満月の夜の神社の姫子〈15〉 産着と捨て子と稲荷ずし

もの想い 妄夢草紙 
 第10話  満月の夜の神社の姫子
 15 

 R18 
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。


「坊主たち、見とけよ」と、
姫子の体を揺さぶる古田さん。
純平はその姿を見ていられなくて、
その場を逃げ出した――。


この話は連載15回目です。この話を最初から読みたい方は、⇒こちらから、前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 満月の夜になると、神社の楠のたもとにその女が現れるという。「見に行こう」と言い出したのは、亀吉だった。純平は、しぶしぶその後にしたがった。待っていると、やって来たのは漁協の古田さんだった。古田さんは「姫子」の尻から、太いモノをぶち込んだ。男が行くと、姫子は小藪に隠れている純平たちを見つけて声をかけた。あわてて石段を駆け下りた純平たちだったが、そこへ、再び坂道を上がってくる男の姿があった。ビニールの袋をブラブラさせながら上がってきたのは、酒屋「サカエ」のオヤジだった。オヤジが袋から取り出したのは、稲荷ズシ。女は、貪るようにその寿司を食い、食い終わると、スカートの中に男の頭を迎え入れた。その夜、純平は、布団の中でアレに手を伸ばした。触れているとその先からヌルッとしたものが噴出した。初めての射精だった。まだ、姫子は神社にいるだろうか? 翌日、純平はひとりで神社の階段を上った。探していると、姫子に見つかり、純平の体はその腕に抱きしめられた。姫子の手は純平の股間に伸び、ふくらんだ純平のそれを口に含んだ。純平が放出したものを呑み込んだ姫子の顔を、純平は美しいと感じた。姫子は「また満月の夜に」と言う。なぜ、満月の夜にか? 姫子は「心を返しに来る」と言うのだった。純平の疑問に、「サカエ」のオヤジが答えて言うには、姫子はあの神社の楠の根元に捨て置かれた「捨て子」だったという。それを「サカエ」のオヤジや漁協の古田たち町の男たち数人が金を出し合って、養護施設で保護させた。姫子は、その恩に報いるために、満月の夜になると、楠の袂に姿を現すというのだった。漁協の古田さんは、純平たちが姫子を知っていると知ると、「おまえたち、女を抱いたことあるか?」と訊く。首を振ると、「姫子に教えてもらえ」と言う。次の満月の夜、純平たちは古田さんに連れられて神社へ行った。姫子は、指で股の奥を開いて、秘密の小さな穴を純平たちに見せ、「おいで」と亀吉を、次に純平をその穴の奥へと導いた。それがふたりの筆おろしだった。そんな夜を経て、純平たちは、少しおとなになった。そんなある日、養護園を慰問に出かけた純平たちは、そこに残された卒園アルバムに、ある美少女を見つけた。姫子と思われる美少女は、どの写真でもおとなの男に抱き寄せられていた。男たちのひとりは、「サカエ」のオヤジ。もうひとりは、漁協の古田さんだった。次の満月の夜、「女の喜ばせ方を教えてやる」という古田さんに誘われて、神社に行った。純平たちの目の前で姫子の陰部を見せながら、自分のイチモツをねじ込んで姫子に悲鳴を挙げさせる古田さん。純平はその様子を見ていられなくて、神社の階段を駆け下りた――。


 古田さんに、指であそこをもみしだかれながら、太いサオをねじ込まれ、「たすけて」と身もだえする「姫子」。
 その姿を、純平は「見ていたくない」と思った。
 中2になったばかりの「姫子」を、古田さんたちは、あんなふうにもてあそんで「女」に仕立てていったんだ。そう思うと、怒りとも悲しみともつかない、わけのわからない激しい感情が、胸の内から湧き起こった。
 そんな感情を抱きながら、「姫子」が崩れ落ちていくさまを見ているなんてことは、自分にはとてもできない。
 そう思ったから、あの場を逃げ出した。
 いまごろ、亀吉は、古田さんに手ほどきされながら、「姫子」のあそこにアレを突き立てて、ヒョコヒョコと腰を動かしているだろうか?
 少し悔しい気もするが、古田さんの見ている前で、そういうことをする気には、純平はなれなかった。それをやれば、古田さんに一生、頭の上がらない関係を作られてしまうような気がした。
 そうだ、明日だ――と、純平は思った。
 明日は、満月の最後の夜。
 前の満月の夜、「姫子」は「ひとりでおいで」と純平の耳元にささやいてくれた。
 純平が、亀吉や古田さんに負けない気持ちでいられるのは、その言葉があったからでもあった。

           

