彼女の「茶柱」は、「愛の工作」…?

「ねェ、ねェ」と彼女が聞かせてくるニュースには、
いつもうれしいニュースが含まれている。その
「うれしいニュース」をずっと聞いていたくなった
T氏は、彼女のそばにいる人生を選んだ――。
M は「男からのモテ技」、 W は「女からのモテ技」、 N は「男女共通のモテ技」です。

オフィスで仕事をしていたT氏が、彼女からのメールに誘われて外に出て、彼女が指差す西の空を眺めると、そこにはきれいな三日月が浮かんでいました――。


彼女が「イヤリング」と表現したものは「金星」でした。
それは何十年に一度、見られるかどうかという光景。
金星と月が接近して、ちょうど、三日月がイヤリングしているように見えていたのです。ほんの数分の間の天体ショー。見ている間にも、月と金星は、どんどん離れていきました。

しかし、彼女が呼び出してくれなかったら、T氏は、その奇跡のような一瞬を見逃していたことでしょう。
彼女は、そうしていつも、オフィスに「ちょっとうれしいニュース」を運んできてくれます。


彼女がもたらすニュースは、花鳥風月ばかりではありません。

そんなふうに、ちょっぴり社会派だったりもします。

こうして、彼女がもたらすニュースは、みんなを少し幸せな気分にするので、いつの頃からか、タエちゃんが持ってくるニュースは、みんなから「幸せ宅急便」なんて言われるようになりました。あ、その彼女、「多恵子」という名前だったので、オフィスでは「タエちゃん」とか「おタエ」と呼ばれていたのだそうです。
中には、「ね、タエちゃん、きょうは宅急便ないの?」と催促する男性もいて、「おまえ、こういう話はネタじゃないんだから」と、仲間にたしなめられたりもしていました。
タエちゃんには、もうひとつ特技がありました。
なぜか、彼女がいれてくれるお茶には、よく茶柱が立つのです。そして、それを見つけるのも得意。

T氏も、何度か、彼女の茶柱に元気づけられたのだそうです。
そうして、彼女に元気づけられているうちに、T氏はいつしか、そんな彼女の「幸せ宅急便」を、いつも間近で耳にしたい――と思うようになりました。
つまり、ホレちゃったんですね。
何年かの交際を経たのち、ふたりはめでたくゴールイン。そうです、タエちゃんは、いま、T氏の愛妻なのであります。

最近、タエちゃんのかつての同僚で、友人でもあるM嬢が、T氏の家に遊びに来てくれました。
お茶の支度にキッチンに立ったタエちゃんの背中を見ながら、M嬢が声をひそめてT氏に訊いたのだそうです。






T氏は、聞かないでおくことにしました。
「あ、茶柱立ってる」と、ニッコリほほえんで教えてくれる妻の笑顔を、これからもずっと、見続けたいから――。

「いいこと」を感じて選び取る「いい目」
いい話ですねェ。
いい話なので、きょうはコメントはなしにしておこう――と思ったのですが、ひと言だけ。
物事には、見方を変えるだけで、まるっきり見え方が変わってしまうという事象が少なからずあります。
悪意に解釈すれば、いくらでも悪く見えてしまうけれど、善意に解釈すれば、いくらでも美化できてしまう――これは、アングル(ものを見る角度)の問題なのです。
世の中には、さらに、「善意に見せかける悪意」というものも存在します。その典型が、「神話」や「童話」の作られ方で、本来はドロドロした世界を描いていたグリム童話が、国民を懐柔するために、改訂を重ねるごとに「美しい物語」に書き換えられていった、なんていうのはその典型です。
ちょっと話がそれましたが、ここに登場するタエさんの目には、そういう「作為」がまったく込められてないのです。「作為」はありませんけど、おそらく「選別」はしているのでしょう。つまり、「いいこと」を感じ取って選び取る「いい目」を持っているのだと思います。
こういう目は貴重です。茶柱のねつ造(?)は、「ねつ造」というより、「愛の工作」と呼ぶべきもので、女性が愛する人のために、クッキーを焼くのと同じ行為だと思えばいいわけです。
Tさん、いいニュース、これからも聞き続けられるといいですね。
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