「初夜権」ってほんとにあったの?

かつてこの地上には、「初夜権」が存在した
という「俗説」が残されています。
土地の権力者や聖職者が娘たちの「処女」を
思うように手にしていた――というのです。
性とエッチの《雑学》file.93 R15
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。
15歳未満の方はご退出ください。
「性」に関する俗説の中に、かつて「初夜権が存在した」というものがあります。
「初夜権」とは、新婚夫婦が誕生する際に、新郎よりも先に、その土地の領主や、聖職者などが、新婦と交わる権利を指す言葉です。
「俗説」と申し上げたのは、「確かに存在した」を実証する公式な記録や証拠が残されていないからですが、「どうやらあったらしい」という痕跡は、いたるところに残されています。
それらの痕跡や伝聞によると、「初夜権」を行使したのは、主に、次の3種類の男性たちとされています。
[1]国王、領主、酋長などの政治的権力者。
[2]神父、神主、シャーマンなどの聖職者。
[3]庄屋、土地の長老、親族の代表などの世俗の権力者。
だれが、行使するかによって、「初夜権」の意味するところも変わってきます。
すべて解説すると膨大になってしまいますので、今回は、[1]の「政治的権力者」による「初夜権」の行使について、解説してみます。

領民の「処女性」は、領主の所有物だった…?
封建時代までは、領域内の土地や人的財産は、その土地を統治する領主=政治的権力者の「所有物」でした。
領民である男性がその土地の娘を自分の伴侶とするということは、領主の所有権を割譲してもらう、ということを意味しました。ヨーロッパでは、特にこうした考え方が強かったようで、婚姻を望む男性は、その代償を払う必要があった――という伝聞が、各地に残されています。
この「代償」は、「処女税」「肌着金」などと呼ばれる税金(結婚税)の形で徴収された場合もあれば、花嫁と最初に性交する権利を領主に譲る=「初夜権」の行使であった場合もあり、税金の支払いが「初夜権」の代償であった場合もあれば、「初夜権」の行使が税金の代わりであった場合もあった――と伝えられています。
しかし、いくらタフであっても、たとえば一国の国王が、領内のすべての娘に「初夜権」を行使するなんていうことは、肉体的にも不可能です。仮にシランケンが「暴君」であったとしても、「カンベンしてよ」になると思います。
広大な領土を所有していたフランス国王などは、この権利を地方の領主や富裕層などに又貸しして、対価を得ていたと言われています。
「初夜権」とは、新婚夫婦が誕生する際に、新郎よりも先に、その土地の領主や、聖職者などが、新婦と交わる権利を指す言葉です。
「俗説」と申し上げたのは、「確かに存在した」を実証する公式な記録や証拠が残されていないからですが、「どうやらあったらしい」という痕跡は、いたるところに残されています。
それらの痕跡や伝聞によると、「初夜権」を行使したのは、主に、次の3種類の男性たちとされています。
[1]国王、領主、酋長などの政治的権力者。
[2]神父、神主、シャーマンなどの聖職者。
[3]庄屋、土地の長老、親族の代表などの世俗の権力者。
だれが、行使するかによって、「初夜権」の意味するところも変わってきます。
すべて解説すると膨大になってしまいますので、今回は、[1]の「政治的権力者」による「初夜権」の行使について、解説してみます。

