自伝的創愛記〈30〉 美しく怒る先生のお尻

Vol.30
養護教諭チャボには、いろんな
噂があった。手島たちは授業中に
その噂で先生をからかった。その
お尻がプリッと怒っていた――。
男子生徒に「チャボ」とあだ名された、養護教諭・高崎悦子は、小柄な体にツンと突き出した胸を反らして歩く、トランジスタなグラマーだった。
そのチャボについて、手島がボクの耳に吹き込んできたのは、にわかには信じられないような話ばかりだった。
「あのチャボな、養護室で生徒のチ×ポ、触ったりするげな」
「卒業生には、やらせることもあるらしいち」
「知らんとや? チャボには子どもがおるっちぇ。だれの子か知っとぉや? 教頭の吉田の子げな」
「ウソ言え」と否定しながら、その度に、ボクの頭の中には、いつか目にした、運動場で草むしりしながらスカートの奥のパンツをのぞかせていた先生の姿が浮かび、あらぬ妄想が駆け巡った。その妄想は、ボクの愚かで感じやすい器官をカチンカチンに膨らませた。
膨らむ度に、ボクはそれを床にこすりつけ、腰を尺取り虫のように動かした。妄想の中に登場したチャボ先生は、太ったクマのような体の教頭に上半身を養護室のギシギシというベッドの上に押さえ付けられ、剥ぎ取られたパンツの奥にナマズほどあろうかと思われるアレを突っ込まれて、鶏が首を絞められたような悲鳴を挙げていた。
その悲鳴が絶頂に達し、顔が苦悶にゆがむ瞬間、ボクもドロドロの液体をナニの先端から迸らせた。

弁論大会で、読書感想文コンクールで……と、市の金賞を受賞したボクは、基本、先生たち、特に女先生たちにはウケがよかった。チャボ先生もそのひとり……というか、その筆頭だったかもしれない。
廊下ですれ違うと、「金賞おめでとう」とポンとボクの背中を叩いてくれたりする。教師が、個人的に一生徒の受賞に喜びを表してくれるなんていうのは、そうそうあることではない。えこひいきと言えばえこひいきだが、その「えこひいき」は、うれしくもあった。
チャボは月に一度だけ、教室にやって来て、「保健体育」の授業を行う。しかし、受験にも、学力テストにも関係のない授業に、本気で耳を傾ける生徒は、教室には少なかった。
先生も、そのことを自覚しているようだった。生徒たちに少しでも自分の授業を聞いてもらおうと、自分の中高時代の話をしたり、映画の話をしたりして、そこから授業に入っていく。
ボクはそんなチャボをかわいいと思っていたが、男子生徒の中には、そのかわいさをいたぶろうとする連中もいた。
「みなさんも、あと何年かすると、好きな人ができると思います。好きな人ができると、その人と一緒にいたいと思うようになり、ずっと一緒にいたいと思うようになったら、結婚することになります。結婚したら、みなさんの体と体が結ばれて、やがて子どもが生まれるんですよ」
生徒たちに「子どもができる仕組み」を教える保健体育の授業では、チャボはそんな前振りで授業を始めたりするのだが、そんなとき、手島たち悪ガキたちは、決まって「先生」と手を挙げるのだった。
そのチャボについて、手島がボクの耳に吹き込んできたのは、にわかには信じられないような話ばかりだった。
「あのチャボな、養護室で生徒のチ×ポ、触ったりするげな」
「卒業生には、やらせることもあるらしいち」
「知らんとや? チャボには子どもがおるっちぇ。だれの子か知っとぉや? 教頭の吉田の子げな」
「ウソ言え」と否定しながら、その度に、ボクの頭の中には、いつか目にした、運動場で草むしりしながらスカートの奥のパンツをのぞかせていた先生の姿が浮かび、あらぬ妄想が駆け巡った。その妄想は、ボクの愚かで感じやすい器官をカチンカチンに膨らませた。
膨らむ度に、ボクはそれを床にこすりつけ、腰を尺取り虫のように動かした。妄想の中に登場したチャボ先生は、太ったクマのような体の教頭に上半身を養護室のギシギシというベッドの上に押さえ付けられ、剥ぎ取られたパンツの奥にナマズほどあろうかと思われるアレを突っ込まれて、鶏が首を絞められたような悲鳴を挙げていた。
その悲鳴が絶頂に達し、顔が苦悶にゆがむ瞬間、ボクもドロドロの液体をナニの先端から迸らせた。

弁論大会で、読書感想文コンクールで……と、市の金賞を受賞したボクは、基本、先生たち、特に女先生たちにはウケがよかった。チャボ先生もそのひとり……というか、その筆頭だったかもしれない。
廊下ですれ違うと、「金賞おめでとう」とポンとボクの背中を叩いてくれたりする。教師が、個人的に一生徒の受賞に喜びを表してくれるなんていうのは、そうそうあることではない。えこひいきと言えばえこひいきだが、その「えこひいき」は、うれしくもあった。
チャボは月に一度だけ、教室にやって来て、「保健体育」の授業を行う。しかし、受験にも、学力テストにも関係のない授業に、本気で耳を傾ける生徒は、教室には少なかった。
先生も、そのことを自覚しているようだった。生徒たちに少しでも自分の授業を聞いてもらおうと、自分の中高時代の話をしたり、映画の話をしたりして、そこから授業に入っていく。
ボクはそんなチャボをかわいいと思っていたが、男子生徒の中には、そのかわいさをいたぶろうとする連中もいた。
「みなさんも、あと何年かすると、好きな人ができると思います。好きな人ができると、その人と一緒にいたいと思うようになり、ずっと一緒にいたいと思うようになったら、結婚することになります。結婚したら、みなさんの体と体が結ばれて、やがて子どもが生まれるんですよ」
生徒たちに「子どもができる仕組み」を教える保健体育の授業では、チャボはそんな前振りで授業を始めたりするのだが、そんなとき、手島たち悪ガキたちは、決まって「先生」と手を挙げるのだった。
「先生も好きな人、おったとですか?」
何を言い出すんだ、こいつ――と思ったが、手島の質問は、それだけじゃすまなかった。
「好きな人がおったけん、子どもができたっちゃろ?」
先生の子どもの話は、生徒たちの間では、「その話はせんとこうや」と、何となくタブー視されていた。
しかし、手島たちは、そのタブーを突き破った。

「先生、先生は好きやったその人と結婚したと?」
教室をツカツカと歩いていたチャボの足がピタッと止まった。
「手島クン、なんでそんなことば訊くと?」
足を止めて振り向いた先生の顔が、トサカを立てて怒ったチャボのように険しかった。そのトサカがさらにピンと立ったのは、手島が発した次のひと言だった。
「先生、先生の好きやった人て、教頭の吉田先生やったと?」
「バカなこと言わんとき」
言うなり、チャボは手にしていた黒表紙のファイルをパチンと閉じた。
「そんなことばっかり訊いてくる教室じゃ、もう、授業やらできん。あんたたち、後は自習しとき」
チャボは閉じたファイルを小脇に抱えて、踵を返し、教室を出ていく。
だれも、それを止めることができなかった。
カッカッと教室を出ていく先生の尻が、黒いタイトスカートの中で怒っているように見えた。その尻の肉の動きを、ボクは「美しい」と思った。
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題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
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明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
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