不思議の穴のアリス〈6〉 姉のバイト

第6話 不思議の穴のアリス 6
R18
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。
雄一の姉は、バイトをして家計を
支えている。そのお陰で、雄一は
大学に通うことができている。
「姉貴、すまない」と思いながら、
雄一の足は、またもあの店に——。

前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。
ここまでのあらすじ アルバイトの金を手にした雄一は、その金を手に街に出かけ、繁華街に足を踏み入れた。その奥に、雄一は不思議な看板を見つけた。《不思議の穴のアリス――穴からのぞくかわいい女の子が、あなたを不思議の世界に案内します》とある。何だ、コレ? 雄一が見ていると、タキシード姿の女の子が、肩をトンと叩いてきた。「見るだけならタダだから」と言われて中に入ってみると、見せの中には、個室のようなブースが並んでいた。その壁に、いくつか穴が開いている。壁をノックすると、そこからヌッと乳房が飛び出した。「いまなら、人気の新人さんのオッパイに触れるわよ」とタキシード女の子にすすめられて、雄一は、ひとつの穴をノックした。穴から差し出された乳房のふくらみを指でなぞると、女は「あっ…」と切ない息をもらした。「時間だけど、あと5千円出せば、カエデちゃんがお口でサービスしてくれるわよ」。タキシードの女によれば、そのカエデ嬢の口は、男たちに評判がいいのだという。雄一が女の手に5千円札を握らせると、腰の高さの穴から女の白い手が差し出された。その手に分身を載せると、女はそれを口に含んで、やわらかい粘膜を絡めてきた。雄一は、その口の中にこらえきれないものを迸らせた。もっと、楽しみたいと思った雄一だったが、次の指名客が「カエデ」をVIPルームに呼んでいた――
カエデさんの体にのしかかるパンチパーマの男。彼女の体の上で野獣のように腰を動かす鋼のような男の体。
頭に浮かぶ妄想を振り払いながら、雄一は夜の街を駅に向かって歩いた。
家に帰り着くと、母親がコタツに入って『報道ステーション』を見ていた。
「お帰り。遅かったねェ」
「ウン。友だちとちょっと……」
「雄ちゃん、大変だよォ……」
「どうしたの?」
「大学生の就職率が7割切ったんだって。あんたたちが卒業する頃には、大丈夫なのかねェ」
「ま、何とかなるよ。あれ!? 姉貴は?」
「バイトじゃないの? 金曜日でしょ、きょうは……」
そうだ。金曜日の姉貴は、いつも朝までバイトなんだ――と思って、またも、雄一の胸の奥が痛んだ。
ごめん、姉ちゃん。
オレ、せっかくのバイト代を、1万円もムダ遣いしちゃった。
そして、来週の月曜日、もう1回……。
残りのバイト代の中から、必要な分だけを除いて、3万円を封筒に入れると、それを雄一は、姉の部屋の机の上に置いた。
メモを残して、部屋を出ようとしたとき、部屋の壁に吊るされた衣服に目が留まった。
あれ、キャミソールとか言うんじゃなかったっけ?
姉貴、ずいぶん、ハデなの着てるなぁ……。
ちょっとだけ、ドキッとしたが、雄一はそのまま、部屋の戸を閉めた。
頭に浮かぶ妄想を振り払いながら、雄一は夜の街を駅に向かって歩いた。
家に帰り着くと、母親がコタツに入って『報道ステーション』を見ていた。
「お帰り。遅かったねェ」
「ウン。友だちとちょっと……」
「雄ちゃん、大変だよォ……」
「どうしたの?」
「大学生の就職率が7割切ったんだって。あんたたちが卒業する頃には、大丈夫なのかねェ」
「ま、何とかなるよ。あれ!? 姉貴は?」
「バイトじゃないの? 金曜日でしょ、きょうは……」
そうだ。金曜日の姉貴は、いつも朝までバイトなんだ――と思って、またも、雄一の胸の奥が痛んだ。
ごめん、姉ちゃん。
オレ、せっかくのバイト代を、1万円もムダ遣いしちゃった。
そして、来週の月曜日、もう1回……。
残りのバイト代の中から、必要な分だけを除いて、3万円を封筒に入れると、それを雄一は、姉の部屋の机の上に置いた。
《姉貴、いつもありがとう。
きょう、初めてのバイト代が入ったので、
少ないけど、これ、おスソ分け。
何かの役に立ててください》
きょう、初めてのバイト代が入ったので、
少ないけど、これ、おスソ分け。
何かの役に立ててください》
メモを残して、部屋を出ようとしたとき、部屋の壁に吊るされた衣服に目が留まった。
あれ、キャミソールとか言うんじゃなかったっけ?
姉貴、ずいぶん、ハデなの着てるなぁ……。
ちょっとだけ、ドキッとしたが、雄一はそのまま、部屋の戸を閉めた。

オレって、いったい何してるわけ?
雄一は、自分に問いかけた。
姉貴のガンバリで大学まで行かせてもらって、そのことに感謝してるから、少しでもバイトで稼いで、姉貴の負担を減らそうと思ってるのに、そのバイト代をこんなことに使ってしまうなんて、オレはいったい……。
迷いながら歩いているうちに、いつの間にか、雄一の足は『不思議の穴のアリス』の前に着いていた。
「このいちばん下の大きな穴は何ですか?」
「それ? そこはね、女の子がおシリを出してくれる穴よ。女の子がグイッとおシリを突き出してくれるから、あなたは、好きなことをしていいの」
「エッ!? 好きな……こと?」
「そう。あなたが女の子にいちばんしたいと思うことよ。わかるでしょ?」
「その穴、い、いくら……なんですか?」
「2万円よ。でも、2万円だと、その穴が使えるだけなのね。もっといろんなことしたければ、1時間2万5000円の《フルコース》っていうメニューがあって、そっちだと、1時間の間、全部の穴が自由に使えるのよ」
「2万5000円……? ウーン……」
「高い? 高いよね。ね、もしかして……あなた、学生さん?」
「ハ、ハァ……いちお……」
「だったら、学割あるわよ。学生証を見せてもらえれば、2万5000円の《フルコース》が2万円になるの。それ、いいんじゃない?」
「ハ、ハァ……」

前回、そんな話をしたのを思い出した。
2万円かぁ――と、雄一は、財布の中の紙幣の数を頭に浮かべた。
先週、姉に少しでも報いようと机の上に置いておいた3万円は、日曜日、姉にやさしく突き返されてしまった。
「雄ちゃんのバイト代は、自分の勉強のために使いなさい。お友だちとのつき合いとかもあるでしょ? 大丈夫よ、うちのことは私が何とかするから。その代わり、学校を出たら、あなたがガンバって、お母さんを支えてあげて」
すまない、姉貴――と、頭を下げた。
その3万円を使う……?
いや、ダメだ。
雄一は、頭を振って店の前を通り過ぎた。
しかし、いったん通り過ぎはしたものの、またも頭に、自分のモノをやさしくくわえてくれた女の小さな口の感触がよみがえった。
そして、タキシードの女が微笑みかけながら言った、あの言葉――。
「カエデちゃんがどんな子か、顔が見たいでしょ?」
歩き始めた雄一の足は、ピタリと止まり、来た道を戻っていった。
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明治半ばまで、一部の地域で実際に行われていた
「盆かか」と呼ばれる風習。本作品は、その風習を
題材に描いた官能フィクションです。
与一の新婚の妻・妙も、今年は、クジの対象になる。
そのクジを引き当てたのは、村いちばんの乱暴者・権太。
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