失敗を自分のせいにしてあげるやさしい「責任追及」

職場や家庭やチームで何かミスが発覚した。そんなとき、
「わるいのは自分じゃない。あいつがわるい」と、責任を
他人に転嫁しようとするか、「自分がわるかった」と、
「尻拭い」をしようとするか、この違い、大きいのです。
愛が生まれる日本語・殺す日本語 レッスン2-29
上司には、2種類のタイプがいます。
ひとつは、
「自分の失敗」まで「部下のせい」にしようとする《責任転嫁》型
もうひとつは、
「部下の失敗」を「自分のせい」にしてくれる《尻拭い》型
です。
どっちが部下に慕われ、尊敬されるか?
当然、後者の「尻拭い型」ですよね。
実はこれ、上司⇔部下という関係だけでなく、夫⇔妻という関係、親⇔子という関係、店員⇔客という関係、先輩⇔後輩という関係、恋人同士や友だち同士という関係……など、あらゆる関係に共通して言える原則だと言っていいと思います。
ちょっと、サンプルを挙げて、比較してみましょうか?
責任転嫁型
取引先への訪問が遅れてしまった部下に
A氏は、某広告会社の営業マン。直属の上司・B氏から、クライアントであるD社に行って、注文を取って来るように――と指示を受けました。
指示は、「午後いちばんで」。しかし、A氏が出かけようとすると、上司から声がかかりました。
「その前に、F社にもちょいと顔を出しといてくれや」
F社を回っていると、D社に到着するのが少し遅れるな――と思ったA氏でしたが、上司の指示は「午後いちばん」。幅がありそうな言い方だったので、ちょっと遅れてもいいだろうと判断しました。
結局、D社への到着は、1時を30分ほど回ってしまいました。
これに、D社の担当者からクレームの電話が――。
「午後1時の約束だったのに、30分も遅れてきた。予定が狂ってしまったじゃないか」というクレームでした。
そこで、上司Bが答えたのが、次のような弁明。
申し訳ありません。5分前には到着するように言っておいたんですが……。まったく、近頃の若い者ときたら、お恥ずかしい限りで。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。あとで、きつく叱っておきますので……。
これで釈然とするか?
「ジョーダンじゃないよ」とA氏は思いました。「その前にF社に寄れ」と言ったのは、あんたのほうじゃないか――というわけです。
それに……とA氏は思いました。
上司Bの指示は「午後いちばん」だったはずだ。「午後いちばん」は、「午後1時」ということじゃない。昼休みが終わるのを「待ってました」とばかりに、午後1時きっかりに訪問したりしたのでは、相手に息つく暇も与えないことになってしまう。なので、ふつうは、午後1時きっかりではなく、1時を10~15分回ったあたりで訪問する。それが常識だと、A氏は教育されてきました。
「午後1時」なら、「午後1時に」と指示してくれないと、わからないじゃないか。
なのに、「5分前には到着するように言っておいた」だと?
ジョーダンじゃないよ、あの自己保身野郎!
あんな上司のために、身を粉にして働くなんて、まっぴらごめんだね、オレは!
A氏の怒りは、いまだに治まりません。
責任転嫁型の亜種
よく見る「責任転嫁」のありふれた例
こういう「責任転嫁」は、いろんな場所、いろんな場面で行われます。
私たちが、ふだん、よく目にするケースを挙げておきましょう。
〈1〉おまえの教育がわるいからだ。
子どもが何か問題を起こしたとき、よく、夫が妻に向かって発する言葉です。その逆に、妻が夫に「あなたがしっかりしてくれないからよ」となじるケースもあります。
子どもの教育は、夫婦が共に責任を持つべき問題。「おまえのせい」「あなたがわるい」は、《責任転嫁》としか思われません。
〈2〉私はガンバったのに、あの子が××しなかったから。
たとえば、チームプレーなどで結果がよくなかったとき、チームのメンバーの中に、こんな言葉を吐く人がいます。チームが負けたのは、メンバー全員の責任――と考えるのが、チーム・スピリットというものだと思うのですが、こういう言葉を吐く人は、「自分はガンバった」と自己弁護する一方で、敗戦を「○○のせい」と、だれかに責任をかぶせようとするわけです。仕事の場面でもよくみられる《責任転嫁》の典型です。
〈3〉こんなところに置くから、割っちまったじゃないか。
たとえば、テーブルの上に置いた食器、ボードの上に飾ってあった花瓶などを、手に触れて床に落とし、割ってしまった。割ったのは自分なのに、「そんな(落ちやすい)場所に置いたおまえがわるい」と、相手を責めています。これも、よくある《責任転嫁》の例。
〈4〉私はちゃんと教えたのに、××ときたら、まったく……。
自分のセクションでミスが発覚。こういう場合、セクションのリーダーたるもの、その責任を一身に背負うのが常識なのですが、中には、「自分はきちんと教えたんだけど」と自己弁護しながら、部下や後輩が「バカ」だからミスにつながってしまった――と《責任転嫁》しようとする上司がいます。日本の会社では、よく見られるケースです。
――などなど。
きりがないので、これくらいにしておきますが、こういう場合、「責任は自分にあるから」と、ミスを犯した人間をかばうのが、尊敬される人間の条件だと思います。
たとえば、こんなふうに――。
ひとつは、
「自分の失敗」まで「部下のせい」にしようとする《責任転嫁》型
もうひとつは、
「部下の失敗」を「自分のせい」にしてくれる《尻拭い》型
です。
どっちが部下に慕われ、尊敬されるか?
当然、後者の「尻拭い型」ですよね。
実はこれ、上司⇔部下という関係だけでなく、夫⇔妻という関係、親⇔子という関係、店員⇔客という関係、先輩⇔後輩という関係、恋人同士や友だち同士という関係……など、あらゆる関係に共通して言える原則だと言っていいと思います。
ちょっと、サンプルを挙げて、比較してみましょうか?

