その人があなたに怒っている「人には言えない理由」

File-56 「怒っている本当の理由」は、隠されている
あの人は、なぜ、自分に辛く当たるのか?
いったい何に怒っているのか? その理由が
わからないことがあります。実は、
その「怒りの理由」は、隠されている場合が
あるのです。それを知らないと——。
あなたが人から差し向けられて、もっとも困るのは、どういう感情でしょう?
たぶん、「怒り」ではないでしょうか?
「怒っている人」が怖いのは、その人がほんとうは何に怒っているのか、その理由がわかりにくい場合が多いから――でもあります。
そればかりではありません。怒っている当の本人さえ、自分がほんとうは何に怒っているのか、気づいてない場合があったりします。ほんとは、薄々、気づいてはいるけど、隠している――という場合もあります。
意識的にであれ、無意識のうちにであれ、この「隠蔽工作」に関与するのは、「理性」をはたらかせる脳です。
「私は、こんなつまらない理由で怒る人間じゃない」と、周囲にも自分自身にも思わせたいために、別の、もっと合理的な「怒りの理由」を振りかざそうとするわけです。
「表面に表れた理由」だけで「怒った相手」と向き合おうとすると、相手の「地雷原」をさらに踏んでしまうこともある。「怒り」と向き合うときには、このことを頭に入れておく必要があります。

彼女を「怒り」へ向かわせた、口にできない「理由」
いったい、自分のどこが気に食わないのだろう?
大手の生保会社に勤めるKさんは、先輩女性社員のMさんが、何かにつけて自分にきつく当たることに、これといった理由が思い当たらず、頭を悩ませていました。
新人のくせに電話を取るのが遅い。
あれだけ時間かけて、こんな小口の契約しか取れないの?
あなた、Nさんのお客さん、取ったでしょ?
小言とも言いがかりともつかないような言葉を浴びせられ、他の同期の女性を誘っては、食事に、買い物に……と出かけているのに、自分には、そんな誘いもいっさいなし。
私、Mさんに、何かわるいことしただろうか?
思い悩んだKさんは、いつも相談に乗ってもらっているTさんに、悩みを打ち明けました。Tさんは、Kさんたち女性外交員を管理する立場にある男性社員。物腰もやわらかく、女性社員たちにも人気の存在です。
Mさんはそういう人じゃないんだけどなぁ。わかった、ボクからもそれとなく、事情を聞いてみるよ。
そう言ってくれたTさんの言葉に、少し安心したKさん。しかし、MさんたちのKさんに対する態度は、以前にも増してひどくなる一方でした。そんなある日、Kさんは、女子トイレで、Mさんが他の女性社員と交わしているこんな会話を耳にしました。
Kは、また、Tさんに泣きついたらしいわね。
まったく、図々しいですよね。ウカウカしてたら、取られちゃいますよ。
Kさんは、ハッ……となったと言います。
Mさんが自分に辛く当たるのは、もしかしたら、Tさんが原因なのではないか?
そのことに気づいたKさんは、以後、Tさんに親しく接するのを止めました。何かわからないことがあるたびに、Tさんに訊いていたのも、まず、Mさんに尋ねて指示を仰ぐようにしました。
その結果、MさんのKさんに対する態度は、少しずつ和らいでいった――と言います。
Kさんの話は、「怒りの理由の隠蔽」がどう行われるか――を物語る、典型的なパターンのひとつです。
Kさんに向けられた先輩女性・Mさんの「怒り」のほんとうの原因は、Mさんが好意を寄せている男性・TさんへのKさんの異常接近。Kさんを「自分の恋のジャマ物」と判断したMさんの脳は、「Kを撃退せよ!」という「怒り」を生み出すのですが、それをそのまま表に出したのでは、自分は「新人女性にヤキモチを焼く女」という、見苦しいレッテルを自らに貼ってしまうことになります。
そこで、「電話を取るのが遅い」だの、「人のお客さんを取った」だのという、もっともらしく見える理由をつけて、「K叩き」を始めた――というのが、事の真相だと思われます。
もうひとつ、典型的な「隠蔽」のパターンをご紹介しましょう。
たぶん、「怒り」ではないでしょうか?
「怒っている人」が怖いのは、その人がほんとうは何に怒っているのか、その理由がわかりにくい場合が多いから――でもあります。
そればかりではありません。怒っている当の本人さえ、自分がほんとうは何に怒っているのか、気づいてない場合があったりします。ほんとは、薄々、気づいてはいるけど、隠している――という場合もあります。
意識的にであれ、無意識のうちにであれ、この「隠蔽工作」に関与するのは、「理性」をはたらかせる脳です。
「私は、こんなつまらない理由で怒る人間じゃない」と、周囲にも自分自身にも思わせたいために、別の、もっと合理的な「怒りの理由」を振りかざそうとするわけです。
「表面に表れた理由」だけで「怒った相手」と向き合おうとすると、相手の「地雷原」をさらに踏んでしまうこともある。「怒り」と向き合うときには、このことを頭に入れておく必要があります。

