一発で愛をフリーズしてしまう危険な「副詞」

余計な「副詞」をつけたばかりに、人の心を
フリーズさせてしまうことがあります。その代表が
「全然」。「否定形」と一緒に使うと、相手の価値を
「ゼロ評価」してしまうことになるからです。
愛が生まれる日本語・殺す日本語 レッスン5-07
人の心を、一瞬で、氷のように冷めさせてしまう言葉があります。
「嫌い」とか「興味ない」とか「気持ちわるい」という、直接的に「わるい感情」を伝える言葉ではありません。そういう言葉を言われたら、だれだって気持ちは冷めてしまうでしょうが、そうではないから始末に負えない言葉です。
しかも、その言葉は、直接的に何かの「意味」を伝える言葉ではない。通常は、他の言葉とセットで使われて、その「名詞」なり「動詞」なり「形容詞」なりの程度を表す目的で使われる言葉。つまり、「副詞」です。
「とても」「すごく」「まったく」「まるで」「ぜんぜん」――など、私たちは、日常会話の中で、よく、そういう副詞を使います。
その「副詞」の使い方には、しばしば、その人がどういうタイプの人間であるかが表れます。
よくある会話例を見てみましょう。
問題は、ここに出てくる「全然」という「副詞」です。
「評価」を「ゼロ」にする「副詞」=「全然」の危険性
会話例に出てきた夫は、自分なりにガンバって掃除をしたわけです。しかし、妻の目には、それが「不十分」に見えた。
そこで、出てきたのが「全然」という言葉です。
「全然」という「副詞」は、「否定形」と一緒に使われると、「まったく」と否定の意味を強める働きをします。「全然ダメ」は「まったくダメ」、「全然できてない」は「まったく何もできてない」、「全然好きじゃない」は「嫌い」と同義――という具合です。
会話例の夫は、自分なりには一生賢明、浴槽を磨き上げたつもりでいたのでしょう。しかし、妻が浴びせた「全然」という言葉は、その「ガンバったつもり」を「ゼロ評価」してしまいました。つまり、「何もやらなかったのと同じ」にしてしまったわけです。
これじゃあ、ガンバったつもりの夫の心は折れてしまいます。
管理人も、こういう言葉を浴びせられて、思わず言葉のヌシをぶん殴ってやろうか――と思ったことがありました。
あるコンビニでアルバイトをしていたときの話です。レジに立ちながら、入荷してきた商品を陳列棚に収納するという作業をしていたのですが、その日は、客が次から次にやって来て、とても、収納作業に専念するという状態ではありません。売り場には、もうひとり、まだ高校生だという女の子がいたのですが、この子がレジはそっちのけで、自分の作業(弁当類などの収納)に没頭していました。
気が利かないんだな、まだ高校生だし――と、管理人は大目に見ていたのですが、その子が、私の担当していた雑貨類の折りコンの山を見て、言うのです。
ナニ、おじさん。雑貨の収納、全然、進んでないじゃない。
よほど、怒鳴りつけてやろうかと思ったのですが、相手はまだ高校生。ムキになるのもみっともないので、私は、皮肉を込めて言ってやりました。
キミ、友だち、いないでしょう?
その意味を彼女が理解できたとは、とても思えませんでしたがね。
「嫌い」とか「興味ない」とか「気持ちわるい」という、直接的に「わるい感情」を伝える言葉ではありません。そういう言葉を言われたら、だれだって気持ちは冷めてしまうでしょうが、そうではないから始末に負えない言葉です。
しかも、その言葉は、直接的に何かの「意味」を伝える言葉ではない。通常は、他の言葉とセットで使われて、その「名詞」なり「動詞」なり「形容詞」なりの程度を表す目的で使われる言葉。つまり、「副詞」です。
「とても」「すごく」「まったく」「まるで」「ぜんぜん」――など、私たちは、日常会話の中で、よく、そういう副詞を使います。
その「副詞」の使い方には、しばしば、その人がどういうタイプの人間であるかが表れます。
よくある会話例を見てみましょう。
会話例1
ある日曜日、夫にフロの掃除を頼んだ妻が、掃除をすませてリビングでくつろぐ夫にかけた言葉――。
妻 ねェ、おフロの掃除、しといてって言ったよね?
夫 ああ、やっといたよ。
妻 やっといた――って、全然、きれいになってないじゃない。
夫 エーッ、全然って何だよ。浴槽とかピカピカになってんだろ?
妻 浴槽だけ洗えばいいってもんじゃないのよ。排水口とか、床の目地の間とか、全然、汚れが取れてないじゃない。
夫 ……(何だ、こいつ、とりあえず「ありがとう」って言えないのかよ)。
ある日曜日、夫にフロの掃除を頼んだ妻が、掃除をすませてリビングでくつろぐ夫にかけた言葉――。
妻 ねェ、おフロの掃除、しといてって言ったよね?
夫 ああ、やっといたよ。
妻 やっといた――って、全然、きれいになってないじゃない。
夫 エーッ、全然って何だよ。浴槽とかピカピカになってんだろ?
妻 浴槽だけ洗えばいいってもんじゃないのよ。排水口とか、床の目地の間とか、全然、汚れが取れてないじゃない。
夫 ……(何だ、こいつ、とりあえず「ありがとう」って言えないのかよ)。
問題は、ここに出てくる「全然」という「副詞」です。

