不思議の穴のアリス〈1〉 繁華街の奥の不思議な穴

第6話 不思議の穴のアリス 1
R18
このシリーズは、性的表現を含む官能読み物です。
18歳未満の方は、ご退出ください。
アルバイトの金を手にした雄一は、
ブラリと街に出て、怪しいネオン街の
奥に足を踏み入れた。そこで目にした
「不思議の穴のアリス」という看板。
何だ、コレ? と見ていると——。
バイトの金が入った夜、雄一は、1カ月分のバイト代が入った茶封筒を内ポケットにねじ込んで、ブラッと街に出た。
久しぶりに見る毒々しいネオンが、雄一の足を繁華街の奥へ、奥へ――と誘い込み、いつの間にか、雄一は、それまで足を踏み入れたこともない通りを歩いていた。
奥に進むにつれて通りは細くなり、人通りもまばらになっていく。
ほとんど路地のようになった通りの奥に、その看板はあった。
イーゼルに立てかけられた一枚のパネルを、オレンジ色のライトが照らし出している。そこに書かれた文字に、思わず雄一の目が引き込まれた。
なんだ、これ……?
しばらくコピーの意味を考えながら、眺めていると、後ろからトントンと肩を叩かれた。
「よかったら、入ってみない?」
振り返ると、黒のタキシードに黒の蝶ネクタイ、短い髪をグリースで固めて撫でつけた女の子が、ニッコリと小首をかしげて立っていた。
「エッ……とォ、これ、なんの店……ですか?」
「ちょっとだけ、夢の世界が味わえる店よ。もちろん、男の子の夢だけどね。のぞいてみる?」
「つっても……オレ……あんまり……金ねェし……」
「えっとね、入るだけだったら2500円。いろんな穴があるんだけど、いちばん安い穴だと、30分3000円からのぞけるのよ。どぉ? それくらいだったら、何とかなる?」
かわいい人だ――と思った。
笑った顔が、ちょっと、竹内結子に似ている。
雄一は、内ポケットにあるバイト代のことを思った。
しかし、そのバイト代は、これからの学費や食費に当てなくてはならない貴重な金だった。
久しぶりに見る毒々しいネオンが、雄一の足を繁華街の奥へ、奥へ――と誘い込み、いつの間にか、雄一は、それまで足を踏み入れたこともない通りを歩いていた。
奥に進むにつれて通りは細くなり、人通りもまばらになっていく。
ほとんど路地のようになった通りの奥に、その看板はあった。
イーゼルに立てかけられた一枚のパネルを、オレンジ色のライトが照らし出している。そこに書かれた文字に、思わず雄一の目が引き込まれた。
不思議の穴のアリス
不思議な穴を通して、
ステキな彼女と
出会ってみませんか?
かわいいアリスが、
あなたを夢の世界に誘ってくれますよ
不思議な穴を通して、
ステキな彼女と
出会ってみませんか?
かわいいアリスが、
あなたを夢の世界に誘ってくれますよ
なんだ、これ……?
しばらくコピーの意味を考えながら、眺めていると、後ろからトントンと肩を叩かれた。
「よかったら、入ってみない?」
振り返ると、黒のタキシードに黒の蝶ネクタイ、短い髪をグリースで固めて撫でつけた女の子が、ニッコリと小首をかしげて立っていた。
「エッ……とォ、これ、なんの店……ですか?」
「ちょっとだけ、夢の世界が味わえる店よ。もちろん、男の子の夢だけどね。のぞいてみる?」
「つっても……オレ……あんまり……金ねェし……」
「えっとね、入るだけだったら2500円。いろんな穴があるんだけど、いちばん安い穴だと、30分3000円からのぞけるのよ。どぉ? それくらいだったら、何とかなる?」
かわいい人だ――と思った。
笑った顔が、ちょっと、竹内結子に似ている。
雄一は、内ポケットにあるバイト代のことを思った。
しかし、そのバイト代は、これからの学費や食費に当てなくてはならない貴重な金だった。

雄一は、その年、大学に進学したばかりだった。
早くに父親を亡くし、母親も病気がち。そんな環境にありながら、雄一が大学にまで進めたのは、6つ年上の姉がガンバって、家計を支えてくれたからだった。
姉は、高校を出ると、すぐに小さな運送会社に事務員として就職したが、それだけでは母親と雄一、ふたりの面倒をみるだけの収入は得られないので、夜も働きに出た。
姉も、母親も、雄一には何も言わなかったが、それがふつうの仕事じゃないことぐらいは、雄一にも何となく察しがついていた。
そうして、姉が夜も昼もガンバってくれたおかげで、自分は大学まで進むことができた。
それを思うと、たとえ自分がバイトで稼いだ金とはいえ、こんなわけのわからない店にその一部を注ぎ込んでしまうことには、胸の奥が痛んだ。
「どうする? 見るだけでも見てみる? きょうはね、とってもかわいいアリスちゃんが来てるの」
タキシードの女の子が、雄一の顔をのぞき込むようにして、声をかけた。
「ほんとに……見るだけでもいいの?」
「いいわよ。じゃ、こうしようか。きょうはウインドー・ショッピング。そういうことにしよ。それで気に入ったら、今度、お金のあるときに来ればいいんだから。ねっ」
言いながら、女の子は雄一の腕に自分の腕を絡ませ、その腕を自分の胸元に引き寄せる。
雄一のひじに、タキシードの女の胸から、グミのような弾力が返ってきて、雄一はそのやわらかな誘惑に逆らえなくなっていた。
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