彼女を「怒り」へ向かわせた、口にできない「理由」
いったい、自分のどこが気に食わないのだろう?
大手の生保会社に勤めるKさんは、先輩女性社員のMさんが、何かにつけて自分にきつく当たることに、これといった理由が思い当たらず、頭を悩ませていました。



小言とも言いがかりともつかないような言葉を浴びせられ、他の同期の女性を誘っては、食事に、買い物に……と出かけているのに、自分には、そんな誘いもいっさいなし。

思い悩んだKさんは、いつも相談に乗ってもらっているTさんに、悩みを打ち明けました。Tさんは、Kさんたち女性外交員を管理する立場にある男性社員。物腰もやわらかく、女性社員たちにも人気の存在です。

そう言ってくれたTさんの言葉に、少し安心したKさん。しかし、MさんたちのKさんに対する態度は、以前にも増してひどくなる一方でした。そんなある日、Kさんは、女子トイレで、Mさんが他の女性社員と交わしているこんな会話を耳にしました。


Kさんは、ハッ……となったと言います。
Mさんが自分に辛く当たるのは、もしかしたら、Tさんが原因なのではないか?
そのことに気づいたKさんは、以後、Tさんに親しく接するのを止めました。何かわからないことがあるたびに、Tさんに訊いていたのも、まず、Mさんに尋ねて指示を仰ぐようにしました。
その結果、MさんのKさんに対する態度は、少しずつ和らいでいった――と言います。
Kさんの話は、「怒りの理由の隠蔽」がどう行われるか――を物語る、典型的なパターンのひとつです。
Kさんに向けられた先輩女性・Mさんの「怒り」のほんとうの原因は、Mさんが好意を寄せている男性・TさんへのKさんの異常接近。Kさんを「自分の恋のジャマ物」と判断したMさんの脳は、「Kを撃退せよ!」という「怒り」を生み出すのですが、それをそのまま表に出したのでは、自分は「新人女性にヤキモチを焼く女」という、見苦しいレッテルを自らに貼ってしまうことになります。
そこで、「電話を取るのが遅い」だの、「人のお客さんを取った」だのという、もっともらしく見える理由をつけて、「K叩き」を始めた――というのが、事の真相だと思われます。
もうひとつ、典型的な「隠蔽」のパターンをご紹介しましょう。

「有能すぎる部下」に向けられた上司の怒り。その陰には……
中堅のゼネコンに就職して3年目を迎えるYさんは、直属の上司・S課長が、最近、何かにつけて自分にイヤ味を言うようになったことを、気に病んでいます。
先日も、こんなことがありました。
A部長から声をかけられたYさんが、取引先B社の社長との会食の席に同席したところ、そこで社屋の耐震補強工事の話が出ました。その工事、御社でできないか、よかったら見積もりを――という社長の話に乗り気な様子のA部長は、Yさんをこう言って、社長に紹介しました。


社長に握手を求められ、「よし!」と意欲をかき立てたYさんは、翌日、直属のS課長に「B社の耐震補強工事」の件を報告し、自分が見積もりを立ててみたい――と、申し出ました。
しかし、喜んでくれるだろうと思ったS課長の反応は、意外なものでした。


