第79夜☆「ダケ・シカ恋愛」は、お止めなさい
第79夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。前回、飛び出した「恋人=サーバー論」を、今回は、より鋭く展開。「ダケ・シカ恋愛」ではダメだというお話をします――。
【今回のキーワード】 サーバー アガペー エロス 独占欲 比喩 愛の発明
哲雄 ね、AKIクンは、サーバーってどんなものかわかってる?
AKI サラダを取り分けたりするときに使う、大きなスプーンとフォーク……じゃないですよね。
哲雄 オッ、そう言えば、役割は似てるねェ。
AKI でしょ? 私のボケも、捨てたもんじゃない。
哲雄 で、ボケじゃないほうの答えは?
AKI エーッと、簡単に言うと、コンピュータとコンピュータをつなぐ中継機みたいなもの、というところでしょうか。私たちの使っている端末のPCは、このサーバーを経由することで、世界のどこへでも飛んでいけるわけですよね。
哲雄 さすが、知性派エステ嬢。よくわかってらっしゃる。で、前回、キミは、「アガペー化した愛」とはどういうものかを説明していた私に、目からヤニが落ちるようなことを言ってくれました。
AKI 汚なッ! 落とすのはウロコにしてください。
【注】「アガペー」とは「神の愛」と訳されるギリシャ語。「エロス=利己的な情愛」の対極に位置する「普遍的な無償の愛」を指す。「エロス」「フィリア」「アガペー」という愛の3つの形態については、本講座の下記の記事をお読みください。
→第72夜『嫉妬するのは、「愛」ではなく「所有欲」』
→第73夜『「エロス」の毒から離れられないあなたのために』
→第74夜『「エロス」を「アガペー」の海に軟着陸させる方法』
→第72夜『嫉妬するのは、「愛」ではなく「所有欲」』
→第73夜『「エロス」の毒から離れられないあなたのために』
→第74夜『「エロス」を「アガペー」の海に軟着陸させる方法』
哲雄 ハイ、ウロコ。記念に差し上げます。
AKI 要らないですッ!
哲雄 そこで、キミは、「アガペー」ってインターネットみたいだ――と、ギリシャ人もビックリの発言をなさったわけです。
AKI ヘッ、ヘッ、へ……。
哲雄 AKIという小さな端末が、この哲雄というサーバーとつながることによって、世界とつながることができる。
AKI 哲雄という腐りかけの端末も、このAKIというピカピカのサーバーとつながることによって、世界とつながることができる。死んでもつなぎませんけどね、私は。
哲雄 ハイハイ、それは十分に承知してますよ。それで、繰り返すようだけど、もし、ふたりの愛がそのようなものであれば、たとえ、この哲雄の愛が、女ひとりに目を向けるのがやっとの、きわめて狭量なものであったとしても、私はAKIという端末を通して、その向こうにある世界を愛することができる。前回は、そう申し上げたわけです。
AKI でもネ、哲ジイ。中には、誤解する人もいるかもしれませんよ。
哲雄 死界を抜けたら、そこは誤解だった……って、ハイ、どんな誤解でしょう?
AKI つまり、私が哲ジイのサーバーでいるためには、私がそこらじゅうの女や男とつながってなきゃいけないんじゃないか――って思う人も、いるんじゃないかと思うの。
哲雄 なるほど。想像力に欠ける人は、そう思っちゃうかもしれないねェ。それはそれでいいんだけど。
AKI エッ、いいの?
哲雄 どうせ、サーバーになんて、ハナっからなるつもりのない人が、どこで何をしようが、知ったこっちゃありません。ただね、「サーバーであれ」と言ったのは、何も、「リアルに世界とつながっていろ」といったわけではなくて、私があなたを愛することを通して世界を愛することになるような、そんな存在でいてください――ということなんだよね。
AKI それ、もう少し、わかりやすく言っていただけないでしょうか?
哲雄 この哲ジイは、AKIという世にも美しい女を通して、「人を愛する」とはどういうことかを知りました。あ、これ、たとえだからね(私にだって選ぶ権利はある……
)。すると、このジイは、そうやって知った「人を愛する心」を、たとえばスーパーの特選品売り場のオバチャンにも、憎っくきNHKの集金人にも、振り向けることができるようになります。ときには、アフリカの餓えた子どもたちや、南米奥地のマイノリティにも、馳せることができるかもしれません。
AKI フーン、それって、すばらしいことですね。
哲雄 サーバーが優秀であれば、そうなります。ところが、中にはウイルスに侵されたサーバーもいる。
AKI ど、どんなウイルスです?
