植民地の反乱。北米と南米ではどこが違った?

16世紀になると、欧州の強国はこぞってアジア、アフリカ、アメリカなどの「未開地」を征服して、「植民地化」していきました。しかし、18世紀になると、その「植民地」に「独立」の動きが出てきます。アメリカ大陸の場合、その「独立」の仕方が、北米と南米ではえらく違っていました――。
Talker
哲雄 自ら著作を手がけるエッセイスト。当ブログの管理人です。
AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指すアラサーの美女。
【今回のキーワード】 土着化 ミッション 混血化
AKI 古代には、「金持ち農民」たちは、奴隷の労働力で富を築き上げていった。でも、16世紀になると、奴隷を本国に連れ帰るなんていう非効率的なことは止めて、奴隷化できる人間たちのいる場所に出かけて行って、そこで現地の人間たちをこき使い、その生産物を本国に送って、本国に巨万の富をもたらすようになった。帝国主義の時代には、それでうまくいったんだけど……というところまで、お聞きしたんですよね、前回は?
哲雄 ハイ。イギリスやフランス、スペインやポルトガル、オランダ……といった、かつての列強各国は、そうして巨大な経済圏を築いていきました。しかし、18世紀になると、その植民地に本国に反乱する動きが出始めます。反乱には、いくつかのパターンがあるんですが、ひとつは、植民地に入植した人たちと本国との経済的対立が生じたことが原因でした。その代表が、「アメリカの独立」です。
AKI そのときの本国っていうと、イギリスですよね?
哲雄 ウン、その本国イギリスが、植民地での経済活動などに課税しようとしたことで、植民地側が反発し、暴力衝突を起こして戦争が勃発するんですが、結果的には、フランスの援軍を得た大陸軍が勝利して、イギリスからの独立を果たしました。
AKI 大陸軍? そんな軍があったんですか?
哲雄 いや、最初はありませんでした。なにしろ、植民地ですから、組織化された軍隊なんてものは存在せず、本国イギリスの圧力に反発した東部13州の入植者たちが、てんでに銃を持って訓練されたイギリス正規軍に立ち向かう――といった体であったようですよ。民兵vs正規軍の闘いですから、当初は、ゲリラ戦のようなものであったと想像できます。それらバラバラの民兵組織を「大陸軍」としてまとめ上げたのが、後に初代大統領となるジョージ・ワシントンでした。
AKI そこらへんは、世界史の教科書にも載ってました。でも、あれですよね、アメリカの独立戦争は、基本的には、同じ民族同士の争いだったんですね?
哲雄 軍隊の中には、黒人奴隷たちの部隊もあったし、先住民であるインディオの部隊もあったようですが、基本は、アングロ・サクソン同士の権利を巡る争いでした。中南米の独立とは、そこらへんがちょっと違う。
AKI 中南米って言うと、その宗主国は、スペインとかポルトガルとか……ですよね?
哲雄 ブラジルだけはポルトガルで、カリブ海にはフランスの植民地もあったんですが、あとはスペインですね。1800年代になると、これらの国でも、次々に独立運動が起こり、おおむね、19世紀のうちには、独立を果たしました。でもね……。
AKI アメリカの独立とは、いささか趣が異なったんですね? どこらへんが?
哲雄 ハイ。イギリスやフランス、スペインやポルトガル、オランダ……といった、かつての列強各国は、そうして巨大な経済圏を築いていきました。しかし、18世紀になると、その植民地に本国に反乱する動きが出始めます。反乱には、いくつかのパターンがあるんですが、ひとつは、植民地に入植した人たちと本国との経済的対立が生じたことが原因でした。その代表が、「アメリカの独立」です。
AKI そのときの本国っていうと、イギリスですよね?
哲雄 ウン、その本国イギリスが、植民地での経済活動などに課税しようとしたことで、植民地側が反発し、暴力衝突を起こして戦争が勃発するんですが、結果的には、フランスの援軍を得た大陸軍が勝利して、イギリスからの独立を果たしました。
AKI 大陸軍? そんな軍があったんですか?
哲雄 いや、最初はありませんでした。なにしろ、植民地ですから、組織化された軍隊なんてものは存在せず、本国イギリスの圧力に反発した東部13州の入植者たちが、てんでに銃を持って訓練されたイギリス正規軍に立ち向かう――といった体であったようですよ。民兵vs正規軍の闘いですから、当初は、ゲリラ戦のようなものであったと想像できます。それらバラバラの民兵組織を「大陸軍」としてまとめ上げたのが、後に初代大統領となるジョージ・ワシントンでした。
AKI そこらへんは、世界史の教科書にも載ってました。でも、あれですよね、アメリカの独立戦争は、基本的には、同じ民族同士の争いだったんですね?
哲雄 軍隊の中には、黒人奴隷たちの部隊もあったし、先住民であるインディオの部隊もあったようですが、基本は、アングロ・サクソン同士の権利を巡る争いでした。中南米の独立とは、そこらへんがちょっと違う。
AKI 中南米って言うと、その宗主国は、スペインとかポルトガルとか……ですよね?
哲雄 ブラジルだけはポルトガルで、カリブ海にはフランスの植民地もあったんですが、あとはスペインですね。1800年代になると、これらの国でも、次々に独立運動が起こり、おおむね、19世紀のうちには、独立を果たしました。でもね……。
AKI アメリカの独立とは、いささか趣が異なったんですね? どこらへんが?
哲雄 ひと言で言うと、
スペインやポルトガルの植民地の場合は、
入植者たちの「現地化」が、かなりな程度、進んでしまっていた
ということです。
AKI 現地化?
哲雄 現地の人間になってしまう――ということです。「土着化」と言っていいかもしれませんね。当時、スペインが侵略したアメリカ大陸の各地には、「イエズス会」の修道士たちが、先住民をカトリックに教化するための宣教師として送り込まれていたのですが、実はその修道士たちも「土着化」にひと役買っていたんですね。
AKI 修道士が……ですか? どうやって?
哲雄 修道士たちによる宣教活動は「ミッション」と呼ばれるのですが、当時の「ミッション」は、しばしば暴力的に行われました。まだ布教されてない未開の先住民たちは、たいていは、20人とか30人という単位の集落を作って暮らしていたのですが、修道士たちは、教化した先住民たちを訓練して、スペイン風の規律ある軍隊組織を育て上げたりしていました。彼らは、そういう武力集団を伴って先住民たちの集落に乗り込み、キリスト教の愛の教えなどを説きました。
AKI 布教は成功したんですか?
哲雄 したんじゃないですか? なので、南米の各国は、ほとんどがカトリック系の国になりました。改宗した先住民たちを修道士たちは、すでに布教に成功した先住民や入植者たちの住む西欧型の街に、まるで「捕虜」のように連れ帰って、教化した先住民や入植者の家に住まわせました。
AKI 住まわせたんですか? 家族として?
哲雄 いきなり「家族」にはならないし、しないでしょう。しかしね、当時の先住民たちのグループは、いつもグループ同士が争っては、対立したグループの女や子どもを奪って、それを自分の家族にしてしまうということを、長い間、続けていましたから、たとえ改宗したとはいえ、先住民同士の間であれば、そういうこともふつうに行われていただろう――と想像できます。
AKI 家に住まわせて、どうするんですか?
哲雄 男であれば、農作業を手伝わせたり、荷物運びなどの雑用を命じたり、頭がよければ執事として仕事をさせたりしたようですよ。
AKI 女だったら……?
哲雄 料理を作らせたり、掃除させたり……と、もっぱら家事をこなす家政婦として働かせていたりしたようですね。しかし、それ以上のことをさせていた場合もありました。
AKI それ以上……って、もしかして、あれ?
哲雄 ハイ、「あれ」です。単に「性的ハケ口」としてという場合もあったでしょうが、中には、住まわせた女と婚姻関係を結んでしまう人も多かったようです。その中には、入植者であるスペイン人もいました。
AKI あ、そうか。それで「混血化」が進んだんですね。
哲雄 北アメリカに入植したアングロ・サクソンは、あんまり先住民との混血を進めませんでした。しかし、スペイン人入植者たちは進めた。そして、「土着化」していった。この違いは何か? 気になりませんか?
AKI 気になる、気になる。どうしてですか?
哲雄 ひとつには、入植したスペイン人に単身者が多かったこと。そして、もうひとつは、修道士たちが所属した「イエズス会」という修道士組織が、特異な世界観を持っていたから。その話は、ちと長くなりますので。
AKI では、また次回に。
筆者の最新実用エッセイ! キンドル(アマゾン)から発売中です!

