「落ち込む人」を励ます「元気」の見せ方

あなたの友人または知人が、何かの不幸で落ち込んで
いるとしましょう。そんなとき、どうやってその人を
励ますか? 実はそれがむずかしい。励ましすぎても、
同情しすぎても、かえって落ち込ませてしまうのです。
愛が生まれる日本語・殺す日本語 レッスン 4-11
たとえば、私が、家も資産もすべて失い、収入の道を断たれ、将来の希望も見つけられなくなって、茫然自失しているとしましょう(←実際、数年前に経営していたオフィスが倒産してしまった私は、そんな状態に陥っていました)。
そんなとき、彼女にどんな声をかけられ、どんな態度で接してもらえると、困難に立ち向かう勇気や元気が湧いてくるか?
実例をもとにお話しましょう。
ますます追い詰められた私は、「どうする?」を連発されて、あわや崖っぷち……の精神状態に陥ったのでした。
ピンチに立つ相手にさらなる不安材料を突きつけて、不安感をあおり立てるようなこんな話法では、相手は救われません。
私は、こういう会話を「負の会話」と呼んでいます。
ひとりが暗い話を始めると、相手も負けじと暗い話を持ち出す。そうして、どんどん、ふたりの気分は「負のスパイラル」に陥っていく。
これでは、救いがありません。
実際、そのときの私と彼女は、どちらもどんどん口数が少なくなり、最後には押し黙ってしまい、知らない人間が見たら、「このふたり、心中でもするんじゃないか」と思ったに違いありません。
これじゃ、ダメじゃん――ですよね。
彼女は、明るく、元気よく、私を励まそうとしてくれるのですが、その元気よさは、ちょっと重荷……と感じられました。
ガンバってダメだったから、こうなってるんだけどなぁ。これ以上、「ガンバれ!」と言われてもなぁ――というのが、正直な気持ちでした。
落ち込んでいるときの「ガンバれ」は、本人に余力がないときには、ストレスになってしまいます。
ハイ、遠慮なくごちそうになりました。そして、ちょっぴり、元気になりました。
「たいへんだね」と同情した上で、「私にできることなら」と助力を申し出てくれて、「とりあえず、いまは」と、元気を分けてくれた。
もう、みなさん、おわかりかと思います。
A~Dのなぐさめ方のどれが、いちばん、私を元気づけてくれたか?
断然、Dだったわけです。
そんなとき、彼女にどんな声をかけられ、どんな態度で接してもらえると、困難に立ち向かう勇気や元気が湧いてくるか?
実例をもとにお話しましょう。
彼女A ガミガミと叱って、溺れる犬を棒で突つく話し方
Aは、同業者で、古くからの仕事仲間でもありました。
彼女 エーッ!! それ、たいへんじゃない? どうするのよ、これから?
私 ど、どうするったって……いまの状態じゃ、お手上げだし。どこか、就職先でもないか――と探してるんだけどね。
彼女 ムリ、ムリ。その歳じゃ、ムリだよ、就職なんて……。
私 そ、そうかぁ……。
彼女 ねェ、ほんと、どうするのよ?
Aは、同業者で、古くからの仕事仲間でもありました。
彼女 エーッ!! それ、たいへんじゃない? どうするのよ、これから?
私 ど、どうするったって……いまの状態じゃ、お手上げだし。どこか、就職先でもないか――と探してるんだけどね。
彼女 ムリ、ムリ。その歳じゃ、ムリだよ、就職なんて……。
私 そ、そうかぁ……。
彼女 ねェ、ほんと、どうするのよ?
