シランケンの不純愛講座　「恋」が始まるホメ方、遠ざかるホメ方

「恋」が始まるホメ方、遠ざかるホメ方

人は自分を「ホメてくれた相手」に好意を抱きます。
問題はその「ホメ方」です。ホメやすいということで、
私たちはつい、その人の持ち物や体のパーツをホメる
のですが、実は、そこに「落とし穴」が——。

　愛が生まれる日本語・殺す日本語　　レッスン２-22　

　何から話したらいいか、わからない。
　特に、それが初めてデートする相手という場合には、会話のとっかかりがつかめなくて苦労する人も多いのではないか、と思います。

　「株が上がりませんねェ」
　「消費税ＵＰ、どう思います？」
　「ＡＫＢって、好きですか？」

なんて話では、男女の会話が盛り上がるはずがありませんし、と言って、

きょうは、会ってくれてありがとう。○○さんとゆっくりお話がしたくて、私（オレ、ボク）ね、ずっと前から、○○さんのことが……。

などと、いきなり想いの丈をブチまけても、相手は引いてしまうだけです。
　私だったら、こんなときには、デートにやって来てくれた相手を「ホメる」ことから始めます。
　問題は、何をホメるか――です。
　以下は、そのヒント集。

　ホメ・ポイント①　
相手の持ち物・服装をホメる

　時計、バッグ、服装、アクセサリー……何でもいいんです。それを「ステキですね」とホメます。ホメられた相手は、自分が評価されたと感じて、ホメてくれた相手に好感を抱くようになります。
　なので、肝心なのは「ホメる」こと。決して、「もう少し明るい色のほうが」とか「それ、少しハデすぎない？」などと批評したり、ケチをつけたりしてはいけません。
　そして、もっとも大事なこと。
　それは、「物」をホメるのではない、ホメるのは、そういう物を身につける相手の「センス」だ――ということです。
　ちょっと、サンプルを上げて解説してみましょう。

　会話例１　

女　ワァ、いい時計してますね。それ、ロレックス？

男　ン、まぁ……いちおう。

女　高いんでしょ？

男　い、いや……それほどでも……。

女　○○さんって、お金持ちなんですね。

　筆者だったら、「この人、保険金殺人でもネラってるんじゃないか」と感じて、即刻、退散を決め込みます。
　この例の女性がホメているのは、「物の値段」という「価値」。これでは、相手をホメたことにはなりません。
　男性も、同じような過ちを犯しがちです。

　会話例２　

男　おしゃれなバッグですね。それ、ヴィトンでしょ？

女　え、ええ……。

男　いいなぁ、モノグラム。縫製もしっかりしてるし。

女　ハ、ハイ……ま、そうですよね。

男　やっぱり、持つなら、こういうしっかり作られたブランドものですよね。ボクもね……（と、ブランドについての講釈が続く）

　この例でも、ホメているのは、ブランド品そのものの価値。ホメられた女性のほうは、自分がホメられたという気には全然なれず、場合によっては、「この人、ブランド品を持っている女性なら、だれでもよかったんじゃないかしら」と、あらぬ疑いを抱くことになるかもしれません。
　では、どうホメればよかったのか？
　女性が男性のネクタイをホメる場合を例に、ＧＯＯＤなサンプルをご紹介しましょう。

　会話例３　

女　ステキですね、そのネクタイ。

男　そ、そうですか？

女　スーツにもよく合ってるし、私、その色、とっても好き。

男　いや……なんか、そう言われると、ちょっとテレちゃうなぁ。

女　○○さんって、センスいいんですね。

　ここで女性がホメているのは、ネクタイそのものではなくて、そういうネクタイを選んだ男性のセンス。こういうホメ方をされると、相手はそのホメ言葉を「自分への賛辞」と受け取って、一気に、言ってくれた相手への好感度が高まります。

