第84夜☆娘を夫に差し出す母。母から父を奪う娘…



 第84夜  
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。前々回から、この世にあってはいけない関係、父と娘、母と息子の性的関係についてお話していますが、今回もその続きです。父と娘の関係に気づいた母親は、そのとき、どんな行動をとるのでしょうか―――?

【今回のキーワード】 代用妻 代用夫 父と娘 近親姦

AKI ねェ、哲ジイ。前回、「代用妻」とか「代用夫」って話、出ましたよね。子どもを「妻の代わり」「夫の代わり」にしてしまう親の話。それなんですけどね……。

哲雄 ほっ、何か……思い当たるフシでも?

AKI いやいや、そうじゃなくて、それって、親のエゴだよなぁ……って思ったんです。

哲雄 そうですよ。エゴ以外の何物でもない。で、このエゴが現れやすい状況を考えてみると、前回、私のつたない経験でもお話しましたが、夫婦の関係に問題あり……なケースが多い。

AKI つまり、あれですか? 妻で満たせないものを子どもに求め、夫で満たせないものを子どもに求めてしまう。そういうことですか?

哲雄 ま、本人たちのせいではない場合もあるんだけどね。たとえば、夫が単身赴任で家を空けているとか、夫婦共働きで、妻が夜、働きに出なくちゃいけないとか……。

AKI でも、そうじゃない場合もあるでしょ? 夫が外に女作って、なかなか家に帰ってこないとか、逆に妻が遊び好きで、あまり家庭を顧みない、亭主なんて粗大ゴミ扱いしてしまうとか……。

哲雄 単に夫婦仲が冷え切って、たとえ家にいても、おたがい口もきかない……なんて場合もあるだろうしね。

AKI で、子どもにはけ口を求めてしまう? それってひどくないですか?

哲雄 感情としては、理解できなくないけど、たぶん、そういう人たちは、はけ口にされた子どもの精神がどうなるか――ということについての配慮が足りない、というか、欠如してるよね。

AKI そういう親ってさ、子どもは自分のために存在してるんだ――とでも、思ってるんじゃないのかなぁ。

哲雄 少なくとも、娘に妻の代役をさせる父親とか、息子に夫の代役を期待する母親っていうのは、「自分の気持ちいいこと」を子どもに求めちゃってるんだと思う。「私、パパのお嫁さんになる」なんて娘に言われたら、そりゃ、父親としては気持ちいい。「母さんはボクが守ってあげる」なんて息子に言われたら、そりゃ、母親としては気持ちいい。しかし、その「気持ちいい」は、やっぱり子どもに要求しちゃいけないんだよ。

AKI それを要求するからエゴなんですよね。でもさ、哲ジイ、その要求って、エスカレートしませんか?

哲雄 します。するから問題なんだよね。たとえば、思春期の子どもとの間で起こる近親姦の典型的なパターンのひとつに、こういうのがある。

AKI なんか、聞くのが怖いカンジ……。

哲雄 夫婦共働きで、妻は夜、飲食店で働いていて、夫は昼間、建設現場などでわりと肉体を使う仕事に従事している。そして、ふたりには、中学生の娘がいる――という家庭を想像してみよう。

AKI わりと、ありがちなパターンですね。

哲雄 ていうか、これ、実際に相談に持ち込まれたケースなんだけどね。で、この父親がけっこう酒乱。肉体労働だから、クタクタになって帰ってきては、晩酌を始めるんだけど、その支度をするのは、娘の役目。ときには、肩もんでくれとか、足の裏をもんでくれとかいう父親の要求にも、応えていたらしい。

AKI 私でも、それくらいならやってあげると思う。

哲雄 ほぉ? じゃ、私もあとで……。

AKI それは、別! だって、その子にとっては父親でしょ。それなりに愛情もあったわけでしょ? それくらいは、やりますよ。

哲雄 ところがね、そんな夜が続くうちに、父親の娘を見る目が変わり始めた。

「おまえ、母さんの若い頃に似てきたなぁ」

と、なめまわすように娘の体を見るようになり、そのうち、手が伸びてくるようになった。胸にさわる、脚にさわる、そのうち……って話だね。

AKI 娘は、それを母親に相談しなかったのかな? 実は、お父さんが……って?