ますます追い詰められた私は、「どうする?」を連発されて、あわや崖っぷち……の精神状態に陥ったのでした。
ピンチに立つ相手にさらなる不安材料を突きつけて、不安感をあおり立てるようなこんな話法では、相手は救われません。
彼女B 一緒に落ち込んで、「負の連鎖」に陥る話し方
Bは、学生時代からの飲み友だちです。
彼女 そ~ォ。たいへんだねェ……(と、深刻な顔)。
私 ウン……(こっちの顔も暗くなる)。
彼女 うちも、たいへんなんだ。実は、親がさぁ……(と、今度は自分の「たいへん」話を語り始める)。
私 そう。おたがい、たいへんだねェ……(ますます顔が暗くなる)。
Bは、学生時代からの飲み友だちです。
彼女 そ~ォ。たいへんだねェ……(と、深刻な顔)。
私 ウン……(こっちの顔も暗くなる)。
彼女 うちも、たいへんなんだ。実は、親がさぁ……(と、今度は自分の「たいへん」話を語り始める)。
私 そう。おたがい、たいへんだねェ……(ますます顔が暗くなる)。
私は、こういう会話を「負の会話」と呼んでいます。
ひとりが暗い話を始めると、相手も負けじと暗い話を持ち出す。そうして、どんどん、ふたりの気分は「負のスパイラル」に陥っていく。
これでは、救いがありません。
実際、そのときの私と彼女は、どちらもどんどん口数が少なくなり、最後には押し黙ってしまい、知らない人間が見たら、「このふたり、心中でもするんじゃないか」と思ったに違いありません。
これじゃ、ダメじゃん――ですよね。
彼女C その明るさはまぶしすぎる……という話し方
Cは、行きつけの飲み屋のバイトの女の子です。
彼女 エーッ!! たいへんじゃん。負けちゃダメだよ!
私 ウ、ウン。ガンバらなくちゃ……な。
彼女 ガンバレ、ガンバレ。私、応援してるから、ネ、ネ!
私 あ……ウン、そ、そうだね。
Cは、行きつけの飲み屋のバイトの女の子です。
彼女 エーッ!! たいへんじゃん。負けちゃダメだよ!
私 ウ、ウン。ガンバらなくちゃ……な。
彼女 ガンバレ、ガンバレ。私、応援してるから、ネ、ネ!
私 あ……ウン、そ、そうだね。
彼女は、明るく、元気よく、私を励まそうとしてくれるのですが、その元気よさは、ちょっと重荷……と感じられました。
ガンバってダメだったから、こうなってるんだけどなぁ。これ以上、「ガンバれ!」と言われてもなぁ――というのが、正直な気持ちでした。
落ち込んでいるときの「ガンバれ」は、本人に余力がないときには、ストレスになってしまいます。
彼女D その神妙さも、明るさも、救いになる……という話し方
Dは、かつての仕事仲間で、元カノでもあるひとです。
彼女 たいへんだねェ(と、神妙な顔)。でも、あんまり、気を落とさないでね。私じゃ役に立たないかもしれないけど、何か、私でできることがあったら言って。いつでも、力になるから。
私 あ、ありがとう……。
彼女 とりあえずさ(パッと明るい顔になって)、何か食べに行かない? きょうは、私のおごり。いま、私にできることはこれくらいだから。ね、行こう。
Dは、かつての仕事仲間で、元カノでもあるひとです。
彼女 たいへんだねェ(と、神妙な顔)。でも、あんまり、気を落とさないでね。私じゃ役に立たないかもしれないけど、何か、私でできることがあったら言って。いつでも、力になるから。
私 あ、ありがとう……。
彼女 とりあえずさ(パッと明るい顔になって)、何か食べに行かない? きょうは、私のおごり。いま、私にできることはこれくらいだから。ね、行こう。
ハイ、遠慮なくごちそうになりました。そして、ちょっぴり、元気になりました。
「たいへんだね」と同情した上で、「私にできることなら」と助力を申し出てくれて、「とりあえず、いまは」と、元気を分けてくれた。
もう、みなさん、おわかりかと思います。
A~Dのなぐさめ方のどれが、いちばん、私を元気づけてくれたか?
