彼女の「恋愛脳」は、反復刺激に弱い!?

法則88 彼女の「恋愛脳」は、反復刺激に弱い
眠ったままの「恋愛脳」を活性化させるには、
刺激の反復が効果的。それも、楽しい環境で
反復される刺激。この原理を応用すれば…。
前回は、
(脳への)刺激が多い人生ほど、
「時間」はゆっくり経過する
――という話をしました。
今回は、その「刺激」と「記憶力」の関係について話をしようと思うのですが、実はそこには、「好き」という感情が大いに関与しているんですね。
みなさんにも経験があるんじゃないでしょうか?
「好き!」と思った人のことは、名前も、年齢も、出身地も、好きな食べ物や嫌いな食べ物も、たちどころに覚えてしまえるのに、「嫌い」とか「どうでもいい」と思った相手のことは、何度聞いても、覚えられない。名前すら覚えられなくて、「エーッ……と、どなたでしたっけ?」と訊いてしまったりする。
実は、これは、脳のしくみに由来する現象なんですね。

「楽しい刺激」は、神経細胞を増やす…?
脳研究の世界に、ラットを用いた有名な実験があります。
ラットを2グループに分け、一方を回転車などの遊具を入れた飼育箱に入れ、もう1グループを何もない飼育箱に入れて、12日間、飼育してみる――という実験です。
12日後、両グループのラットの海馬(←大脳で「記憶」の処理に関わっているとされる部位です)の神経細胞を調べてみた結果、遊具付きの飼育箱で飼育したグループのラットの海馬では、明らかに神経細胞の増加が見られ、何もない飼育箱で飼育したグループでは、増加現象は確認できませんでした。
別のラットを、今度は、水槽で泳がせるという運動をさせて飼育してみましたが、こちらのラットの海馬でも、神経細胞の増加は確認できませんでした。
参考までに申し上げておくと、動物の脳の神経細胞は、分裂=増殖ということをしません。生まれたときにはすでに増殖を終えていて、後は、死んでいく一方――とされています。唯一、例外なのが、海馬の神経細胞です。
「海馬」というのは、脳に入ってきた刺激を一定期間保存して、その刺激を「長期記憶」として保存するか、「短期記憶」として消去してしまうかを振り分ける、重要な作業をつかさどっているモジュールです。この「海馬」には、脳の中で唯一、分裂によって新しい細胞を創り出すことができる「幹細胞」が存在していることが知られています。
同種の刺激を反復して与えられると、この「幹細胞」の増殖が促され、神経細胞数が増えていく――ということが、さまざまな実験で確かめられています。
このラットの実験が証明しているのは、2つのことです。
ひとつは、「刺激の反復」が、脳の活性化を促すらしい――ということ。
回転車を入れられて、12日間毎日、回転車の中をクルクル回るという刺激を与えられ続けたラットは、その刺激によって神経細胞を増殖させ、脳を活性化させました。
しかし、同じ刺激の反復でも、水槽で泳がせるという刺激では、神経細胞の増加という効果は得られませんでした。
このことは、もうひとつのことを証明しています。
おそらくラットにとって、回転車で遊ぶというのは、楽しい運動だったのでしょう。しかし、水槽で泳ぐというのは、たぶん、苦痛でしかない嫌いな運動だったのでしょう。つまり、「楽しい」とか「好きな」という感情を伴う刺激は、脳を成長させるけれど、「苦しい」とか「嫌いな」という感情を伴う刺激は、いくら与えられても、脳の活性化にはつながらない――ということです。

神経細胞は減る一方。大事なのは「ネットワーク」の密度です
「脳が活性化」するというのは、ただ、海馬で神経細胞が増える、というだけの話ではありません。海馬以外の部位の大脳の神経細胞は、死滅する一方で、決して増えることないのですが、だからと言って、人間がどんどんバカになっていくのかと言うと、まったくそんなことはありません。
人間の脳神経細胞の数は、生後間もない頃には、140億個ほどあると言われています。しかし、その数が増えるということはなく、20歳を過ぎる頃から、毎日10万個ずつぐらいが死んでいきます。しかし、10万個なんていうのは、大した数ではありません。1年で3650万個、10年で3億6500万個。50年でも18億2500万個が失われるにすぎません。その程度のロス、140億個からすると、何てことないという数字です。
しかも――ここが大事なところ! ふだん、私たちは、その脳神経細胞のうちわずか3%ほどしか使ってないというのです。
もし、脳を活性化したいと思うなら、活用していない97%の神経細胞を働かせることのほうが重要だ――と、脳科学者たちは言います。
眠っている神経細胞を活発に働かせるためには、何が必要か?
「ネットワークだ!」と、脳の専門家たちは口をそろえます。
脳の神経細胞は、互いに伸ばした出力系の「軸索」と入力系の「樹状突起」が「シナプス」という接合部を形成することによって、ひとつの神経細胞から次の神経細胞へ、さらにその先の神経細胞へ――と、情報をやり取りしています(左図参照)。
この「シナプス」の数が多いほど「ネットワーク」が密に形成されている、ということになります。
「好き」という感情を伴う「刺激の反復」は、
このシナプスの数を増やし、ネッワークを密にする効果がある。
これも、実験的に確かめられていることです。
(脳への)刺激が多い人生ほど、
「時間」はゆっくり経過する
――という話をしました。
今回は、その「刺激」と「記憶力」の関係について話をしようと思うのですが、実はそこには、「好き」という感情が大いに関与しているんですね。
みなさんにも経験があるんじゃないでしょうか?
「好き!」と思った人のことは、名前も、年齢も、出身地も、好きな食べ物や嫌いな食べ物も、たちどころに覚えてしまえるのに、「嫌い」とか「どうでもいい」と思った相手のことは、何度聞いても、覚えられない。名前すら覚えられなくて、「エーッ……と、どなたでしたっけ?」と訊いてしまったりする。
実は、これは、脳のしくみに由来する現象なんですね。