会話例に出てきた夫は、自分なりにガンバって掃除をしたわけです。しかし、妻の目には、それが「不十分」に見えた。
そこで、出てきたのが「全然」という言葉です。
「全然」という「副詞」は、「否定形」と一緒に使われると、「まったく」と否定の意味を強める働きをします。「全然ダメ」は「まったくダメ」、「全然できてない」は「まったく何もできてない」、「全然好きじゃない」は「嫌い」と同義――という具合です。
会話例の夫は、自分なりには一生賢明、浴槽を磨き上げたつもりでいたのでしょう。しかし、妻が浴びせた「全然」という言葉は、その「ガンバったつもり」を「ゼロ評価」してしまいました。つまり、「何もやらなかったのと同じ」にしてしまったわけです。
これじゃあ、ガンバったつもりの夫の心は折れてしまいます。
管理人も、こういう言葉を浴びせられて、思わず言葉のヌシをぶん殴ってやろうか――と思ったことがありました。
あるコンビニでアルバイトをしていたときの話です。レジに立ちながら、入荷してきた商品を陳列棚に収納するという作業をしていたのですが、その日は、客が次から次にやって来て、とても、収納作業に専念するという状態ではありません。売り場には、もうひとり、まだ高校生だという女の子がいたのですが、この子がレジはそっちのけで、自分の作業(弁当類などの収納)に没頭していました。
気が利かないんだな、まだ高校生だし――と、管理人は大目に見ていたのですが、その子が、私の担当していた雑貨類の折りコンの山を見て、言うのです。

よほど、怒鳴りつけてやろうかと思ったのですが、相手はまだ高校生。ムキになるのもみっともないので、私は、皮肉を込めて言ってやりました。

その意味を彼女が理解できたとは、とても思えませんでしたがね。

先の会話例に出てきた妻も、コンビニの生意気女子高生バイトも使った「全然」という「副詞」は、そういう言葉を使ってしまう人間の精神の構造を、如実に物語っています。
ひと言で言うと、「権力志向」がものすごく強い人間――ということです。
相手の功績や貢献度や努力の評価を「ゼロ」にすることによって、


と主張したいのです。そう主張することによって、相手に対する自分の位を絶対的なものにしよう――と思っているのです。
言われた側の人間は、どう思うでしょう?
ものすごく「自己評価」の低い人間であれば、「この人にはさからえない」と感じて、ヘタすると、「ドレイ化」してしまうかもしれません。「いじめ」も、そういうメカニズムで発生する場合が多い――と、私はニラんでいます。
逆に、「自己評価」の高い人間だと、「全然とは何だよ!」と食ってかかり、場合によっては、その発言を契機にケンカになったり、険悪な関係が、以後、永久に続くことになったりするかもしれません。
人間を冷静に観察することができる人間であれば、こういう「副詞」を使う人間を「愚かな権力マニア」と判断して、以後、まともにはつき合わなくなるだろうと思います。私も、どちらかと言うと、このタイプです。

もし、知らずに使っている人がいたら、ぜひ、ご注意いただきたいと思う「危険な副詞」は、他にもあります。いくつか、例を挙げておきましょう。

「まるで」もよく使われる「副詞」です。「ダメ」「役に立たない」「使えない」などの否定語や文を強調するために使われます。

まったく、何の役にも立たないやつだなぁ。
問題は、「何の」という言葉。品詞的には「副詞」ではなく「連体詞」なのですが、「役に立たない」などの否定文を強める修飾語として、よく使われます。

