土地の「私有」は人類の「原罪」である

農地改革で地主⇔小作人の関係が解消された後も住宅地の地主は温存されました。土地を持っている者だけが肥え太っていく「地主社会」。それを避けるには――。
Talker
シランケン・重松シュタイン 自ら著作を手がけるエッセイスト&作家。当ブログの管理人です。旧ペンネーム/長住哲雄。
AKI エステ嬢として働きながら作家を目指すアラサーの美女。
AKI 農地改革によって、地主と小作人の関係は大幅に解消された。特に、悪名高い寄生地主はほぼ完全に消滅した。でも、日本は戦後も、地主社会であり続けた。それはなぜか――という話をするんでしたよね。
シランケン そうでした。あ、でもね、日本の地主制度にメスが入ったと言っても、それは農地に関する地主⇔小作人の関係だけですから。
AKI それ以外の地主は、手つかず?
シランケン 残念ながら、手つかずでしたねェ。住宅地や商業地の土地は、一部、GHQに接収されたものもありましたが、あとは、元の地主による「所有」が認められました。敗戦によって、多くの国民は、財産も、仕事も失ってしまいました。都市住民たちの多くは、米軍の徹底的な焼夷弾作戦によって、住む場所も焼き払われてしまいました。しかし、そんな中でも、地主の土地所有権だけは、残ったわけです。
AKI その中には、財閥所有の土地も含まれていたんですか?
シランケン 財閥は、GHQの指令で解体されましたが、私の目には、ただ「分社化」されただけのように見えました。巨大財閥の各事業部門が、急財閥名を冠した「××銀行」「××金属」「××化学」「××不動産」などの独立した会社になっただけ。財閥各社が所有していた不動産は、分社化された不動産会社に、既得権として保持されました。
AKI 地主は温存されたわけですね。街中が焼け野原となった都市部でも?
シランケン チャンスだったのにね、国土を大胆に改造できる。しかし、そこで何のグランドデザインも描けず、土地の所有権もそのまま放置したので、戦後の日本は、私権が乱立したまま、混乱の中で復興の道を歩んだわけです。
AKI ほんとうはどうすればよかった――と、シランケンは考えているんですか?
シランケン 極端な話をすると、土地はすべて公共の物である――にして、すべて国や自治体が管理するという形をとればよかったんじゃないか、と思うんですよ。
AKI エーツ!? 公共の物にするんですか? 私有はさせないで?
シランケン ええ、私有はさせません。ただし、「使用できる権利」だけを与える。一代限りの「永代使用権」ですね。
AKI てことは、売り買いもできないんですね?
シランケン できませんねェ。そもそも、値上がりを期待して不動産を所有するという考えが、おかしい。土地をそんなことに使わせたというのは、戦後の最大の過ちですね。
AKI 相続もさせないんですか?
シランケン 相続を許せば、持っている者は、ますます豊かになっていく。貧しい者は、どんどん貧しくなっていくことになるでしょう?
AKI 貧富の格差が拡大していきますわねェ。そっかぁ。格差拡大の元凶は、土地の相続かぁ……。
シランケン そうでした。あ、でもね、日本の地主制度にメスが入ったと言っても、それは農地に関する地主⇔小作人の関係だけですから。
AKI それ以外の地主は、手つかず?
シランケン 残念ながら、手つかずでしたねェ。住宅地や商業地の土地は、一部、GHQに接収されたものもありましたが、あとは、元の地主による「所有」が認められました。敗戦によって、多くの国民は、財産も、仕事も失ってしまいました。都市住民たちの多くは、米軍の徹底的な焼夷弾作戦によって、住む場所も焼き払われてしまいました。しかし、そんな中でも、地主の土地所有権だけは、残ったわけです。
AKI その中には、財閥所有の土地も含まれていたんですか?
シランケン 財閥は、GHQの指令で解体されましたが、私の目には、ただ「分社化」されただけのように見えました。巨大財閥の各事業部門が、急財閥名を冠した「××銀行」「××金属」「××化学」「××不動産」などの独立した会社になっただけ。財閥各社が所有していた不動産は、分社化された不動産会社に、既得権として保持されました。
AKI 地主は温存されたわけですね。街中が焼け野原となった都市部でも?
シランケン チャンスだったのにね、国土を大胆に改造できる。しかし、そこで何のグランドデザインも描けず、土地の所有権もそのまま放置したので、戦後の日本は、私権が乱立したまま、混乱の中で復興の道を歩んだわけです。
AKI ほんとうはどうすればよかった――と、シランケンは考えているんですか?
シランケン 極端な話をすると、土地はすべて公共の物である――にして、すべて国や自治体が管理するという形をとればよかったんじゃないか、と思うんですよ。
AKI エーツ!? 公共の物にするんですか? 私有はさせないで?
シランケン ええ、私有はさせません。ただし、「使用できる権利」だけを与える。一代限りの「永代使用権」ですね。
AKI てことは、売り買いもできないんですね?
