言われた相手があなたを「好き」になる【やさしい抗議】

「やさしい言い方」と「きつい言い方」が、
もっともハッキリ分かれるのは、相手に
何かを「抗議」する場面です。そんなとき、
「やさしい抗議」に変える言い方とは?
愛が生まれる日本語・殺す日本語 レッスン4-17
「やさしい言い方」と「きつい言い方」がハッキリ分かれるのは、相手に何かを「抗議」する場面だろうと思います。
「抗議」する内容にもよると思いますが、そんなときに人が振りかざそうとするのは、「正義の旗」または「損得の旗」です。
「正義の旗」は、「これが正しい」「それがルール」「そんなの常識」という「錦の御旗」。それを翻して、相手の「不義」を責めたてようとするわけです。
「損得の旗」は、自分は「こんなに損した」と訴え、それは「あなたのせいだ」と言い立てて、相手に謝罪を求める旗です。
こういう旗を振りかざして責められると、責められたほうは、「そういうあなた(おまえ)こそ」と反発したくなるか、シュンとなって落ち込んでしまうか――のどちらかです。「あなたの言うとおりだ。申し訳ない」と、納得して反省する気には、たぶん、なれないだろうと思います。
人の「失敗」に「正義」の鉄槌を下そうとする抗議
たとえば、あなたが待ち合わせに遅刻してしまった。それも30分も――という場面を想定してみましょうか?
「正義の旗」を振りかざす人は、こんなふうにあなたを責めたてます。
待ち合わせの5分前には、現場に着く。そんな常識も知らないのか、キミは?
女を待たせるなんて、いったい、どんな教育、受けてきたのよ!
言われていることは、しごくごもっともなことなので、言われたほうはグウの音も出せません。しかし、もし筆者が責められるほうの立場だったとしたら、そのときにはこう感じるはずです。
そんなことは、百も承知さ。だから、わるいなぁ……と思ってるんじゃないか。それを、鬼の首でも取ったみたいに、頭ごなしにガミガミ言われると、ちょっとムカッとする。もう少し、ソフトに言ってくれよ。
そして、たぶん、そんなふうに自分を責めたてようとする相手を、人間的に尊敬しようという気にも、もっと親しくなろうという気にもならないだろうと思います。
「抗議」する内容にもよると思いますが、そんなときに人が振りかざそうとするのは、「正義の旗」または「損得の旗」です。
「正義の旗」は、「これが正しい」「それがルール」「そんなの常識」という「錦の御旗」。それを翻して、相手の「不義」を責めたてようとするわけです。
「損得の旗」は、自分は「こんなに損した」と訴え、それは「あなたのせいだ」と言い立てて、相手に謝罪を求める旗です。
こういう旗を振りかざして責められると、責められたほうは、「そういうあなた(おまえ)こそ」と反発したくなるか、シュンとなって落ち込んでしまうか――のどちらかです。「あなたの言うとおりだ。申し訳ない」と、納得して反省する気には、たぶん、なれないだろうと思います。

たとえば、あなたが待ち合わせに遅刻してしまった。それも30分も――という場面を想定してみましょうか?
「正義の旗」を振りかざす人は、こんなふうにあなたを責めたてます。


言われていることは、しごくごもっともなことなので、言われたほうはグウの音も出せません。しかし、もし筆者が責められるほうの立場だったとしたら、そのときにはこう感じるはずです。

そして、たぶん、そんなふうに自分を責めたてようとする相手を、人間的に尊敬しようという気にも、もっと親しくなろうという気にもならないだろうと思います。

一方、「損得の旗」を振りかざす人は、こう言ってあなたを責めます。




もっぱら、あなたの遅刻のせいでこうむった、経済的・精神的・肉体的損失をあげつらって、まるで「だから弁償しろ!」とでも言うように、あなたを責めたてます。気の弱い筆者などは、土下座する代わりに、その日のデートなり会合なりの費用を「自分持ち」にする悲壮な(決意)を固めるかもしれません。
こんな責められ方をしたら、筆者だったら、こんなふうに感じるだろうと思います。