哲雄 「ダケシカ・ウイルス」です。
AKI ダ・ケ・シ・カ……? 何すか、それ?
哲雄 「私ダケを愛してね」とか「あなたシカ見えない」という「ダケ」と「シカ」です。
AKI ホーッ、かなり強烈なウイルスですね。
哲雄 これにやられると、サーバーはサーバーでなくなります。「IN」はOKだけど、「OUT」はダメ。こうなったらどうなる?
AKI インターネットに接続できなくなります。
哲雄 ウン。もはやサーバーではなく、おたがいのメーラー同士をつないで、ふたりでメール交換してるだけの、きわめて貧弱な装置になってしまうよね。
AKI なんか、ありそうですね、そういう関係。
哲雄 あります! これは断言してもいいけど、そういう関係が増えているような気さえします。私はこれを「ふたり引きこもり」と呼んでいるんだけど、あろうことか、世の中には、それを賛美しようとする勢力さえいます。
AKI 私には、単に独占状態を美化しているだけの関係に見えますけど……。
哲雄 見えます……じゃなくて、事実、そうだと思う。だから、前回も声を大にして申し上げたわけです。
夫よ、妻よ、恋人よ。愛する人の「よきサーバー」であれ!
とね。
AKI お尋ねしますが、その「よきサーバー」の条件とは?
哲雄 インテル入ってる……。
AKI もうッ! まじめに話してるんだから。
哲雄 比喩(ひゆ)能力搭載。この一語に尽きます。
AKI わかりやすく、プリーズ!
哲雄 わたくしAKIが哲雄を愛しているように、他のだれかもその他のだれかを愛しているのだ――と理解できる能力。わたくしAKIが哲雄を愛しているその愛し方で、この世界と接することができますように――と願うことのできる能力。そして、わたくしAKIが哲雄の腕の中で幸せを味わっているそのときに、世界の片隅にある不幸を想像することのできる能力。これらの能力を引き出すのが、比喩能力なんです。
AKI なんか、固有名詞に引っかかりを感じるんだけど、たとえなんですよね、もののたとえ。この話、前にもどこかでしましたよね。
哲雄 オーッ、よく覚えてましたね。ハイ、人類が「愛」を発明したのは、この比喩能力のおかげだと、確か、このトークの第6夜でお話したかと思います。
【参考記事】 第6夜『「愛」はいかに発明されたか?』
AKI AがBであるのは、CがDであるのと同じだ――と考える能力のことでしたよね。よく覚えてますわ。確かそのとき、うちのチワワがゴーヤを苦手なのは、私が哲ジイを苦手としてるのと同じだ、とナットクした記憶がありますもの、ホホホ……。
哲雄 まったく口の減らない女だね、キミは。で、本日の結論。比喩能力が搭載されてないサーバーは、ただのガラクタである!
AKI つまり、
よき「サーバー人(びと)」になるには、比喩能力を磨きなさい、
ということですね。
哲雄 パチパチ。ということで、この一連の「エロス~アガペー」シリーズは、お開きということにしましょうか。次回からは、気分を変えて、新たなテーマでお目にかかりたいと思います。
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AKI ヘッ、ヘッ、へ……。
哲雄 AKIという小さな端末が、この哲雄というサーバーとつながることによって、世界とつながることができる。
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哲雄 ハイハイ、それは十分に承知してますよ。それで、繰り返すようだけど、もし、ふたりの愛がそのようなものであれば、たとえ、この哲雄の愛が、女ひとりに目を向けるのがやっとの、きわめて狭量なものであったとしても、私はAKIという端末を通して、その向こうにある世界を愛することができる。前回は、そう申し上げたわけです。
AKI でもネ、哲ジイ。中には、誤解する人もいるかもしれませんよ。
哲雄 死界を抜けたら、そこは誤解だった……って、ハイ、どんな誤解でしょう?
