「ムリな恋」を「危険な恋」にしないために、脳が行う作業

法則65 「ムリな恋」を「危険な恋」にしないために、脳がすること
「ムリ」と思う恋を暴走させないために、脳は、
「危険な情動」を何とか眠りに就かせようとします。
その方法とは——??
たとえば、あなたがどこかで、「すごくいい女」や「すごいイケメン」に出会ったとします。
「オッ、いい女(男)」と思ったあなたの脳の中には、「この女(男)、好き」という感情が生まれ、「こんな女を抱いてみたい」「こんな男に抱かれたい」という情動が芽生えます。
しかし、どうやらその女(男)には、恋人がいるらしい――というウワサ。しかも、本人はとてもガードが固く、いくら押してもビクともしないと言われている。つまり、あなたの「抱かれたい」「抱きたい」という情動がかなえられる可能性は、限りなく「0」に近い。そんな状況にあるとします。
あなたの中に芽生えた「情動」をそのままにしておくと、とんでもないムチャをやらかす危険性もあります。もしかしたら、かなえられる可能性0の想いを「妄想化」して、ストーカーのようにカレ(彼女)につきまとうようになるかもしれない。あるいは、いきなり彼女に飛びかかったり、カレの前に身を投げ出したりするかもしれない。
そんなことになったらヤバいので、通常は、その情動を脳がコントロールしようとします。

「動物の脳」が生み出す感情とそれをコントロールする「理性」
ここに出てきた「情動」というのは、食欲、性欲、危険回避などの、動物としての「本能的な行動」に関連して形成される、とても原始的な感情です。言ってみれば、「感情の素」と言ってもいい脳のはたらきです。
あまり高度とは言えないその「情動」が生まれる場所は、大脳の奥のほうにまとまっている「大脳辺縁系」と呼ばれる領域です。実は、この領域には、動物の生存にとって、とても大事な「本能」に関する中枢が集中していて、そこで生まれる「情動」は、人間の本能的行動を促したり、制御したりするはたらきをしています。
「大脳辺縁系」は、「哺乳類の脳」とか「動物の脳」とも呼ばれます。
ここには、食欲や性欲に関わる「視床下部」、記憶の整理に関わる「海馬」、「恐怖」などの感情を記憶し、「好き」や「嫌い」の感情を生み出す「扁桃体」などといったパーツが、ごちゃごちゃと固まっています。
私たちと同じ哺乳類であれば、この「辺縁系」が生み出す「怖い」「食べたい」「セックスしたい」「好き」「嫌い」「うれしい」「悲しい」「怒った」などの「情動」は、感じるし、示すこともできます。ここまでは「動物の感情」。ペットの犬やネコだって、これくらいの感情は持ち合わせています。
しかし、人間は、この「辺縁系」の上部に「大脳新皮質」と呼ばれる、より高度な活動を行う大脳の領域を発達させてきました。特に注目なのが、「新皮質」の額側に広がる「前頭葉」と呼ばれる領域、中でもその前部に発達させた「前頭前野」と呼ばれる領域です。
実は、この「前頭前野」こそ、人間が人間らしい精神活動を繰り広げるために欠かせない領域だと言われています。
深くものごとを考えたり、分析したり、総合的な判断を下したり、さらには、創作的な活動を行ったりするのも、この「前頭前野」。「理性」が形成されるのも、その「理性」のはたらきによって、行動をコントロールしようとするのも、この領域のはたらきと言っていいかと思います。
脳の奥=「大脳辺縁系」で生まれた「感情の素=情動」は、通常は、そのまま表されるのではなく、いつたん、この「前頭前野」に送られて、さまざまな判断が加えられ、加工されたり、調理・調味された上で「感情」として表出されます。その加工や調理・調味の段階で、もっとも大きなはたらきをするのが、「前頭前野」の産物と言っていい「理性」です。
「理性」というのは、物事を思慮深く考え、その真偽や善悪を判断する脳のはたらき、その能力――と言ってもいいかと思います。
「理性」の活動によって、人は、「道徳」や「倫理」を修得し、「世界観」や「価値観」を学び、それらを総合して、どう生きていくかという「思想」を築き上げていきます。しかし、その学び方は人それぞれです。どういう人間と出会って影響を受けるかによっても、「理性」が築き上げていく「道徳」や「倫理」や「世界観」や「思想」は、まったく違うものになってしまいます。
「感情」の取り扱い方も、「理性」がどうはたらくかによって、変わってしまうのですね。
「オッ、いい女(男)」と思ったあなたの脳の中には、「この女(男)、好き」という感情が生まれ、「こんな女を抱いてみたい」「こんな男に抱かれたい」という情動が芽生えます。
しかし、どうやらその女(男)には、恋人がいるらしい――というウワサ。しかも、本人はとてもガードが固く、いくら押してもビクともしないと言われている。つまり、あなたの「抱かれたい」「抱きたい」という情動がかなえられる可能性は、限りなく「0」に近い。そんな状況にあるとします。
あなたの中に芽生えた「情動」をそのままにしておくと、とんでもないムチャをやらかす危険性もあります。もしかしたら、かなえられる可能性0の想いを「妄想化」して、ストーカーのようにカレ(彼女)につきまとうようになるかもしれない。あるいは、いきなり彼女に飛びかかったり、カレの前に身を投げ出したりするかもしれない。
そんなことになったらヤバいので、通常は、その情動を脳がコントロールしようとします。

