キャット・ファイター〈6〉 破廉恥はエスカレートする

第8話 キャットファイター 6
R18
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。
「アクトレス」の「泥レス」は、
そのうち、「オイル・レス」に
変わった。支配人の知恵だった。
さらに支配人は、客をリングに
上げる奇策を思いついた——。

前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。
ここまでのあらすじ 「ビックリするようなもの、お見せしますよ」。歌舞伎町のショーパブの支配人・平山に言われて、顔を出したその店は、客席の真ん中に、プールのような泥レスのリングが設えられた変わった造りだった。リング・アナの紹介でリングに登場したその女性を見て、内村良助は「ハッ……」と息を呑んだ。彼女は、かつて、アイドル出身の女子プロとして、一世を風靡したこともある岬麗奈だった。やがて始まった泥レス。麗奈はたちまち石黒に組み伏せられ、ウエアをはぎ取られた。リングウエアを脱がされると、試合は負け。敗者の泥を洗い流す権利は、オークションにかけられる。バケツ一杯の水で、麗奈は、白い肌を露わにされた。平山は「これ、記事になりませんかね」と言う。しかし、それを記事にしたのでは、店も、掲載した『スポタイ』も、当局にニラまれてしまう。良助は、「麗奈の転落人生を描くインタビュー記事にしよう」と提案した。「結婚しようと思ったことはなかったの?」という良助の質問に、麗奈は力なく首を振った。「いたにはいたけど」と言うその男は、麗奈を「接待ドール」として利用する男だった――
ノックの主は、支配人の平井だった。
「内村さん、そろそろ時間ですけど、もう大丈夫ですか? この後、ちょっと、麗奈ちゃんにVIP指名が入ってまして……」
「ああ、OKですよ」と答えながら、良助は、麗奈にだけわかる形でメッセージを送った。
「あ、もしかしたら、追加で何か訊きたいことが出てくるかもしれないんで、そのときは電話させてもらいます。もし、麗奈さんのほうでも、何か補足しておきたいことが出てきたら、そっちのほうに連絡してください」
言いながら、麗奈が渡してくれたメモ用紙を指でパチンとはじいて見せた。
麗奈は、「ハイ」とうなずき、「きょうはわざわざありがとうございました。よろしくお願いします」とていねいに頭を下げてみせた。
部屋を出ると、入り口の脇で指名客らしい男が待っていた。
チラ……と目と目が合うと、男は、「待たせやがって」とでも言うように舌打ちした。
思い出した。
さっき、リングで水をぶっかけて、麗奈の体の泥を落としたパンチパーマの男だった。
こいつ、個室で今度は麗奈に何をする気だ?
それから、ドアの向こうで始まることを思うと、良助は胸が騒いだ。
「内村さん、そろそろ時間ですけど、もう大丈夫ですか? この後、ちょっと、麗奈ちゃんにVIP指名が入ってまして……」
「ああ、OKですよ」と答えながら、良助は、麗奈にだけわかる形でメッセージを送った。
「あ、もしかしたら、追加で何か訊きたいことが出てくるかもしれないんで、そのときは電話させてもらいます。もし、麗奈さんのほうでも、何か補足しておきたいことが出てきたら、そっちのほうに連絡してください」
言いながら、麗奈が渡してくれたメモ用紙を指でパチンとはじいて見せた。
麗奈は、「ハイ」とうなずき、「きょうはわざわざありがとうございました。よろしくお願いします」とていねいに頭を下げてみせた。
部屋を出ると、入り口の脇で指名客らしい男が待っていた。
チラ……と目と目が合うと、男は、「待たせやがって」とでも言うように舌打ちした。
思い出した。
さっき、リングで水をぶっかけて、麗奈の体の泥を落としたパンチパーマの男だった。
こいつ、個室で今度は麗奈に何をする気だ?
それから、ドアの向こうで始まることを思うと、良助は胸が騒いだ。