断然、Dだったわけです。

落ち込んでいるカレまたは彼女を励まし、元気づけようとするとき、忘れてはならない要素が3つある――と、私は思っています。それは、
[1]相手の辛い心境に「同調」し、「その気持ちはよくわかる」と共感する心。
[2]「もし、私にできることがあれば」と、「助力」を申し出る気持ち。
[3]相手よりも「ちょっぴり元気」を見せるスピリット。
この3つがセットになった励ましなら、きっと相手の胸に響くはず、と私は思います。
むずかしいのは、[3]かもしれません。
苦しんでいる人、落ち込んでいる人に同調して、「たいへんだねェ」と同情したり、共感したりするのも大事なのですが、それだけだと、ふたりして「暗さ」を増幅させていく恐れがあります。
そこで、相手より少しだけ元気な自分を見せて、相手の気持ちを明るく、元気な方向へと導いてあげる。それが重要ではないか、と私は思うわけです。
ポイントは、「少しだけ」というところ。元気すぎてもいけないんですね。
マラソンにたとえてみましょうか。
自分を100メートルも引き離した相手から、「ガンバレ!」と声をかけられても、「とてもそんなとこまでガンバれないよ」と思ってしまいますが、自分と併走しながら少しだけ前に出た相手から、「ホラ、ここまで」と言われると、「よし、ガンバってみるか」という気になります。それと同じです。
落ち込んでいる相手には、
相手より1・3倍ぐらい、元気な自分を見せて励ます!
これくらいがちょうどいいのではないかと、長住的には思います。
そして、それくらいの元気さを見せながら、「元気出してね」と言ってくれる彼女がいたら、私だったら、たぶん、その女性が好きになってしまいます。

さて、ここまでは恋愛の話なのですが、今回、こんな話をしたのには、もうひとつ、理由があります。
少し前の話になりますが、東北地方を襲った大震災後の日本には、ちょっと心配な傾向が見られました。
これは、私だけの感じ方かもしれませんが、あの大震災以降、日本中が東北に同調して、沈滞した気分になってしまっているように見えたのです。
被災地である東北が元気をなくしているのは、仕方がないこと。しかし、被災地ではない地域までが元気をなくしてしまったら、この国全体が沈滞から抜け出せなくなってしまいます。文字通り「日本沈没」になってしまいます。
ニュースなどで見るところによると、西日本地区でも、各種のイベントを中止にしたり、外出や買い物を控えたり……という傾向が見られました。
被災地の人たちが大変な思いをしているのに、
明るい顔で飲んだり食べたりしてられない。
というわけです。
他者の境遇に同調して、苦しみや悲しみを分かち合おう――というのは、日本人の美徳だとも思います。
しかし――なのです。
だからと言って、西日本地区までが、シュンとなってしまったら、もうこの日本は、立ち直れなくなってしまいます。
たとえば、外食。
「飲んだり、食ったりしてる場合じゃない」と、西日本の人たちが外食を控えたとしましょう。
すると、どうなるか?
それでなくてもダメージを受けている外食産業は、立ち行かなくなって、つぶれてしまうかもしれません。外食産業がつぶれると、そこに材料を提供している食材産業がダメージを受けます。食材産業がダメージを受けると、そこに機械を提供している機械メーカーや、原料を提供している第一次産業がダメージを受けます。
こうして、どんどん、日本全体が「負のスパイラル」に陥ってしまいます。
これでは、復興もままならなくなってしまいます。
そういう事態は、何としても避けなくてはいけません。
私は申し上げたいのです。
どこかの地域が、災害に遭って元気をなくしている――というときには、被災してない地域こそ、これまで以上の「元気」を出していただきたい。
いままでの1・3倍、元気になって、0・3倍分の余剰を苦しんでいる地域に送ってあげていただきたい。
「キミの元気」が「ボクの元気」だ、ファイト!
そんなCMソングがありましたよね。
恋愛に限らず、すべての隣人関係で、この「元気」のやり取りが重要。
本日は、そんな話をさせていただきました。
筆者の最新実用エッセイ! キンドル(アマゾン)から発売中です!
盆になると、男たちがクジで「かか」を交換し合う。
明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
そのクジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
権太との三日間を終えて帰って来た妙は、その夜から、
様子が変わった。その変化に戸惑う与一は、
ある日、その秘密を知った??。
筆者初の官能作品、どうぞお愉しみください。
2020年9月発売 定価:200円 発行/虹BOOKS
⇒BOOK☆WALKER からお読みになる方は、ここをクリック。
既刊本もどうぞよろしく 写真をクリックしてください。






明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
そのクジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
権太との三日間を終えて帰って来た妙は、その夜から、
様子が変わった。その変化に戸惑う与一は、
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管理人は常に、下記3つの要素を満たそうと、知恵を絞って記事を書いています。
みなさんが投票してくださるポイントは、日々の反省の材料でもあり、執筆意欲のエネルギー源でもあります。
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