父と娘の幻夢〈10〉 母とセックスした男

もの想い 妄夢草紙 
 第9話  父と娘の幻夢  10 

 R18 
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。


どうして母の名前を知っているの?
美遊の問いに私は答えを迷った。
「昔、一緒に仕事をしていた。
憧れてはいたけど、フラれた」
という私の説明に、彼女は——。


この話は連載10回目です。この話を最初から読みたい方は、⇒こちらから、前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 「きょうのお通し、私が作ったんですよ」。お盆を抱えてニッコリほほ笑む顔を「かわいい」と思った。名前を佐藤美遊。私がランチを食べに通う居酒屋「鉄太郎」のアルバイト店員だった。その顔を見たくて、昼飯は「鉄太郎」と決めた私。ある日、食事しながら、ジャズのナイト・クルージングのチラシを見ていると、彼女がそれに興味を示してきた。「ジャズが好き」と言う彼女を私は、横浜でのクルージングに誘った。「きょうは若いお嬢さんとご一緒で?」と冷やかすベースの前原に、「へへ、隠し子です」とふざける美遊。しかし、彼女が発した「隠し子」という言葉は、私の中で、具体的なイメージとともにふくらみ始めた。かつて、私が会社を辞めるときに、一度だけ愛し合ったことのある桂山美佐子。美遊の顔には、その面影が宿っていた。横浜からの帰り、美遊は「これからも会ってくれますか? お父さんのように」と言う。私と美遊は、それからも度々、逢瀬を重ねた。娘のように甘える美遊が「やってみたかったことがある」と言う。それは、「父親の背中を流してあげること」。私は、その願いを叶えてあげることにした。しかし、それは「危ない遊び」につながった。「キミの部屋が見たい」と彼女のアパートを訪ねた私は、そこに飾られた写真に目が釘付けになった。母と娘らしきツーショット。母親と思われる女は、桂山美佐子だった――


 「どうして……?」
 どれくらい時間が経ったか、わからない。
 やっと、美遊の口から出た言葉。美遊は、その言葉を繰り返した。
 「どうして……杉村さんが……私の母を知ってるの? どうして……?」
 実は、キミのお母さんとボクは――と、ほんとうのことを打ち明けようかと思った。
 しかし、美遊と肌を重ね合ったいまとなっては、それは、明かしてはいけない秘密のような気がした。
 いや、正直に言うべきか?
 やっぱり、ダメだ――。
 私の胸の中で、ふたりの自分が闘った。
 そして私は、ウソではないけど、大事な真実を隠したままの言葉を、慎重に選んで口にした。
 「昔、キミのお母さんとは、少しだけだけど、一緒に仕事をしたことがある」
 「昔……って?」
 「もう……20年ぐらい前の話になるかなぁ。ボクは、その頃、ある女性雑誌の編集部にいて、キミのお母さんは、スタイリストとして、編集部に出入りしてた」
 「もしかして、何とかっていう女性雑誌?」
 「マドンナだったんだよ、キミのお母さん。編集部の男たちは、みんな、お母さんの恋人になりたがってた」
 「杉村さんも、そう思ってた?」
 「そうなれたら、いいな……とは思ってた」
 「思ってただけ? そうはならなかったの?」
 「ボクは、すぐに会社を辞めて、九州に帰ってしまったから……」
 「質問に答えてないでしょ?」
 「エッ!?」
 「だから、私のお母さんと杉村さんは、恋人同士にはならなかったの? 一度も、そんな関係にはならなかったの?」
 美遊の目は、真実を問う目だった。
 その目の光を、私は怖いと思った。
 もし、私が真実を明かしたら、その真実の中からどんな新たな真実が飛び出す?
 私には、それが怖かった。

           