領民の「処女性」は、領主の所有物だった…?
封建時代までは、領域内の土地や人的財産は、その土地を統治する領主=政治的権力者の「所有物」でした。
領民である男性がその土地の娘を自分の伴侶とするということは、領主の所有権を割譲してもらう、ということを意味しました。ヨーロッパでは、特にこうした考え方が強かったようで、婚姻を望む男性は、その代償を払う必要があった――という伝聞が、各地に残されています。
この「代償」は、「処女税」「肌着金」などと呼ばれる税金(結婚税)の形で徴収された場合もあれば、花嫁と最初に性交する権利を領主に譲る=「初夜権」の行使であった場合もあり、税金の支払いが「初夜権」の代償であった場合もあれば、「初夜権」の行使が税金の代わりであった場合もあった――と伝えられています。
しかし、いくらタフであっても、たとえば一国の国王が、領内のすべての娘に「初夜権」を行使するなんていうことは、肉体的にも不可能です。仮にシランケンが「暴君」であったとしても、「カンベンしてよ」になると思います。
広大な領土を所有していたフランス国王などは、この権利を地方の領主や富裕層などに又貸しして、対価を得ていたと言われています。
ふつうに考えると、結婚する男性にしても、女性にしても、この「領主による初夜権の行使」は、免れたいもののひとつだろうと思われます。
当然、拒否する夫婦も現れただろうと思われます。そうして、拒否した夫婦には、ペナルティが課されました。その記録が残っていて、たとえば、1538年のスイス、チューリッヒ州議会の布告には、初夜権を拒否した場合、新郎が4.3マルクの罰金を支払うべき、と定められていました。また、ドイツのバイエルン地方では、初夜権を拒否した場合には、新郎が「上衣か毛布」を、新婦は「自分の尻が入るサイズの鍋」か「自分の尻と同じ重さのチーズ」を、納めなければならないという風習があった、とされています。
これらを「初夜権」が行使されていたことの証と考えるか、それとも単なる「象徴化された儀式」にすぎないと考えるかは、専門家の間でも意見が分かれるところです。

動物学的に解釈すると「初夜権」は、ボスの「性交権」の名残?
こういう話を紹介すると、「中世というのはひどい時代だったのね」と思う人もいるかもしれません(中には、「うらやましい」と思う人もいるかもしれませんが……)。
しかし、筆者・シランケンは、人間が「群れ」という社会を作るサルの子孫である限り、この性質は、私たちのDNAに刷り込まれた先祖伝来のものかもしれない――と思うのです。
サルの群れの中では、ボスのみが、メスと性交する権利を持っているのがふつうです。「初夜権」どころか、集団の頂点に立つボスが群れのメスそのものをすべて支配するのが当たり前。そういう社会性的習性を持っているサルの子孫なのですから、人間社会のボスである国王や領主が「初夜権」を主張することぐらい、驚くには当たらないかもしれません。
ただ、人間が作る社会は、サルの群れとは比較にならないくらい大きい。群れのすべてのメスを支配するなんて、現実的には不可能です。ならば、せめて「初夜」だけでも……と、私だったら考えただろうと思います。
「初夜権」については、日本でも、一部の地域で江戸末期まで、実際に行われていた――という記録が残されています。
それを題材にして書いたフィクションを、電子本として発行しました。よかったら、ぜひ、のぞいてみてください。
【タイトル】
『初夜盗り物語』
2022年8月29日発行/虹BOOKS
定価:650円
勝手な推測ですが、私は、そう思ったりもするわけです。
実際、古代までさかのぼると、地上の権力者たちは、サルも顔負けの暴君ぶりを発揮していたようです。
実証はできませんが、文献などに登場する事例を、ざっとご紹介しておきましょう。
紀元前1世紀から1世紀に記された『カーマ・スートラ』には、「王者が臣民の妻や娘を懐柔する方法」が説かれていますが、その中には、「王には臣民の新婦を最初に味わう権利を持っていた」という記述がある。
古代ローマ時代の王侯貴族は、毎度、臣下の妻を招いては、もてあそんでいた。
スコットランドでは、領主の「初夜権」を買い戻すのに、庶民の娘であれば中古牛2頭、士族の娘であれば中古牛3頭、上流階級の娘では中古牛12頭を差し出す風習があった。
オペラ『フィガロの結婚』には、新郎フィガロから新婦スザンナを奪い取るために、「初夜権を復活させよう」と企むアルマヴィーヴァ伯爵が登場する。「復活」ということは、以前には行われていた、ということの証左とも考えられる。
まだまだありますが、これくらいにしておきましょう。
日本にも、同様の風聞が、土地ごとに残されているのですが、日本の場合は、宗教的意味合いが強いので、次回、「聖職者による初夜権行使」として解説してみたいと思います。
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手にするという「初夜権」が存在しました。
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女たちの性を権力者が思うように手にしていた
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