満月の夜の神社の姫子〈19〉 月夜に研ぐナイフ

もの想い 妄夢草紙 
 第10話  満月の夜の神社の姫子  19 

 R18 
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。


姫子を復讐の呪縛から解き放つ。
それにはあの男を殺すしかない。
姫子があの男を殺る前に。
純平は、密かにナイフを研いだ。
月は静かに満ちていった――。


この話は連載19回目です。この話を最初から読みたい方は、⇒こちらから、前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 満月の夜になると、神社の楠のたもとにその女が現れるという。「見に行こう」と言い出したのは、亀吉だった。純平は、しぶしぶその後にしたがった。待っていると、やって来たのは漁協の古田さんだった。古田さんは「姫子」の尻から、太いモノをぶち込んだ。男が行くと、姫子は小藪に隠れている純平たちを見つけて声をかけた。あわてて石段を駆け下りた純平たちだったが、そこへ、再び坂道を上がってくる男の姿があった。ビニールの袋をブラブラさせながら上がってきたのは、酒屋「サカエ」のオヤジだった。オヤジが袋から取り出したのは、稲荷ズシ。女は、貪るようにその寿司を食い、食い終わると、スカートの中に男の頭を迎え入れた。その夜、純平は、布団の中でアレに手を伸ばした。触れているとその先からヌルッとしたものが噴出した。初めての射精だった。まだ、姫子は神社にいるだろうか? 翌日、純平はひとりで神社の階段を上った。探していると、姫子に見つかり、純平の体はその腕に抱きしめられた。姫子の手は純平の股間に伸び、ふくらんだ純平のそれを口に含んだ。純平が放出したものを呑み込んだ姫子の顔を、純平は美しいと感じた。姫子は「また満月の夜に」と言う。なぜ、満月の夜にか? 姫子は「心を返しに来る」と言うのだった。純平の疑問に、「サカエ」のオヤジが答えて言うには、姫子はあの神社の楠の根元に捨て置かれた「捨て子」だったという。それを「サカエ」のオヤジや漁協の古田たち町の男たち数人が金を出し合って、養護施設で保護させた。姫子は、その恩に報いるために、満月。の夜になると、楠の袂に姿を現すというのだった。漁協の古田さんは、純平たちが姫子を知っていると知ると、「おまえたち、女を抱いたことあるか?」と訊く。首を振ると、「姫子に教えてもらえ」と言う。次の満月の夜、純平たちは古田さんに連れられて神社へ行った。姫子は、指で股の奥を開いて、秘密の小さな穴を純平たちに見せ、「おいで」と亀吉を、次に純平をその穴の奥へと導いた。それがふたりの筆おろしだった。そんな夜を経て、純平たちは、少しおとなになった。そんなある日、養護園を慰問に出かけた純平たちは、そこに残された卒園アルバムに、ある美少女を見つけた。姫子と思われる美少女は、どの写真でもおとなの男に抱き寄せられていた。男たちのひとりは、「サカエ」のオヤジ。もうひとりは、漁協の古田さんだった。次の満月の夜、「女の喜ばせ方を教えてやる」という古田さんに誘われて、神社に行った。純平たちの目の前で姫子の陰部を見せながら、自分のイチモツをねじ込んで姫子に悲鳴を挙げさせる古田さん。純平はその様子を見ていられなくて、神社の階段を駆け下りた。翌日は、満月の最後の夜。「ひとりで会いに来て」と言った姫子の言葉を信じて、純平は神社に向かった。そこで姫子が語って聞かせたのは、14歳のとき、彼女の身に起こったこと。ひとりで寝ている姫子に4人の男たちが手を伸ばしてきた。そんな夜が繰り返された。そうして壊された心を姫子は「返し」に来たと言う。返すために「男たちを殺したい」のだと姫子。純平は、そんな姫子をサポートしたいと思った――。


 「姫子」を元の「姫子」に戻すためには、あの男を葬り去るしかない。
 純平の頭の中に生まれたその考えは、「姫子」が町を去った後も、純平の頭の中でふくらんでいった。
 しかし、もしそうなったら、「姫子」は、もう、この町に戻って来なくなるかもしれない。

 「姫子」を過去の呪縛から解放して、もう、この町に戻って来なくてもいいようにするために、男を殺すか?
 それとも、「姫子」とこれからも会い続けるために、あの男を生かしておくか?

