空気と水はだれも「所有」できない。では、土地は…?

空気と水と土地は、だれもが利用できる共有のもの。人類はそのことを自然の摂理として受け入れた上で、この地上での生活を始めました。しかし、そこに発生したエゴイズムは、その共有物を占有したいという欲を人類に植え付けていきます。新シリーズ「エゴイズムの誕生」は、まず、その話から始めてみます――。
Talker
シランケン・重松シュタイン 自ら著作を手がけるエッセイスト&作家。
当ブログの管理人です。旧ペンネーム/長住哲雄
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
AKI 今回から、エゴイズムについてお話をするんですよね。新シリーズを今回からスタートさせる――というお話でしたが。
シランケン ハイ、そうでした、そうでした。あらゆる人間関係を破壊し、人々を醜い争いに巻き込み続ける原因となるエゴイズム。それは、どこからどうして始まったか――というところから、始めようと思うのです。
AKI 確認ですけど、「エゴイズム」っていうのは、一般に「利己主義」とか「自己中心主義」とかって言われてるアレですよね?
シランケン そう、その「アレ」です。辞書には、
「自分の欲望の充実を第一とする考え方や態度」
とか
「自分の利益のために他人の利益が損なわれてもいいとする考え方」
と記されていますね。その「欲望」や「利益」ですが、どんなに望んでも、その対象にしてはいけないものがあります。何だと思いますか?
AKI もしかして、寿命とか――ですか?
シランケン ウン、いい線いってるけど、違います。モノですよ、モノ。ひとつは、願っても手に入れられないモノなんですがね。
AKI 愛だったりして……。
シランケン スルドいけど、エゴイストたちの中には、貪欲にそれをむさぼった人たちもいましたし、現在もそういう人たちがいて、犯罪を犯したり、社会的な問題を起こしたりしてますからね。もっと物質的なものです。よろしい。ヒントを差し上げましょう。それは、公共のもので、人が「欲望」ゆえに所有することなどできないものです。
AKI わかった! 水だ!
シランケン 惜しいッ! 「水」は第2位ぐらいですかね。実際、「水」を所有しようとして、村と村が争ったり、○○さん家と△△さん家が争ったり、ときには国と国が争ったりということが、歴史上、何度も繰り広げられてきましたからね。つまり、水は、本来、公共のものではあるけど、所有権を争う対象でもあったわけです。
AKI てことは、もっと上がある?
シランケン 「水」より上位となれば、もうあれしかありません。しかし、あれは、所有しようにも所有できませんから、所有しようって人も現れなかったんですがね。
AKI あ、そうか、わかった。「空気」ですね?
シランケン 正解! 人類史上、「空気」を「所有」しようとした人も組織も、ありませんでした。したがって、人が最初に所有を争ったモノ、「水」は、実質第1位と言っていいかもしれません。
AKI いまは、どうなってるんですか? 水は、だれのものってことになってるんですか?
シランケン 水そのものは、天から降ってくるわけですから、だれも、「この水、オレのもの」とは言えないわけです。しかし、それが沼に溜まり、湖を成し、やがて河川となって流れるようになると、そこに「利水権」というものが生まれます。
AKI 利水権?
シランケン 水を利用する権利のことです。いまは、工業用水や生活用水が大きいと思いますが、「水争い」が起こったような時代には、農業用水が主であったろうと思われます。だれもが、自分の畑や田んぼから少しでも多くの収穫を得たい。そのためには、自分の田に十分な水を引きたいと思う。ま、その気持ちもわからないじゃありません。
AKI 我田引水って言いますものね。
シランケン オッ、キミもなかなか乙な言葉をご存じで。
シランケン ハイ、そうでした、そうでした。あらゆる人間関係を破壊し、人々を醜い争いに巻き込み続ける原因となるエゴイズム。それは、どこからどうして始まったか――というところから、始めようと思うのです。
AKI 確認ですけど、「エゴイズム」っていうのは、一般に「利己主義」とか「自己中心主義」とかって言われてるアレですよね?
シランケン そう、その「アレ」です。辞書には、
「自分の欲望の充実を第一とする考え方や態度」
とか
「自分の利益のために他人の利益が損なわれてもいいとする考え方」
と記されていますね。その「欲望」や「利益」ですが、どんなに望んでも、その対象にしてはいけないものがあります。何だと思いますか?
AKI もしかして、寿命とか――ですか?
シランケン ウン、いい線いってるけど、違います。モノですよ、モノ。ひとつは、願っても手に入れられないモノなんですがね。
AKI 愛だったりして……。
シランケン スルドいけど、エゴイストたちの中には、貪欲にそれをむさぼった人たちもいましたし、現在もそういう人たちがいて、犯罪を犯したり、社会的な問題を起こしたりしてますからね。もっと物質的なものです。よろしい。ヒントを差し上げましょう。それは、公共のもので、人が「欲望」ゆえに所有することなどできないものです。
AKI わかった! 水だ!