取引先への訪問が遅れてしまった部下に
A氏は、某広告会社の営業マン。直属の上司・B氏から、クライアントであるD社に行って、注文を取って来るように――と指示を受けました。
指示は、「午後いちばんで」。しかし、A氏が出かけようとすると、上司から声がかかりました。
「その前に、F社にもちょいと顔を出しといてくれや」
F社を回っていると、D社に到着するのが少し遅れるな――と思ったA氏でしたが、上司の指示は「午後いちばん」。幅がありそうな言い方だったので、ちょっと遅れてもいいだろうと判断しました。
結局、D社への到着は、1時を30分ほど回ってしまいました。
これに、D社の担当者からクレームの電話が――。
「午後1時の約束だったのに、30分も遅れてきた。予定が狂ってしまったじゃないか」というクレームでした。
そこで、上司Bが答えたのが、次のような弁明。

これで釈然とするか?
「ジョーダンじゃないよ」とA氏は思いました。「その前にF社に寄れ」と言ったのは、あんたのほうじゃないか――というわけです。
それに……とA氏は思いました。
上司Bの指示は「午後いちばん」だったはずだ。「午後いちばん」は、「午後1時」ということじゃない。昼休みが終わるのを「待ってました」とばかりに、午後1時きっかりに訪問したりしたのでは、相手に息つく暇も与えないことになってしまう。なので、ふつうは、午後1時きっかりではなく、1時を10~15分回ったあたりで訪問する。それが常識だと、A氏は教育されてきました。

なのに、「5分前には到着するように言っておいた」だと?
ジョーダンじゃないよ、あの自己保身野郎!
あんな上司のために、身を粉にして働くなんて、まっぴらごめんだね、オレは!
A氏の怒りは、いまだに治まりません。

