ヒモ男の常套句=「おまえのために」は、実は、「自分のために」

File-11 「おまえのために」は、実は、「自分のために」
「「
親が子に、教師が生徒に、上司が部下に
よく口にする「おまえのために」という
言葉。実はこの常套句は、ちっとも
「あなたのため」なんかではなく、
「自分のため」という話――。


子どもの頃には親から、学校に行くと教師から、社会に出ると上司や上役から……私たちは、いく度となく、この「おまえ(あなた)のために」という言葉を耳にします。
そのたびに、筆者は思ったものです。

「ため」は「為」と書いて、「利益」「得」を表す言葉です。
つまり、「おまえのため」は「おまえの利益」ということで、「あまえのために言う」は、「そのほうが得だよ」と説得していることになるわけですところが、筆者は、ここである重大な疑問にぶつかりました。
何が自分の「利益」かは、人それぞれに違っているのがふつうではないか?
にもかかわらず、
これが「おまえのため」と決めつける権利が、この人にあるんだろうか?
何か言われるたびに、そうやって口答えしていたのですから、親や教師にとっては「かわいくない」子どもだったろうと思います。

「おまえのため」に隠された「目的」
筆者の長年の観察に基づけば、この種の言い方をする人には、ある共通の特徴が見られます。並べてみましょう。
[1] 人に対する支配欲が強い。
[2] 自分の価値観や倫理観に凝り固まっていて、それを人に押し付ける傾向がある。
[3] 成功願望がかなり強く、自分なりの「成功則」を持っている。
[4] 序列意識が強い。
エゴグラム的に言うと、「CP(批判的親)」の要素がかなり強い人物、ということになります。

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こういう特徴を持った人物が、他者に対して「おまえのため」という言い方をするときには、その「ため」の裏には、隠されている「意味」があります。
それは、次のどれかだろうと推測できます。
[1] 自分が信じている価値観・倫理観を実現する「ため」。
[2] 自分の「成功則」を相手にも貫いてほしい「ため」。
[3] そうすることによって、相手を自分の意識的支配下に置きたい「ため」→あとになって、「ホラ、オレの言うとおりにしておいてよかっただろう」と言いたい。
[2] 自分の「成功則」を相手にも貫いてほしい「ため」。
[3] そうすることによって、相手を自分の意識的支配下に置きたい「ため」→あとになって、「ホラ、オレの言うとおりにしておいてよかっただろう」と言いたい。
つまり、「おまえのため」は、実は、「自分のため」でもある、もしかしたら、そっちのほうが大きい、ということです。

「おまえのため」は、「ヒモ」の常套句?
一般に、この言い方は、親と子、教師と生徒、上司と部下……といった、力関係のハッキリした間柄で使われることが多いのですが、「男と女」という関係でも、しばしば使われます。
筆者の知る限り、この言い方がもっとも頻繁に使われ、それが効果を発揮しているのは、「ヒモとフーゾク嬢」の関係です。
ヒモはその食い扶持であるフーゾク嬢に、よく、こんな言い方をします。

言われたフーゾク嬢は、「おまえのため」と言われて、胸がキュンとなります。
ことあるごとに「節約しろ」「無駄遣いするな」と言われ続けるうちに、男を信用するようになり、やがて、「このひとにまかせれば安心」と、預金の管理までを男に委ねるようになります。
そして、ある日、男は、預金通帳を持ってドロン……。
何度となく繰り返された、ヒモvsフーゾク嬢の悲劇には、実にこのパターンが多いのです。

「おまえのため」の裏に隠された「自分のため」のパターン
もちろん、世の中の男女の組み合わせでは、ここまでの極端な話は出てこないだろうと思います。
しかし、似たような「あまえ(あなた)のために」は、しばしば使われます。
いくつか、例を挙げてみましょう。
ただ、束縛したいだけ?
「止めとけって、あんな男。ぜったい、おまえ、泣きを見るから。見たくないんだよ、おまえのそんな姿。おまえのために言ってるんだよ」
→ほんとは、「そんな男は止めて、自分とつき合え」と言いたいだけの「自分のため」。
ただ、自分の夢にしがみつきたいだけ?
カレは、夢見るミュージシャン。いつかメジャー・デビューを夢見てガンバっているが、定職にもついていないため、彼女はそんなカレを何かと経済的にサポートしている。
「オレ、きっとメジャーになって、おまえを喜ばせたいんだ。それ、おまえの夢だったよね。オレがガンバってるの、おまえにその夢の続きを見させたいためなんだ」
→実は、「自分の夢」を実現させたいという「自分のため」。
ただ、出世したいだけ?
「オレが毎日、毎日、こんな遅くまでガンバってるの、何のためだと思ってるんだ? みんな、おまえたちのためじゃないか」
→少なくとも「みんな」じゃないと思います。いちばん大きいのは、もしかしたら、立身出世という「自分のため」。
「おまえ(あなた)のため」という言い方の中に、多かれ少なかれ「自分のため」が含まれている、おそらくそのほうが大きい――ということが、わかっていただけたでしょうか?
筆者は、こういう言い方をする人たちを、基本的には、あまり信用しません。
世の中で「偽善」を成立させているのも、こういう言い方だろうと思っています。

「押し付け」ではなく「参考までに」という言い方
では、どういう言い方なら信用できるか?
こんなときに、ぜひ使っていただきたいと思う言葉があります。
それは、「参考までに」という言葉です。

筆者は、こういう言い方のできる人間を、心から尊敬します。
「押し付け」ではなく、「提案」。「のために」ではなく、「ヒントになれば」。もし、ほんとに「相手のため」を思うのだったら、こういう言い方をしてみれば……と思うのですが、どうでしょう。
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