「動物の脳」が生み出す感情とそれをコントロールする「理性」
ここに出てきた「情動」というのは、食欲、性欲、危険回避などの、動物としての「本能的な行動」に関連して形成される、とても原始的な感情です。言ってみれば、「感情の素」と言ってもいい脳のはたらきです。
あまり高度とは言えないその「情動」が生まれる場所は、大脳の奥のほうにまとまっている「大脳辺縁系」と呼ばれる領域です。実は、この領域には、動物の生存にとって、とても大事な「本能」に関する中枢が集中していて、そこで生まれる「情動」は、人間の本能的行動を促したり、制御したりするはたらきをしています。
「大脳辺縁系」は、「哺乳類の脳」とか「動物の脳」とも呼ばれます。
ここには、食欲や性欲に関わる「視床下部」、記憶の整理に関わる「海馬」、「恐怖」などの感情を記憶し、「好き」や「嫌い」の感情を生み出す「扁桃体」などといったパーツが、ごちゃごちゃと固まっています。
私たちと同じ哺乳類であれば、この「辺縁系」が生み出す「怖い」「食べたい」「セックスしたい」「好き」「嫌い」「うれしい」「悲しい」「怒った」などの「情動」は、感じるし、示すこともできます。ここまでは「動物の感情」。ペットの犬やネコだって、これくらいの感情は持ち合わせています。
しかし、人間は、この「辺縁系」の上部に「大脳新皮質」と呼ばれる、より高度な活動を行う大脳の領域を発達させてきました。特に注目なのが、「新皮質」の額側に広がる「前頭葉」と呼ばれる領域、中でもその前部に発達させた「前頭前野」と呼ばれる領域です。
実は、この「前頭前野」こそ、人間が人間らしい精神活動を繰り広げるために欠かせない領域だと言われています。
深くものごとを考えたり、分析したり、総合的な判断を下したり、さらには、創作的な活動を行ったりするのも、この「前頭前野」。「理性」が形成されるのも、その「理性」のはたらきによって、行動をコントロールしようとするのも、この領域のはたらきと言っていいかと思います。
脳の奥=「大脳辺縁系」で生まれた「感情の素=情動」は、通常は、そのまま表されるのではなく、いつたん、この「前頭前野」に送られて、さまざまな判断が加えられ、加工されたり、調理・調味された上で「感情」として表出されます。その加工や調理・調味の段階で、もっとも大きなはたらきをするのが、「前頭前野」の産物と言っていい「理性」です。
「理性」というのは、物事を思慮深く考え、その真偽や善悪を判断する脳のはたらき、その能力――と言ってもいいかと思います。
「理性」の活動によって、人は、「道徳」や「倫理」を修得し、「世界観」や「価値観」を学び、それらを総合して、どう生きていくかという「思想」を築き上げていきます。しかし、その学び方は人それぞれです。どういう人間と出会って影響を受けるかによっても、「理性」が築き上げていく「道徳」や「倫理」や「世界観」や「思想」は、まったく違うものになってしまいます。
「感情」の取り扱い方も、「理性」がどうはたらくかによって、変わってしまうのですね。