 それを、純平は、欠けていく月を見上げては考え続けた。
 日に日に大きく欠けていく月の暗部が、「姫子」の心の闇のように見えた。その暗部が、純平に「私を照らして」と言っているように感じられた。
 やがて、月は新月となった。
 昼の光に隠れて何も見えなくなった月は、確かにそこにある――と、想像の目で見るしかない。
 想像の目の中で、「姫子」の顔が悲しそうに歪んで見えた。
 赤いルージュの唇が開かれて、何かを訴えているように見えた。
 タ・ス・ケ・テ……。
 その唇が、そう動いているように、純平には見えた。

           

 亀吉には、「姫子」が純平に吐露した「ひそかな願い」のことは、黙っていることにした。
 それは、自分だけに明かされた「姫子」の秘密だ。たとえ親友の亀吉であれ、しゃべってしまうわけにはいかない。
 亀吉は、あの夜以来、古田さんにすり寄るようになった。古田さんが何かにつけて取り出して見せる「それがおとなというものだ」というエサに、尻尾を振って飛びついているように見えた。
 古田さんが「吸ってみるか?」と差し出したタバコを胸いっぱいに吸い込んで、めまいを起こしそうになったこともあった。「女は、ほんとはやられたくてしょうがねぇんだぞ」という言葉を真に受け、クラスの女子の尻を撫でようとして、ビンタを食らったこともあった。
 そういう亀吉の変化が、純平には少しうとましくもあった。
 「なぁ、なぁ。姫子ってよぉ、イクときにあの中が、ヒクヒクってなるんだぜ。こないだもさぁ……」
 古田さんの手ほどきで、自分がどれだけ男として成長したか? 亀吉は、しきりにそれを純平の耳に吹き込んでこようとする。それが、うっとおしくもあった。
 「いいよ、その話は……」
 純平が話を遮ると、亀吉は「あれ……?」という顔で純平の顔をのぞき込んだ。
 「純平、おまえ、こないだから、変だぞ。もしかして、姫子が嫌いになったとか?」
 「いや、そんなんじゃない」
 「じゃ、何だよ?」
 「オレ、あの人、ちょっと……苦手なんだ」
 「あの人……?」
 「古田さん……」
 自分がすり寄っている人間を「苦手」と言われて、亀吉は残念そうに顔を曇らせた。
 自分と亀吉の間に、ちょっとだけすき間ができたような気がした。
 「どうする?」
 少し間を置いて、亀吉が訊いた。
 「どうするって……何を?」
 「今度の満月だよ。古田さんに、来いよって言われてんだよな。おまえも連れて来な――って」
 「オレも? オレ……は、いいよ」
 「でも、古田さんが……」
 「だから、苦手なんだって、あの人。カメ、ひとりで行ってきなよ」
 「エーッ!? 行かないの?」
 「行かない」
 「じゃ、オレも行くの、止めようかな……」
 「おまえは、行けばいいさ。でも……」
 「でも、何だよ?」
 「いや、何でもない……」
 それっきり、亀吉と「姫子」のことを話すことはなかった。
 亀吉も、純平がその話題を避けているらしいことを悟って、「姫子」のことも、「満月の夜」のことも、口にしなくなった。

          

 月は少しずつ、満ちてきた。
 三日月になり、上弦の月になり、十三夜月となった。
 明日は待宵月。そして、その次の日は、十五夜の月――。
 決行するなら、その日しかない。
 亀吉は、たぶん、自分が行かなくても、神社へ行くつもりだろう。
 古田さんとは、楠の下で待ち合わせている――と、亀吉は言っていた。ならば、その前にやるしかない。
 夜、ベッドに潜り込むと、純平は、ひとり黙々と、心に秘めたナイフを研いだ。
 そして、月は満ちた。
 夜空を煌々と照らす満月が、東の山の端から上ってくると、純平は少し早めに家を出て、石段を上り、神社の社の陰に身を潜めた。
 小1時間ほど待っていると、だれかが石段を上ってくる足音がした。
 急こう配の石段を、足音はまるで跳ぶように上ってくる。
 古田さんの足音じゃない――と、すぐにわかった。
 亀吉だった。
 亀吉は、まるで鼻歌でも歌う調子で石段を駆け上ると、社には見向きもせず、楠のほうへと歩いて行く。妙に軽い足取りだ。きっと、古田さんと繰り広げる「姫子」相手の時間が楽しみで仕方がないのだろう。逸る気持ちが、亀吉の足取りを急かせているように見えた。
 それからまた、石段と神社の社は、静寂に包まれた。
 ただ、月の明かりだけが、静まり返った白い石段を照らし出している。
 自分がしようとしていることを思うと、腹の底がブルッと震えた。
 その腹が、グウと鳴った。
 純平は、家から持ってきた稲荷ずしを1個、口に頬張り、「サカエ」で買ったお茶のペットボトルに口をつけて、口の中の稲荷ずしを食道に流し込んだ。
 10分、20分……と、時が流れた。
 いま頃、亀吉のやつは、「姫子」と向かい合って、落ち着きのない時間を過ごしていることだろう。
 自分ひとりでは何も始められないやつだから、きっと、どうしていいかわからず、古田さんがやって来るのを待っているに違いない。
 そんなことを考えていると、石段を上ってくる足音が聞こえた。
 片足を引きずるように上ってくる足音……。
 古田さんだ――と思った。
 その足音が、踊り場を越えて最後の24段にかかると、純平はギュッと拳を握りしめた。(続く)