シランケン できませんねェ。そもそも、値上がりを期待して不動産を所有するという考えが、おかしい。土地をそんなことに使わせたというのは、戦後の最大の過ちですね。
AKI 相続もさせないんですか?
シランケン 相続を許せば、持っている者は、ますます豊かになっていく。貧しい者は、どんどん貧しくなっていくことになるでしょう?
AKI 貧富の格差が拡大していきますわねェ。そっかぁ。格差拡大の元凶は、土地の相続かぁ……。
シランケン というより、その元になる「土地の所有」でしょうね。「所有」がなければ、「相続」もないわけですから。ただ、「使用権」は、もし被相続人が引き続きその土地に居住したり、利用したりする場合には、優先的にその権利を得られるようにする。逆に、彼らがその土地に住み続ける気がないとか、引き続き「使用」する意思が見られないときには、その土地は、国や自治体に返さなければならないようにする。こうすれば、「放置」もなければ、「格差の拡大」も見られない。わりとましな社会が作れたと思うんですがね。
AKI しかし、そうはならなかったんですね。でもね、重ジイ、もし土地を国や自治体が所有するっていう仕組みにしてしまったら、国や自治体の仕事、メチャクチャ多くなりますよね。やっていけたんですかね?
シランケン いや、多少、仕事は増えるかもしれませんが、管理業務そのものは、民間にまかせてもいいのですから。
AKI 不動産会社とか……? あ、やっぱり、不動産会社は使うんですね?
シランケン 管理業務だけですよ。物件を所有したり、売買を仲介したりってことは、やらせない。
AKI なるほど。そういう不動産会社なら、安心ですね。でも、それで不動産会社は儲かるんですかね?
シランケン 新聞にチラシを挟んだり、テレビでCMを流し続けたり、ポスティングし続けたりする費用をひねり出すような利益は、上げられないかもしれませんね。
AKI 要らないですよ、ああいうの。
シランケン ハイ、要りません。これまで、「土地を売り買いしてもうけたい」という不動産会社の欲の皮によって、この国の国土がどれだけ荒廃したか。
AKI たとえば……?
シランケン ご存じのように、日本というのは、急峻な山地が国土の大半を占める土地の上に、張り付くように街や文化を築き上げてきた国です。張り付いた場所は、いつ決壊するかわからない、河川のほとりやその扇状地だったりします。そういう国で、土地を開発していくには、危険な土地を避け、将来の治水計画なども見据えた綿密で総合的なプランが求められるんですが、「売る」に必死の不動産業者にそれができるか?
AKI シロウト考えですけど、私はできないと思います。
シランケン そうですよね。たとえば、崖に面した土地が空き地になったと知ると、「それっ」とばかり、不動産会社がやって来て、そこに家やビルを建て始める。大雨が降ると、水没する可能性がある――と、ハザードマップにも記されているのに、構わず分譲地として売り出してしまう。
AKI ある、ある。その結果、床が傾いている欠陥住宅が売り出されたり――っていうニュース、最近、よく目にしたりします。ゴミ屋敷問題もあるし、道路にはみ出した植木問題とかもあるし……。
シランケン フム……。そういう問題も含めて、根っこにあるのは「土地の私有」なんですね。「公共の物」である土地を「私有」してしまう。私は、これは「人類の原罪」だと思っているのですが、この原罪、結婚や恋愛のあり方にも、大きく影響しているんですよ。
AKI エ、エーッ!! それ、知りたいです。
シランケン やっと、本来の話に戻れましたね。では、次回からは、その話で。本日は、これにて終了。
AKI ハーイ。では、また来週……。
筆者の最新刊官能小説です!
盆になると、男たちがクジで「かか」を交換し合う。
明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
クジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
権太との三日間を終えた妙は、その夜から、
様子が変わった。その変化に戸惑う与一は、
ある日、その秘密を知った??。
筆者初の官能作品、どうぞお愉しみください。
2020年9月発売 定価:200円 発行/虹BOOKS
⇒Kindle でお読みになる方は、ここをクリック。
⇒BOOK☆WALKER からお読みになる方は、ここをクリック。
既刊本もどうぞよろしく 写真をクリックしてください。






明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
クジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
権太との三日間を終えた妙は、その夜から、
様子が変わった。その変化に戸惑う与一は、
ある日、その秘密を知った??。
筆者初の官能作品、どうぞお愉しみください。
2020年9月発売 定価:200円 発行/虹BOOKS
⇒Kindle でお読みになる方は、ここをクリック。
⇒BOOK☆WALKER からお読みになる方は、ここをクリック。
既刊本もどうぞよろしく 写真をクリックしてください。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 土地の「私有」は人類の「原罪」である (2022/06/03)
- 明治が作った、醜い地主国家=日本 (2022/05/08)
- 国土は処理できない「私権」の「墓場」となる (2022/04/10)