「好きです」「愛してます」――そのひと言がスラッと口にできたら、この世の恋する男性や女性の心は、ずいぶんとラクになることでしょう。しかし、なかなか言えないんですね、このひと言が。勇気がなくて口にできない。自分は口ベタだからとためらってしまう。
そんな人たちに、「これなら言えるんじゃないか」とすすめるのが、「愛」と言わずに「愛」を伝える「メタメッセージ」の技術。あなたの恋愛の参考書として、お役立てください。
2019年11月発売 定価:600円 発行/虹BOOKS
「好き」を伝える技術: あなたの恋のメタメッセージ・テク (実用エッセイ)
既刊本もどうぞよろしく タイトルまたは写真をクリックしてください。
〈1〉 〈2〉 〈3〉






【1】妻は、おふたり様にひとりずつ
2016年3月発売 定価/342円
【2】『聖少女~六年二組の神隠し』
2015年7月発売 定価122円
【3】チャボのラブレター
2014年10月発売 定価/122円
そんな人たちに、「これなら言えるんじゃないか」とすすめるのが、「愛」と言わずに「愛」を伝える「メタメッセージ」の技術。あなたの恋愛の参考書として、お役立てください。
2019年11月発売 定価:600円 発行/虹BOOKS
「好き」を伝える技術: あなたの恋のメタメッセージ・テク (実用エッセイ)
既刊本もどうぞよろしく タイトルまたは写真をクリックしてください。
〈1〉 〈2〉 〈3〉
2016年3月発売 定価/342円
【2】『聖少女~六年二組の神隠し』
2015年7月発売 定価122円
【3】チャボのラブレター
2014年10月発売 定価/122円

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 南米の征服者たちは、なぜ、土着化したのか? (2020/06/19)
- 植民地の反乱。北米と南米ではどこが違った? (2020/05/26)
- 「帝王」が生まれるには「奴隷」が必要? (2020/04/28)