   筆者の最新・官能小説! 電子書店から発売しました!   

初夜盗り物語表紙封建時代のかつての日本には、
嫁ぐ娘の「初夜」を
領主や宮司という土地の権力者が、
手にするという「初夜権」が存在した。
本書は、そんな時代を背景に描いた
歴史官能フィクション。婚礼を控えた
村の娘・初の「初穂」を巡って、
村の代官と神社の宮司が醜い争いを
繰り広げるストーリー。
女たちの性を
権力者が思うように手にしていた
暗黒の時代を、ぜひ、ご覧ください。

2022年8月発売 定価:650円
発行/虹BOOKS


Kindle でお読みになる方は、ここをクリック。
⇒「BOOK WALKER」版で読む方はこちらから


  既刊本もどうぞよろしく   写真をクリックしてください。

チャボカバー(縮小) 聖少女カバー(縮小) 妻はひとりずつカバー(縮小) 好きを伝える技術2訂(縮小) 盆かか表紙(縮小) 裏タイプカバー(縮小)

13 あなたの感想をClick Please!(ただいま無制限、押し放題中!)
管理人は、常に、フルマークがつくようにと、工夫して記事を作っています。
みなさんのひと押しで、喜んだり、反省したり……の日々です。
どうぞ正直な、しかしちょっぴり愛のこもった感想ポチをお願いいたします。


→この記事はためになった(FC2 恋愛)
→この記事に共感した(にほんぶろぐ村 恋愛)
→この記事は面白かった(人気ブログランキング 恋愛)

 このテーマの記事一覧に戻る    トップメニューに戻る 

関連記事
拍手する

テーマ : 恋愛小説~愛の挫折と苦悩
ジャンル : アダルト

コメントの投稿

非公開コメント

ご訪問ありがとうございます
現在の閲覧者数:
Profile
プロフ画像《当ブログの管理人》
シランケン・重松シュタイン…独自の人間関係論を元に、長住哲雄のペンネームで数々の著書を刊行してきたエッセイスト&編集者。この度、思うところあって、ペンネームを変えました

    姉妹サイト    

《みなさんの投票で恋愛常識を作ります》
★投票!デート&Hの常識

《管理人の小説をこちで保管》
おとなの恋愛小説倶楽部

Since 2009.2.3


 このブログの読者になってくださる方は 

不純愛講座 by 長住哲雄 - にほんブログ村


管理人の近著
 シランケン重松としての著書 


『初夜盗り
物語』


2022年8月発売
虹BOOKS


かつて、嫁ぐ娘の
初夜権は、土地の
権力者がものにして
いた――。
定価:650円
⇒★KINDLE版で読む
⇒★BOOK☆WALKER版で読む



『裏タイプ~
あなたは人の目には「こんなタイプ」に見えている



2022年8月発売
虹BOOKS

人の目に映るあなたは
期待したタイプでは
ない。その理由。
定価:1500円
⇒★KINDLE版で読む
⇒★BOOK☆WALKER版を読む



『盆かか
三日間だけの交換妻


2020年9月発売
虹BOOKS

盆が来ると、新妻の妙は
三日間、あの男の
「かか」になる――。
筆者初の官能小説。
定価:200円

お読みになりたい方は、下記よりどうぞ。
★Kindle版で読む
★BOOK☆WALKER版で読む



『好きを伝える技術』

2019年発売11月発売
虹BOOKS



「好き」「愛してる」と口にするより
雄弁にあなたの恋を語ってくれる
メタメッセージ。
勇気がなくても、口ベタでも、
これならあなたの想いは
確実に伝わる!
定価:600円
⇒★KINDLE版で読む



 長住哲雄としての著書です 


写真をクリックすると、詳細ページへ。

長編小説

『妻は、おふたり様にひとりずつ』

2016年3月発売
虹BOOKS


3人に1人が結婚できなくなる
と言われる格差社会の片隅で、
2人の男と1人の女が出会い、
シェア生活を始めます。
愛を分かち合うその生活から
創り出される「地縁家族」とは?
定価:342円
⇒★KINDLE版で読む



