キャット・ファイター〈8〉 暴かれたわいせつショー

第8話 キャットファイター 8
R18
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。
アクトレスの「オイル・レス」は、
わいせつ罪で摘発された。麗奈も
検挙されたが、不起訴処分と
なった。その麗奈から、突然、
携帯に電話が入った——。

前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。
ここまでのあらすじ 「ビックリするようなもの、お見せしますよ」。歌舞伎町のショーパブの支配人・平山に言われて、顔を出したその店は、客席の真ん中に、プールのような泥レスのリングが設えられた変わった造りだった。リング・アナの紹介でリングに登場したその女性を見て、内村良助は「ハッ……」と息を呑んだ。彼女は、かつて、アイドル出身の女子プロとして、一世を風靡したこともある岬麗奈だった。やがて始まった泥レス。麗奈はたちまち石黒に組み伏せられ、ウエアをはぎ取られた。リングウエアを脱がされると、試合は負け。敗者の泥を洗い流す権利は、オークションにかけられる。バケツ一杯の水で、麗奈は、白い肌を露わにされた。平山は「これ、記事になりませんかね」と言う。しかし、それを記事にしたのでは、店も、掲載した『スポタイ』も、当局にニラまれてしまう。良助は、「麗奈の転落人生を描くインタビュー記事にしよう」と提案した。「結婚しようと思ったことはなかったの?」という良助の質問に、麗奈は力なく首を振った。「いたにはいたけど」と言うその男は、麗奈を「接待ドール」として利用する男だった。しかし、麗奈が女子プロを引退すると、麗奈に商品価値がないと判断した男は、彼女を捨てた。麗奈は、興行系のプロダクションに移って、「泥レス」の世界に身を投じた。その「泥レス」は、やがて「オイル・レス」に変わった。さらに客寄せを狙う支配人・平井は、客をリングに上げて、彼女たちと格闘させる「チャレンジ・マッチ」なる企画を打ち出した。リングに上がったのは3人の男たち。最初の2人は手もなく撃退できたが、3人目は屈強な金髪男だった。麗奈は逆に男に組み伏せられ、リングウエアをはぎ取られ、全身を客の目にさらされた――
これは、いくら何でもやりすぎだろう、と良助は思った。
もし自分が自由の身なら、いますぐにでも麗奈をこの世界から抜けさせたいところだ。しかし、それは、良助にはできない。それが、悔しかった。
良助が危惧したとおり、「アクトレス」の「オイル・レスリング」は、当局に目をつけられた。店は、営業停止の処分を受け、支配人の平井も、麗奈たち出演者も、身柄を拘束された。
《元アイドル、わいせつ罪で逮捕!
観客の前で、全裸の破廉恥レス》
スポーツ新聞も、週刊誌も、そしてTVのワイド・ショーまでも、元アイドル、岬 麗奈の転落を面白おかしく報じた。良助の『スポタイ』も、例外ではなかった。
しかし、良助の記事だけは、麗奈に同情的だった。
《破廉恥ショー・パブ!
元アイドルらに裸の屈辱を強要》
さらに良助は、麗奈に同情的な続報を書いた。
《それでも、見られたい。
スポット・ライトに魅せられた転落人生》
良助にできることは、それぐらいだった。
支配人の平井と、そこへタレントを送り込んだ芸能事務所は、起訴されて裁判にかけられることになったが、麗奈たち出演者は、事務所に裸を強要された被害者とみなされて、不起訴となった。
その処分が決まって、1週間ほどが経った頃だった。
携帯に、見慣れない番号からの着信があった。
もし自分が自由の身なら、いますぐにでも麗奈をこの世界から抜けさせたいところだ。しかし、それは、良助にはできない。それが、悔しかった。
良助が危惧したとおり、「アクトレス」の「オイル・レスリング」は、当局に目をつけられた。店は、営業停止の処分を受け、支配人の平井も、麗奈たち出演者も、身柄を拘束された。
《元アイドル、わいせつ罪で逮捕!
観客の前で、全裸の破廉恥レス》
スポーツ新聞も、週刊誌も、そしてTVのワイド・ショーまでも、元アイドル、岬 麗奈の転落を面白おかしく報じた。良助の『スポタイ』も、例外ではなかった。
しかし、良助の記事だけは、麗奈に同情的だった。
《破廉恥ショー・パブ!
元アイドルらに裸の屈辱を強要》
さらに良助は、麗奈に同情的な続報を書いた。
《それでも、見られたい。
スポット・ライトに魅せられた転落人生》
良助にできることは、それぐらいだった。
支配人の平井と、そこへタレントを送り込んだ芸能事務所は、起訴されて裁判にかけられることになったが、麗奈たち出演者は、事務所に裸を強要された被害者とみなされて、不起訴となった。
その処分が決まって、1週間ほどが経った頃だった。
携帯に、見慣れない番号からの着信があった。