シランケン 惜しいッ! 「水」は第2位ぐらいですかね。実際、「水」を所有しようとして、村と村が争ったり、○○さん家と△△さん家が争ったり、ときには国と国が争ったりということが、歴史上、何度も繰り広げられてきましたからね。つまり、水は、本来、公共のものではあるけど、所有権を争う対象でもあったわけです。
AKI てことは、もっと上がある?
シランケン 「水」より上位となれば、もうあれしかありません。しかし、あれは、所有しようにも所有できませんから、所有しようって人も現れなかったんですがね。
AKI あ、そうか、わかった。「空気」ですね?
シランケン 正解! 人類史上、「空気」を「所有」しようとした人も組織も、ありませんでした。したがって、人が最初に所有を争ったモノ、「水」は、実質第1位と言っていいかもしれません。
AKI いまは、どうなってるんですか? 水は、だれのものってことになってるんですか?
シランケン 水そのものは、天から降ってくるわけですから、だれも、「この水、オレのもの」とは言えないわけです。しかし、それが沼に溜まり、湖を成し、やがて河川となって流れるようになると、そこに「利水権」というものが生まれます。
AKI 利水権?
シランケン 水を利用する権利のことです。いまは、工業用水や生活用水が大きいと思いますが、「水争い」が起こったような時代には、農業用水が主であったろうと思われます。だれもが、自分の畑や田んぼから少しでも多くの収穫を得たい。そのためには、自分の田に十分な水を引きたいと思う。ま、その気持ちもわからないじゃありません。
AKI 我田引水って言いますものね。
シランケン オッ、キミもなかなか乙な言葉をご存じで。
AKI それくらい存じておりますわ。で、いまはどうなんです? いまでも我田引水する人たちがいるんですか?
シランケン いまは「水利」に関しては、河川法が水系別に管理してますから、その「水利」をめぐって争いが勃発するってことは、表面的にはなくなったのですが、しかし、これにもうひとつのモノが加わると、実にやっかいな問題が発生します。
AKI もうひとつのモノですか? 何だろう?
シランケン 「土地」です。実はね、AKIクン、いま、それがちょっとした問題になりつつあるんですよ。
AKI エッ、ナニ、何…?
シランケン 「空気」と「水」は、だれも自分の「所有物」とすることはできない。しかしね、AKIクン、日本では「土地」はだれでも自由に「私有」できることになっています。もし、その土地が「水源地」だったらどうなるか?
AKI エッ!? まさか……水源地がだれかの「所有物」になってしまうんですか?
シランケン 実際にそういう動きが起こっているんですよ。土地を「私有物として売り買いできる日本では、「この土地は金を生む」と判断した土地を、中国資本が買い漁ったりしています。たとえば北海道のニセコとかね。
AKI あ、それ、聞いたことあります。でも、あれ、オーストラリア人とかが買っているのかと思ってました。
シランケン 実際にショップとかカフェとかホテルを経営しているのはオーストラリア人だったりするんですが、オーナーはほとんど中国資本らしいですよ。で、その中国資本が手を出そうとしている土地には、「おいしい水」の湧く水源地なんかもある。
AKI もしかして、日本の水源が中国資源に買い占められたりすることも……?
シランケン 「土地を所有する」というエゴイズムを放置しておくと、あるいは、そういう事態を招いてしまうかもしれません。
AKI そ、それは問題! だから、重ジイは、「土地の私有」に反対なんですね?
シランケン 理由はそれだけじゃありませんよ。他にもいろいろ理由があるんですが、それを言い出すと長くなりますので……。
AKI はい、では、続きは次回……ということにいたしましょうか。
筆者の最新刊官能小説です!
盆になると、男たちがクジで「かか」を交換し合う。
明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
クジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
三日間を終えた妙は、その夜から、
様子が変わった。その変化に戸惑う与一は、
ある日、その秘密を知った??。
筆者初の官能作品、どうぞお愉しみください。
2020年9月発売 定価:200円 発行/虹BOOKS
⇒Kindle でお読みになる方は、ここをクリック。
⇒BOOK☆WALKER からお読みになる方は、ここをクリック。
既刊本もどうぞよろしく 写真をクリックしてください。






明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
クジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
三日間を終えた妙は、その夜から、
様子が変わった。その変化に戸惑う与一は、
ある日、その秘密を知った??。
筆者初の官能作品、どうぞお愉しみください。
2020年9月発売 定価:200円 発行/虹BOOKS
⇒Kindle でお読みになる方は、ここをクリック。
⇒BOOK☆WALKER からお読みになる方は、ここをクリック。
既刊本もどうぞよろしく 写真をクリックしてください。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 「土地所有」を「私権」と言い張るエゴイズム (2021/06/04)
- 空気と水はだれも「所有」できない。では、土地は…? (2021/04/15)
- スマホは人を「個の空間」に閉じ込める (2021/02/22)