 私は、ウソをついた。
 やわらかく、何者をも傷つけずにすむウソをついた。
 「キミのお母さんに、一度だけ、言ったことがあるんだ。キミのような人が一緒に九州に来てくれたらうれしいけど……って」
 「何て返事したの、母は?」
 「九州かぁ。遠いよね……って、ため息ついてた。だから、ボクは、ああ、こりゃ、ダメだな……って思った。ま、フラれたんだね」
 「ハライセに、娘を手篭めにした?」
 「エッ!?」
 「ジョーダン! ジョーダンですよォ~!」
 言いながら、美遊は、私の胸を拳でドンと突いた。
 その体をやさしく抱きしめながら、私は、あり得なくはないシナリオを頭の片隅に描いていた。
 こうして抱き締めている美遊が、もしかしたら、あのときの……。
 もし、そんなことがあり得るとしたら……。
 腕の中にいる小さな存在を「愛しい」と思う気持ちが、かつてないほどに高まってくる。しかし、それと同時に、自分が犯しているかもしれない罪に対する懼れ。そのふたつが、私の胸の中で激しく交差した。
 「お店でキミを初めて見たとき、ボクが感じた、どこか懐かしい人だ……という感覚の秘密が、やっとわかった」
 「昔、心惹かれた女に似てたから……?」
 「それがだれに似てるのか、ずーっと考えてたけど、やっとわかった」
 「じゃ、私のは……?」
 「エッ!?」
 「私も、杉村さんを初めて見たとき、どこか懐かしい人……って感じた。懐かしいというより、ものすごく大事な人なんじゃないか……って思った。その理由は? だって、私は、母と会ってた頃の杉村さんを知らないのよ。なのに、どうして?」
 美遊の問いには、私は答えることができなかった。
 美遊の疑問を解決する答えは、たったひとつしかない。
 しかし、その答えは、想像することさえ苦しい、あってはいけない答えだった。

           

 そんな「もしも……」を封じ込めたまま、私たちは、美遊のベッドで体を重ね合った。
 いつになく激しく、美遊は私の愛撫に応じ、いつになく激しく、私はその体を求めた。
 美遊のベッドの粗末なスプリングは、ギシギシと音を立てて軋んだ。
 「私をメチャメチャにして」
 美遊は、私の腰に自分の脚を巻きつけ、両手で私の尻の肉をつかんで引き寄せるようにしながら、あらぬ言葉を口にした。
 美遊の脚と手は、もっと私の中に入ってきて、もっと深く私を貫いて――と求めているように見えた。
 その求めに応じながら、私は半開きの美遊の口を激しく吸った。
 その口には、その唾液には、もしかしたら「自分」がいるかもしれない――と思いながら……。
 「一度だけ、お母さんが話してくれたことがあるの」
 「20年前のこと?」
 「ウン。その頃、お母さんにも、好きになった人がいるんだって」
 「ヘェ、いたんだ……」
 「でもね、その人は、好きになったとたんに、いなくなっちゃったんだって」
 「いなくなった……?」
 「詳しくは話してくれなかったけど、何か事情があって、会えなくなってしまったんだって……」
 「…………」
 「ね、杉村さん、身に覚え、ない?」
 「もしかして…………」
 「もしかして……ナニ?」
 「キミは、その人との……?」
 「わからない。それ以上は、何も言ってくれなかったから……」
 美遊が考えていることと、私が考えていることは、もしかしたら、同じことだったかもしれない。
 しかし、それを口にすることは、私には怖かった。
 たぶん、美遊にも怖かったに違いない。
 そのまま口を閉ざして、私は美遊の髪をなで、どこか愛しい顔の輪郭、その眉を、まぶたを、こめかみを、頬を、口を、あごを……ひとつひとつ手でなぞりながら、確めた。
 美遊は、私に抱き寄せられたまま、私の腕の筋肉を手でたどり、胸の筋肉を押し、その下のあばらの骨の一本一本を確めるように、撫でさすった。
 おたがいの愛撫には、それまでとは違う意味が込められているように感じられた。
 時間が経つのも忘れて、私たちはおたがいの体を愛しんだ。
 「ひとつだけ答えて」
 ベッドを離れようと立ちあがりかけた私の腕をつかんで、美遊が言った。言いながら私の顔をのぞき込む目が、ランランと光っていた。
 「お母さんと、セックスした?」
 目と目が絡みあった。
 どこへも、その目を逃がす場所がなかった。
 私は、短く、コクリ……とうなずいた。
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