不思議の穴のアリス〈5〉 彼女を指名する客

第6話 不思議の穴のアリス 5
R18
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。
雄一は、穴越しに自分をくわえた女の
口に、こみ上げてきたものを発射した。
「もう少し」と思った雄一だったが、
次の客が待っていた。彼女を
VIPルームに連れ込むために——。

前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。
ここまでのあらすじ アルバイトの金を手にした雄一は、その金を手に街に出かけ、繁華街に足を踏み入れた。その奥に、雄一は不思議な看板を見つけた。《不思議の穴のアリス――穴からのぞくかわいい女の子が、あなたを不思議の世界に案内します》とある。何だ、コレ? 雄一が見ていると、タキシード姿の女の子が、肩をトンと叩いてきた。「見るだけならタダだから」と言われて中に入ってみると、見せの中には、個室のようなブースが並んでいた。その壁に、いくつか穴が開いている。壁をノックすると、そこからヌッと乳房が飛び出した。「いまなら、人気の新人さんのオッパイに触れるわよ」とタキシード女の子にすすめられて、雄一は、ひとつの穴をノックした。穴から差し出された乳房のふくらみを指でなぞると、女は「あっ…」と切ない息をもらした。「時間だけど、あと5千円出せば、カエデちゃんがお口でサービスしてくれるわよ」。タキシードの女によれば、そのカエデ嬢の口は、男たちに評判がいいのだという。雄一は、女の手に5千円札を握らせた――
萎えていく分身を、女は、濡れたおしぼりでていねいに処理してくれた。
「す、すいません。出してしまって……」
「ああ、いいのよ。それでいいの……」
「あの……カエデさんっていうんですよね」
「そうですよ」
「あの……オレ……もしよかったら……」
言いかけたときに、インターホンが鳴った。
「お客さま、そろそろお時間なんですけど、よろしいでしょうか?」
「あ、あのォ……」
「ハイ……?」
「あの……このあと、まだ何か……コースがあるんでしょうか?」
「ええ、あるんですけどね。きょうはごめんなさい。カエデちゃんね、このあと、指名が入っちゃったんですよ」
さっきの、あの声の男だと思った。
そんな男が……と思うと、体の奥から、得体の知れない感情が湧き上がってくる。
怒りのような、不安のような、しかし、半分は、思い切りエロいDVDを見たいときのような……変な気分。
そんな感情を混ぜこぜに抱え込んだまま、雄一は部屋を出てカウンターに向かった。
「ごめんなさいね。もし、よかったら、また来て。カエデちゃん、よかったでしょ?」
タキシードの女が口にする「よかった」が、雄一の胸の奥に引っかかった。
その「よかった」は、いろんな男に「よかった」なんだよね。
何が? どんな風に?
そして、男たちに「よかった」と評価される女は、その「よかった」を、自分ではどう受け止め、どう感じているのか?
「す、すいません。出してしまって……」
「ああ、いいのよ。それでいいの……」
「あの……カエデさんっていうんですよね」
「そうですよ」
「あの……オレ……もしよかったら……」
言いかけたときに、インターホンが鳴った。
「お客さま、そろそろお時間なんですけど、よろしいでしょうか?」
「あ、あのォ……」
「ハイ……?」
「あの……このあと、まだ何か……コースがあるんでしょうか?」
「ええ、あるんですけどね。きょうはごめんなさい。カエデちゃんね、このあと、指名が入っちゃったんですよ」
さっきの、あの声の男だと思った。
そんな男が……と思うと、体の奥から、得体の知れない感情が湧き上がってくる。
怒りのような、不安のような、しかし、半分は、思い切りエロいDVDを見たいときのような……変な気分。
そんな感情を混ぜこぜに抱え込んだまま、雄一は部屋を出てカウンターに向かった。
「ごめんなさいね。もし、よかったら、また来て。カエデちゃん、よかったでしょ?」
タキシードの女が口にする「よかった」が、雄一の胸の奥に引っかかった。
その「よかった」は、いろんな男に「よかった」なんだよね。
何が? どんな風に?
そして、男たちに「よかった」と評価される女は、その「よかった」を、自分ではどう受け止め、どう感じているのか?

そんなことを考えていると、ロビーからひとりの男が出てきた。
黒服に案内されて出てきた男は、茶の革ジャンにパンチパーマ。その上から、やたら長い白のマフラーを巻きつけている。
どう見ても、ふつうのサラリーマンには見えない。それに、やたら図体がデカい。
精算する雄一の脇を通り抜けるとき、チラと目が合った。
男は、雄一の全身をつま先から頭のてっぺんまで、なめ回すように一瞥したあと、肩を揺するようにして通路に消えていった。
カエデさんは、これから、あの男の相手をするんだ――と思うと、また、胸の奥がざわつき始めた。
「あの……カエデさんって、いつも……出てるんですか?」
「ああ、カエデちゃんはね、昼間、仕事をしてるので、毎日はいないのよ。月・金と、隔週の水曜日、月・水は夕方7時から夜11時半まで。金曜日は深夜3時まで。人気のある子だから、当日じゃ、指名できないこともあるのよ。予約、入れてく? そしたら、特別のおまけ、つけてあげるけど……」
「エッ!? おまけって?」
「カエデちゃんがどんな子か、顔を見たいでしょ?」
「ウン。まぁ、そりゃ……」
「ほんとはね、女の子の顔が見れるのは、VIPコースまでいったお客さんだけなんだけど、ふつうの《アリスの穴コース》でも、3000円の追加料金を払えば、マジックミラー越しに彼女たちの顔が見られるの。その、追加料金をサービスしてあげる」
「あの……そのVIPコース……って、何ですか?」
「ああ、それは、壁のない個室で女の子とふたりきりになれるコース。そこでは、何をしてもいいんだけど、ちょっと高いのよね。だから、あなたみたいな若い人にはすすめないの」
「いまの人、VIPコースだったんでしょ?」
「そうよ。あ、聞こえてた?」
「ちょっと……」
「ま、お客さんには、いろいろいるから。あんまり、他のお客さんのことなんか、気にしないで。私たちにも、しゃべれないことがあるし……。それで? どうする? 予約していく?」
9万8000円あったバイト料を、きょうだけで1万500円使ってしまった。
予約すると、また1万円以上を使ってしまうことになる。
どうしよう……?
しかし、どうしても、彼女の顔は見てみたい。
「じゃ……お願いします」
雄一は、翌週の月曜日に予約を入れて、店を後にした。
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