キャット・ファイター〈5〉 接待ドールだった日々

第8話 キャットファイター 5
R18
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。
麗奈には、女子プロ時代、結婚を
考えた男がいた。しかしその男は、
麗奈を「接待用ドール」として利用
した。女子プロを引退した彼女は、
商品価値を失って——。

前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。
ここまでのあらすじ 「ビックリするようなもの、お見せしますよ」。歌舞伎町のショーパブの支配人・平山に言われて、顔を出したその店は、客席の真ん中に、プールのような泥レスのリングが設えられた変わった造りだった。リング・アナの紹介でリングに登場したその女性を見て、内村良助は「ハッ……」と息を呑んだ。彼女は、かつて、アイドル出身の女子プロとして、一世を風靡したこともある岬麗奈だった。やがて始まった泥レス。麗奈はたちまち石黒に組み伏せられ、ウエアをはぎ取られた。リングウエアを脱がされると、試合は負け。敗者の泥を洗い流す権利は、オークションにかけられる。バケツ一杯の水で、麗奈は、白い肌を露わにされた。平山は「これ、記事になりませんかね」と言う。しかし、それを記事にしたのでは、店も、掲載した『スポタイ』も、当局にニラまれてしまう。良助は、「麗奈の転落人生を描くインタビュー記事にしよう」と提案した――
「ねェ、麗奈ちゃん。女子プロを辞めるときにさぁ、結婚ってことは考えなかったの?」
「結婚…? 内村さんも知ってるでしょ? 女子プロ時代に交際してるって書かれた男のこと」
「ああ、どこかのIT企業の社長で、ヤンエグだのバブルの貴公子だのと言われてたあの男でしょ? 別れちゃったんだよね?」
「私に利用価値がなくなったからね……」
「利用価値……? 広告塔としての?」
「それもあったんだけどね……」
言いながら、麗奈は脚を組み変えた。
スラリとした脚がガウンの中から現れて、良助の目を射た。
さっきまで、泥だらけのリングで石黒につかまれ、ひねったり、開かされたりして、観客の下品な目にさらされていた太ももが、その付け根近くまで露わになった。
「いまだから言うけど、わたし、接待に使われてたの」
「接待? まさか……」
「あっちの取引先、こっちの取引先って、わたしを抱かせちゃ仕事を取る、みたいなことやってたんだ、あの男。でも、わたしがプロを引退してしまうと、もう商品価値がなくなったと思ったんでしょうね。さっさと、若いアイドルに乗り換えてしまったの。男なんて……」
男なんて、みんなそんなもの――と言いたかったのだろうが、麗奈は良助の目をチラ……と見て、その先の言葉を呑み込んだ。
「そうじゃない男、いなかったの?」
「いなかったわ。元アイドルの女子プロに近づいてくる男なんて、気持ちのわるい追っかけか、あとは、札束で引っぱたいて言うこと聞かせようとする男か、そんな男しかいないもん。しょうがないよ」
「ほんとは、ふつうの男と出会って、恋をして、ふつうに結婚して……っていう気持ちもあった?」
「ウン……ものすごく……あった。ただ……」
「ただ、何?」
「わたしがいくらそう願っても、相手がそうは見てくれないでしょ? 内村さんだって、わたしをただの女としては見れないでしょ?」
「ま、取材で会った相手だからね。でも、そうでなかったら……」
「そうでなかったら、恋人にしてくれた?」
「脈あり……って感じたらね。でも、ホラ、こう見えても、オレって、けっこう気が小さいから……」
クスッ……と笑って、また、麗奈は脚を組み変えた。
組み替える瞬間に、チラとももの奥が見えた。
ガウンの下には、麗奈は何も着けていなかった。
「結婚…? 内村さんも知ってるでしょ? 女子プロ時代に交際してるって書かれた男のこと」
「ああ、どこかのIT企業の社長で、ヤンエグだのバブルの貴公子だのと言われてたあの男でしょ? 別れちゃったんだよね?」
「私に利用価値がなくなったからね……」
「利用価値……? 広告塔としての?」
「それもあったんだけどね……」
言いながら、麗奈は脚を組み変えた。
スラリとした脚がガウンの中から現れて、良助の目を射た。
さっきまで、泥だらけのリングで石黒につかまれ、ひねったり、開かされたりして、観客の下品な目にさらされていた太ももが、その付け根近くまで露わになった。
「いまだから言うけど、わたし、接待に使われてたの」
「接待? まさか……」
「あっちの取引先、こっちの取引先って、わたしを抱かせちゃ仕事を取る、みたいなことやってたんだ、あの男。でも、わたしがプロを引退してしまうと、もう商品価値がなくなったと思ったんでしょうね。さっさと、若いアイドルに乗り換えてしまったの。男なんて……」
男なんて、みんなそんなもの――と言いたかったのだろうが、麗奈は良助の目をチラ……と見て、その先の言葉を呑み込んだ。
「そうじゃない男、いなかったの?」
「いなかったわ。元アイドルの女子プロに近づいてくる男なんて、気持ちのわるい追っかけか、あとは、札束で引っぱたいて言うこと聞かせようとする男か、そんな男しかいないもん。しょうがないよ」
「ほんとは、ふつうの男と出会って、恋をして、ふつうに結婚して……っていう気持ちもあった?」
「ウン……ものすごく……あった。ただ……」
「ただ、何?」
「わたしがいくらそう願っても、相手がそうは見てくれないでしょ? 内村さんだって、わたしをただの女としては見れないでしょ?」
「ま、取材で会った相手だからね。でも、そうでなかったら……」
「そうでなかったら、恋人にしてくれた?」
「脈あり……って感じたらね。でも、ホラ、こう見えても、オレって、けっこう気が小さいから……」
クスッ……と笑って、また、麗奈は脚を組み変えた。
組み替える瞬間に、チラとももの奥が見えた。
ガウンの下には、麗奈は何も着けていなかった。