ここで使われている「ただの」も「連体詞」と考えられます。後に続く否定的な言葉の意味を強調したり、「ただのガラクタ」などと後に続く言葉の価値を全否定するために使われます。
ところで――です。こういう言い方を見ていると、みなさん、だれかのものの言い方に似ているなぁ、とは思いませんでしたか?
そうです、かの暴言王、トランプ元大統領です。
トランプ流暴言のミソは、まず、相手をくそみそにやっつけるところから始まります。「日本は、為替操作でアメリカの資本を奪っている」「日本は自国を守るためのアメリカ軍の駐留経費をかすめ取っている」――などと、およそ根拠のない「暴言=ゼロ評価」で相手を恐れおののかせておいて、相手から譲歩を引き出す、という手法です。
これにあわてて、アメリカ詣でにすっ飛んでいった安倍元総理は、見事にその術中にはまってしまったというわけです。

もし、あなたが無意識のうちにこうした言葉を常用しているとしたら、その言い方を改めないと、あなたは知らないうちに「暴君」を演じていることになり、「敵」を作ってしまうことになります。
改めるとしたら、「全然」とか「何も」とか「まるで」といった言葉に含まれる「ゼロ評価」を「部分評価」に変えるしかありません。「全然ダメ」ではなく、「よくできた。でも、ここが残念」という表現に修正するわけです。
参考までに、「会話例1」の言い方を「部分評価」に変えると、こんな会話になります。
会話例2
妻 おフロ、掃除してくれたのね、ありがとう。
夫 ちょっとはきれいになっただろう?
妻 ウン。でも、せっかくやってくれるのなら、排水口とかもきれいにしといてくれたら、もっとうれしかったな。
夫 あ、排水口か……。気がつかなかったなぁ。
妻 今度やるときは、お願いね。
妻 おフロ、掃除してくれたのね、ありがとう。
夫 ちょっとはきれいになっただろう?
妻 ウン。でも、せっかくやってくれるのなら、排水口とかもきれいにしといてくれたら、もっとうれしかったな。
夫 あ、排水口か……。気がつかなかったなぁ。
妻 今度やるときは、お願いね。
だいぶ、ましになったように思うのですが、いかがでしょう?
筆者の最新官能小説! キンドル、BOOKWALKERから発売中です!
盆になると、男たちがクジで「かか」を交換し合う。
明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
クジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
三日間を終えて帰って来た妙は、その夜から、
様子が変わった。その変化に戸惑う与一は、
ある日、その秘密を知った??。
筆者初の官能作品、どうぞお愉しみください。
2020年9月発売 定価:200円 発行/虹BOOKS
⇒Kindle でお読みになる方は、ここをクリック。
⇒BOOK☆WALKER からお読みになる方は、ここをクリック。
既刊本もどうぞよろしく 写真をクリックしてください。






明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
クジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
三日間を終えて帰って来た妙は、その夜から、
様子が変わった。その変化に戸惑う与一は、
ある日、その秘密を知った??。
筆者初の官能作品、どうぞお愉しみください。
2020年9月発売 定価:200円 発行/虹BOOKS
⇒Kindle でお読みになる方は、ここをクリック。
⇒BOOK☆WALKER からお読みになる方は、ここをクリック。
既刊本もどうぞよろしく 写真をクリックしてください。

管理人は常に、下記3つの要素を満たそうと、知恵を絞って記事を書いています。
みなさんが投票してくださるポイントは、日々の反省の材料でもあり、執筆意欲のエネルギー源でもあります。
どうぞ、正直な、しかし、ちょっぴり温かめの感想ポチをお願いいたします。
→この記事は役に立った(FC2 恋愛/モテ)
→この記事に共感した(にほんぶろぐ村 恋愛/恋愛観)
→この記事は面白かった(人気ブログランキング 恋愛・結婚)
→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 「大丈夫です」は「断り文句」なの? (2022/08/16)
- 一発で愛をフリーズしてしまう危険な「副詞」 (2022/08/04)
- 「好き」を伝える目力の使い方 (2022/07/27)