「やっと……電話、できた」
麗奈からだった。
「話したいことがある」という麗奈と、良助は、新宿の寿司屋で落ち合うことになった。
待ち合わせの場所へ向かいながら、良助の頭には、何度もひとつのイメージが浮かんだ。
行き場のなくなった麗奈をどこかにマンションのひと部屋でも借りて住まわせ、生活の面倒をみる――というイメージだった。
妻子ある良助にとっては危険な選択だが、いまはそれしか方法を思いつかない。もちろん、妻と別れて麗奈と一緒になるなどという考えは、頭の片隅にも思い浮かばなかった。
しかし、麗奈の口から出た言葉は、良助が想像もしなかったことだった。
「内村さん、わたしね……アメリカに行くことにしたんだ」
「エーッ!? アメリカ……?」
「向こうで、キャット・ファイトをショー・ビズにしてるプロダクションがあって、やってみないかって誘われたの。日本人のプリティな女の子だったら、間違いなく売れるから……って」
「ちょ、ちょっと待ってよ。アメリカのその手のショー・ビズって、けっこう、えげつないよ。それ、わかってるの?」
「ウン……だいたいは……」
そんなに詳しいわけではなかったが、海外情報に詳しいルポライターから聞いた話の中には、その手の情報も含まれていた。
アメリカでのキャット・ファイトは、ほとんどポルノ・ショーで、しかも、かなりハード・コアだ。一度、観に行きませんか――と、誘われたこともあった。
そこに、麗奈が乗り込む?
「止めろよ!」と、良助は思わず口にした。
「ボクが知ってる限りでは、その世界ってポルノだよ。かわいいジャップの女の子をアメリカ人の大男がいたぶって見せ物にする。たぶん、そんな世界だよ。そんな世界に飛び込むっていうの?」
「わたし……ほかに、売るものないから……」
「もういいよ、麗奈ちゃん。そんなに自分を傷めつけるなよ。この日本で、ふつうに暮らす方法、見つけろよ」
「忠告、ありがとう。でもネ、内村さん……」
麗奈は、頬張りかけた寿司を皿に戻して、両手をももの上に置き、しばらく目を伏せた。
やがて、ゆっくり上げた麗奈の目に、少し滲むものがあった。
「もう……わたし……決めたんだ」
「でもさぁ、この世界、いつまでもやってられる世界じゃないでしょ。キミもそろそろ……」
「あのネ、内村さん。もし、わたしに、そんな仕事止めろって言える人がいるとしたら……それはね……わたしと結婚するから……って、そう言ってくれる人だけだよ」
良助は、何も言えなくなった。
のどまで出かかった言葉があったが、言えなかった。
麗奈の悲壮な決断を、ただ見送るしかない自分を、良助は情けないと感じた。
アメリカ行きの話は、それで終わりになった。
麗奈は、それでも、良助に家庭の話を訊こうとはしなかった。
それを訊く代わりに、麗奈は、思いもしない言葉を口にした。
「これが、日本での、内村さんとの最後のお食事になるのね。最初だったのに、最後の……」
「残念だけど、そういうことになりそうだね。でも、向こうに行っても……」
良助がそこまで言ったときだった。
「抱いて。内村さん」
寿司屋を出て、歩き出そうとする良助の腕を取って、突然、麗奈が体を預けてきた。
良助の胸に顔を埋めた麗奈の体を、良助は「小さい」と感じた。
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「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
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