AKI つまり、私が哲ジイのサーバーでいるためには、私がそこらじゅうの女や男とつながってなきゃいけないんじゃないか――って思う人も、いるんじゃないかと思うの。
哲雄 なるほど。想像力に欠ける人は、そう思っちゃうかもしれないねェ。それはそれでいいんだけど。
AKI エッ、いいの?
哲雄 どうせ、サーバーになんて、ハナっからなるつもりのない人が、どこで何をしようが、知ったこっちゃありません。ただね、「サーバーであれ」と言ったのは、何も、「リアルに世界とつながっていろ」といったわけではなくて、私があなたを愛することを通して世界を愛することになるような、そんな存在でいてください――ということなんだよね。
AKI それ、もう少し、わかりやすく言っていただけないでしょうか?
哲雄 この哲ジイは、AKIという世にも美しい女を通して、「人を愛する」とはどういうことかを知りました。あ、これ、たとえだからね(私にだって選ぶ権利はある……

AKI フーン、それって、すばらしいことですね。
哲雄 サーバーが優秀であれば、そうなります。ところが、中にはウイルスに侵されたサーバーもいる。
AKI ど、どんなウイルスです?
哲雄 「ダケシカ・ウイルス」です。
AKI ダ・ケ・シ・カ……? 何すか、それ?
哲雄 「私ダケを愛してね」とか「あなたシカ見えない」という「ダケ」と「シカ」です。
AKI ホーッ、かなり強烈なウイルスですね。
哲雄 これにやられると、サーバーはサーバーでなくなります。「IN」はOKだけど、「OUT」はダメ。こうなったらどうなる?
AKI インターネットに接続できなくなります。
哲雄 ウン。もはやサーバーではなく、おたがいのメーラー同士をつないで、ふたりでメール交換してるだけの、きわめて貧弱な装置になってしまうよね。
AKI なんか、ありそうですね、そういう関係。
哲雄 あります! これは断言してもいいけど、そういう関係が増えているような気さえします。私はこれを「ふたり引きこもり」と呼んでいるんだけど、あろうことか、世の中には、それを賛美しようとする勢力さえいます。
AKI 私には、単に独占状態を美化しているだけの関係に見えますけど……。
哲雄 見えます……じゃなくて、事実、そうだと思う。だから、前回も声を大にして申し上げたわけです。
夫よ、妻よ、恋人よ。愛する人の「よきサーバー」であれ!
とね。
AKI お尋ねしますが、その「よきサーバー」の条件とは?
哲雄 インテル入ってる……。
AKI もうッ! まじめに話してるんだから。
哲雄 比喩(ひゆ)能力搭載。この一語に尽きます。
AKI わかりやすく、プリーズ!
哲雄 わたくしAKIが哲雄を愛しているように、他のだれかもその他のだれかを愛しているのだ――と理解できる能力。わたくしAKIが哲雄を愛しているその愛し方で、この世界と接することができますように――と願うことのできる能力。そして、わたくしAKIが哲雄の腕の中で幸せを味わっているそのときに、世界の片隅にある不幸を想像することのできる能力。これらの能力を引き出すのが、比喩能力なんです。
AKI なんか、固有名詞に引っかかりを感じるんだけど、たとえなんですよね、もののたとえ。この話、前にもどこかでしましたよね。
哲雄 オーッ、よく覚えてましたね。ハイ、人類が「愛」を発明したのは、この比喩能力のおかげだと、確か、このトークの第6夜でお話したかと思います。
【参考記事】 第6夜『「愛」はいかに発明されたか?』
AKI AがBであるのは、CがDであるのと同じだ――と考える能力のことでしたよね。よく覚えてますわ。確かそのとき、うちのチワワがゴーヤを苦手なのは、私が哲ジイを苦手としてるのと同じだ、とナットクした記憶がありますもの、ホホホ……。
哲雄 まったく口の減らない女だね、キミは。で、本日の結論。比喩能力が搭載されてないサーバーは、ただのガラクタである!
AKI つまり、
よき「サーバー人(びと)」になるには、比喩能力を磨きなさい、
ということですね。
哲雄 パチパチ。ということで、この一連の「エロス~アガペー」シリーズは、お開きということにしましょうか。次回からは、気分を変えて、新たなテーマでお目にかかりたいと思います。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
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