「動物脳」が生み出す「チッ!」を、「理性」はどう加工するか?
たとえば、道を歩いているときに、だれかが肩に担いだバッグがあなたの体にぶつかったとします。
こういうとき、危険な敵を察知して防御行動をとらせようとする本能の脳(大脳辺縁系の「扁桃体」)では、「オッ、なんだ、こいつ! やる気か!」と、戦闘モードに入る「情動」が生み出されます。
これがそのまま、「感情」として表に出てくると、「チッ!」と舌打ちしたり、「何だよ、痛ェなぁ」と声に出したりします。場合によっては、「オイ、気をつけろよ!」と相手に文句を言ったり、「待てよ、オイ!」と相手を呼び止めようとしたりします。
このままだと、口論やケンカが始まってしまうかもしれません。
しかし、通常は、そうはなりません。
「扁桃体」で生まれた「何だよ、痛ェなぁ」という「情動」は、同時に、理性の脳にも送られます。そこで、「前頭前野」は、こんな判断を下します。
[1]こいつ、わざとぶつかったのか? それとも急いでて気づかなかったのか? あんな大きなバッグじゃ、人に当たっても気づかないかもしれないなぁ。=状況判断
[2]それにしても、ガッシリした体してるなぁ。こんなやつに文句つけて、やり返されたら、かなわないかも。ここは、ガマンするか。=利害判断
[3]だいたい、バッグがぶつかったぐらいで、頭に血が上るなんて、オレもどうかしてるぜ。=自己分析
[4]ま、こんなことで、騒ぎ立てるなんてのは、ガキみたいでみっともないしな。オレはもっと、渋いおとなになるんじゃなかったのかい?=美的価値判断
[5]そう言えば、何かの本に書いてあったなぁ。小さなことにハラを立てる人間は、大きな正義を貫くことはできないって。危ない、危ない! とんでもない小悪党になっちまうところだったじゃないか。=道徳的判断
[2]それにしても、ガッシリした体してるなぁ。こんなやつに文句つけて、やり返されたら、かなわないかも。ここは、ガマンするか。=利害判断
[3]だいたい、バッグがぶつかったぐらいで、頭に血が上るなんて、オレもどうかしてるぜ。=自己分析
[4]ま、こんなことで、騒ぎ立てるなんてのは、ガキみたいでみっともないしな。オレはもっと、渋いおとなになるんじゃなかったのかい?=美的価値判断
[5]そう言えば、何かの本に書いてあったなぁ。小さなことにハラを立てる人間は、大きな正義を貫くことはできないって。危ない、危ない! とんでもない小悪党になっちまうところだったじゃないか。=道徳的判断
こんなふうに理性が正常に作動すれば、粗暴な「情動」である「何だ、このヤロー!」が、そのまま表に飛び出して、モメ事を引き起こすなんていう事態にはならずにすみます。
こうして、理性にコントロールされた「情動」は、どうなるのでしょうか?
この例に出てきたような、「ちょっと頭に来た」程度の「情動」なら、たいていは、脳の奥に一時保管された後、忘れ去られてしまいます。
しかし、簡単に忘れてしまうわけにはいかない、「情動」や「感情」もあります。そういう場合には、「理性」は、もう少し複雑な作業をします。

「ムリ目な恋」を眠らせる「理性」のはたらき
最初に挙げたケースに戻りましょう。
目の前に現れた「いい女」「いい男」を見て発生した、「抱きたい」「抱かれたい」という情動を「理性の脳」はどう処理するでしょうか?
こんなとき、「理性」が行う「感情(情動)の加工」という作業。そのやり方は、人それぞれなのですが、よくあるパターンを挙げてみましょう。
[1]確かに「いい女」かもしれないけど、ああいう女は高慢ちきなだけで、つき合っても味気ないだけなんだから――などと芽生えた「情動」を打ち消し、「あんな女はタイプじゃない」という反対の感情を作り出す。=反動の形成
[2]あんな女を追いかけても、時間のムダだぞ。そんなことより、いまは、もっとやんなきゃいけないことがあるんじゃないの?――などと逃げ道を探し、「彼女のために使う情熱は、もっと有効な目的のために使おう」という感情を作り出す。=合理化
[3]あんな「高根の花」なんて、ムリムリ。ああいう女は見るだけにしておいたほうがいいんだよ――などと、芽生えた情動を鎮静化しようとする。=抑圧
[4]確かに、いまの自分には「高根の花」かもしれないけど、いまは、仕事(勉強、スポーツなど)をガンバって、彼女が目を留める男になってやろう――などと、「情動」を「高度な感情」へとレベル・アップさせる。=昇華
[2]あんな女を追いかけても、時間のムダだぞ。そんなことより、いまは、もっとやんなきゃいけないことがあるんじゃないの?――などと逃げ道を探し、「彼女のために使う情熱は、もっと有効な目的のために使おう」という感情を作り出す。=合理化
[3]あんな「高根の花」なんて、ムリムリ。ああいう女は見るだけにしておいたほうがいいんだよ――などと、芽生えた情動を鎮静化しようとする。=抑圧
[4]確かに、いまの自分には「高根の花」かもしれないけど、いまは、仕事(勉強、スポーツなど)をガンバって、彼女が目を留める男になってやろう――などと、「情動」を「高度な感情」へとレベル・アップさせる。=昇華
ここでは、男性の「理性」が行う加工の代表的なパターンを取り上げましたが、加工の仕方は、他にもいろいろ。女性の場合も、ほぼ同様の加工を行うと考えていいと思います。
脳に発生した「情動」は、通常は、こんなふうに「理性」というフィルターを通して加工され、より現実に適応した感情として、表現されることになります。
しかし、それは、「理性」が正常にはたらいた場合の話。
すぐ「感情的」になる人の脳の中では、このプロセスがまったくはたらかないか、はたらきはするけど、処理にあたる「理性」そのものが、いびつに形成されている場合が多いようです。
理性が正常にはたらかないケースについては、機会を改めてお話することにしましょう。
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