哲雄 ウン、そこなんだよね。こういうケースでは、いくつかパターンがあって、まず多いのが、娘が父親に脅されるケース。

「母さんには黙ってろよ。おまえがもし言うと……」

って脅すわけですよ。一家はバラバラになってしまうぞ、おまえもこの家にいられなくなるぞ、おまえさえ黙っていれば、いままでどおり暮らせるんだから――ってね。

AKI ウワぁ、娘は辛いですね。

哲雄 辛いと思う。黙ってれば、当然のように、父親は自分の体を求めてくる。逃げようにも、そこは自分の家なんだから、逃げようがない。母親にも相談できないし、他のおとなに相談すると、母親にも知れてしまうことになるから、それもできない。せいぜい、友だちの家を泊り歩くとか、ファミレスやネットカフェで夜を明かすぐらいしか方法がない。しかし、それにも限界がある。それに、どんなにイヤなことをされようと、それでも相手は父親だからね。心底から憎むということもできない。

AKI 精神的には、どうなっちゃうんだろ?

哲雄 そこから先は、精神科の領域だから、私の口からは言えません。ただ、けっして軽くはない神経的外傷を受けることだけは間違いない。親が、子どもをそんな状況に追い込んじゃ、絶対にいけない。

AKI もし、お母さんに相談してたら、どうなったんだろう?

哲雄 これはこれで、問題なんだ。実は、さっきの例の女の子は、あるとき、思い切って母親に打ち明けてるんだよね。

AKI で、どうなりました?

哲雄 娘が、母親に責められた。

AKI エッ、エッ!? エ―――ッ!? どうしてェ?

哲雄 おまえがお父さんを誘惑したんだろう? 色目を使って誘ったんだろう――ってね。

AKI それ、ひどすぎないですかぁ? それじゃ、まるっきり「白雪姫」じゃないですか?

哲雄 だから、言ったでしょ。「白雪姫」はどこにでもいる――って。いろんなケースを読んでるとね、母親の態度は3つに分かれる。ひとつは、事実を知ったとたんに、娘を連れて家を出る。ま、これはいちばん健全だと思うんだけど、しかし、それには財力が必要だよね。家を出たくても出られない、という人だっている。そこで、相談所などに駆け込んで……ってやればいいんだろうけど、そのあとの生活のこともあるしね。

AKI どうするんですか、そういう場合?

哲雄 そこで、第2のケースとして、見て見ぬフリをする。もっとひどい母親になると、

自分の生活を守るために、娘を差し出す。

AKI ウソーッ! 許せないです、そんなの。

哲雄 自分はもう歳で、この先、女の魅力でこの男をつなぎ止めることはムリ。でも、娘の若い肉体があれば……と、計算してしまうんじゃない? 特に、夫婦が再婚で、娘と父親の間に血の繋がりがない、なんて場合にあり得るケースだと思う。

AKI もうひとつのケースとは?

哲雄 さっき言ったように、「おまえがわるい」と娘を責める。もう、こうなると、親と子じゃないんだね。女と女の闘いみたいになってしまう。

AKI 娘は救われませんね。まるで、地獄……。

哲雄 ほんと、そうだね。ふつうだと、神経がズタズタになってしまうよね。でもね、人間ってたくましいというか、強いなぁというか、そうはならない子もいるみたいなんだよね。

AKI もしかして、お母さんとバトルを始めちゃうんですか?

哲雄 そう。代役をやらされるんだったら、「代役」じゃなくて「本物」になってやろう――と、ハラを据えるんだろうね。というか、元々、父と娘なわけだから、愛情がないわけじゃない。いったん、父との間に親和性を築いたら、敵は「母親」になってしまう。こっちのほうが、「白雪姫」っぽいね。

AKI 怖い話ですね。ね、母親と息子の間にも、そういう関係があり得るの?

哲雄 ありますよ。この話、そろそろ終わりにしようと思ったんだけど、次回は、その話をしようか。

AKI みなさん、すみません。もうちょっとだけ、「怖い話」におつき合いください。

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Re: No title

りんさま
いつもご訪問、コメントありがとうございます。
この問題は、フロイト的に言うと、順番が逆みたいですね。
元々あった「父への愛」「母への愛」が、「禁止=抑圧」にあって、
無意識の中に閉じ込められているだけなので、
「近親への愛」を「性的な愛」と分離して考えること自体が不自然、
ということになってしまうようです。
「愛の素」はみな同じ。
そう考えればいいのだろうと私は思っています。
ただ、おとなとしては、教育的な意味で、
気をつけなくてはならない――ということなのでしょうね。

No title

2話連続で読んで
理解できない!  ・・と言い切れないから
ほんとに怖くなってしまいました(汗)

よく、誰でも鬱になる要素は持っていて発症するかしないかは
きっかけ次第・・・とか耳にしますが
それと同じで自分が母性愛と思っているものも
どこからどこまでがというボーダーラインって明確では無いですよね。
大なり小なりみんな心の奥には可能性を秘めているのかも・・・

他人のことには眉を寄せても自分にことは気づいて無いことのほうが
多いですから・・・(自分も含めて)。

いずれにしても子供に気を使わせるような親にはなりたくないですね。


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