターンなんだそうです。
AKI じゃ、もうひとつの「右上がり型」は?
哲雄 「甘えん坊」と名づけたパターンだね。このタイプは、いつまでたっても、おとなになることができない。すべて相手におまかせで、依存するだけ。もしもキミがこのパターンだったら、いまごろは、「ちょいワル」のオヤジたちのエジキになってるね。
AKI フーッ、危ない、危ない。
哲雄 男から見れば、自分の言いなりになる女だよね、このパターンは。しかし、男のほうにも、AC要素の高いやつは多いわけだから、自分を頼ってくるだけのこのタイプの女性には、心が動かないことが多い。やっぱり、「面倒をみてくれる」NP要素を求めてしまうわけですよ。だから、キミのようなタイプが、もてはやされることになる。
AKI 別に、もてはやされちゃあ、いないですけど……。
哲雄 もてはやしてあげましょうか、局地的に?
AKI いえ、けっこうです。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかし温かな感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。
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