あなたは「タワマン」で死ねますか?

空室率が20%を超えたオリンピック前の日本で、しきりに叫ばれた「民泊」の構想。しかし、それは、平和な老後を願って都心回帰した住民たちの静かな生活を、無残に破壊していきました――。
Talker
シランケン・重松シュタイン 自ら著作を手がけるエッセイスト&作家。当ブログの管理人です。旧ペンネーム/長住哲雄。
AKI エステ嬢として働きながら作家を目指すアラサーの美女。
AKI 日本のタワーマンションは、中国マネーにねらわれている。前回、ジイは、そんな話をなさいましたよね。ちょうどその頃、オリンピックを控えた東京では、ホテル不足が叫ばれていた。そこで、中国マネーが何をしたか? 今回は、その話をしようという話でしたが……。
シランケン ああ、そうでした。その後に起こったコロナ騒動で、すっかり予定が狂ってしまったんですが、私が新宿の事務所に編集者として仕事をしに通っていた頃、近くに大きなタワーマンションがありまして……。
AKI そこで、何か目撃したんですね?
シランケン ハイ。毎日、夕方になると、大きなバスが横づけされるんです。そのバスから降りて来るのは、でっかいスーツケースを抱えた明らかに観光客と思われる一団。
AKI もしかして……中国人?
シランケン おそらくそうでしょうね。中国人の「爆買いツアー」が何かと問題になっていた時期でしたから、彼らの抱えたスーツケースの中には、爆買いした商品がいっぱい詰め込まれていたんだと思います。そんな一団が、10人、20人……と、ぞろぞろバスから降りて、建物の中に吸い込まれていく。傍目にも、異様な光景でした。
AKI でも、そこ、マンションなんですよね? ホテルじゃなくて……。
シランケン そうなんですが、AKIクン、覚えてますか? その頃、しきりに「民泊」という言葉が使われていたのを?
AKI ハァ、何気に。ホテルが足りないから、民家を「ホテル」として活用しよう――って、政府もしきりに旗を振っていたような気がします。
シランケン そうです。しかし、「ホテルとして」となると、いろいろと規制がある。そんなうるさい規制を適用していたのでは、「民泊」に名乗りを上げる民家がなかなか現れないかもしれない。ここは、規制を緩和して、「民泊」希望者を増やそうじゃないか。そう考えたんだと思います。その結果、何が起こったか?
AKI われもわれも……と、民泊として名乗りを挙げる人たちが現れた?
シランケン ま、それもあるんですが、そんな中で増えたのは、マンションの「民泊化」でした。規制緩和で「マンションも民泊OK」となって、一気に、その数が増えました。しかし、実際にそこに住んでいる人たちが、「民泊もどうぞ」とやったわけではありません。「マンション民泊」の主流を占めたのは、その物件を「所有」してはいるけど、住んでいるわけではない人たちでした。
AKI つまり、値上がりを期待して投資しているだけの人たちってことですか?
シランケン それもあったでしょうね。しかし、実は、「売れ残り」もあったんですよ。
シランケン ああ、そうでした。その後に起こったコロナ騒動で、すっかり予定が狂ってしまったんですが、私が新宿の事務所に編集者として仕事をしに通っていた頃、近くに大きなタワーマンションがありまして……。
AKI そこで、何か目撃したんですね?
シランケン ハイ。毎日、夕方になると、大きなバスが横づけされるんです。そのバスから降りて来るのは、でっかいスーツケースを抱えた明らかに観光客と思われる一団。
AKI もしかして……中国人?
シランケン おそらくそうでしょうね。中国人の「爆買いツアー」が何かと問題になっていた時期でしたから、彼らの抱えたスーツケースの中には、爆買いした商品がいっぱい詰め込まれていたんだと思います。そんな一団が、10人、20人……と、ぞろぞろバスから降りて、建物の中に吸い込まれていく。傍目にも、異様な光景でした。
AKI でも、そこ、マンションなんですよね? ホテルじゃなくて……。
シランケン そうなんですが、AKIクン、覚えてますか? その頃、しきりに「民泊」という言葉が使われていたのを?
AKI ハァ、何気に。ホテルが足りないから、民家を「ホテル」として活用しよう――って、政府もしきりに旗を振っていたような気がします。
シランケン そうです。しかし、「ホテルとして」となると、いろいろと規制がある。そんなうるさい規制を適用していたのでは、「民泊」に名乗りを上げる民家がなかなか現れないかもしれない。ここは、規制を緩和して、「民泊」希望者を増やそうじゃないか。そう考えたんだと思います。その結果、何が起こったか?
AKI われもわれも……と、民泊として名乗りを挙げる人たちが現れた?
シランケン ま、それもあるんですが、そんな中で増えたのは、マンションの「民泊化」でした。規制緩和で「マンションも民泊OK」となって、一気に、その数が増えました。しかし、実際にそこに住んでいる人たちが、「民泊もどうぞ」とやったわけではありません。「マンション民泊」の主流を占めたのは、その物件を「所有」してはいるけど、住んでいるわけではない人たちでした。
AKI つまり、値上がりを期待して投資しているだけの人たちってことですか?
シランケン それもあったでしょうね。しかし、実は、「売れ残り」もあったんですよ。
AKI エッ、売れ残り……?
シランケン 賃貸物件であれば、借主が見つからないまま「空室」として保留されている物件。分譲であれば、買主がつかず、売れ残っている物件。従来であれば、新築のマンションなどは、完成した時点で「完売」となっているのがふつうだったのですが、2010年頃を境に、その状況は変わりました。売れ残ったままオープンする物件が増えた。賃貸はもっとひどくて、2010年の統計では、
全国の「空室率」が、なんと23.07%。
政府が打ち出した「民泊構想」は、こうした「空き家解消」の秘策でもあったわけです。しかしね、現に住んでいる人たちにとっては、これは迷惑な話で……。
AKI そりゃそうでしょうね。自分の住んでいるマンションに、わけのわかんない人たちが入れ替わり立ち替わり出入りしたんじゃ、落ち着いて暮らせる状況じゃなくなっちゃいますものね。
シランケン ゴミの出し方だって、それまで住民同士で守ってきたルールが、壊されてしまい、夜中まで大きな声で騒いだりする。住民の中には、都心の便利なマンションで静かな老後を――と思って入居した人たちも多いはずなのですが、その「静かな老後」という構想は、「空室率」の上昇と場当たり的な「民泊化」構想によって、無残に壊されてしまいました。
AKI 安心して死ねませんね、そういう環境じゃ?
シランケン ハイ。私も、そんな環境で死ぬのはゴメンです。しかしね、AKIクン、タワーマンションの乱立で、平和な生活が壊されてしまうのは、何も入居者ばかりじゃありません。周辺に住む住民たちの生活もまた、壊されてしまうんです。
AKI それ、大変じゃないですか。
シランケン 大変ですよォ。そこらへんについちゃ、次回、詳しくお話してみようかと思います。
AKI では、次回まで、お元気で。
筆者の最新刊官能小説です!
盆になると、男たちがクジで「かか」を交換し合う。
明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
クジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
三日間を終えた妙は、その夜から、
様子が変わった。その変化に戸惑う与一は、
ある日、その秘密を知った??。
筆者初の官能作品、どうぞお愉しみください。
2020年9月発売 定価:200円 発行/虹BOOKS
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⇒BOOK☆WALKER からお読みになる方は、ここをクリック。
既刊本もどうぞよろしく 写真をクリックしてください。






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