　ホメ・ポイント②　
相手の体のパーツをホメる

　ほんとは、「美人だね」「いい男」と言いたいところですが、初めてデートする相手にこういうホメ方は、いささか下品な感じがします。
　それに、「美人」「いい男」などのホメ言葉は、だれに向かっても言える言葉です。初めて相手と間近に接する機会を得た人間の言葉としては、ちょっとリアリティに欠ける感じもします。要するに「テキトー」すぎるわけですね。
　なので、私は、その人のいちばん魅力的と感じられるポイントを捉えて、そこをホメることにしています。
　そのポイントは、目でも、髪でも、手でも、基本、どこでもいいのですが、タブーもあります。
　いくらパーツをホメると言っても、相手の体の性的な部分をホメるのは、会って間もない相手に対してはＮＧ。特に、男性が女性をほめる場合には、絶対にやってはいけないことと心がけておきましょう。
　ちょっとシミュレートしてみましょうか？

　会話例４　

男　○○さんって、いい胸してるんですね。

女　エ、エッ……。（思わず胸を隠すしぐさ）

男　Ｆカップぐらい、あるんじゃないですか。なんか、クラクラしちゃいます。

女　い、いやだぁ……。いきなり、そんな……。

　言われた女性のほうは、「失礼な人ね」と不快に感じ、場合によっては、「この人、私の体が目当てなのかしら」と警戒心を抱くことにもなりかねません。
　胸、尻、脚、唇――こういう部位は、性的な意味を持つパーツなので、ホメるとしたら、それ以外の場所ということになります。
　たとえば、こんなふうに――。

　会話例５　

男　○○さんって、きれいな指してるんですね。

女　エッ、そ、そうですか？

男　細くて、白くて、繊細で……。ピアノの鍵盤が似合いそうだなぁ。

女　ピアノ……？　私、ピアノは弾けないんですけど……。

男　じゃ、花を摘むとか、摘んだ花を活けるとか……。

女　花……ですか。花は好きだけど……。

男　そういう美しいことが似合いそうな指、っていうことです。いま飲んでる紅茶のカップにも、とっても似合ってますよ。

女　エーッ……。（ポッと頬を赤らめる）

　女性から男性をホメる場合も同様です。
　ただし、男性の場合、「ほっそりした指」なんて言われてもあまりうれしくありませんから、少しホメる場所が違ってきます。

　会話例６　

女　○○さんって、肩幅が広いんですね。

男　そうですか？

女　広くて、ガッシリしてて、すごく頼りになりそう。

男　そうですか？　いまは、もっと華奢なほうがモテるらしいですよ。

女　私は、違う……かな。私の場合は、甘えたくなるような広い背中と肩幅に惹かれちゃうんですよね。

　こんなことを言われたら、私だったら、即、彼女を抱きしめてあげたくなります。ただし、これは、私の場合。
　どこをどうホメられるとうれしいか――は、人によってさまざまだと思います。高い身長をホメられたい人もいれば、イヤがる人もいます。そこを見きわめてホメないと、ホメたことが仇になってしまう場合もありますので、ご用心！
　しかし、ひとつだけヒントがあります。
人は、自分が認めてほしい、ホメてほしいと思う場所には、何かしらそれを強調するような工夫をしているはずですから、そこを見つけるというのが、ひとつの方法。
　たとえば、目の前の女性が爪に気合の入ったネイル・アートを施していれば、間違いなく、その人は指や爪をホメられたがっている――というふうにです。
　参考までに、一般的に人がホメられたい体のパーツとそのホメ方を、挙げておきます。ここをホメておけば、まず間違いないというポイントですから、参考にしてみてください。

【男性がホメられたい部位】

・腕や足の筋肉……「すごい筋肉」「たくましい」など。
・目……「澄んだ目」「やさしそうな目」「意志の強そうな目」など。
・背中・肩幅……「頼りになりそう」「たくましい」「包容力がありそう」など。
・胸板……「厚い」「大きい」「頼れそう」など。

【女性がホメられたい部位】

・髪……「きれい」「つややか」など。
・目……「大きい」「かわいい」「小動物のよう」「愛くるしい」「色っぽい」など。
・手、指……「細い」「繊細」「しなやか」「長い」など。
・顔全般……「小さい」「かわいい」「エクボができる」「やさしそう」「柔和」など。
・体つき……「ほっそりしてる」「しなやか」「プロポーションがいい」「モデルみたい」など。

　これらのほか、相手のちょっとしたしぐさや姿勢なども、ホメるポイントになります。
　あとは、あなたの観察眼で、【ホメ・ポイント】を探してみてください。

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