「ところで、いまの仕事なんだけど……」と、良助は自分が感じている危惧を口にした。
「麗奈ちゃんとしては、どう思ってる? これ、ずーっと続けるつもり?」
「わかんない……。見たでしょ、きょうのリング? お客さんが何を期待してるかもわかったでしょ?」
「ウン。でもね、麗奈ちゃん、たぶん、店としては、もっと客を満足させようと、いろんな手を打ち出してくると思うんだけど……」
「……でしょうね」
「覚悟はしてるんだ?」
「だって……お客さんを満足させるのが、わたしたちの仕事だもん。わたしがひどい目に遭って、それを見て手をたたくお客さんがいるのなら、わたし……それでもいいかな……って思ってる」
「いまより、ひどい目に遭うことになっても?」
麗奈は、しばらく目を床に落とし、それからゆっくり頭を起こして静かにうなずいた。
良助を見つめる目に悲壮な決意の色が読み取れて、良助は何も言えなくなった。

「それはそうと、このVIPルームって、何をするところなの?」
「あ、ここ? お客さんが、女の子を呼んで飲める部屋なんだよ。ちょっと、高いけどね」
「高いって、どれくらい?」
「部屋の使用料が3万円で、女の子の指名料が1万円。飲み物とか食べ物とかは別料金になってるみたいよ。かなり、余裕のある人じゃないと、ムリかもね」
「麗奈ちゃんも呼ばれたりすることあるの?」
「たまに……」
「それって、ただ、飲むだけ?」
「こういう部屋に入って、ただ飲むだけ……っていう男はいないと思うわ。内村さんだって、こんな密室に女の子とふたりきりになったら、何かしたいと思うでしょ?」
「そうだね。でも、それって、ほとんどフーゾクじゃない」
「しょうがないでしょ。お店だって、もうけなくちゃいけないんだし。あ、でも、内村さんが考えてるみたいなことまではしないよ。一応、これでも、タレントなんで、わたし……」
「これでもタレント」は、麗奈のギリギリのプライドが言わせる言葉だろう――と良助は思った。しかし、そのプライドは、あまりにも、痛い。
「いいよ、内村さん」
「エッ……?」
「もし、何かしたいことがあるんだったら、サービスする。これまで、いろいろお世話になってるし……」
言いながら、麗奈は、組んでいた脚をゆっくりと解いた。
ももを覆っていたガウンが滑り落ちて、麗奈の奥に潜んでいた部分が露わになった。
リングで何人もの男たちの目に晒され、侮辱を加えられた麗奈の女が、血の色を浮かべて息づいていた。
「ごめん」と、良助は頭を下げた。
「これでも、一応、ジャーナリストの端くれ……のつもりなんだよね。取材させてもらった相手と何かやって、それで原稿に色着けるなんてことをしたら、ボクは、記者としての最低限のモラルも守れない男ってことになる」
目の前で脚の奥まで見せている麗奈は、死ぬまでに一度は抱いてみたい――と思うような女ではあった。しかし、良助はミエを張った。
「……なんてね。少しは格好つけさせてよ。でも、これが仕事じゃなくて、もしプライベートだったら、こんな場所じゃなくて、きっちりした場所で、正々堂々と口説かせてもらいます」
「ホント? じゃ……」
麗奈は、もう一度、脚を組んで、バッグの中からペンとメモ用紙を取り出した。
「これ、私のプライベートな電話番号。内村さんの電話も教えて。できれば……会社のじゃなくて……」
良助は取り出した名刺の裏に、携帯の電話番号を走り書きして渡した。
「ありがとう。私からも電話していい?」
「ああ。期待せずに待ってるよ」
そのとき、部屋をノックする音がした。
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明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
クジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
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「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
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管理人は、常に、フルマークがつくようにと、工夫して記事を作っています。
みなさんのひと押しで、喜んだり、反省したり……の日々です。
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