よく見る「責任転嫁」のありふれた例
こういう「責任転嫁」は、いろんな場所、いろんな場面で行われます。
私たちが、ふだん、よく目にするケースを挙げておきましょう。
〈1〉おまえの教育がわるいからだ。
子どもが何か問題を起こしたとき、よく、夫が妻に向かって発する言葉です。その逆に、妻が夫に「あなたがしっかりしてくれないからよ」となじるケースもあります。
子どもの教育は、夫婦が共に責任を持つべき問題。「おまえのせい」「あなたがわるい」は、《責任転嫁》としか思われません。
〈2〉私はガンバったのに、あの子が××しなかったから。
たとえば、チームプレーなどで結果がよくなかったとき、チームのメンバーの中に、こんな言葉を吐く人がいます。チームが負けたのは、メンバー全員の責任――と考えるのが、チーム・スピリットというものだと思うのですが、こういう言葉を吐く人は、「自分はガンバった」と自己弁護する一方で、敗戦を「○○のせい」と、だれかに責任をかぶせようとするわけです。仕事の場面でもよくみられる《責任転嫁》の典型です。
〈3〉こんなところに置くから、割っちまったじゃないか。
たとえば、テーブルの上に置いた食器、ボードの上に飾ってあった花瓶などを、手に触れて床に落とし、割ってしまった。割ったのは自分なのに、「そんな(落ちやすい)場所に置いたおまえがわるい」と、相手を責めています。これも、よくある《責任転嫁》の例。
〈4〉私はちゃんと教えたのに、××ときたら、まったく……。
自分のセクションでミスが発覚。こういう場合、セクションのリーダーたるもの、その責任を一身に背負うのが常識なのですが、中には、「自分はきちんと教えたんだけど」と自己弁護しながら、部下や後輩が「バカ」だからミスにつながってしまった――と《責任転嫁》しようとする上司がいます。日本の会社では、よく見られるケースです。
――などなど。
きりがないので、これくらいにしておきますが、こういう場合、「責任は自分にあるから」と、ミスを犯した人間をかばうのが、尊敬される人間の条件だと思います。
たとえば、こんなふうに――。

相手の失敗を「自分のせい」にしてあげる愛情
確かに、ミスを犯したのは、その人間である。だれの目にもそれは明らか。
しかし、そんなときでも、《尻拭い型》の人間は、「自分の指示の仕方がわるかった」「混乱させてしまった自分がわるい」……などと、ミスを犯した人間をかばおうとします。
たとえば、前出の「取引先への訪問が遅れてしまった部下」に、先方からクレームが入ったケース。《尻拭い型》の上司だったら、こんな言い方で部下をかばうだろうと思います。

電話に向かって深々と頭を下げる上司の姿を見て、A氏は、「この上司のためなら」と、あらためて尊敬の意を強めるのでした。
その他の亜種についても、《尻拭い型》なら、こんな言い方をするはずです。

人は、こんな「尻拭い」をしてくれる人間に惹かれる
前出の〈1〉~〈4〉の言い方が、《尻拭い型》だったら、こんなふうに変わるかもしれません。
〈1〉すまないね。あの子のことは、おまえにまかせっきりで、辛い思いをさせて。
もしかしたら、この後、「これからは、オレも注意してあの子の様子を見ることにするよ」などのフォローが続くかもしれません。
「まかせっきりにした」自分に責任がある――という言い方。これなら、妻も、ホロリ…となるかもしれません。
〈2〉私がもう少しガンバってたら……。敗戦はみんなの責任。今度、ガンバろう!
ともすると、「あの子のせい」と、みんなの非難が○○に集中しそうになるのを防ぎ、「今度、ガンバろう」と、チームの集中力がとぎれない配慮がにじんだ言い方です。
〈3〉あ、ごめん、割っちゃった。ボーッとしてたオレがわるいんだ。
これは、もう、当然でしょう。なんたって、割ってしまったのは自分なんですから。「ボーッ」としてたと言うことで、危なっかしい場所に割れ物を置いた相手のミスも帳消しにしています。
〈4〉申し訳ありません。私の教え方がわるくて、今回はとんだ失敗を……。
ミスした部下がわるいんじゃない。ちゃんと教えなかった自分がわるい、という言い方です。
こういう言い方をすれば、ミスを犯した部下は救われ、自分をかばってくれた上司のためにも、「もう、こんな失敗は犯さないようにしよう」と、意を新たにするはずです。
人は、だれしも、「功績を挙げたい」「手柄を立てたい」と思う気持ちをどこかに持っています。そのために、できるだけ「自分の失点」は防ごうとします。
その気持ちが先に立つと、つい、ミスの責任は人にかぶせ、人の手柄は「自分のもの」にしよう――とする行動をとってしまいます。
しかし、そういう人間の周りには、人は寄ってきません。慕う部下も集まってきません。
わるいことは「自分のせい」にして、
いいことの果実は、「他人」に分け与える。
「人望」とは、そうして生まれるということを、ぜひ、覚えておいてほしいと思います。
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盆になると、男たちがクジで「かか」を交換し合う。
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明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
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クジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
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ある日、その秘密を知った??。
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