「楽しい刺激」は、神経細胞を増やす…?
脳研究の世界に、ラットを用いた有名な実験があります。
ラットを2グループに分け、一方を回転車などの遊具を入れた飼育箱に入れ、もう1グループを何もない飼育箱に入れて、12日間、飼育してみる――という実験です。
12日後、両グループのラットの海馬(←大脳で「記憶」の処理に関わっているとされる部位です)の神経細胞を調べてみた結果、遊具付きの飼育箱で飼育したグループのラットの海馬では、明らかに神経細胞の増加が見られ、何もない飼育箱で飼育したグループでは、増加現象は確認できませんでした。
別のラットを、今度は、水槽で泳がせるという運動をさせて飼育してみましたが、こちらのラットの海馬でも、神経細胞の増加は確認できませんでした。
参考までに申し上げておくと、動物の脳の神経細胞は、分裂=増殖ということをしません。生まれたときにはすでに増殖を終えていて、後は、死んでいく一方――とされています。唯一、例外なのが、海馬の神経細胞です。
「海馬」というのは、脳に入ってきた刺激を一定期間保存して、その刺激を「長期記憶」として保存するか、「短期記憶」として消去してしまうかを振り分ける、重要な作業をつかさどっているモジュールです。この「海馬」には、脳の中で唯一、分裂によって新しい細胞を創り出すことができる「幹細胞」が存在していることが知られています。
同種の刺激を反復して与えられると、この「幹細胞」の増殖が促され、神経細胞数が増えていく――ということが、さまざまな実験で確かめられています。
このラットの実験が証明しているのは、2つのことです。
ひとつは、「刺激の反復」が、脳の活性化を促すらしい――ということ。
回転車を入れられて、12日間毎日、回転車の中をクルクル回るという刺激を与えられ続けたラットは、その刺激によって神経細胞を増殖させ、脳を活性化させました。
しかし、同じ刺激の反復でも、水槽で泳がせるという刺激では、神経細胞の増加という効果は得られませんでした。
このことは、もうひとつのことを証明しています。
おそらくラットにとって、回転車で遊ぶというのは、楽しい運動だったのでしょう。しかし、水槽で泳ぐというのは、たぶん、苦痛でしかない嫌いな運動だったのでしょう。つまり、「楽しい」とか「好きな」という感情を伴う刺激は、脳を成長させるけれど、「苦しい」とか「嫌いな」という感情を伴う刺激は、いくら与えられても、脳の活性化にはつながらない――ということです。

神経細胞は減る一方。大事なのは「ネットワーク」の密度です
「脳が活性化」するというのは、ただ、海馬で神経細胞が増える、というだけの話ではありません。海馬以外の部位の大脳の神経細胞は、死滅する一方で、決して増えることないのですが、だからと言って、人間がどんどんバカになっていくのかと言うと、まったくそんなことはありません。
人間の脳神経細胞の数は、生後間もない頃には、140億個ほどあると言われています。しかし、その数が増えるということはなく、20歳を過ぎる頃から、毎日10万個ずつぐらいが死んでいきます。しかし、10万個なんていうのは、大した数ではありません。1年で3650万個、10年で3億6500万個。50年でも18億2500万個が失われるにすぎません。その程度のロス、140億個からすると、何てことないという数字です。
しかも――ここが大事なところ! ふだん、私たちは、その脳神経細胞のうちわずか3%ほどしか使ってないというのです。
もし、脳を活性化したいと思うなら、活用していない97%の神経細胞を働かせることのほうが重要だ――と、脳科学者たちは言います。
眠っている神経細胞を活発に働かせるためには、何が必要か?
「ネットワークだ!」と、脳の専門家たちは口をそろえます。