シリーズ
マリアたちへ――Vol.2

『「聖少女」
6年2組の神隠し』

2015年7月発売
虹BOOKS


ビンタが支配する教室から
突然、姿を消した美少女。
40年後、その真実をボクは知る…。
定価:122円
⇒★KINDLE版で読む



シリーズ
マリアたちへ――Vol.1

『チャボの
ラブレター』

2014年10月発売
虹BOOKS


美しい養護教諭・チャボと、
中学生だった「ボク」の淡い恋物語です。
定価:122円
⇒★KINDLE版で読む

  全国有名書店で販売中  

写真をクリックすると、詳細ページに。

『すぐ感情的に
なる人から
傷つけられない本』

2015年9月発売


こう書房
定価 1400円+税

あなたを取り巻く
「困った感情」の毒から
自分を守る知恵を網羅!
⇒Amazonで取り寄せ


『これであなたも
「雑談」名人』


2014年4月発売
中古品

成美堂出版
定価 530円+税

あなたの「雑談」から
「5秒の沈黙」をなくす
雑談の秘訣を満載!
⇒Amazonで取り寄せ


30秒でつかみ、
1分でウケる
『雑談の技術』(オーディオ版)


2007年6月発売
こう書房
定価 1300円+税

「あの人と話すと面白い」
と言われる
雑談のテクを網羅。
⇒Amazonで取り寄せ

――など多数。
ランキング&検索サイト
  総合ランキング・検索  

FC2ブログ~恋愛(モテ)
にほんブログ村~恋愛観
にほんブログ村~恋愛小説(愛欲)
人気ブログランキング~恋愛



 ジャンル別ランキング&検索 

《Hな体験、画像などの検索サイト》
愛と官能の美学愛と官能の美学


《当ブログの成分・評価が確認できます》


おすすめ恋愛サイトです
いつも訪問している恋愛系ブログを、
独断でカテゴリーに分けてご紹介します。

悪魔
勉強になります
「愛」と「性」を
究めたいあなたに


《性を究める》
★性生活に必要なモノ
★セックスにまつわるエトセトラ
★飽きないセックスを極める
★真面目にワイ談~エロ親父の独り言



《性の不安に》
★自宅でチェック! 性病検査



女の子「男と女」はまるで劇場
いろいろな愛の形
その悦びと不安


《不倫》
★幸せネル子の奔放自在な日々

《MとSの話》
★M顔で野生児だった私の半生

《国際結婚》
★アンビリーバブルなアメリカ人と日本人

《障害者とフーゾク》
★KAGEMUSYAの裏徒然日記

妻くすぐられます
カレと彼女の
ちょっとHな告白


★嫁の体験リポート
★レス婚~なんだか寂しい結婚生活

女王写真&Hな告白
赤裸な姿を美しく
大胆に魅せてくれます


《美しい自分を見せて、読ませてくれます》
★Scandalous Lady

音楽女
ちょいエロなサイトです
他人の愛と性を
のぞき見


《Hな投稿集》
★人妻さとみの秘密の告白
★エッチな告白体験談ブログ


上記分類にご不満のブログ運営者さまは、管理人までご連絡ください。
創作系&日記系☆おすすめリンク
読むたびに笑ったり、感動したり、
勉強になったりするサイトです。

女の子ヘッドホン

読む悦び、見る愉しみを!
小説&エッセイ&写真

《官能小説》
★~艶月~
★愛ラブYOU

《おとなのメルヘン&ラブストーリー》
Precious Things

《ミステリー》
★コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

《書評・レヴュー・文芸批評》
★新人賞を取って作家になる
★頭おかしい認定ニャ
★読書と足跡
★緑に向かって New

《写真&詩、エッセイ、日記》
★中高年が止まらない New
★質素に生きる
★エッチなモノクローム
★JAPAN△TENT
★いろいろフォト

傘と女性ユーモアあふれるブログです
いつもクスリと
笑わせられます


スクーター
社会派なあなたへ
政治のこと、社会のこと

《政治批評&社会批評》
★真実を探すブログ
★Everyone says I love you!

  素材をお借りしました   

★写真素材・足成
★無料画像素材のプロ・フォト
★カツのGIFアニメ
★無料イラスト配布サイトマンガトップ

上記分類にご不満のブログ運営者さまは、
管理人までご連絡ください。
にほんブログ村ランキング
にほんブログ村内の各種ランキング、 新着記事などを表示します。
アクセスランキング
リンク元別の1週間のアクセス・ランキング。

検索フォーム
QRコード
QR