そして、こんな言い方をする人間には、警戒心を募らせ、信頼感を持てなくなるだろうと思います。

「正義の旗」も「損得の旗」も、高々と掲げて振りかざしただけでは、相手はあなたの抗議に耳を傾けるどころか、かえって反発を招いてしまいます。
そんな旗は下ろしたほうがいい――と筆者は思うのですが、そう簡単にはいきませんよね。
まず、「正義の旗」です。
「これが正しい」「○○が常識」という旗は、その観念が染みついているほど、そして、自分に自信があったり、ガンコであったりするほど、簡単には下ろせないだろうと思います。

つい、口をついて、そんな言葉が出てしまったきには、

というふうに伝聞形式にしてしまいます。「××」には、「坂上忍」とか「デヴィ・スカルノ」という有名人の名前を入れてもいいのですが、いちばん効くのは、ふたりが共通して知っている厳しいと評判の上司の名前。「と、××部長だったら言うゾ!」と伝聞形式にすることで、暗に、「オレは、そこまでは言わないけど」というニュアンスを匂わせるわけです。
他人の名前を借りて相手を非難するわけですから、ズルいと言えばズルいやり方。筆者としては、あまりおすすめはできません。
いちばんいいのは、「正義の旗」を何かの旗に置き換える――という方法です。
「正義」を振りかざすと、振りかざした相手は「不正義」ということになってしまいます。それでは、言われた相手も傷ついてしまうので、たとえば、これを「心配の旗」に替えてしまいます。たとえば、こんな言い方――。

責めているのは「遅刻したこと」ですが、この言い方だと、相手に伝わるのは、「自分を思いやってくれる温かい心」です。それでいて、この人を心配させてはいけないな――という反省も、きっと生まれるはずです。
「正義の旗」と「心配の旗」は、寓話に出てくる「北風」と「太陽」の関係にも似ています。
「遅刻への抗議」を、ビュービュー吹き付ける北風として浴びせかけても、相手はコートの襟を閉めて身を固めるばかりですが、太陽の温かさとして届ければ、相手はコートを脱いで、その言葉を浴びようとします。考えれば、だれでもわかる理屈ですよね。

では、「損得の旗」のほうはどうでしょう?
筆者は、そもそも、人間関係の中に「損した」だの「得した」だのという感覚を持ち込むこと自体を、あまり好ましいこととは思っていません。
「おまえが××したから損した」なんて言い方をする人間とは、友だちになりたいとも、仕事の仲間になりたいとも思いません。
しかし、これは、人間関係に限らず、人生の中で遭遇するさまざまな事柄をどう受け止めるか――という、感受性の問題でもあります。
何か起こったときに、「お陰で損した」と受け止めるか、「お陰で得した」と受け止めるかは、その人間が人生からどれだけの贈り物を受けられるかの違いにもなるんじゃないか――と、私は思っています。
「遅刻」は、確かに、自分の貴重な時間をムダにしてしまう「損失勘定」かもしれません。しかし、それを「損」ではなく「得」と感じる感性を持っていれば、自分の人生が豊かになるだけでなく、「遅刻」した相手の気持ちも救えるのではないかと思うのです。
かつて、筆者が交際した女性の中にも、そんな感性を見せてくれた人がいました。
デートの待ち合わせに30分も遅れ、息を切らして駆けつけ、「申し訳ない」と頭を下げる私に、彼女は言ったのです。

待っている間に読み進んだ本のページ数を、細い指で挟んで、いたずらっぽく微笑んで見せるのです。
30分もの遅刻に胸を痛めていた私の心が、彼女のひと言で救われたのは、言うまでもありません。
彼女は、「お陰で本がいっぱい読めた」でしたが、「お陰でゆっくりウインドウ・ショッピングができた」でも、「ここで人間観察してるのも面白かったわ」でも同じです。
ほんとうは「損した」部分もあるはずなのに、それを「お陰て得した」と言えるものの受け止め方もすばらしいのですが、そういう言い方で、やんわりと「遅刻の罪」を諌めてくれる頭のよさにも、筆者は感動したものでした。
「損」を「得」に置き換えることによって、「強い抗議」を「やさしい抗議」に変える。
もし、「損得の旗」をかざすなら、こんな知恵を働かせたいものです。
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