結局、麗奈の記事は、3日後の芸能面に7段ブチ抜きで載ることになった。
良助は、ひとりのアイドルの転落の物語として、ルポルタージュ風にまとめたい――と提案したのだが、デスクは首を縦に振らず、結局、《なんと、あの元アイドルが泥レスで裸に!》というトピックとして扱うことになった。
風俗面扱いでなかったことはせめてもの救いだが、麗奈の名誉を守ったとは言えない記事になったことに、良助は胸の痛みを感じた。
『スポタイ』の記事が出ると、他紙や週刊誌も次々に、麗奈の泥レス転落を面白おかしく書き立てた。中には、どこから聞きだしたのか、良助があえて触れなかった元恋人との破局の理由にまで触れ、営業のために使われた麗奈の境遇を「IT売春」とこき下ろした週刊誌もあった。
仕方がない。良助が身を置く俗流ジャーナリズムとは、そういう世界だった。
新聞、雑誌が書きたてたせいもあってか、ショーパブ「アクトレス」には、連日、客が殺到した。
しかし、そんな人気は一時的なものだ。
増えた客足をつなぎ留めるためには、次々に新鮮なショーを打ち出して、客の興味を満たし続けるしかない。
「アクトレス」の「泥レス」は、1ヶ月も経つ頃には、「オイル・レスリング」に変わった。
泥の代わりに透明なオイルを使う。ツルツル滑る効果は泥と同じだが、オイルだと、最初から肌が見えてしまう。
リング・ウエアを少しずつ剥ぎ取られて肌を露わにされていくプロセスも、剥ぎ取られてしまった後のすっ裸も、客にはまる見えになってしまう。これでは、ストリップ・ショーと変わらない。「格闘」という要素が入っているぶん、妙なリアリティが加わって、客は、まるで女同士のリンチ・ショーを見せられているような気分になる。ふつうのストリップ・ショーよりよっぽどエロい、とも言えた。
しかし、そんな趣向も、2~3ヶ月も続けていると、やはり飽きられてくる。
ある意味、アイデア・マンでもある支配人・平井は、またも奇抜な企画を打ち出した。

「ハーイ、みなさま、お待ちかね。週末恒例のチャレンジ・マッチの時間がやってまいりました」
「また、面白い企画、始めましたので」と平井から連絡を受けて、あまり気乗りはしなかったが、良助は「アクトレス」に顔を出した。その「面白い企画」というのが、「チャレンジ・マッチ」だった。
簡単に言うと、客をリングに上げて、彩香たち女子レスラーに挑戦させよう――という企画だ。希望する客は、挑戦権を1万円で購入する。希望者が多い場合には、クジで1レスラーに対して挑戦者5人が選ばれる。
選ばれた挑戦者は、店が用意したタイツ型のリング・ウエアに着替え、体にオイルをまぶされて、リングに上げられる。勝負は、どちらかのウエアが完全に脱がされてしまえば、脱がせたほうの勝ち、となる。
当然のことだが、麗奈には、挑戦希望者が殺到した。
「内村さんもやってみませんか?」と平井に水を向けられたが、「カンベンしてよ」と良助は固辞した。
その夜、麗奈への挑戦権を獲得したのは、ヒョロリとした体形の学生風、デップリと腹が突き出た薄毛のオヤジ、リーゼントにアロハシャツのツッパリ風、ダークスーツのサラリーマン風。最後のひとりに、場内が「オーッ!」とどよめいた。
身長180センチはあろうかという巨漢。刺青を施した丸太ほどもあろうかという腕。全身に金色の体毛を生やした外国人だった。おそらく、どこかのベースに所属するアーミーかネイビーだろう。
いかに男といえども、ツルツル滑るオイルまみれの体で小柄で俊敏な麗奈を捕まえるのは、ラクではない。
最初の学生風は、あっと言う間に麗奈にバックを取られてタイツを脱がされ、股間を手で隠しながら、スゴスゴと客席に引き上げた。
薄毛のオヤジも、リングをドタドタと動き回るのがやっとで、たちまち情けない姿を人目に晒すことになった。
リーゼントのツッパリ風は、やや善戦した。麗奈のトップウエアに手をかけ、あわや乳房露出か……というところまで行ったが、結局はスルリとかわされて、逆にタイツを脱がされてしまった。
サラリーマン風は、麗奈の体に触れる間もなく、タイツを剥ぎ取られて、這うようにリングを下りた。
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