 「純平、なんで逃げちまったんだよ」
 翌日、亀吉が純平に声をかけてきた。
 「オレ、ちゃんとやったぞ。姫子をヒィヒィ言わせてやった。姫子のやつな……」
 純平の耳に口をつけるようにして、亀吉は前夜の様子を吹き込もうとしてくる。純平には、それがちょっとうっとおしく感じられた。
 「いいよ、カメ。オレ、その話、あんまり聞きたくない」
 「どうしたんだよ、純平? な、純平……」
 歩き出そうとする純平の後を、亀吉が追ってくる。
 「なんだよ、純平、妬いてんのか?」
 「そういうんじゃないって」
 「じゃ、なんだよ?」
 「姫子さぁ、中2のときに、古田さんたちにオモチャにされちまったんだろ? おまえ、かわいそうだと思わないか?」
 「しかし、オレの母ちゃん、言ってたぞ。あの子は、魔性の女なんだって。おとなをたぶらかすような女になったって」
 「だけど、古田さん、言ってたじゃないか。あの子の魔性は、オレたちが開発してやったんだ――って」
 「オゥ、そう言えば言ってたよなぁ……」
 「オレ……なんか、見てらんなくてよ」
 「おまえ、姫子に同情してんのか?」
 「バカ。そんなんじゃねェよ」
 そんなんじゃない――と言いながら、純平は、自分の胸の中に、それまで経験したこともない感情が芽生え始めていることに気づいた。

          

 その夜、純平は、ひとりで神社の石段を上った。
 「ひとりで」というのは、「姫子」との約束だった。しかし、その約束がなくても、亀吉を誘う気にはなれなかった。
 楠の周りには、人影はなかった。
 空に輝く満月は、右の端が少し欠け始めているようにも見えた。
 少し風の強い夜だった。時折、陸側から海へ向かって、サワーッと風がわたっていく。その風が楠の枝を揺らし、ザワザワと音を立てた。
 風に枝を揺らしながらも、楠の幹は微動もせずに、月明かりの中にその雄大な姿を見せてそびえ立っている。しかし、その陰には、「姫子」の姿はなかった。
 もう、帰ってしまったんだろうか――と、純平は思った。
 きのう、古田さんと亀吉にヒィヒィ言わされて、傷ついて帰っていったんだろうか……?
 そんなことを考えながら幹の周りをウロウロしていると、少し離れた藪の中から、ガサッ……という音がした。
 ハッとして目を凝らすと、背の低い灌木の間から、白い手が突き出されていた。その手が「おいでおいで」というふうに揺れている。
 恐る恐る近づいてみると、「姫子」だった。
 「姫子」は、灌木の間に少しだけ開けた草地の上にビニールのシートを敷いて、腰を下していた。その脇には、「姫子」が持ってきたのだろう、小さなバッグと紙袋が置いてあった。
こんなところで何してるんだろ?
 そう思って純平が見ていると、「姫子」は自分の座る位置を少しずらして、空いたシートの上を手のひらでポンポンと叩く。「ここへ座れ」という合図に見えた。
 「おなか空いてない?」
 純平が腰を下すと、いきなりそう言って、純平の顔をのぞき込んでくる。
 「少し……」と言うと、「姫子」は紙袋に手を突っ込み、何かを取り出して、それを純平のほうに差し出した。見ると、稲荷ずしだった。
 「エッ、稲荷……?」
 「好きじゃなかった?」
 「いや……好きです」
 「じゃ、お食べ。あ、お茶もあるわよ」
 再び紙袋の中に手を突っ込んで、今度はジャーを取り出し、まだ湯気の立つ液体を紙コップに注いで渡してくれた。

          

 それは、古田さんたちと楠の陰で睦み合う「姫子」からは想像できない姿だった。
 「姫子さん、稲荷ずしが好きなんですね?」
 「サカエ」の植村のオヤジが差し出す稲荷ずしをむさぼり食う「姫子」の姿を思い出して、純平が尋ねると、「姫子」の首が「ウン……」というふうに動いた。
 「稲荷ずしと一緒に捨てられてたんだって……」
 「エッ……?」
 「わたしが『捨て子』だった――って話、聞いてるでしょ? 捨てられてたのは、あの樹の根っこ」
 「姫子」は、楠の根元を指差して見せた。
 「そばにズタ袋が置いてあって、その中には、わたしの産着とおむつと哺乳瓶と粉ミルク、それに、なぜか稲荷ずしが入ってたって。でも、それは、わたしのためのものじゃない。そんな赤ん坊が稲荷ずしなんか食べられるわけないものね」
 「もしかしたら、お母さんが食べようと思って入れてた――とか?」
 「かもしれないわね。それか、拾ってくれた人へのお礼のつもり……とか?」
 「姫子さんのお母さん、稲荷ずしが好きだったんじゃないの?」
 「そうなのかな……。だから、わたしも稲荷が好きになったのかもね……」
 言いながら、「姫子」は遠くを見る目になった。
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