そう言いかけたYさんは、そこで「ハッ……」と口をつぐみました。
A部長は、S課長から見れば上司にあたるのですが、そのA部長とS課長は、あまり仲がいいとは言えない間柄。ここでYさんが「A部長が……」と持ち出せば、S課長としては面白くないだろう――と、判断したからでした。
このYさんの判断は、賢明でした。実は、Yさんは、A部長などから将来を嘱望されている期待のホープでした。何かにつけて、上層部から目をかけられるYさんという存在が、上昇志向の強いS課長にとっては、目の上のたんこぶのように映っていたのだろうと思います。
S課長がYさんに向ける「怒り」の中には、「勝手に」とか「相談もなく」とか「いい気になって」といった言葉が、よく使われるそうです。一見、それらは、「分をわきまえろ」「手順を踏め」という戒めの言葉のようにも聞こえますが、「怒り」のほんとうの理由は、もっと深いところに隠されているように、私には思えます。
S課長が「隠蔽」していると思われる「怒りの理由」。
それは、ズバリ、「地位を脅かされる恐怖」です。自分より優秀かもしれない、そして周囲からも期待されているYという存在によって、やがて自分の地位は奪われ、優位と劣位が逆転してしまうかもしれない――という恐怖です。
しかし、それを口にしてしまうと、「負け」を認めてしまうことになるので、「分をわきまえろ」という「義の怒り」を振りかざして、Yさんを押さえにかかったのだろうと推測できます。これもまた、よく見られる「隠蔽」のパターンと言えます。

2つの「怒り」に共通するもの、それは「恐怖」
いわれのない「怒り」の矛先を向けられて困惑する、2つのケースをご紹介しました。どちらのケースにも共通しているのは、「怒り」の「ほんとうの理由」が隠されているということ。そして、その「隠された理由」が「恐怖」である、ということです。
先のKさんのケースでは、「好きな男を奪われるのではないか」という恐怖が、Yさんのケースでは、「地位を奪われるのではないか」という恐怖が、「怒り」を生み出したほんとうの理由でした。
人は、「恐怖」を感じると、「防御」の行動をとります。その「防御行動」は、しばしば、「怒り」という形をとって表されます。
もし、あなたが、だれかから身に覚えのない「怒り」を振り向けられたときには、「もしかしたら、この人、自分を恐れているのではないか?」と思ってみると、ものの見え方が変わってくるかもしれません。
筆者の最新実用エッセイ! キンドル(アマゾン)から発売中です!

「好きです」「愛してます」――そのひと言がスラッと口にできたら、この世の恋する男性や女性の心は、ずいぶんとラクになることでしょう。しかし、なかなか言えないんですね、このひと言が。勇気がなくて口にできない。自分は口ベタだからとためらってしまう。
そんな人たちに、「これなら言えるんじゃないか」とすすめるのが、「愛」と言わずに「愛」を伝える「メタメッセージ」の技術。あなたの恋愛の参考書として、お役立てください。
2019年11月発売 定価:600円 発行/虹BOOKS
「好き」を伝える技術: あなたの恋のメタメッセージ・テク (実用エッセイ)
既刊本もどうぞよろしく タイトルまたは写真をクリックしてください。
〈1〉 〈2〉 〈3〉






【1】妻は、おふたり様にひとりずつ
2016年3月発売 定価/342円
【2】『聖少女~六年二組の神隠し』
2015年7月発売 定価122円
【3】チャボのラブレター
2014年10月発売 定価/122円
そんな人たちに、「これなら言えるんじゃないか」とすすめるのが、「愛」と言わずに「愛」を伝える「メタメッセージ」の技術。あなたの恋愛の参考書として、お役立てください。
2019年11月発売 定価:600円 発行/虹BOOKS
「好き」を伝える技術: あなたの恋のメタメッセージ・テク (実用エッセイ)
既刊本もどうぞよろしく タイトルまたは写真をクリックしてください。
〈1〉 〈2〉 〈3〉
2016年3月発売 定価/342円
【2】『聖少女~六年二組の神隠し』
2015年7月発売 定価122円
【3】チャボのラブレター
2014年10月発売 定価/122円

管理人は、常に、下記3つの要素を満たすべく、知恵を絞って記事を書いています。
みなさんのポチ反応を見て、喜んだり、反省したり……の日々です。
今後の記事作成の参考としますので、正直な、しかし愛情ある感想ポチを、どうぞよろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 「怒っている人」は、ほんとは、「恐れている人」 (2020/09/15)
- その人があなたに怒っている「人には言えない理由」 (2020/08/28)
- 彼女の「寒い」は、実は、「抱いて」だったりする (2020/08/04)