この「シナプス」の数が多いほど「ネットワーク」が密に形成されている、ということになります。
「好き」という感情を伴う「刺激の反復」は、
このシナプスの数を増やし、ネッワークを密にする効果がある。
これも、実験的に確かめられていることです。

「恋愛脳」を活性化させるための2つの法則
さて、ここまでは、脳の活性化の話でした。「頭がいい」というのは、脳内のネットワークが密に形成されていることだと申し上げました。
大切なのは、ここからです。脳は、どこか一か所でネットワークが活性化されると、その影響が脳全体に及び、他の部分のネットワークも活性化されるという性質を持っています。脳が「いい刺激」を受けて、シナプス接合を増やすと、その結果は、「恋愛する脳」や「家族を愛する脳」にも影響する――というわけです。
ン? てことは――と思った人もいようかと思います。
そうです。相手の脳をあなたとの「恋愛モード」に持ち込むためには、その脳に心地のいい刺激を与え、脳を活性化して、相手の脳の「恋愛系ネットワーク」を「アクティブ」にすればいいんじゃないか?
そのとおりです。
ポイントは、2つあります。

「刺激」は、一度ではなく、「反復」せよ!
一度与えただけの刺激では、あまり効果がない。
これは、一般の学習でも、スポーツの練習でも、知られていることです。先のラットの実験でも証明されています。恋愛も同じだと考えてください。
気の弱い人は、たとえば、目当ての相手に「ね、今度、デートしようよ」と言ったのはいいけれど、相手からそのときいい反応が得られないと、それきり声をかけられなくなってしまいます。
これでは、効果なし――なんですね。
できれば、相手の「海馬」に「デートしようよ」の記憶が残っているうちに、リピートすること。これが、ものすごく大事なんです。
ドイツの心理学者が1885年に行った実験があります。意味のないアルファベット3文字の綴りのリストを記憶させ、それが時間の経過とともにどう忘れられていくかを記録した実験ですが、これによると、記憶されている綴りの数は、最初の数時間で急速に減少し、4時間後には、ほぼ半数が忘れられてしまいました。しかし、4時間を経過すると、忘れられる速度は減少し、1か月経っても覚えていた綴りの数が25%あったそうです。
しかし、1か月を超えないうちに、もう一度覚えさせて同じように調べると、忘却の曲線はかなり緩やかになりました。
記憶にとって「反復」がいかに重要か――を示す実験だったわけですが、この実験結果は、脳への「刺激の反復」を行う際にも応用できます。
「デートしようよ」という刺激なら、相手の脳がその言葉を鮮明に覚えている4時間以内のうちに、「さっきのデートの話だけどさ……」と、一度、反復しておき、海馬に記憶が残っている1か月以内のうちに、「こないだ話したデートなんだけど、今度さ……」と反復して、刺激効果を確たるものにします。
「愛してるよ」「好きだよ」を口にするときも、同じ原理が働きます。覚えておいていただきたいのは、この「反復効果」は、1か月を超えると、あまり意味がない――ということです。

「刺激」は、相手の「好きな土俵」で与えるべし!
「刺激」は何でもいい、というわけではありません。
先のラットの実験でも、ラットが嫌いな「泳ぐ」という刺激では、脳の活性化という効果は得られませんでした。「恋愛脳」も同じです。
たとえば、「煙が苦手」という彼女を煙もうもうの焼き鳥店に連れていって、「キミってかわいいね。ボクは前から……」などといくら口説いても、その刺激は、彼女の脳には入っていきません。
高所恐怖症なカレを観覧車に乗せて、そのてっぺんで「私、○○クンが好きなのよ」と打ち明けても、その言葉は、カレの脳には刺激としては飛び込んでいきません。なぜなら、カレの脳は、「高いところ、怖い! イヤだよ、こんな場所」という「嫌悪」モードになっているからです。
もし、これが、カレや彼女が「好きだ」という夜景を眺めながら、しかも「好物だ」というイタリア料理を口にしながら……だったらどうでしょう? きっと、あなたが発した「アモーレ!」という言葉は、相手の脳みそのひだに染み込み、海馬を揺さぶり、見事に相手の「恋愛脳」を活性化させるに違いありません。
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明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
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明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
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クジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
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様子が変わった。その変化に戸惑う与一は、
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管理人は、常に、下記3つの要素を満たすべく、知恵を絞って記事を書いています。
みなさんのポチ反応を見て、喜んだり、反省したり……の日々です。
今後の記事作成の参考としますので、正直な、しかし愛情ある感想ポチを、どうぞよろしくお願いいたします。



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